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2009/11/01

☆日刊中高MM2355号◆木原ひろしげ「教育バブルを弾け」(7) ★

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 日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第2355号☆
                  2009年11月1日:日曜日発行
   編集・発行 梶原末廣     sukaji@po.synapse.ne.jp
    http://www.synapse.ne.jp/~kanoyu/sukaji/index.html
     http://www.synapse.ne.jp/~kanoyu/kyoushi/index.html
  ☆★今日に生きる私と
       明日に生きる君がつながりあえるように語り合おう★☆
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■「教育バブルを弾け」(7)木原ひろしげ(福岡県)
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【連載】

■「教育バブルを弾け」(7)
  

            木原ひろしげ(福岡県百菜園園長)


経済の世界では ―― 土地を、本来の価値から切り離して投機対象の商品にした
ことによりバブルが生じ肥大化してついには弾けた ―― のだそうだ。教育も
同じではないか、―― 教育を、本来の価値から切り離して投機対象の商品にした
ことにより、バブル化が生じ、そして今弾けようとしている。いっそのこと早く
弾いてしまえ。―― 簡単にいえばこれが本シリーズの主張だ。
 
進学熱はますます過熱化しているようで、有名大学に直結する系列の小中学校の
ブランド化が定着しているそうだ。この世界にも新規の学校が参入して、これは
「買い」だ、という週刊誌の記事があった。学校が買いの商品にされた露骨な表
現に驚く。そして、こういう記事が「売り」に出ることでも、教育界が投機の
「市場」になっていることを示している。

その週刊誌広告が出ている同じ新聞で、九州エリアの大学を紹介した全面広告が
ある。「有名大学」と謳ってはいるが、定員割れで経営が苦しくなっている地方
大学のコマーシャルというのが本当のところだろう。ここにも教育市場の様相が
見える。バブルだ。やがて弾ける。いっそのこと早く弾けてしまえ。

かつて、貧しく苦しかった農村・漁村から脱出するために上級学校を志向した世
代があった。当時の事情を振り返ればそれはそれで理解できることではある。長
く、強弱・貧富の関係が固定化された封建社会で、それを打破して等しく豊かに
なるために学問・学歴が手段となったのは、それなりに希望の光となったのだか
ら。

公的学校制度の歴史が浅い我が国では、スタート時点ですで上級学校はエリート
の養成が目的であり、エリートの豊かさを約束するものであった。学校は豊かさ
を得るためのチケットだった。商品だった。そして今、殆どが横並びの金力・学
力で、上級学校も全入が可能な許容量を持った。受験生だけではなくて、学校の
方も競争社会になった。大学のブランドにも変化が出てきた。大学の上には大学
院が一般化してきた。海外留学も一般化してきた。教育界は一大マーケットとな
った。


一方、国家行政も産業界も、資源のない日本では「ヒトこそが資源」と公言して、
学校をヒト資源要請装置に誘導した。工業立国の国策に応えて理数系へ傾斜を進
め、それを教育の現代化と称した。効果はあった。優秀な技術者を量産できた。

豊かな社会への見通しがついて、今度は“期待される人間像”という道徳性の育
成が求められるようになった。これで、学校、あるいは教育によって豊かな国が
完成することになる。つまるところ、国の発展と人々の豊かさは教育によって実
現されることになる。教育する方もされる方も、それで良しとした。………… 
こういった程度の分析なら誰にでもできる。問題はこれから先なのだ。


経済のバブルが弾けて、それぞれの立場で初めて気づいたことが多々あった。そ
れまで常識と思っていたこと、浮かれていたことが馬鹿々々しくなった。ところ
で教育、その中核ともいえる学校の馬鹿々々しさはないのか。


バブルの特性、その10、 バブルは犠牲が出るまで気付かれにくい。


すでに犠牲者が多数出ているではないか。先生だ。あれほど燃えて元気だったの
に疲れきって、心身の健康を崩し、休職、失意のうちに中途退職。何人もの犠牲
者をみた。やりきれないのは、この先生たちの多くが、純粋で真面目で献身的な
人たちであることだ。

子どもだ。すっかり勉強嫌いになり、人が嫌いになり、引きこもったままだ。卒
業生だ。あれだけ個性的で表現力も豊かだった子が失職、食いつなぐだけで精一
杯。そしてそれぞれの家族だ。家族が崩壊し、展望が持てない。


学校への期待。これがバブル臭いのだ。期待といい、信頼といい、要望といい、
要求といい、責務といい、教育に寄せる思い込みは、各界・各人の立場や状況で
内容はバラバラなのだ。本来学校に期待されるべきことなのか、それからして怪
しいものが多い。それなのに、誠実な人・一生懸命な人が多い先生たちは、期待
に応えるように使命感を持って応えようする。学校が今も辛うじて機能している
のはそうした先生のおかげともいえる。しかし、そうばかりも行かないのだ。限
界がある。


学校への注文そのものが的外れではないのか。引き受ける前に一度吟味する必要
がないか。例えば、子どもたちに知・徳・体の調和を持たせよ、という。ちょっ
と待て、それってどういう根拠があってその三項目なのだ? それで本当にそれ
が可能なの? 例えば、教師へのノルマ、成績(偏差値・合格率)を前年より向
上せよ、不登校率・非行率を前年より低下せよ。ちょっと待て、それって個々の
背景がある訳で、それには学校(先生)の対応では改善できない事情があるだろ。

責任逃れではない。責任転嫁でもない。拒否していいのでは? 安易にというか、
基本的にというか、引き受けてはいけないこともあるのではないか。


疲れきって鬱病になる前に、ひょっとしたら不必要な努力をしているのではない
か、責任感や使命感はピントがずれているのではないか、と少し疑ってみたらど
うだろう。

昔、有名な歌手が「お客様は神様だ」といって人気をとった。バブル絶頂期だっ
た。学校までが「子ども様は神様だ」とお客様扱いする時、学校は本来の姿から
外れて人気商店になる。それこそが教育バブルなのだ。バブルは必ず崩壊する。
犠牲者を出す。



