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 「KY(空気が読めない)」というイヤな言葉が流行っている。なぜ空気を読まなければならないのか? みんなが同調してつくる「空気」などほとんど間違っている。積極的に読まない必要がある。

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2008/04/18

空気を読まない=「ビラ配布有罪」判決を下した最高裁判事たち

「KY(空気が読めない)」というイヤな言葉が流行っている。
なぜ空気を読まなければならないのか? 理由はない。 
みんなが同調してつくる「空気」などほとんど間違っている。
意識的に空気を読まず、空気に異議申し立てをする必要がある。

 この論評は「市民の市民による市民のためのメディア」インターネット新聞JanJanに4月15日付で掲載されたものです。
 JanJanで読むなら
http://www.news.janjan.jp/column/0804/0804134797/1.php
 JanJanでのコラムタイトルは【大気圏外】です。次行のリストページからバックナンバーが読めます。
 http://www.news.janjan.jp/column/taikikengai/taikikengai.php

ビラを集合住宅で配ると住居侵入罪で有罪というバカバカしすぎる判決が最高裁で言い渡された。この3人の裁判官を初め、現在の
最高裁は小泉内閣人事によってつくられている。「栄光のポストに任命してくれた小泉内閣批判のビラなど、とんでもない、という
心情にもとづく判決だ」と批判して、「げすの勘ぐり」と否定しきれるだろうか。

◆あまりにおかしな判決
 集合住宅でビラを配布すれば住居侵入罪(刑法130条)に問われ有罪というバカバカしすぎる判決が11日、最高裁第2小法廷
によって言い渡された。
 東京都立川市の自衛隊官舎で自衛隊イラク派遣に反対するビラを配った3人が住居侵入罪に問われた事件で、警察・検察による逮
捕・起訴は、憲法で保障された表現の自由を侵害するものだと主張していた被告3人の上告を棄却したのである。
 第2小法廷の判決によると「官舎の管理者の意思に反して立ち入れば、住民の私生活の平穏を侵害する」のだそうだ。また集合住
宅でのビラ配りを住居侵入罪に問うことは、「表現の自由」に反しない、というのである。

◆一審無罪判決の論理
 一審の東京地裁八王子支部判決は、3人が官舎の敷地内に入ったことは、住居侵入罪の構成要件に該当すると判断した。しかしビ
ラを投函する行為について、「憲法21条1項が保障する政治的表現活動の一態様であり、民主主義社会の根幹を成すもの」と認定
。被告と同様、官舎内に無断で立ち入る商業的宣伝ビラの投函が放置されている事実も指摘して、被告に刑事責任を問うのは「同条
の趣旨に照らして疑問の余地が残る」などと述べた。
 これに対して二審東京高裁判決は、官舎の住民たちが受けた「被害」は無視できないなどと主張。「表現の自由」を軽視した形で
有罪判決を下した。
 最高裁第2小法廷判決も、それを是認した。そのこと自体おかしいのだが、このような「問題判決」の場合、これまでの例では少
数意見がついていたと記憶する。今回の場合、判決文の最後に付されている裁判官名は3人だけとはいえ、少数意見なしの全員一致
となっている。こんな判決で一致した裁判官の「素性」が知りたくなった。

◆最高裁ホームページに判事の人物紹介
 最高裁のホームページにアクセスすると、今回の判決全文もダウンロード可能だし、判事の人物像も出てくる。
 とりあえず今回の判決を下した第2小法廷の3判事の略歴を引っ張り出してみた。

