2009/03/29
空気を読まない
ミサイル発射と迎撃で手を握る世襲権力者2人(2009/03/29) ◆JanJanでは http://www.news.janjan.jp/column/0903/0903280367/1.php でお読みください 「北朝鮮が日本を狙って、中距離ミサイル・テポドンの発射実 験を行った」と大騒ぎになったのは、11年前、1998年8月 31日のことだった。このときメディアが過剰反応したのは、政 府が無関心だったからだといえる。 その経過については昨年11月30日付 <元厚生次官宅連続襲撃事件と「真実の報道」 その2.北朝 鮮テポドン発射事件という空騒ぎ>で書いたのだが、必要な部分 だけ繰り返そう。 その日正午過ぎ、北朝鮮は「ミサイル」を発射した。射程1, 500km以上の新型ミサイル「テポドン1号」で、その「弾頭 」は日本列島を飛び越え、青森県三沢市の北東約580kmの太 平洋上に落下した。 このミサイル発射について防衛庁は、8月中旬から米軍情報を 得ていた。しかしこれまでどおり射程の短いノドンだと即断して いた。当日の31日には米軍から「発射した」との連絡を受け、 午後1時半記者クラブの加盟各社に、「本日正午すぎ、日本海に 向けて弾道ミサイル1発が発射された」という文書を配布した。 その後米軍から、「日本列島を飛び越えた」という情報提供が あったが、防衛庁は「他国の情報だから」と発表を控えた。しか し韓国国防部は記者団の質問に対して、「最終的な着弾点は太平 洋上だ」という事実を明らかにした。 8月31日夕方のテレビニュースは、大騒ぎになった。各社と も共通して<韓国は「日本列島を飛び越えた」と発表しているの に、防衛庁はそれが事実か否かも、明らかにしていない。ミサイ ル弾頭の列島横断があったのか、なかったかによって、日本にと っての意味はまったく違ってくるのに、いったいどうしたことな んだ>といった抗議トーンの報道になった。 それを受けて新聞各社は朝刊向けの取材攻勢を展開する。防衛 庁は、深夜になってようやく、「三沢沖着弾」をしぶしぶ認めた 。 新聞は翌9月1日付朝刊から「北朝鮮がミサイル発射実験」一 色の報道となった。9月1日付朝日朝刊紙面の大騒ぎぶりなども 、前記<空騒ぎ>記事で紹介しているので、参照願いたい。 今回はうって変わって、政府が強い関心を示している。麻生太 郎首相がこの件について最初に発言したのは3月2日。「首相ぶ らさがり」記事によると、その時点で首相は (1)国連の安保理決議1718(北朝鮮に「弾道ミサイルに 関するすべての活動の停止」を求めたもの)違反であるというこ とははっきりしている (2)自衛隊法上は対応はできる、 の2点を明言している。「仮定の問題には答えられない」と言う ことが多い首相としては珍しいことだ。 この首相の積極姿勢があったから、27日の安全保障会議で破 壊措置命令の発令を決めるという運びになったのだろう。しかし 今回は、<過剰反応ではないか?>という疑問がすぐに浮かんで くる。 軍事問題なのだから、「敵に手の内をさらけ出す」マイナスが ある。そもそも弾道ミサイル防衛システムで、迎撃できるかどう か分からない。政府筋(おそらく鴻池祥肇官房副長官)は23日 、「あっちがピストルを撃って、こっちがピストルを撃って当た るわけがない」と述べた。また中曽根弘文外相も24日の記者会 見で「難しいのは事実」と認めた。 これに対して浜田靖一防衛相をはじめ、防衛族議員は強く反発 したが、その反発によってかえって「不確かさ」が印象づけられ る。 「米海軍はこの6年間で15回の試験を実施し、うち12回に 成功」などというデータが示されている。しかし試験のときは、 必ずミサイルが発射されることになっており、準備を整えている 。コースなども想定の範囲内だ。 