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 「KY(空気が読めない)」というイヤな言葉が流行っている。なぜ空気を読まなければならないのか? みんなが同調してつくる「空気」などほとんど間違っている。積極的に読まない必要がある。

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2008/05/27

空気を読まない=脳死状態で延命する不思議な福田政権

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「KY(空気が読めない)」というイヤな言葉が流行っている。
なぜ空気を読まなければならないのか? 理由はない。 
みんなが同調してつくる「空気」などほとんど間違っている。
意識的に空気を読まず、空気に異議申し立てをする必要がある。

 この論評は5月22日付で「インターネット新聞JanJan」のコラム【大気圏外】としてUPされたものです。
 JanJanで読むなら
http://www.news.janjan.jp/column/0805/0805217479/1.php
 です。
 なおJanJanの【大気圏外】はかなりの本数書いておりますが、【空気を読まない】には、そのうち一部を送っているだけで
す。恐縮ですが【大気圏外】のリストページ
http://www.news.janjan.jp/column/taikikengai/taikikengai.php 
にアクセスして下さい。よろしくお願いいたします。


 福田政権がもはや政権の体をなしていず、脳死状態のまま延命している。政治の実権を握っているのは自民党の派閥連合であり、
福田氏はその「補佐役」として首相という肩書きで起用されたに過ぎないとも言える。福田氏が分をわきまえて「補佐役」に徹して
いられる不思議な政治家であることが、政権が崩壊しない理由かも知れない。

 ◆文藝春秋「赤坂太郎」氏の政権崩壊説
 月刊「文藝春秋」に毎号「赤坂太郎」氏による政界インサイドものが掲載されている。情報量の豊富さ、読みの鋭さが兼ねそなわ
っており、政界での評価も高い。有力政治家たちもよく読んでいて、政治家の会合で話題になることも多い。

 最近この赤坂太郎ものが、株式会社文藝春秋のホームページで「立ち読み」できることを見つけた。

 5月号(4月10日発売)は
 <「五月退陣」か 福田政権の断末魔>
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/akasakataro/0805.htm
 6月号(5月10日発売)は
<“政変前夜”小泉・小池コンビの野望>
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/akasakataro/index.htm
 である
 すでに政治の世界はポスト福田政局に入っている。福田政権はいますぐ崩壊してもおかしくない、といったトーンである。

 ◆「首相不在」のまま存続
 ちょっと違うんじゃないか、というのが私見である。

 福田政権がもはや政権の体(てい)をなしていないというのは事実である。本人は「首相指示」を発したつもりでも、相手側は「
指示」されたと思っていない。ひどいときには、自分の考えを首相に了承させたと思い込んでいる。だから首相の意思が通る政治に
なっていない。事実上の首相不在状態だと言っていい。

 こういう状態をいちばん喜んでいるのは官僚たちであろう。日本の官僚システムは各省庁が独立王国を形成しているのが特徴であ
る。どの省庁も大臣と族議員(その集団が自民党政調の調査会・部会である)を抱え込んで、「省(庁)益」最優先で事を進めてい
くシステムを作り上げている。だから事実上の「首相不在」は官僚にとって歓迎すべき事態なのである。

 ◆官僚と派閥連合の支配
 官僚だけではない。昨年秋の総裁選で福田氏を首相に押し上げた自民党の8派閥連合にとっても、これほど都合の良い政権はない
。首相不在状況の下で、政治をリードしているのは自民党4役プラス町村信孝官房長官といった顔ぶれ。必要に応じて大島理森国対
委員長らが加わって、「8派閥合意」を形成している。こうした政治の実態は「派閥連合支配」である。

 世論調査による内閣支持率は下がる一方で、20%を切った。内閣の不人気が自民党支持率にも波及し、民主党支持率の方が高く
なるという異常事態だ。福田政権はもはや2001年春の森喜朗政権と同じだといえる。

 ◆「空白」解消のエネルギーなし
 森政権は「このままでは参院選が戦えない」とクビを切られた。その前例があるのに自民党内から首相のクビを切ろうとする動き
は出る気配さえうかがえない。ポスト福田の本命といわれる麻生太郎氏は、講演などで政局がらみの質問が出ると、「いま妙なこと
を言うとつぶされかねないから……」と前置きして、踏み込んだ発言を避けているという。