[裁判長]今井 功(いまい いさお=昭和14年12月26日生)  略歴
昭和37年 京都大学法学部卒業 
昭和37年 司法修習生 
昭和39年 判事補任官
その後、東京地・家裁、最高裁総務局、函館地・家裁で勤務
昭和48年 最高裁調査官 
昭和51年 最高裁民事局第二課長 
昭和55年 同局第一課長兼第三課長 
昭和57年 東京地裁判事 
昭和59年 東京地裁判事部総括 
昭和62年 東京高裁事務局長 
平成 2年 最高裁民事局長兼行政局長 
平成 6年 前橋地裁所長 
平成 8年 東京高裁判事部総括 
平成10年 最高裁首席調査官 
平成14年 仙台高裁長官 
平成14年 東京高裁長官 
平成16年12月27日 最高裁判所判事
(信条、趣味など)
◇裁判官としての心構え
 裁判所の使命は、裁判所に提起された事件を適正かつ迅速に解決することにつきるのでありますが、1件1件の事件を大切にし、
当事者の訴えに虚心に耳を傾け、これに真正面から立ち向かうことを心掛けています。特に最高裁判所の判断は、事件についての最
終的な判断であり、その影響も大きいので、その職責の重要性を自覚しつつ、最善の解決が図れるよう全力を尽くしたいと考えてお
ります。
◇好きな言葉
 好きな言葉は、「眼は高く、手は低く」です。常に高い理想を目指しつつ、日常の仕事を一つ一つ着実に行うことが大切であると
、高校時代の恩師に教えられました。
◇印象に残った本
 いろいろな分野の先人の伝記を読むことが好きですが、かなり前に読んだ阿川弘之著「井上成美」などが心に残っています。
◇趣味
 水泳(自己流のクロール)、囲碁、街を散歩すること。
◇その他
 21世紀にふさわしい司法制度の構築を目指した司法制度の改革が着実に実行されておりますが、司法が国民に身近で、より頼り
甲斐のあるものとなるよう自分なりに努めたいと思っています。

 ●田中評=判事補のころの函館勤務と、地裁所長の前橋、高裁長官の仙台以外、地方勤務はなく、ずっと東京に居座っている。巨
大な官僚組織・最高裁のエリートなんだろう。「当事者の訴えに虚心に耳を傾け」とは、聞いてあきれる。「法律の専門家である検
察官の言い分は信用できるが、その他の人間はウソばかり言うのだから信用できない。雑音には耳を貸さず」と書くべきだ。そうい
う姿勢でなければエリートコースをばく進することはできない。

◆津野、中川裁判官の略歴
[裁判官]津野 修(つの・おさむ=昭和13年10月20日生)
  略歴
昭和36年 国家公務員採用上級試験合格 
昭和36年 司法試験第2次試験合格 
昭和37年 京都大学法学部卒業 
昭和37年 大蔵省入省 
昭和42年 行橋税務署長 
昭和46年 日本貿易振興会フランクフルト事務所駐在員 
昭和53年 内閣法制局参事官(第3部) 
昭和58年 大蔵省主税局税制第3課長 
昭和60年 福岡財務支局長 
昭和61年 内閣法制局第3部長 
平成 4年 内閣法制局第1部長 
平成 8年 内閣法制局次長 
平成11年 内閣法制局長官(14年退官) 
平成15年 弁護士登録(第1東京弁護士会所属)
平成16年 2月26日 最高裁判所判事 
(信条、趣味など)

◇裁判官としての心構え
 三権分立の一つの柱である司法権を担う裁判所の中でも、その最終審という重要な役割を果たす最高裁判所の裁判官として、その
責任の重大性をしっかり自覚して、公平、公正を旨とする裁判の実現に誠心誠意努力したいと思います。
 また、個々の具体的事件に即した適正妥当な判断が重要だと思いますが、大局的観点からの判断も見失わないように留意していき
たいと思っています。
◇好きな言葉
 好きな言葉としては、「この道より我を生かす道なし、この道を歩く」という言葉があります。過去色々な仕事に就いてきました
が、どのような仕事に就いても、この言葉を思い出して励んできました。また、色々な困難にぶつかったときは、「待てば海路の日
和あり」と焦らず、余裕を持つことが大切だと思っています。
◇印象に残った本
 「陶淵明伝」(吉川幸次郎著)には、大変感銘を受けましたが、最近読んだ本では、宮城谷昌光著の「花の歳月」「孟嘗君」など
が面白かったと思います。
 他に、「現代俳句」(山本健吉著)は、どこから開いて読んでもよく、睡眠薬代わりにベッドで読んでいます。
◇趣味
 趣味は、ガーデニング(花作り)、ゴルフ、囲碁などです。花作りは、狭い庭にパンジー、チューリップ、ペチュニア、エンジェ
ルス・トランペット、バラ、椿、牡丹、藤など四季折々の草花や花木を植えて楽しんでいます。
 ゴルフは、ハンディ33というビギナー並の腕ですが、ストレス発散と健康のためにと思ってしています。ただ、仲々ストレス発
散にならなくて、逆にストレスがたまることがしばしばあります。
◇その他
 戦後約半世紀、最近までの日本は比較的恵まれた時代を過ごすことができました。現在、我が国の政治、経済、社会等を取り巻く
情勢は、国際化、情報化などの大きな変革の波に洗われています。政治改革、行政改革とともに司法制度改革も避けて通れません。
より良き司法制度改革を目指して、国民の理解と法曹関係者の協力が不可欠です。そのため、私もできる限りの努力をしなければと
思っています。