「実戦」の場合、どのコースをとるのか、高度はどの程度か、 まったく予知できない。そういう条件の下で、「ピストルの弾丸 で、ピストルの弾丸を撃ち落とす」ことは至難の業だろう。 迎撃に失敗した場合、北朝鮮に「日本の防衛力など張り子の虎 」とバカにされることは必然だろう。それも覚悟して麻生政権は 何をやろうというのだろうか。 麻生首相の判断はおそらく、「失敗なら失敗でいい」というも のではないか。迎撃に失敗、北朝鮮にバカにされるような事態に なれば「より精度の高い弾道ミサイル防衛システムを構築する必 要がある」という主張が、正当でかつ緊急のものとして国民に認 められる。 折からの不況で、国費を投じて需要を喚起することが「正しい 」とされている。この機会に、弾道ミサイル防衛システムに兆単 位のカネを投じることを、09年度第1次補正予算の「目玉」に しよう……。麻生首相の本当の狙いは、ここらあたりにあるはず だ。 すでにイージス艦3艦が展開している。地上発射型のPAC3 (地対空誘導弾パトリオット3)も秋田・岩手両県に向かってい る。4月4−8日の打ち上げ予告期間に入ると、メディアがばら まく緊張感は、「恐怖感」に近いものになるのではないか。それ によって北朝鮮に対する国民の心情は、憎悪に近いものになるだ ろう。 国民が持っている「反北朝鮮感情」というものを強める意味で も、自衛隊を「実戦」に出動させることは有意義なのである。 経済危機克服のためのこうしたやり方は、ひょっとすると有効 かもしれない。自動車とともに軒並み赤字に転落している電機各 社は、イージス艦やPAC3などのコンピューターシステム特需 で潤うかもしれないのだ。 しかしそうした「国策」は、満州事変を起こしたりして「日中 15年戦争」にもって行った当時の陸軍と同じパターンなのでは ないか? 彼らの行動にも、金融恐慌を発端とした昭和初年の不 況を乗り切るという意味が込められていたのである。 朝日は28日付朝刊2面<時時刻刻 迎撃準備、手探り>で、 以下のように書いている。 <破壊措置命令の発令を決めた27日の安全保障会議。首相は 「緊張感を持って毅然(きぜん)とした態度で臨むように」と指 示した。麻生派のある議員は「危機管理に成功すれば支持率が上 がる。不謹慎な表現だが、神風だ」。首相周辺は北朝鮮に厳しい 態度を示すことで、求心力を高めたいと期待する> 金正日が発射してくれる弾道ミサイルこそ、自分自身の人気も 、日本経済を救うための財政支出も運んできてくれる。 「政権の座にある血縁政治家」という本質はまったく一致して いる。麻生首相は不人気と経済危機に悩み、金正日もまた、脳こ うそくで倒れて激痩せしているという。 中東紛争では、イスラエルの対アラブ強硬派と、PLO(パレ スティナ解放機構)のファタハなど武闘派の利害が一致し、互い に戦うという形で連帯していると指摘されている。両勢力内の和 平推進派(イスラエルでは労働党など、PLOではアッバス議長 ら)を「共通の敵」として、じつは手を握っているという見方で ある。 隣国にいる「危機」を抱えた2人の権力者が、がっちり手を握 って助け合っている構図だ。日本の反発が強ければ強いほど、金 正日の権力も安定する。 「小沢辞任」論を言い出せない、不思議な政党・民主党(2009/03 /28) ◆JanJanでは http://www.news.janjan.jp/column/0903/0903270281/1.php でお読みください 小沢一郎民主党代表の公設第1秘書、大久保隆規は24日、政 治資金規正法違反で起訴された。それを受けて民主党は、24日 夜緊急役員会などを開き、小沢の「続投」を了承した。 報道によると、それによって小沢辞任論を主張することが解禁 されたという。<いったい何なんだ>と言いたい。24日の大久 保起訴まで、辞任論の主張は「禁止」だったのか? 