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1950年生まれ、高校(社会科)教師の「学校」をめぐるコメント・コラム集

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2007/10/01

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                第184号 2007年 10月 1日(毎月1・16日発行)

  目次

**学校をめぐるコメント**

        491.『メディアとしての紙芝居』


**日々雑感**

        582.読書・所感−2007年 9月後半


**最近買った本
**最近読んだ本から

――――――――――――――――――――――――――――――――――
**学校をめぐるコメント**


        491.『メディアとしての紙芝居』

                (鈴木常勝 久山社 2005年 \1553)
                                          (2007年 9月18日 火曜)

 図書館の新刊の棚から。
 このような本が出版されていることなどまったく知らなかった。「日本児童
文化史叢書」の一冊。

 紙芝居は私にとっては懐かしいもの。――
 小学生の頃、家の前の狭い路地を東に向かい出て行ったところのやや広い道
端に紙芝居のおじさん(おじいさん?)は来ていた。いまとなっては幾つくら
いのどんな人だったかはまったく思い出せない。

 駄菓子を買って紙芝居を見せてもらうというか見ることができたわけだ。懐
かしい。いつ頃まで続いていたのかも記憶にない。おそらく中学生頃には私は
紙芝居からは離れていっていたろうと思う。もしくはもう来なくなっていたの
かもしれない。いずれにせよ昭和で言うと30年代前半のこと。

                        *

 紙芝居の歴史は1930年に始まり、この1930年代に発展していき戦争で中断。
そこからまた戦後の紙芝居の歴史が再開され、現在でも紙芝居は生きているわ
けだ。
 当初、紙芝居は子どもたちの、それもどちらかというと下町の・庶民の子ど
もたちの娯楽として登場している。驚いたのはその頃の紙芝居の裏にはセリ
フ・台本といったものが書かれてなかったとのこと。口伝えでストーリーを教
えてもらい、あとは子どもたちとの掛け合い・アドリブなどでやっていたらし
い。(もっとも私の体験ではおそらく裏には印刷されていたと思う、戦後のこ
となので。)

 というのは裏に書かれた脚本通りに演じる(?)ことを強制される時代がや
ってきたからだ。
 「街頭紙芝居」と著者に呼ばれる紙芝居からスタートしたものが、初期には
その俗悪性・非教育性(?)から世の批判を浴び、警察からも取り締まり対象
として目を付けられていくことになる。
 ただその「宣伝性」(?)にも目を付けられキリスト教をはじめとした宗教
団体もその布教のために紙芝居を利用していく。学校でも同断で教師たちが利
用していくことになり、これを「教育紙芝居」と著者は呼ぶ。

 ここまで来ると当初の紙芝居への批判・弾圧(抑圧?)から、国家も利用し
ていくことになるのは必然である。折しも日本は満州事変から日中戦争へ。こ
れらの紙芝居を「国策紙芝居」と著者は呼んでいる。

 戦争宣伝という国策のためのみにこれからの紙芝居は利用されていくことに
なる。もはや下町の子どもたち相手の活気に満ちた面白い紙芝居(『黄金バッ
ト』・『少年タイガー』など)からはほど遠く、大人たちにも向けた戦意高揚
と銃後の忍従を教化する内容のみになっていく(『桜咲かせん』・『チョコレ
ートと兵隊』)。
 この著書ではこの敗戦までを扱い、当時作られた紙芝居のリストが紹介され
ている。

                        *

 紙芝居の変化を各側面からとらえれば、
(1)内容面では「芸能から教育へ」「大衆娯楽から国民教化へ」、
(2)統制面では「放任から検閲へ」、
(3)観客面では「子ども相手から全国民相手へ」、
(4)演者面では「飴売り商人から地元の指導者へ」となる。(P.87)

                        *

 軍隊と戦争を教えない「平和教育」ではなく、平時と戦時は地続きなのだと
想像させる取り組みこそが必要だ。国策紙芝居の「魅力」に引き込まれるかも
しれない自分を知ることから、主体的な戦争認識が育つだろう。(P.102)