 低迷する政治はついに、事実上の「首相不在」状態をつくり出した。脳死状態の政権が延命している。レスピレーター(人工呼吸
器)にあたるのは、官僚が日常業務をこなしているという事実である。いちばん改革が必要な時期に、「政治空白」を克服しようと
いうエネルギーもない。国民生活にとっては極めてデメリットが大きいのだが、それを指摘する声は政界内部から出ない。政治ジャ
ーナリズムも2世支配の低レベルさに慣れきってしまっている。

 ◆公務員制度改革基本法案成立で首相指示
 福田康夫首相は15日午後、自民党の大島理森、公明党の漆原良夫両国対委員長を首相官邸に呼び、政府提出法案の成立に全力を
挙げるよう指示した。この行動をもとに「朝日」は16日付政治面(朝刊4面)トップに、

 <重要法案/福田首相、成立時期を指示/「公務員改革は今国会で」/旗印掲げ「背水」>という見出しの記事を掲載した。書き
出しは

 <福田首相は15日、来年の通常国会まで見通して成立を期す重要法案を与党幹部と協議した。今国会では政府提出の国家公務員
制度改革基本法案の成立をめざすよう指示。政府管掌健康保険(政管健保)の国庫負担1千億円を大企業の健康保険組合などに肩代
わりさせる法案の成立は、秋の臨時国会に先送りする。>となっている。

 ◆「会期延長確認」の報道
 しかし同じ、首相と両国対委員長との会談を材料に、「読売」は

 <国会会期延長せず/早期に政権立て直し/野党追及の場封じる/政府・与党>
 という政治面の原稿をつくりあげた。

 <政府・与党は、6月15日までの今国会の会期を延長せず、法案は民主党の賛成が得られるものに限って処理する方針だ。残り
1か月は大きな混乱を避け、国会の閉会後に態勢を立て直すことを目指しているが、野党は会期中にできるだけ与党を追い詰めたい
考えだ。>

 という書き出しだ。朝日が「首相指示」とした場面については、
 <福田首相は15日、自民党の大島理森、公明党の漆原良夫両国会対策委員長と首相官邸で会談し、今後の対応を協議した。道路
財政特別措置法(改正道路整備費財源特例法)を13日に衆院で再可決して成立させたにもかかわらず、民主党が国会審議に応じて
いる状況を踏まえ、大島氏らは「会期延長の必要はないと判断している」と進言し、首相も異を唱えなかった。>

 というのが読売の報道だ。この場で「会期延長なし」が確認されたというわけだ。

 ◆国会幕引きの流れつくった自民党
 14日から15日にかけて、多くのメディアが「今国会、会期延長なし」と報じた。「毎日」が14日付夕刊1面で、

 <政府・与党:国会会期延長せず 「道路」決着、サミット準備重視>

 という記事を掲載したのが発端で、新聞各紙は15日付朝刊で追随、共同通信やNHKも同趣旨のニュースを流した。発信源は自
民党4役や国対委員長、さらには町村信孝官房長官らだろう。「会期延長しない」ということによって、事実上今国会を幕引きしよ
うという流れをつくってしまおうという情報作戦である。

 朝日だけは「会期延長なし」報道に同調しなかった。16日朝刊で、「公務員改革基本法案成立を指示」を政治面トップに扱った
のは、「福田首相は幕引きするつもりなどない」というメッセージを読者に伝えようとしたのであろう。

 ◆変える意欲に欠ける首相
 しかし朝日以外の各社によって「幕引き」の流れがつくられているのだから、首相がそれをくつがえすためには、強いインパクト
を持つ言動が必要だったのである。自公両党党首会談をやるとか、あるいは合同役員会を緊急召集するとかいう手段がある。そうい
う場で決意表明することによって、初めて流れを変えることができる。

 それなのに自公両党の国対委員長を呼んだだけ。その場の描写は朝日の記事でも

 <首相は15日、自民党の大島理森、公明党の漆原良夫両国対委員長と首相官邸で会談。内閣人事庁を新設して政治家と官僚の接
触制限を盛り込んだ国家公務員制度改革基本法案については、首相が「今国会で成立させて欲しい」と指示。大島氏らは「できるだ
け努力する」と応じ、衆院での再議決は選択せず、民主党など野党との修正協議を通じて成立を図ることで一致した。>ということ
でしかない。

 「成立させて欲しい」では、指示というよりも希望表明ではないか。「できるだけ努力する」が単なるリップサービスにすぎない
ことは、誰の目にも明らかだ。こんなやりとりでは流れは変わらない。

