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* FK * FK ――学校をめぐるコメント・コラム集 * FK *
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第181号 2007年 8月 16日(毎月1・16日発行)
目次
**学校をめぐるコメント**
488.『ヒトはなぜヒトをいじめるのか いじめの起源と芽生え』
**日々雑感**
579.読書・所感−2007年 8月前半
**最近読んだ本から
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**学校をめぐるコメント**
488.『ヒトはなぜヒトをいじめるのか いじめの起源と芽生え』
(正高信男 講談社 2007年 \780)
(2007年 8月1日 水曜)
ざっと見ておこうと図書館の新刊の棚から抜く。
*
一見穏やかに見えるハトは日ごろ、闘い慣れていない分、いったん攻撃が始
まると手段を選ばない。止める個体もいない中でエスカレートする一方になり、
徹底して相手を傷つけることも珍しくない。(中略)学校を閉ざされた檻にた
とえれば、子どもたちは逃げ場を失ったハト同然なのかもしれない。
私たちは、まず自らの中に、「残虐さの資質」が内在することを直視する必
要がある。「いじめをなくせ」と声を大にすることはたやすい。だが、程度の
差こそあれ、誰しもが攻撃欲を備えている事実は歴然と存在するのだ。(P.4
2)
【どんな温厚善良な人間にも攻撃性があることを認めなければならない。これ
はなかなか肯んじ得ないことではある。でもまず、このような認識から始めな
ければならないのだ。そのように認識した上で対策を考えねばならないという
こと。】
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九割のクラスメートがいじめっ子に冷たい視線を向ければ、攻撃の日常化は
阻止され、容認派がクラス全体の三割ほどはびこると、いじめは歯止めがきか
なくなってエスカレートする(P.58)
【特に世間体を気にする日本社会の場合、そういうことになるのだろう。】
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閉ざされたなかで、母親が子どもと向き合う。母親から期待いっぱいの濃密
なスキンシップを受けた子どもは、極端に言えば、母親だけを他者として成長
していく。(中略)母親と子どもがそろそろ適正な距離を置かなければならな
い年齢に達しても、密着したままでいる異様な姿こそ、傍観者層の成立に深く
結びついているといえるのではないか。(P.99)
【傍観者がメジャーである日本社会では、いじめを容認するどころか社会的不
正義をも傍観・容認する社会である。個の確立がない人びとの集まりである社
会だから、現状は惨憺たるものとなる。】
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二一世紀にいたった今日でさえ、日本の初等・中等教育の具体的な現場のあ
り方には、軍隊のそれが深層に影を落としている。端的に言えば、教室では一
律が求められる。たとえば、教師が教室に入ってきたら、生徒は一斉に立ち上
がり、礼をして着席する。次に出席をとるという一連の授業運営が、即ち、軍
隊式である。
結局、日本の教育で教えることは、まずリーダーへの服従であり、時間の厳
守。それと単純反復作業に慣れることが基本になっている。それを実践してき
たからこそ、日本は高度成長を支えるだけのそこそこ質の高い均一な労働力を
生むことができたのだった。(P.115)
【授業の開始の折の起立・礼は直感的・感覚的に嫌なもの・おかしなものと思
っていた。自分が生徒の時はもう遠い昔なので覚えてはいないのだが、教師に
なってからは間違いなく嫌なものとして身体が反応していたように思う。もっ
とも、いつからこの起立・礼をやらないようにし出したのかは忘れた。定時制
高校ではしなかったので、その前の全日制高校でどうだったか?
とまれ氏の指摘のように軍国主義教育の一環であったことに思いをはせるべ
きだろう。
あと時間の厳守もそうだ。何のため誰のためにあそこまで遅刻を罪悪視する
のか! 遅刻三回で一時間の欠席などという恐るべきペナルティ!】
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日本人は権威主義だと、しばしば欧米人から批判される。それは権威を振り
かざして威張っているとか、誰かに媚びているというのではなく、自分の意見
を持っていないという意味を込めている。同調するということは、まず自分の
意見を持とうとしないことをも意味する。日本では「世間」からはじき出され
たら、行く場を失ってしまう。学校のクラスという単位もまた、小さな世間で
ある。同調していれば、ひとまず世間から排除されることはない。だから、い
じめを容認する側に回っていく心理が働くのだ。(P.117)
【小心であり自分というものがないから権威に寄りかかっていく。情けない人
間ばかりを教育してきたものだ。】
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いじめは人間に動物としての生来の攻撃性と人間特有の欲望が備わっている
以上、それを根絶することは困難をきわめる作業となる。(中略)
日本の教育現場は、いじめが発覚したときに、実際に何が起きたのかという
事実を客観的に解明する努力を一切放棄している。(P.130)
【生来の攻撃性というものを認めざるを得ないだろう。そこからスタートする
必要がある。もちろん仏教の生命論ではそんなこと分析済みなのだが。】
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ニートの若者の話を聞くなかで気づいたことなのだが、小学校のときの友人
関係が高校になっても継続しているケースがけっこういるのだ。(中略)これ
は自我が発達していない証拠ではないか。(P.148)
【私は高校入試の総合選抜制度でも批判したが、純粋培養的な人間関係をずっ
と継続していくようなシステムはやはりよくないということだ。異質なものへ
の恐怖心から、それらへの排除へと向かうのではないか。】
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仲間を離れられない「弱さ」がいじめの背景をなす。
そこに根本的に欠如しているのは、「多様であること」への不寛容であり、
この不寛容は「周囲と同質でないこと」への恐怖の裏返しにほかならない。結
局それは「一人でいる」ことをストレスとしかとらえられない人間の弱さだろ
う。―― 一人力養う ――いじめの克服は、究極的にはここに尽きるのかもし