【あらためて痛感する。平和の尊さを知らせるために、軍隊のことや戦争のこ
とを知らせていく必要性を。それも視聴覚教材が有効だろう。】


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**日々雑感**


        582.読書・所感−2007年 9月後半


2007/9/16(日)『まだ、タバコですか?』(宮島英紀 講談社 2007年 \74
0)

 現代新書。やはりタバコに関する本には目が向く。
 あらためてタバコのひどさを痛感する。この日本国からタバコが消え去るの
はいったいいつのことだろう。少なくとも私の生きている間は絶望的に思える
が。
 ともかく個人的にはタバコから逃げるしかない。次いでタバコをなくすため
の努力・一助を。

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2007/9/16(日)『錯乱 勘兵衛シリーズ』(鈴木英治 角川春樹事務所 2007
年 \660)

 このシリーズもここからは購入して読むことに。読了後は図書館へ寄贈。
 「錯乱」はどうやら薬物によるもの。現代的なテーマでもある。

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2007/9/20(木)『サニーサイドエッグ』(荻原 浩 東京創元社 2007年 \18
00)

 ハードボイルド風というか、ハードボイルド小説なのだが、実は本物の・本
場物のハードボイルドを読んでないので私には分からない。
 そのせいか駄洒落や御託を並べるところがハードボイルド風なのかも、とお
もってしまう。

 ペット探偵の33才・最上氏の猫(ロシアンブルー)探しのお話。そこそこに
面白い。「そこそこに」というのは、やはり私がハードボイルドを読み慣れて
いないから。今後読むことになるかどうか。
 なおこの本は2005/6/27(月)に読んだ『ハードボイルド・エッグ』(双葉社
 2002年 \695)の続編とのこと。個人的にはもっともっとユーモア小説の方
が楽しめるのだが。
 なおこの本は「サイン本」。入手を少し待って手に入れてもらったもの。こ
れで二冊となる。

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2007/9/22(土)『完四郎広目手控 文明怪化』(高橋克彦 集英社 2007年 \
1700)

 シリーズ第四作。2006/8/ 8(火)『完四郎広目手控 いじん幽霊』(高橋克
彦 集英社 2003年 \1700)に続くもの。

 全12話。ほぼすべてちょっとした謎を完四郎が解いていくもの。「新聞錦
絵」といわれた「東京日々新聞」や「報知新聞」がネタとなり、その背景や犯
罪を解く。

 主人公・旗本出身の完四郎が洋行(アメリカ)から帰り、「東京日々新聞」
の嘱託として悠々の毎日を送るなか仮名垣魯文や新聞記者がまわりを取り巻き、
横浜と東京を往復しての話が展開する。すでに時代は明治となり政府中枢を占
めた薩長以外の者が肩身の狭い思いをしている頃の世相を背景としている。

 新聞紙条例や讒謗律も出され、まだ生まれたばかりの新聞の世界もその圧力
のもとで苦労しながら成長していく段階。
 そんな頃の官僚の不正・非道や庶民の刃傷沙汰などが登場する。明治のはじ
めの世相が作家の想像力で描かれ、私たちにもその当時の雰囲気が窺える。

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2007/9/22(土)『無言殺剣 大名討ち』(鈴木英治 中央公論新社 2005年 \
648)

 新シリーズ第1作。主人公に名前がない。何もしゃべらない。という傑作な
主人公を造形したもの。常識を打ち破る設定に驚かされる。途中から仕方なし
に「音無黙兵衛」と名付けて本人に了解をとるのだが。

 剣はやはり強くてまだ若い浪人。成功報酬の500両の為替を手に、結局はそ
こを追われて江戸に向かうことに。やはり江戸でないと話は展開しないという
ことか。これからどうなるのか、と期待させられる。