 ◆官房長官も自民党に荷担
 公務員制度改革基本法案の扱いに問題を絞ると、首相の意思と自民党サイドの意思は「異なっている」のではない。「今国会成立
」を目指す首相に対して、自民党サイドは「成立させない」であり、対立しているのである。首相官邸をとり仕切る立場の町村信孝
官房長官も自民党サイドに荷担しているのだから、いわば首相は四面楚歌である。

 ◆緊急記者会見から始まった四面楚歌
 首相が四面楚歌になったのは、3月27日、ガソリン税上乗せ分の期限切れを防ぐため、緊急記者会見したときが最初だった。冒
頭に紹介した文藝春秋5月号の赤坂太郎もの<「五月退陣」か 福田政権の断末魔>が、その場面を以下のように描写している。

 <「見直すべきは大胆に見直す決意をいたしました。道路特定財源の改革案を国民の皆様にご説明させていただきたい」

 三月二十七日夕、首相官邸。福田は真っ赤な緞帳を背に緊急記者会見に臨んでいた。ガソリン税の暫定税率の期限が三十一日に迫
り、二○○八年度に即時廃止・値下げを唱える民主党に対する新提案は「道路特定財源制度は今年の税制抜本改正時に廃止し、○九
年度から一般財源化する」だった。

 「ええッ!」。会見に先立つ午後。長男の政務秘書官・達夫が自民党役員会に新提案を届けた途端、室内は騒然となった。幹事長
・伊吹文明は「党内手続きを取っておりませんね。政府の考えをお示しになった」。選挙対策委員長・古賀誠は「首相を支える姿勢
は変わりないが、中身はびっくりした」。総務会長・二階俊博は「どうせ民主党は乗ってこないのだから、何を提案しようと同じだ
」とつぶやいた。

 福田は古賀、二階ら道路族有力者の離反を招きかねない危険を冒しながら、民主党案には「暫定税率廃止は現実を無視した議論」
となお一線を画した。民主党代表・小沢一郎は二十八日の会見で「(福田と)何回会ってもいいが、かみ合わないでしょう」と突き
放した。腹背に敵を抱え「私は決してあきらめていない」と力んで見せる宰相には悲壮感すら漂った。>

 ◆トップの意思がダウンしない
 次のセンテンスは「福田にはまるで似合わないトップダウンの演出」と続く。しかし「トップダウン」というのは、トップの意思
をボトムに下ろしてはじめて成立する。福田は「09年度一般財源化を達成するため具体的な措置を進めよ」という指示を党4役や
関係大臣に行ってはいない。だからトップダウンではない。

 福田首相ができたことは、5月13日、道路特定財源を10年間維持する改正道路整備財源特例法が、衆院本会議で3分の2再議
決されるに先だって、「09年度一般財源化を目指す」という閣議決定をするだけだった。これについても自民党サイドは「政府と
しての姿勢を示しただけ」という冷淡な姿勢である。

 ◆姿勢を示すだけの首相
 こうした経過の中で自民党サイドは、「政治の実権はわれわれが握っている」という自信を持つに至った。福田首相については、
「政府の姿勢を示してくれればそれでいい」という位置づけになる。

 首相が立派な姿勢を表明することは悪くない。政治全体に対する国民の期待感を維持するという役割は果たす。政治の実権は派閥
連合が持っているのだから、首相発言によって官僚や族議員の既得権益が侵されることはない……。これが現在、自民党4役らが理
解している福田内閣の実態だろう。立派な姿勢を表明するだけで官僚や族議員の既得権を侵すところまで踏み込まない福田康夫首相
は「大歓迎」なのである。

 ◆「消費者庁」に権限譲らず
 福田首相は就任以来「消費者行政の充実」を強調し、消費者庁の新設も実現の方向に向かっている。しかし食品の成分表示・添加
物問題は農水省、同じ食品でも衛生面は厚労省、家電製品の安全性は経産省など、各省庁が消費者行政に直結する権限を握っている
。どの省庁も既存の権限を手放そうとしないため、消費者庁は「権限なし」で発足となりかねない。こんなことについても、明確に
首相指示を発しようとしないのが、福田康夫流なのだ。

 ◆地方の福田離れ報道
 福田首相を代弁しているかにみえた朝日は17日付朝刊1面で
 <「福田離れ」進む地方自民 22府県「新党首で選挙」>を掲載した。

 自民党の全国47都道府県連に一斉取材をしたところ、次期衆院総選挙を福田首相(党総裁)で戦うべきだと答えたのは12道県
にとどまり、22府県が「新しい党首で」と考えていることがわかった、という内容である。