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===編集日記=== 
  皆様に支えられて「日刊・中高MM」第2355号の発行です。

 木原ひろしげさんの「教育バブルを弾け」を拝読していると私は妙に慰められて
いるというよりは励まされている気がしてくるのだ。勇気と元気が湧いてくるのだ。

 ・投機対象の商品にした
 ・教育界は一大マーケット
 ・学校への期待

 それぞれの言葉に同調したりやや逡巡もあったりするが、現場を退かれた方のも
のの見方や考え方がよくわかる。おそらくは大多数の教師がよく分かっているのだ。
この指摘された点は。が、しかしどうすればよいのか分からずに蟻地獄ならぬ大迷
路ならぬ袋小路に入っているのだ。

 私は信じている。この国のどこかで営々と日々の教育活動が為されていることを。
子供と先生がやき空間を作り得ていることを。そのことを日々の中高MM編集の中
で少なからず感じている。
 
 11月に入りました、鹿児島は雨の昼間でしたが夜は秋空に満月が輝く、風渡る
秋の夜。月はいいー。実によい。

 本誌中高MMの購読者が増えています。この数年来減少傾向でしたが、久々に読
者増加傾向です。ご執筆の労を執っていただいてます皆様に感謝申し上げますとと
もに一緒に喜びたいと思います。どうそ皆様の友人・知人等に本誌をご紹介いただ
ければ幸いです。今年もあと2ヶ月ですね。大事に大事に日々を過ごしたいもので
す。明日も良い日でありますように。

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                  皆様のご意見・ご感想お待ちしています。
                  sukaji@po.synapse.ne.jp
                  梶原末廣【インターネット編集長】
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中・高校教師用ニュースマガジン 2000年3月26日創刊
         編集・発行 梶原末廣 sukaji@po.synapse.ne.jp   
      【発行部数1222名】

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◆「日刊 中・高校教師用ニュースマガジン」◆  

【11月連載予定】

02 2356 「モスポイントたより」(64)クニコホール(アメリカ)
03 2357 「未来教育への扉」(12)梶原末廣(鹿児島)          
04 2358 「ビジュツのジカン」(2)関 清恵(東京都)
05 2359 「子どもたちのわくわくアート」(71)西尾環(熊本県) 
06 2360 「薫のデジタルにっし」(66)Slotsve堀内(アメリカ)
07 2361 「奄美だより」(14)湯ノ口真由美(鹿児島)
08 2362 「総合学習回顧録ー小学生ママと総合学習」(22)名生修子(兵庫県)
09 2363 「プロジェクト志向でいこう!」(45)若槻徹(島根県)
10 2364 「読み聞かせる教室づくり」(6)石川晋(北海道)
11 2365 「僕らはみんな生きている」(25)杉山武子(鹿児島)
12 2366 「想いは南風に乗せて-あなたの心に」(41)堂園晴彦(鹿児島)
13 2367 「もう一つの学校インターナショナルスクール」(22) 壷坂宣也(兵庫県)
14 2368 「生徒へ送る心のメッセージ~教師のための新しい視点~」(28) 
                         桑原規歌(愛知県)
15 2369 「百菜園だより」(13)木原ひろしげ(福岡県)
16 2370 「インディアナ発 ~シアワセな人生をデザインする~」(18)
                             倉本陽子(アメリカ) 
17 2374 「知識活用力の育て方」(203) 高橋りう司(東京都)
18 2375 【休載日:発行所メンテナンスの為】
19 2376 「ITのお世話の日記」(21)山之上 卓(鹿児島県) 
20 2377 「雑感『相手の立場』」(5) 西澤俊英(滋賀県)
21 2378 「新聞読み比べ~NIEのヒントに~」(24)谷口泰三(東京都)
22 2379 「身体と心の元気スヰッチ」(17)山下 温(鹿児島)
23 2380 「環境問題について」(102)枝廣淳子(千葉県)
24 2381 「遅刻少女が踊り子になる方法」(10)高橋雅世(鹿児島)
25 2382 【 未 定 】
26 2383 「日常性の教育学」(12)上條晴夫(宮城県)
       学級通信「翔べない豚さん」(18) 山下君子(神奈川) 
27 2384 「南の散歩道」(27) 梶原末廣(鹿児島)
28 2385 「一歩ずつ」(48)岩堀美雪(福井県)
29 2386 「数学まるかじり」(24) 山崎直和(鹿児島)
30 2387 「参加型学習の可能性」(20)鈴木隆弘(東京都)  
 
【12月連載予定】

01 2388 「教育バブルを弾け」(8)木原ひろしげ(福岡県)
02 2389 「モスポイントたより」(65)クニコホール(アメリカ)
03 2390 「未来教育への扉」(13)梶原末廣(鹿児島)          
04 2391 「ビジュツのジカン」(3)関 清恵(東京都)
05 2392 「子どもたちのわくわくアート」(72)西尾環(熊本県) 
06 2393 「薫のデジタルにっし」(67)Slotsve堀内(アメリカ)
07 2394 「奄美だより」(15)湯ノ口真由美(鹿児島)
08 2395 「総合学習回顧録ー小学生ママと総合学習」(23)名生修子(兵庫県)
09 2396 「プロジェクト志向でいこう!」(46)若槻徹(島根県)
10 2397 「読み聞かせる教室づくり」(7)石川晋(北海道)


「目線を変えて見えた世界」(68)野元尚巳(鹿児島)は1月25日再開。

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