 ●田中評=大蔵省に入った官僚。「主計にあらずば人にあらず」時代だったのに、主計局に行けず、傍流となった。内閣法制局か
ら「将来の長官候補だから」ともらいがかかり、大歓迎と飛びついたのではないか。法制局長官だけでなく、最高裁判事という最高
の天下り(天上がり?)ポストにまで恵まれたのだから、たいへんハッピーだろう。
 趣味の広さに注目。キャリア官僚は基本的にヒマだから、時間つぶしの趣味を持っている必要がある。ガーデニング、ゴルフ、碁
の共通点は、いずれも時間がかかること。こうした趣味で時間を稼ぎながら待てば、「海路の日和あり」ということになるわけだ。
趣味と処世訓が良くマッチしていますネ。

[裁判官]中川了滋(なかがわりょうじ=昭和14年12月23日生)
   略歴
昭和37年 金沢大学法文学部卒業 
昭和37年 司法修習生 
昭和39年 弁護士登録(第一東京弁護士会) 
昭和61年 第一東京弁護士会副会長・日本弁護士連合会常務理事
昭和63年 日本弁護士連合会機構改革委員会副委員長 
平成 4年 日本弁護士連合会弁護士推薦委員会副委員長 
平成 9年 第一東京弁護士会会長・日本弁護士連合会副会長 
平成17年1月19日 最高裁判所判事 
(信条、趣味など)
◇裁判官としての心構え
 憲法と法律に従いつつ、具体的妥当性のある判断を得るために、謙虚に且つ冷静に職務に取り組む姿勢を保つ。
◇好きな言葉
 「近き者説(よろこ)び、遠き者来る」
◇印象に残った本
 「孔子」 井上 靖(著)
 「バブルの物語」 ジョン・K・ガルブレイス(著)
 「ローマ人の物語」 塩野七生(著)
◇趣味
 札所巡り、端唄、社交ダンス

 ●田中評=弁護士の世界で、弁護士会の役職を積極的に引き受ける人がいる。その人たちの最終目標は日弁連会長か、最高裁判事
。その目標を達成したのだから、弁護士の世界での遊泳術に優れていたのだろう。この人の趣味「札所巡り、端唄、社交ダンス」が
、21世紀のお大尽遊びなのだろうか?

◆島田、古田裁判官の略歴
 以上の3人は、判決文の最後に「署名」がある。しかし第2小法廷所属の判事はほかに2人、島田仁郎氏(最高裁長官)と古田佑
紀氏がいる。島田長官と古田氏についても、最高裁HPの内容を以下にUPしておこう。ただしこの2人については「田中評」はやめ
ておく。

 最高裁判所長官
島田仁郎(しまだにろう=昭和13年11月22日生)
 略歴
昭和37年 東京大学法学部卒業 
昭和37年 司法修習生 
昭和39年 判事補任官
その後、東京地裁、名古屋地・家裁、最高裁刑事局で勤務
(43年ロンドン大学M.Phil)  
昭和49年 大阪地裁判事 
昭和52年 司法研修所教官 
昭和56年 東京地裁判事  
昭和57年 最高裁調査官 
昭和58年 最高裁刑事局第1課長兼第3課長 
昭和61年 東京地裁判事部総括 
平成元年 最高裁刑事局長兼図書館長 
平成 6年 宇都宮地裁所長 
平成 8年 浦和地裁所長 
平成10年 東京高裁判事部総括 
平成11年 司法研修所長 
平成13年 仙台高裁長官 
平成14年 大阪高裁長官 
平成14年11月 7日 最高裁判所判事 
平成18年10月16日 最高裁判所長官 

(信条、趣味など)