 「福田氏は悪いことが重なりすぎて選挙を戦うのは厳しい」(埼玉)「福田氏では実行力ある決断ができない」(愛知)などの声
が紹介されている。

 <低支持率にあえいだ森政権では、地方議員が早期退陣を求める決議をするなど「地方の反乱」が首相辞任に結びついた>と指摘
する文章もある。

 朝日は参院選を前に、森喜朗首相が事実上更迭された01年春の再現を意識しているのだろうが、現状でそうなるとは考えられな
い。

 ◆メンツ丸つぶれのはずなのに……
 福田氏は不思議な政治家だ。普通、政治家はメンツを大切にする。「それでは立場がない」などというのは、極めてよく使われる
政界用語だ。「○○の立場を▼▼で立てて」などという具合に使う。首相なのに自分のやりたいことはやらせてもらえない。そのた
め「実行力がない」などという評価が広がり、支持率はどんどん下がるばかりだ。国民に「やります」と約束したことができないか
ら、ウソをついたことにもなってしまう。

 「こんなことはガマンできない」と考え、突如、首相だけが持つ解散権を行使して、自分を軽んじている党4役に仕返ししようと
考えても不思議ではない。そこまでやらなくても、小泉純一郎氏のように、自分の言いなりになる幹事長を起用することを目指して
、内閣・党の人事などをやるという方策もある。

 ◆遅咲き・調整型・常識人
 しかしどうやら、そういうことはしない人らしいのである。昨年9月24日(福田氏が勝利した自民党総裁選の翌日)付の各紙朝
刊は福田氏の詳しい人物紹介を掲載した。朝日の見出しは<遅咲き・調整型、黒衣役で頭角 福田新総裁・人物研究>、読売の見出
しは<基礎からわかる「福田康夫」 遅咲きの常識人>だった。

 「遅咲き」というのは53歳で初当選と、政界への登場が遅れたことをさすだけではない。その後も大臣や党役員のポストに恵ま
れなかった。自ら猟官運動をするというタイプではないためということもあるが、特定の政策分野に詳しいとか、あるいは閥務や国
対の活動で優れているとか、セールスポイントがないことも、大きな理由だった。

 ◆官房長官最長不倒で評価高まる
 福田氏に「出番」が回ってきたのは2000年10月だった。森内閣の官房長官だった中川秀直氏が女性問題で辞任を余儀なくさ
れ、その後継官房長官に任命されたのである。このときも尾身幸次氏の方が本命で、尾身氏は野中広務氏と親しいということで避け
られ、福田氏に落ち着いたという見方もある。当初は「ショートリリーフ」との見方もあったが、ポスト森の小泉内閣でも続投し、
在任期間1,289日は官房長官としての歴代最長記録となった。

 森政権では「加藤(紘一氏)の乱」や、退陣の直接原因となった宇和島水産高の練習船遭難=森首相のゴルフ事件があり、前例の
ない首相の更迭(自民党総裁選前倒し)という事態になった。小泉政権は「自民党をぶっ壊す」存在だったから、官房長官の調整機
能を果たすだけでもたいへんだった。しかも田中真紀子外相の時期は「陰の外相」の役割まで果たした。

 ◆首相になっても補佐役に徹する(?)
 政界での地位がランクアップし「首相候補」になった理由はただ一つ、官房長官としての仕事ぶりが高く評価されただけだった。
端的に言えば名補佐役なのである。指揮官が森氏でも小泉氏でも自分の役割を判断し、適切な行動をとった。

 福田氏は首相になった現在も、補佐役に徹しているのかもしれない。本当に政治の実権を握っているのはすでに述べたように派閥
連合だ。その補佐役に起用され、たまたま首相という肩書きになっただけと考えれば、現状でも満足できるのかもしれない。

 ◆分際をわきまえた雇われママ
「首相発言」が無視され続けているのに崩壊しないまま存続し続けている福田政権は、不思議な政権だ。首相である福田氏が「補佐
役」に徹している不思議な政治家であることこそ、その政権が倒れないで存続する鍵になっているようだ。

 いつも不謹慎で叱られているから、今回は政界をバーかスナックにたとえよう。8派閥連合というオーナーは、極めて適切な雇わ
れママを見つけた。その雇われママが福田氏で、けっして「自分の店(政権)だ」という顔をしないのである。

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