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1950年生まれ、高校(社会科)教師の「学校」をめぐるコメント・コラム集

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2008/03/16

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               第195号 2008年 3月 16日(毎月1・16日発行)

  目次

**学校をめぐるコメント**

        502.高校入試


**日々雑感**

        594.読書・所感−2008年3月前半
        595.映画・雑感−2008年3月前半


**最近読んだ本から

――――――――――――――――――――――――――――――――――
**学校をめぐるコメント**


        502.高校入試
                                        (2008年 3月12日 水曜)

 高校がほぼ希望者全入の時代を迎え、高校入試はかつての選抜試験から、単
なる儀礼と化してしまっている。もちろん例外もあるだろう。しかし大半は募
集定員がある限り、たとい学力的には不可と勘案されても、公立高校であるか
ぎりは、定員いっぱいの合格者を出さざるを得ない。(そのような圧力を納税
者からひたひたと感じるのだ。)

 もはや高校入試は高校で学ぶ資格を審査する試験ではなくなった。いや、中
味的にはそのように作成された高校入試ではあるのだが、その結果として何点
を取っていようと関係が無くなった、とでも言おうか。

 それらの結果として、高校のカリキュラムについて行けない生徒たちがかつ
てよりも増加し、それがまた社会問題になっていく。学力低下、である。

 学力低下というけれど、本当のところは高校に来るまでの段階で準備が整っ
ていないのであるから、それは学力低下というのはおかしなことではある。も
ともと備わってきてないのだから。
 しかし、それを分かった上で入学させざるを得ないのであるから、公立学校
の混迷はますます深まるばかりである。

                        *

 もう、かなり前から次のような状態が続いている。すなわち他に行く場所・
時間をつぶせる場所がないので、とりあえず高校へといった生徒たちが公立高
校の門をくぐってきている(あと高卒でないとダメという資格などの問題もあ
る)。
 そのようにして送り込まれてきた彼らの学習意欲が高かろうはずがない。で
は何故来るのか? もう少し積極的な意味合いもあるはずだ。それは何か。

 学校には同世代の元気な若者たちが群れ集まる、それは「楽しいこと」を求
めて学校にやってくるのだ。人が集まるところというのは、笑いが生まれ楽し
いことがいっぱいありそうな幻想を人びとに持たせるものだ。

 ところが学校というところはおよそ面白みも楽しむことも、基本的に排除し
忌み嫌うシステムなのだ。にもかかわらず、かつての高校時代を振り返る人生
の先輩たちは、本当はどうだったか分からないのに「幻想」を若者に鼓吹して
しまうことになるのだ。映画『夜のピクニック』も見終わってしみじみそうだ
と思った。

 そんなギャップがあって、実際の高校生活はバラ色になるはずはなく、灰色
の青春時代と化してしまうことも少なくないのだ。

                        *

 高校入試があってもなくても、高校自体がここまで変質させられてしまって
はもはや手の打ちようがない。ではどうするか、もう一度厳格に高校入試を実
施し、その合格点というか入学資格を満たしているかを峻別する必要があると
いうこと。さもなければ募集定員を減らすしかないか。少数のエリート教育
はもちろんないが、とりあえず高校へという生徒を減らすことだろう(進路の
選択肢を拡大する必要もある)。

 現実には困難だが、中学から高校への間で一年足踏みして、中学までの学力
をきちんと確保してから高校進学というふうにしてもいいのではないかと思う。
 それがだめなら、中高一貫校にしてその6年間の中でチェックして学力を確
保しながら進めていくというやり方も可能かなと気がついた。

                        *

 いずれにせよ厖大なエネルギーと時間とを費やす高校入試、ひいては同じこ
とが大学入試にもいえるのだが、これらのはっきり言って無駄を排除しないこ
とには日本の教育は良くならないし、世界にも伍していくことができないだろ
う(受験は役立つというような精神論をいつまでも唱えているようでは絶望的
だ)。


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**日々雑感**


        593.読書・所感−2008年3月前半


2008/3/ 3(月)『攘夷 交代寄合伊那衆異聞』(佐伯泰英 講談社 2007年 \
619)

 シリーズ第6作。幕末の攘夷運動のおかしさ・狂気を描いている。あと隠れ
キリシタンの摘発・拷問のえげつなさも。

 あらためて、何故? と疑問を持たされるのはこの隠れキリシタンの摘発だ。
純粋に(?)キリスト教への恐怖あるいは島原の乱のようなことへの恐怖――
ではないだろう、ということ。

 このあたり小説とは別に勉強してみる必要があるようだ。
 ま、所詮、権力というのはそういうものなのだが。

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2008/3/ 4(火)『密命・加賀の変 遺髪』(佐伯泰英 祥伝社 2007年 \638)

 シリーズ第18作。金沢から高岡での事件を扱ったもの。
 相変わらずの「葵の御印籠」的なところはクサクて嫌だが、それが好きで読
んでいる人もいるのだろう。致し方なし。著者の言う通り時間つぶし、パース
タイムのための小説だ。

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2008/3/ 6(木)『拝啓天皇陛下様』(棟田博 講談社 1962年 \280)

 古い本で、書庫から出してきてもらった。しかし今年に入ってから少なくと
も一人は借り出しているようだ。

 そもそもは渥美清が主役で出ている映画ということで、この原作の小説を読
むことにしたというわけで、当然、授業にも使えるかなという予測のもとであ
る。結論として、結構良いのではということで、早速中古VHSを注文した。結
構な値段ではあるが、DVDよりは手に入れやすい値段なので。