◇裁判官としての心構え
 私は、裁判官に任官して以来、おそるおそる裁判に臨むという初心を貫いてきたつもりですが、年を経るにつれてますます、人が
人を裁くことの重さを深く感ずるようになりました。今は最終審としての判断を示すのだと思うと、責任の重さに身の引き締まる思
いがしています。最高裁においても、目指すのは一、二審と同様に適正迅速な裁判の実現であり、そのための努力を重ねていこうと
思います。
◇好きな言葉
 座右の銘は、「和して同ぜず」です。
 現在、さまざまな分野から来られた経験豊富で優れた同僚判事と、事件の審理などで意見交換し合う機会に恵まれ、啓発されるこ
とが多く、楽しく充実した議論をしていますが、その際にはいつも、この言葉を念じることにしています。
◇趣味
 趣味は、読書と囲碁です。
 読書は、とくにジャンルを問わず、濫読する方です。好きな作家はたくさんおりますが、中でもトルストイ、ドストエフスキー、
井上靖、山本周五郎などの本は繰り返し読んでいます。愛読書をあげるなら、上記各作家の「復活」、「罪と罰」、「明日来る人」
、「さぶ」などです。

 判事
古田佑紀(ふるたゆうき=昭和17年4月8日生)
 略歴
昭和42年 東京大学法学部卒業 
昭和42年 司法修習生 
昭和44年 検事任官
その後、東京地検、法務省刑事局、札幌地検、名古屋地検、浦和地検川越支部、法務省刑事局で勤務  
昭和59年 法務省刑事局参事官 
昭和62年 東京地検検事 
平成 2年 法務省刑事局青少年課長 
平成 3年 法務省刑事局国際課長 
平成 5年 法務大臣官房審議官(刑事局担当) 
平成10年 宇都宮地検検事正 
平成11年 最高検検事 
平成11年 法務省刑事局長 
平成14年 最高検刑事部長 
平成15年 最高検次長検事 
平成16年 退官 
平成17年 同志社大学法科大学院教授 
平成17年8月2日 最高裁判所判事 
 
(信条、趣味など)
◇裁判官としての心構え
 最高裁判事の責任の重大さを痛感しております。考え方や利害が多様になるとともに変化の激しい時代を迎えて司法的解決の重要
性が高まっておりますが、虚心に関係者の話を聞き、事実を踏まえて法律に則り公正、妥当な判断をするという法律家としての基本
的心構えを堅持し、一つ一つの事件の事案に即した適切な解決を通じて法の適正な実現に努めたいと考えております。
◇好きな言葉
 深い味わいを持つ言葉に多く出会いました。あえて一つを挙げれば「目の梁(うつばり)を取れ」です。 固定観念にとらわれず
に素直にものを見て自分の頭で考えること、自分の考えが一面的にならないように鏡になってくれる人をできるだけ多く持つことを
心がけてきました。もっとも、後の方については裁判ではもっぱら訴訟手続の中で判断しなければなりませんが、その精神は持ち続
けたいと思っております。
◇印象に残った本
 これまで多くの印象に残る本に接しましたが、古典といわれるものを除けば、塩野七生さんの「海の都の物語−ヴェネツィア共和
国の一千年」などのローマに関する著述、柳田邦男さんの「マッハの恐怖」などの最新の科学技術をめぐる問題に関する著述などが
あります。
◇趣味
 取り立てて申し上げるほどのものはありませんが、自然科学や歴史に関する本などを中心に、関心を持った分野の本をその都度集
中的に読んでおります。 