                --------------------------------

2007/9/24(月)『無言殺剣 火縄の寺』(鈴木英治 中央公論新社 2006年 \
648)
2007/9/24(月)『無言殺剣 首代一万両』(鈴木英治 中央公論新社 2006年
 \648)
2007/9/24(月)『無言殺剣 野盗薙ぎ』(鈴木英治 中央公論新社 2006年 \
648)
2007/9/24(月)『無言殺剣 妖気の山路』(鈴木英治 中央公論新社 2006年
 \648)

 シリーズ第2、3、4,5作。面白いのでどんどん読み進められる。今日は
暑さも一段落、そのおかげで読めた。


2007/9/25(火)『無言殺剣 獣散る刻』(鈴木英治 中央公論新社 2007年 \
648)

 シリーズ第6作。これで第一部完結、ということに。
 なぜものを言わないのか、本当の名前は何か、といったことがほのめかされ
ていく。しかしこの第6作までそういった秘密を秘密のままに話を展開してく
るのだから大したものだ。それはバイキャラクターのおかげなのであるが。

 この作者は延々とシリーズを続けていく気はないように思う。いずれ完結と
なるだろう。これから第二部第1作を読む。

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2007/9/26(水)『郷四郎無言殺剣 妖かしの蜘蛛』(鈴木英治 中央公論新社
 2007年 \648)

 第二部の開始。本名が分かったのだが、それを知られることによる不利益か
ら相変わらず「音無黙兵衛」で話が進んでいく。ふと思いついたのは『ゲド戦
記』。本当の名前を知られることの危険・大変さなどを。
 毎回、大きなうねりのような事件があり、その難題を突破していくのだが、
あらたな課題が登場して、次の巻に続くというわけだ。この第二部もそうだ。

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2007/9/26(水)『はぐれ長屋の用心棒 孫六の宝』(鳥羽 亮 双葉社 2007
年 \600)

 2007/6/16(土)『はぐれ長屋の用心棒 父子凧』以来。これだけ間が空くと
思い出すのに苦労する。そろそろ登場人物一覧を毎回付けてもらいたいものだ。
 相変わらずスーパーヒーローは登場しないので長屋のみんな同様に苦労を重
ねることになる。この点もこのシリーズで一貫している。

 権力には基本的には頼らない自立の姿勢を通している。その大変さは言うま
でもない。今回は赤ちゃんの誕生を幹に事件が展開していく。とりあえず毎回
一冊で一つのテーマ・事件が解決されていくパターンである。

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2007/9/27(木)『遺痕 勘兵衛シリーズ』(鈴木英治 角川春樹事務所 2007
年 \660)

 シリーズ第10作。相変わらず。まだまだ続くだろう。

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2007/9/28(金)『変われる国・日本へ』(坂村 健 アスキー 2007年 \72
0)

 一つ「技術革新」と訳されているイノベーションについて。

 イノベーションという言葉を100年近く前に発案したオーストリアの経済学
者シュンペーターは、それを「利益につながる何らかの差を生む行為」と定義
付けました。決して技術に限った用語ではなかった(P.102)

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2007/9/28(金)『角右衛門の恋』(鈴木英治 中公文庫 2005年 \648)

 これは単発もの。出身が郡上ということから『無言殺剣』シリーズとの関連
を感じるが。エンディングがやや気にくわないが、まあ楽しめた。シリーズ化
される・されないの違いが分かる。主人公や脇役の設定など、ある条件が必要
なようだ。
 ということでこれはこの一冊きりのようだ。ただ仇討ちの相手が『無言殺
剣』に登場する人物に似ているようではあるが。

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2007/9/29(土)『楽園 上』(宮部みゆき 文芸春秋 2007年 \1619)
2007/9/30(日)『楽園 下』(宮部みゆき 文芸春秋 2007年 \1619)