れない。(P.165)
【孤独たり得るかどうかというのが、人間として大事なことだということだ。
】
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**日々雑感**
579.読書・所感−2007年 8月前半
2007/8/1(水)『やっぱりあぶない個人向け国債』(水沢 渓 三五館 2007年
\1100)
もう国債のデフォルトまで指呼の間しかない、というのが著者の分析。
たかだか60年前の戦後すぐの悪夢を思い出すべきだということだ。
国家を信じるなど本当は茶番なのだが、明治以来の教育の成果で人びとは
「国家信仰」を強制注入され、「国家教」信者にされてしまっている。
では私たちがその生活を守るためにはどのようにすればよいのか。8種類の
投資を分析している。投資信託・株式投資・債券投資・銀行預金・郵便貯金・
外貨預金・土地投資・金投資である。言うまでもなく国債は絶対ダメというこ
と。
私の場合、細々と金投資くらいしかないようだ。預貯金は別として。
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2007/8/2(木)『雛の鮨』(和田はつ子 角川春樹事務所 2007年 \590)
氏の新シリーズ第1作。短編4話からなる。題はその第一話。もちろんミス
テリータッチである。
故あって武士を致仕した若者が主人公で、窮地を塩梅屋の主人・長治郎に救
われ、そのまま料理人として働き出すというもの。
手足となる友人・豪助や長治郎の娘・奉行の烏谷など順次紹介されていく。
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2007/8/2(木)『家元の女弟子』(戸板康二 文藝春秋 1990年 \1500)
これは『中村雅楽推理手帖』ものの一冊で、読むのはこれが二冊目。12編の
短編からなる。
老優がその経験・体験・薀蓄を新聞記者(といっても、ここではもう引退し
ているようだが)に話すという形式。
なかなか良い。読んでいて人生の勉強になること間違いない。
生きてる限り人間の世界には様々なトラブルがあるもの。それを上手くこな
して万事目出度し目出度しにしていく。人生の先輩の知恵と言うべきか。
このシリーズも全部読んでいこうと思う。
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2007/8/4(土)『飢狼の剣』(鈴木英治 角川春樹事務所 2001年 \743)
単発ものか。28才の浪人・吉見重蔵が主人公。屈折した人生というか、暗い
内容で江戸での生業も用心棒に殺し屋。どうしても殺伐としてしまう。ただそ
れでも何となく惹かれる魅力は有している。
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2007/8/13(月)『闇の剣』(鈴木英治 角川春樹事務所 2002年 \780)
勘兵衛シリーズ第1作。古谷勘兵衛24才が主人公。部屋住の身から久岡家へ
婿養子へいくまでの経緯が、さまざまな事件とともに語られていく。
嫡男ひとりしか家を相続できないことからくる悲哀と悲劇から事件が生じる
といったところは、本当の歴史ではどうであったか分からないのだが、さもあ
りなんと思わせられる。
この手の小説の魅力はやはり人。いかに魅力的な納得できる人物像を造形で
きるかにかかっているだろう。すでに成功しているようである。
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2007/8/13(月)『夕霧の剣』(鈴木英治 角川春樹事務所 2004年 \720)
こちらは新兵衛シリーズ第2作。第1作は未読。
場所はいずれのものとも違い沼里(今の沼津のことのよう)、主人公は32才
の森島新兵衛、独身。例によって掛け合いが面白いが中間の源次もさることな
がら、家で面倒見てくれるお松(68才とのこと)との掛け合いがもっと面白い。
基本的には事件を解決していくミステリータッチで、そこに剣戟が加わると
いうもの。若い女性も何人か現れて......。
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2007/8/14(火)『般若同心と変化小僧 天保怪盗伝』(小杉健治 KKベスト
セラーズ 2007年 \733)
新シリーズ第1作。なかなか面白い主人公の設定。やはり小説は登場人物の
造形・設定の妙にかかっているようだ。
題名の通りの二人は同じ31才で、どういうなれそめ(?)かは、いずれ紹介
されるのだが、要するに探偵と泥棒。同心には22才の妹がいて花を添える。
義賊・世直し党などを天保の改革の悪政(?)を背景に描いていく。水野の
改革のひどさを小説的に読むのは勉強にもなるか。
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**最近読んだ本から
2007/8/1(水)『やっぱりあぶない個人向け国債』(水沢 渓 三五館 2007年
\1100)
2007/8/1(水)『ヒトはなぜヒトをいじめるのか いじめの起源と芽生え』(正
高信男 講談社 2007年 \780)
2007/8/2(木)『雛の鮨』(和田はつ子 角川春樹事務所 2007年 \590)
2007/8/2(木)『家元の女弟子』(戸板康二 文藝春秋 1990年 \1500)
2007/8/4(土)『飢狼の剣』(鈴木英治 角川春樹事務所 2001年 \743)
2007/8/10(金)『父子十手捕物日記 夜鳴き蝉』(鈴木英治 徳間書店 2006
年 \629)
2007/8/13(月)『闇の剣』(鈴木英治 角川春樹事務所 2002年 \780)
2007/8/13(月)『夕霧の剣』(鈴木英治 角川春樹事務所 2004年 \720)
2007/8/14(火)『般若同心と変化小僧 天保怪盗伝』(小杉健治 KKベスト
セラーズ 2007年 \733)
2007/8/15(水)『怨鬼の剣』(鈴木英治 角川春樹事務所 2002年 \740)
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FK −−学校をめぐるコメント・コラム集 マグマグID 26043
(2000年 2月16日創刊) kishidafumio@hotmail.com
発行者 KISHIDA Fumio http://fkfk.infoseek.ne.jp
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/)解除は http://www.mag2.com/m/000026043.htm/ へ。
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