鈴木敏恵の未来教育インフォメーション  RSSを登録する

未来教育のこと、例えば「ポートフォリオ」や「プロジェクト学習」「総合的な学習」「IT(情報テクノロジー)と教育のこと」など

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2007/12/15

■未来教育MM第454号■ エッセイ/価値ある夜の講演

∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝∽∽∝∽∽∽∽∝∽∝
 ☆★『鈴木敏恵の未来教育インフォメーション』第454号☆★
                 2007年12月15日土曜日発行
                発行者:未来教育プロジェクト 鈴木敏恵
                [E-mail]  s-toshie@ca2.so-net.ne.jp
 [ホームページ]  http://www.suzuki-toshie.net/mm/info.htm
         http://www.mirai-project.net/
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∝∽∽∽∽∽∽∝

■ エッセイ/価値ある夜の講演




    価値ある夜の講演

              鈴木 敏恵
              s-toshie@ca2.so-net.ne.jp


新幹線の駅から、車で50分。

向かえにきてくださった先生は、働き盛りのまっすぐな人。

学校に向かう車中でいろいろ話を聞きました。

この先生は、以前は進学校にいらしたそうですが、

定時制の先生になりたいと希望されて現在だそうです。

夏休みは、生徒の職場をぜんぶ訪問されるそうです。


過分に私の訪問をよろこんでくださり恐縮の車中。

どんな生徒さんたちか、到着までにお聞かせくださいとお願いしました。

夜の国道を走りながら話しはじめてくれました。

「いろいろです、本当にいろいろ。結構大人もいます、

 38歳の生徒も、結婚して奥さんもいて子どもがいる生徒もいます。

 中学の成績が1や2の子もいます。邪魔者扱いされてきた子もいます。

 みんな不安をもっているんです。昼の仕事もなかなかなくて大変です、

 中卒資格ですし、夜学校へいくために5時にまでしか働けないから。

 就職も昼の学校の卒業生から採用が決まりますから、好んで定時制の卒業生を

 正社員としてほしがる会社は少ないです。」


 大人や社会を信じることをあの若さで(だからか?)拒否している若者

 ここにくるまで「不合格」を3回も4回ももらい

 自分はダメなやつだと閉ざしている彼らの気持ち

 その気持ちを考えている、先生の気持ち•••


 小さな声で

「先生、卒業証書に、定時制ってつくの?」と聞く子がいるそうです。

「ううん、ないよ、みんな高校卒なんだ、」って答えてあげるそうです。

 彼らにとって定時制を卒業できる、つまり高校卒業の資格は、

 私たちが考える以上に大きな意味をもっているのです。


 そんなことを気にしなくてもいいんだ、というのは簡単です、でもその前に、

 そう聞く子のいじらしいせつないおもいを理解してあげたい。

  
    *      *      *


暗い夜の風景、窓から明かりが輝く定時制高校につきました。

建設現場からそのままの作業服で疲れた様子の生徒、

はじめてから机に伏せている子、最前列に座り横向いている子。

なんだかワクワクの女の子、ほんとにいろいろの生徒たち。


定時制で話すことは自分が試されます。

みんな迷いながらもいろいろありながらも学校へきているのです。

一生懸命なんとか模索しながら生きようとしているのです。

卒業までがんばろうと寒い夜の町をバイク飛ばしてきているのです。

形式的なポートフォリオやプロジェクト学習のはなしじゃだめです。

ささやかでも何か渡せたと思って、元気に心こめて真剣に話しました。

正直に正直に素直に話しました。



前の方に座っている、かわいい女生徒さんは、隣街の温泉旅館の部屋の

清掃の仕事をしているそうです。トイレも手袋をつかっちゃいけないと

言われるそうです、「どう思う? 先生?」って担任の先生に話かけるそうです。

すごくかわいい子です。

講演後帰り支度をしている私に、この子は私に小さい声で聞きました。

「どうしてどんなに笑顔で話してくれるの? にこにこできるのかおしえて」と。

その質問がまたかわいくて「うん? あのね、そうしようと自分で選んだの」

と素直に答えました。(いつもは、笑顔は美容と健康のためにいいから、と

答えます)「私も小さいころは末っ子でぐじぐじしてて、人の目や評判とか

気にして、大人になってからも何でもすぐ落ち込んで、だったんだよ、

でもね、それは未来の役に立たないからやめたの、」って素直にこたえました。

(ほんとうは死んだつもりで生きているの、全部で生きているの、

 とは言わなかったけど...。)


幸せな気持ちになったと書いてくれた子もいてくれました。

大きな会場で大勢のやる気に満ち満ちた教師や看護師たちにする

講演も高揚感に似た充実感を覚えるけれど、

生きる時間を何に使うか考えたとき

こういう効率とは関係ない選択にこそ価値があるような気がする。


講演を終え、もう人も少なくなった夜の街を抜けて帰路、

平日の空いている新幹線、車窓の向こうはまっくら。

22時28に東京駅に到着。



あの女の子は上手にたたんだお手紙を私にくれました。

翌朝、もう一度よみました、

かわいい字で私へのお礼と「私も自分自身が残せるようにポートフォリオを

作ってみようとおもいます。そして自分をもっとすきになり自分を見つめて

みようとおもいます」と。

なぜか両目からすっーと涙が流れました、明るいおだやかな朝でした。

私もちゃんと生きなくちゃ、とおもいました。

あなたたちに会えてよかった、ありがとう....



┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘

   21世紀の教育/コンピテンシー
            ↓
  http://www.suzuki-toshie.net/

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘
         鈴木敏恵プロフィール
┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘
21世紀の新しい教育〜未来教育プロジェクト学習などを構想、提唱し
自らも実践。未来派シンクタンクとしてテレビ、新聞、講演などで全国へ広げる。モ
チベーションアップ、考える力、課題解決力、イメージ力を高める人材育成を全国で
手がける。教育界だけでなく医師や看護師教育などでコーチとしても幅広く活躍。
一級建築士、千葉大学教育学部特命教授、中部学院大学客員教授兼中部学院大学短期
大学部客員教授、クリエータ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る