 何が「楽園」なのか? どこが「楽園」? なぜ「楽園」?
 ――こんな思いをひとまず横に置いてこの長編、上下で774頁の小説を読み
出した。

 もともと長編が苦手な私で、この作もはじめはなかなか調子が出なかった。
上巻の半分ほど過ぎた頃からスピードが上がっていき、下巻はほぼ一気呵成に
読んで行けた。

 人生をこの現代社会で生きていく限り避けられないトラブルというものがあ
る。それも決して少なくない数。そんな中でも極北にあたるであろうものを扱
っている。
 そんな中からどこに「楽園」を見いだそうというのか。はたして「楽園」を
誰もが見いだせるものなのか。ほんの束の間の「楽園」すらも人びとに平等に
その機会が与えられているのだろうか。

 しんどいミステリー・社会小説であった。もちろん、言うまでもなく上手い
小説であることは間違いない。


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**最近買った本

        ――2007年 9月――

1『ア・ソング・フォー・ユー』(柴田よしき 実業之日本社 2007年 \1700)
2『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』(武田邦彦 洋泉社 2007年 \
1000)
3『遺痕 勘兵衛シリーズ』(鈴木英治 角川春樹事務所 2007年 \660)
4『天平冥所図会』(山之口 洋 文芸春秋 2007年 \1571)
5『はぐれ長屋の用心棒 孫六の宝』(鳥羽 亮 双葉社 2007年 \600)

6『平等社会フィンランドが育む未来型学力』(ヘイッキ・マキパー 明石書
店 2007年 \1800)
7『酔いどれ小藤次留書 竜笛嫋々』(佐伯泰英 幻冬舎 2007年 \571)
8『やってられない月曜日』(柴田よしき 新潮社 2007年 \1400)
9『郷四郎無言殺剣 妖かしの蜘蛛』(鈴木英治 中央公論新社 2007年 \648)


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**最近読んだ本から

2007/9/16(日)『まだ、タバコですか?』(宮島英紀 講談社 2007年 \740)
2007/9/16(日)『錯乱 勘兵衛シリーズ』(鈴木英治 角川春樹事務所 2007
年 \660)
2007/9/18(火)『メディアとしての紙芝居』(鈴木常勝 久山社 2005年\1553)
2007/9/20(木)『サニーサイドエッグ』(荻原 浩 東京創元社 2007年 \1800)
2007/9/22(土)『完四郎広目手控 文明怪化』(高橋克彦 集英社 2007年 \
1700)
2007/9/22(土)『無言殺剣 大名討ち』(鈴木英治 中央公論新社 2005年\648)
2007/9/24(月)『無言殺剣 火縄の寺』(鈴木英治 中央公論新社 2006年\648)
2007/9/24(月)『無言殺剣 首代一万両』(鈴木英治 中央公論新社 2006年 
\648)
2007/9/24(月)『無言殺剣 野盗薙ぎ』(鈴木英治 中央公論新社 2006年\648)
2007/9/24(月)『無言殺剣 妖気の山路』(鈴木英治 中央公論新社 2006年
 \648)
2007/9/25(火)『無言殺剣 獣散る刻』(鈴木英治 中央公論新社 2007年\648)
2007/9/26(水)『郷四郎無言殺剣 妖かしの蜘蛛』(鈴木英治 中央公論新社
 2007年 \648)
2007/9/26(水)『はぐれ長屋の用心棒 孫六の宝』(鳥羽 亮 双葉社 2007
年 \600)
2007/9/27(木)『遺痕 勘兵衛シリーズ』(鈴木英治 角川春樹事務所 2007
年 \660)
2007/9/28(金)『変われる国・日本へ』(坂村 健 アスキー 2007年 \720)
2007/9/28(金)『角右衛門の恋』(鈴木英治 中公文庫 2005年 \648)
2007/9/29(土)『楽園 上』(宮部みゆき 文芸春秋 2007年 \1619)
2007/9/30(日)『楽園 下』(宮部みゆき 文芸春秋 2007年 \1619)

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        (2000年 2月16日創刊)        kishidafumio@hotmail.com
発行者  KISHIDA Fumio          http://fkfk.infoseek.ne.jp
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  インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/)解除は http://www.mag2.com/m/000026043.htm/ へ。
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