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 「KY(空気が読めない)」というイヤな言葉が流行っている。なぜ空気を読まなければならないのか? みんなが同調してつくる「空気」などほとんど間違っている。積極的に読まない必要がある。

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2008/03/12

空気を読まない 3月12日

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「KY(空気が読めない)」というイヤな言葉が流行っている。
なぜ空気を読まなければならないのか? 理由はない。 
みんなが同調してつくる「空気」などほとんど間違っている。
意識的に空気を読まず、空気に異議申し立てをする必要がある。

リークに支配される新聞でいいのか?
JanJanで読むには
http://www.news.janjan.jp/column/0803/0803112516/1.php
 JanJanリストページ
http://www.news.janjan.jp/column/taikikengai/taikikengai.php
「『日本外交官はスパイ』/中国の非公開裁判判決で断定」と読売が1面トップで報じたが、少し怪しい。「スパイ」の日本記者も
外交官も追放されていず、小泉政権時代の古い話だ。4月の胡錦濤・中国主席訪日を阻止したい筋が、スパイに仕立てられた記者の
所属する読売を怒らせて大きく書かせる、意図的なリークをしたのではないのか。
 
◆とうとうキレたか、中国政府?!

 11日、朝の散歩の途中、コンビニに入った。新聞の置き場を見ると、読売の1面に
<「日本外交官はスパイ」/中国の非公開裁判判決で断定>
 の大見出し。思わず130円を支払って買ってしまった。

 とうとう中国がキレて、4月に予定されている胡錦濤(国家主席)訪日を中止することを決断したか、と速断したからである。帰
宅してよく読んでみると、とんだ「バカダッタの大盗賊」(囲碁・将棋の世界で一時期はやった、悪手を打った<あるいは指した>後
に棋士が嘆く言葉である)だと分かった。

 判決は小泉純一郎政権下、日中関係が最悪だった時期に出たので、現在の日中関係には何の影響もない。中国人のマッサージ師を
「スパイ罪」で無期懲役にしたのだが、判決文中に「(日本の)外務省幹部と(在北京)大使館書記官の2人が日本のスパイ要員で
あると知りながら国家機密を提供した」と書かれているだけ。書記官は現在でも北京の大使館で勤務中というのも不可解だ。

 記事には<中国司法 政治が左右>という見出しの解説までついている。その結びは、<無期刑が確定したのは06年9月で、日
中関係改善に意欲を見せていた安倍内閣発足の直前だ。審理は非公開とはいえ、安倍首相訪中後の確定判決となれば、改善軌道に乗
りだした日中関係に水を差す事態も予想され、中国が判決を急いだとの見方もできる>となっている。

 それならなぜ、1面トップ扱いなのか?

 外交の世界で「インテリジェンス」がいかに大切かは佐藤優(元外務省ロシア地域分析官=起訴休職中)、手島龍一(元NHKワ
シントン支局長)組が熱心に説きまくっている。intelligenceは、ほんらい「知性・思考力」などだが、転じて「報道・情報・諜報
機関」などの意味も持つ。佐藤らが言っていることは「情報収集なくして外交なし」といったところで、日本外交にある情報軽視の
傾向を指摘しているのだろう。

◆ハニートラップにナイーブな日本外交官

 旧共産圏の外交部門は、情報部門に支配されていたとみていい。「情報部門と無関係な外交官など存在しない」と断言しても間違
いないぐらいだ。英米の情報機関もまた、外交官の顔をしたスパイ摘発に熱心で、双方の丁々発止はスパイ小説のテーマだった。

 そんな中で日本の外交官はナイーブにすぎる。外務省関係者なら誰でも知っているエピソードだが、外務次官OBの長男で同じ外
交官となった2世が、モスクワ大使館員だったときに自殺した。その理由はソ連の秘密警察に情報提供を求められたから。

 モスクワの大使館員となって間もなく、美貌の若い女性が近づいてきて、そのうち男女の関係になる。その後情報機関(KGB)
の男が接触してきて、<大使館の情報を提供せよ。拒否したら君があの女性と親しくなっていることを上司に告げる。君の将来はな
くなってしまう。>と脅す。

 通常の場合、その外交官は大使館の先輩に相談する。先輩が、<君もようやく見習いを卒業したね。モスクワに来たら、誰でもそ
の道をたどる。これで一人前になったということなんだ>と言って祝い酒でも飲む。

 しかし、自殺した元次官の長男は、<父親に迷惑がかかる>という思いが強すぎ、誰にも相談できなかった。自殺という最悪の道
を選んでしまったのである。

 余談だが、以後父親の方はモーレツな反ソ論者になる。ことあるごとに「外務省顧問」の肩書で「正論」などにアンチ・ソ連の文
章を書く。当時の外務省が困って、「外務省顧問の肩書なら、外務省の路線で書いてほしい。ご自由にお書きになるなら、顧問の肩
書を返上していただきたい」と申し入れた。彼は返上の方を選んだという。

◆リークするぞ。怒れ、読売!

 こんなことも考えるなら、冒頭の記事の扱いはちょっとしたコラム程度で良かったのではないか?

 読売記事には<在東京関係筋が10日明らかにした>という文章が入っている。ニュースソースが中国側とは考えにくいから、日
本の政府機関だろう。外務省関係か、公安関係かということになる。

 記事中には、<本紙と別の社の日本人記者2人についても、中国人男性から機密情報の提供を受けていたとして、「スパイ組織の
代理人」と決めつけた。>という文章もある。ニュースソースは、<当事者の読売に提供すれば扱いが大きくなるはず>と計算して
いたのだろう。<お宅の記者がスパイ呼ばわりされてるぞ。読売よ怒れ>だ。

 そこまで考えれば、読売へのリーク(情報漏洩)は極めて意図的な行動だったのでは? と勘ぐりたくなる。この記事を読売に大
きく扱わせ、アンチ中国ムードをあおる。最終目的は胡錦涛訪日の中止だ。

 毒入りギョーザ事件捜査をめぐって日中間はギクシャクし、4月訪日は怪しくなりかけている。「スパイ」でもう一押しすれば、
延期ではなく中止になる。小泉純一郎が破壊した日中関係を修復するための大イベントが中止になれば、「日中友好」は決定的に消
滅する。――こういう展開に持っていきたい勢力が、読売の記事を足がかりに攻勢を強めていくというのは、杞憂ではあるまい。

 読売新聞政治部は「外交を喧嘩にした男 小泉外交二〇〇〇日の真実」(06年1月、新潮社)という本をまとめている。外交は
喧嘩ではない。喧嘩=戦争を避けるために、話し合いで事を処理するのが外交なのだ、という認識がしっかりしている好著である。

 意図的なリークでも何でも、「特ダネだ。大きく扱え」では、この本をまとめた知性が泣くのではないか?

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