 軍隊などに誰が好きこのんで行くものか。――これが「常識」であろう。し
かし、その逆が彼の常識であったというのがこの話である。簡単に言うと農村
の貧しさ。だから一日3食の食事、しかも白い米が食べられる! これである。
そんな主人公・山田正助の半生を同じ釜の飯を食った著者が、ルポのように描
いた小説がこの作品である。

 私たち戦後世代の知るよしもない軍隊生活を知ることができる。そして再び、
やはりこのような時代・歴史を繰り返すことがあってはならないと知る。――
そのような教材になればいいと思う。日本史だけではなく、倫理や政経でも使
えるだろう。

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2008/3/ 8(土)『闇太夫 風烈廻り与力・青柳剣一郎』(小杉健治 祥伝社 2
008年 \629)

 シリーズ第9作。実は第8作が抜けていて、その出版されたことに気づかず、
この本を購入したため。読後はやはり図書館へ寄贈の予定。
 江戸の町で大事件といえばやはり「火事」ということ。今回は付け火、つま
り放火を扱ったもの。


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        595.映画・雑感−2008年3月前半


2008/3/ 7(金)[サウスバウンド]

 奥田英朗原作の映画化。小説は良かったのでこの映画にも飛び付いたのだが、
いや、飛び付きかけたのだが監督の名前を見て若干の躊躇を覚えた。[模倣
犯]の森田監督なのだった。あの映画のエンディングは「違うだろ!」という
代物だったので。
 その嫌な予感を振り切って購入、今夜観たのだが......。

 カットの連続に自然さが欠けていたり、いかにもスタジオのセットというち
ゃちな感じがあったり、朝の登校シーンのはずなのに光が真上から来ていたり。
 何やかやと文句を付けてしまう。

 さて主人公のお父さん役は豊川悦司でまずまず。あえて言えばそのキーワー
ドである「ナンセンス」の発声がいまいち、か(もちろん監督の指示だろう
が)。あと子役はやはり良い。ただかつあげされたりするシーンなど、少年た
ちのからむところはいまいち。分かりにくい。

 分かりにくい、といえば主人公が国家や徴兵制についてやり合うシーン(口
論)が原作からの印象よりも少なく、やや物足りなく・分かりにくくなってい
る。
 沖縄・西表島のシーンでは村の長老との出会いのシーンがいまひとつ。――
なんか文句ばかりが出てきてしまうのだが。

 でも何とか授業に使えそうでホッとする。原作が良いだけに、授業で、とい
うことだ。

 最後にいいなと思ったのはバックグラウンドミュージック。ピアノとベー
ス・パーカッションにギターがからむクラシックな音楽。大島ミチルという人。
若い人には受けないかもしれないが、何ともシックでしっとり来る音楽だ。

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2008/3/ 8(土)[コーラスライン]

 1985年の映画。というよりミュージカルとして有名だったもの。
 もっとも、映画を見終わったあとでも、何も思い出さなかったので、当時こ
の題名だけは「常識」として知っていただけで実は中味については何も知らな
かったということのようだ。

 ひとことで言って、欧米系の映画・文化は「御託」が多いということか。言
葉でやりとりするということ。

 それにしても踊りがすごい。そして、私からみてそのすごいダンスでも、そ
れで食っていけるかというと、そうもいかないようなのだ。厳しい世界である。
 またダンスに関していえば、日本は世界水準に達しているのだろうか、と。

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2008/3/11(火)[拝啓天皇陛下様]

 「コメディ」と分類されているようだが、ま、たしかにそれでもいいのだが、
見方によってはいろいろと考えさせくれる内容を持っているので授業にもぜひ
使いたい。

 軍隊という組織の理不尽さ・戦場での死屍累々の風景などが印象的か。なぜ
そんなにまでも天皇に親愛の感情を持てたのかも不思議といえば不思議で、今
の私たちに理解できるか、とも思う。

 なぜ軍隊に居たい・残りたいのか、については主人公ヤマショウが三度三度
の白い御飯が食べられるからと言うのだが、そのところを映画では小説よりも
さらっと描いてあるので気がつきにくいかもしれない。

 同様に農村の貧しさを訴える上官の演説も。ただ小説にはなかった鶴西とい
う兵隊へのその妻からの手紙の一節に、売られていった女性の話が出てきて農
村の疲弊ぶりが推測できる。

 映画の約半分で戦争中の話は終わり、戦後のこれまたみんなが貧しい頃の話
に移る。著者とヤマショウとの付き合いは続き、最終的に彼の非業の死、とい
うべきか酔っぱらった果ての交通事故死で終わる。原作通り。


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**最近読んだ本から

2008/3/ 3(月)『攘夷 交代寄合伊那衆異聞』(佐伯泰英 講談社 2007年 \
619)
2008/3/ 4(火)『密命・加賀の変 遺髪』(佐伯泰英 祥伝社 2007年 \638)
2008/3/ 6(木)『拝啓天皇陛下様』(棟田博 講談社 1962年 \280)
2008/3/ 8(土)『闇太夫 風烈廻り与力・青柳剣一郎』(小杉健治 祥伝社 2
008年 \629)

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        (2000年 2月16日創刊)        kishidafumio@hotmail.com
                                            発行者  KISHIDA Fumio   
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  インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/)解除は http://www.mag2.com/m/000026043.htm/ へ。
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