◆小泉内閣がつくった現最高裁
 この2人が判決に加わっていないのは、どうしてなのか、私には分からない。おそらく審理そのものに加わっていないのだろう。
島田長官の場合は、長官の仕事で多忙だから、小法廷の審理すべてに参加するということはないのかもしれない。
 古田判事は検事出身だから、被告3人を起訴したり、あるいは控訴・上告するときの判断に関与したのかもしれない。そういう場
合、弁護側から忌避されることもある。自ら忌避した形で、上告審に加わらなかったのかもしれない。
 そこまで考えてみると、判決に参加した今井(裁判長)、津野、中川3判事はいずれも小泉内閣のときに最高裁判事に任命されて
いる。小泉内閣は2001年4月から06年9月まで5年半の長期政権だった。現在の最高裁判事15人(長官を含む)中12人ま
でが、小泉内閣の任命なのである。
 ついでだから、現在の最高裁判事全員について、任命の年月日と「選出母体」だけの一覧表にしてみよう。
 【小泉内閣任命】
  島田 仁郎  平成14年11月 7日 裁判官
  横尾 和子  平成13年12月19日 厚生省(社会保険庁長官)
  藤田 宙靖  平成14年 9月30日 東北大教授
  甲斐中辰夫  平成14年10月 7日 検察庁(東京高検検事長)
  泉  徳治  平成14年11月 6日 裁判官
  才口 千晴  平成16年 1月 6日 弁護士
  津野  修  平成16年 2月26日 内閣法制局(長官)
  今井  功  平成16年12月27日 裁判官
  中川 了滋  平成17年 1月19日 弁護士
  堀籠 幸男  平成17年 5月17日 裁判官
  古田 佑紀  平成17年 8月 2日 検察庁(最高検次長検事)
  那須 弘平  平成18年 5月25日 弁護士
 【安倍内閣任命】
  涌井 紀夫  平成18年10月16日 裁判官
  田原 睦夫  平成18年11月 1日 弁護士
  近藤 崇晴  平成19年 5月23日 裁判官
 要するに現在の最高裁は、小泉内閣人事によってつくられたのである。

 ◆「栄光のポスト」最高裁判事
 法曹の世界に入る人たちは、日本で最難関と言われる司法試験をパスしなければならない。その難関をくぐったというエリート意
識と密着した強烈な仲間意識がある。裁判官、検事、弁護士と道は分かれるが、それを超越した仲間意識である。そして誰もが、最
後の「栄光のポスト」を最高裁判事と考えている。
 今回の第2小法廷判決をまとめた3判事に限らず、現職最高裁判事の大半は、小泉内閣によってこの「栄光のポスト」を手中にし
たのである。小泉内閣の政策批判など「とんでもない」という雰囲気ではないだろうか?
 自衛隊のイラク派兵は、小泉内閣の政策だった。それを強烈に批判・非難していたのが、ビラ配布住居侵入事件の被告3人だった
のである。こういう脈絡の中であまりにも非常識な憲法原則無視の判決が少数意見なしで出てきたのではないか?

 ◆「李下に冠を正さず」ではないか?
 以上は私の推測にすぎないが、最高裁HPのデータに基づく合理的な推測である。小法廷判決を出した3人の裁判官に「栄光のポ
ストに任命してくれた小泉内閣批判なんかとんでもない、という心情にもとづく判決でしょう」という言葉を投げつけたなら(現実
には不可能なことだが)「げすの勘ぐり」などと言い返されるのがオチだろう。
 しかし「李下に冠を正さず」という言葉もある。(「好きな言葉」で、これをあげた裁判官はいなかったが。)「私は小泉内閣に
よって最高裁判事に任命されたのです。小泉内閣批判のビラにからむ事件を担当すると、<先入観による不当判決>と批判されそうで
す。だから審理に加わりません」という意思表示をする判事が1人ぐらいいても良かったのではないかと考えるがどうだろうか。
 いずれにせよ、この原稿を書くため、最高裁判事はどういう人かという、普段あまり意識しない問題に注目することができた。

 ◆デタラメの社保庁長官から「法と正義の番人」へ
 全員で15人。裁判官、弁護士、学識経験者から各5人ずつを起用するということを基礎知識として知っていた。学識経験者枠と
いえば、誰もが学者・研究者だと考えるだろうが、大学教授らが起用されていたのは田中耕太郎(長官在任1950年3月〜60年
10月)▼横田喜三郎(同60年10月〜66年8月=ともに東大教授から任命)と2代続いた学者長官の時代まで。その後、検察
庁、外務省(条約の専門家という口実)、内閣法制局などがOBを押し込もうとし、さいきんでは女性官僚OBまで起用しているた
め、いまや学者出身の判事は藤田宙靖氏ただ1人になっている。
 現職の横尾和子判事は、厚生省OBで、94(平成6)年9月から96(平成8)年8月まで、あの社会保険庁長官だった。あの
デタラメさを見過ごしてきた人が、「法と正義の番人」であるポストに就いて平気でいられるという神経に敬服する。
 なお最高裁HPの各判事欄からは、関与した判決なども参照できる。ご興味のある方は一覧の値打ちがあることを申し添えよう。

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