誰が「禁止 令」を出したのか? 民主党国会議員たちが、その禁止令に従っ ていたのは何故か? 疑問ばかりがわく。 副代表の前原誠司が率いる国会議員グループが凌雲会(約30 人)である。読売が26日付朝刊政治面に掲載した連載<混沌政 局・小沢続投(下)>によると、前原らは23日、連絡を取り合 って、小沢が「続投」となった場合は、小沢批判の一斉蜂起を示 し合わせたという。凌雲会の仙谷由人(元政調会長)や小宮山洋 子らが25日、小沢辞任論を口にしたのは、この申し合わせに基 づくものという。 この記事は、凌雲会員の1人が25日、「今まで党のために発 言を我慢してきたが、これからは党のために発言する。24日の 続投宣言をもって『小沢下ろし』は解禁だ」と語ったことも紹介 している。 「続投」宣言までは発言しないことが党のため、宣言後は逆に 発言することが党のためと逆転するというのもおかしい。「何故 だ」と問われて、明確に答えられる人がいるのだろうか? 要するに24日までの民主党は、「物言えば唇寒し」というム ードに覆われていた。誰もが「小沢退陣論で突出して、小沢の報 復を招いては損だ」と判断していたのだろう。 特捜検察が強制捜査に乗り出した。小沢の言うように「帳簿上 の処理ミスで、指摘を受けたら訂正すればすむ」類の問題ではな い。小沢側が西松建設に金額を明示して献金を要求していた。西 松がそれを了承し、実態のない2つの政治団体を通して、その金 額を「陸山会」などに献金していたのである。こうした献金が行 われる背景には、「小沢事務所の発言力」があった。北東北3県 を中心に、公共事業の業者選定について、小沢事務所が大きな発 言力を持っていたのである。 「検察リーク」は評判が悪いが、一般国民は「小沢はダーティー 」という印象を持っている。だから3月に行われた世論調査では 、各社共通して「小沢は代表を辞めるべきだ」を選択した人が過 半数となったのである。 8年前の2001年春、自民党は総裁の森喜朗をクビにした。 森の場合、検察という公権力が動いたのでも何でもない。失言を 重ねて支持率が低迷していたのは事実だ。宇和島水産高校の実習 船が、米海軍艦艇と衝突、沈没した連絡を受けながらゴルフを続 けていたという失態はあったが、政府の対応にマイナスの影響が あったわけではない。それでも「森では7月の参院選に勝てない 」という声を強めて、森を退陣させたのである。 森喜朗に比べれば小沢の方がはるかに状況は悪い。国民が神経 をとがらす政治資金の問題について、特捜検察が動き、世論も「 辞任すべし」なのである。それでも民主党は、小沢をクビ切るこ とができなかった。 01年の自民党は、4月に前倒しされた総裁選で小泉純一郎が 当選した。小泉はあたかも「首相公選」が実現したかのように、 全国の主要都市を街頭演説行脚した。その結果、総裁選で小泉が 勝利しただけではなく、自民党が一転して「人気政党」に生まれ 変わったのである。その遺産が、公明党と併せると衆院で3分の 2以上の議席を握っているという現状である。 「8年前は自民党が活力を発揮した。今度は民主党の番だ」と 主張する議員が一人もいなかったのは不思議極まる。 こんな「不思議な政党」である民主党は、自公から政権を奪う 力を持っているのだろうか。 バックナンバーはJanJanで【大気圏外】をお読みくださ い。 http://www.news.janjan.jp/column/taikikengai/taikikengai. php にアクセスして下さい。このURLが大気圏外の「リストペー ジ」です。そこからタイトルごとのコラムに飛ぶことができます 。 登録と解除 http://search.mag2.com/reader/Magsearch?keyword=%8B%F3%8BC% 82%F0%93%C7%82%DC%82%C8%82%A2 から


