出たっきり邦人【欧州編】 RSSを登録する

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2008/07/08

【出たっきり邦人 欧州編】769 番外編・イギリス

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■□■□■   出たっきり邦人・欧州編・2008・07・08・769   ■□■□■
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          のんきぃのんの回顧的ロンドン駐在妻らいふ


                        その37


          「イギリスではなぜパブが必要なのか」


先日のウィンブルドン決勝戦はすごかったですね。
永遠のライバル、ナダルとフェデラーの4時間にわたる攻防。

ついにというべきか、5度の優勝を誇る芝の王者フェデラーに、クレーのナダ
ルが最後の最後に打ち勝ってウィンブルドンの初優勝を決めました。
最後のセットは本当に壮絶でした。
カップを手にしたナダルは嬉しそうでしたね。

全英、全仏、全豪、全米とあるテニスの四大大会ですが、開催地の名がそのま
ま大会の代名詞になっているのは、ウィンブルドン以外にありません。


懐かしいウィンブルドン。

ウィンブルドンは、広域ロンドンの西にある高級住宅地です。
ここにあるプライベート病院に、日本人の小児科医が常駐する日本人クリニッ
クがあったので、熱出した子供乗っけて、よく車で駆けつけましたっけ。

ウィンブルドン、リッチモンド、チズウィック。
西にある高級住宅街は、いまみたいな初夏には特によく繰り出した場所です。
ちょっとおしゃれなレストランや、美味しいピザ屋、そしてテムズ沿いのパブ。

リッチモンドは、駅からすぐのところにテムズが流れ、そこにかかる橋は街の
中心的存在でした。

その橋のたもとに大きなパブがあって、晴れた初夏の日には、パブからあふれ
た人がテムズ沿いの岸に陣取り、わいわいがやがや楽しげでした。



日本やタイにいるときには特に必要を感じないのに、イギリスにいるときには
「なくてはならない」
と感じるもの、それがパブです。

利用法その一、仲間とサッカーの観戦に盛り上がる。(主に若者)
利用法その二、分厚い日曜版新聞を持ち込んで、じっくり読む。(主に年配男性)

というのは以前紹介したことがありますが、私自身の利用法のひとつは
「会社帰りの一杯」。

家族の都合でロンドンに来てから子供ができるまでの間、なかなか貴重な会社
体験をさせてもらったことがあります。

同じ世代の同僚と仲良くなると、会社が引けた後、近くのパブで1,2杯飲ん
でから帰るのがお約束になりました。
男の人はだいたいパイント(ビール)ですが、女性に人気なのはジントニック。

周りを見回すと、同じようなグループがいくつもあって、みんなスーツやOL
ルックで輪になって談笑してます。中には一人で来て、立ちながら幸せそうに
ちびちび飲んで、飲み終わるや否や帰っていく「真のビール好き」の姿も。

日本人が会社帰りに居酒屋に寄るのとかなり似ていますが、決定的に違うのは、
パブでは夕飯を食べない、つまり、長居をしないことです。

30分、長くても1時間くらい、ずっと立ったまましゃべってアルコールだけち
びちび飲んで、後は家路に着く。ご飯は家で食べるわけです。

考えれば、かなり気軽で合理的ですよね。
同僚と毎日会社帰りに一杯やっても、家族ともきちんと夕飯が取れる。


会社の歓送迎会も、もちろんパブでします。
会社帰りにみんなで、いつものパブになだれ込むだけ。
幹事も必要ありません。

ちなみに、仲間と飲むときには、支払いは「ラウンド」方式です。輪になった
4,5人の分の注文をまず誰かがしてくれて、代金は全部払ってくれる。

大体みんな飲み終わって、もう一杯かな、という雰囲気になったら、今度は違
う人が「僕が次のラウンドを持つよ」と注文してきてくれる。

もちろん、その日中にみんながラウンドを持てるわけじゃないのですが、次回
の時には前回払わなかった人が「じゃあみんな、何にする?」と最初のラウン
ドを持つわけです。

律儀な日本人、ラウンドを持ってくれた人についつい「自分の分払うよ、次来
れるか分からないし」と言いたくなってしまうのですが、これはタブー。

何しろ、大航海時代の宿敵オランダ人の名を軽蔑を込めて冠して「ダッチカウ
ント(割り勘)」と呼ぶほどのイギリス人ですから、割り勘は「無粋」なんです
ね。

歓送迎会の時は、会社帰りの一杯よりは少々長めになります。

夕飯の時間が元々遅めな習慣のせいでしょうか、みんな当然のようにすきっ腹
にビール飲んでいるけど、おつまみ好きな日本人にはこれが辛い。
加えて、立ちっぱなしもけっこう辛い。

イギリス人はなんでああ立って飲み続けられるんでしょうか。
まあ、その方が挨拶しながら移動したりして社交にはいいのでしょうが、付き
合ってられなーい!

というわけで、日本人同僚だけは奥の席に陣取り、「大盛りチップス!(フライ
ドポテト)」を何皿もがんがん頼み、イギリス人同僚に笑われていました。


気の合う同僚と来るときには、そこまで長居しません。
よく女の子同士で来たのですが、3,4回に一回は、違うグループの男の人に
声をかけられることがありました。

ははあ、なるほど、パブの利用法その四は、出会いの場、らしい。

ナンパというほど積極的でぎらぎらしたものではなく、たわいない世間話から
始まって、気が合えば、じゃ、ここでまた会ったらまた飲もうか、と輪が広が
って行く。
立ちっぱなしの利点は、やっぱりこうやって声かけやすいことでしょうね。

西洋のパーティ文化のメリットをちょっと垣間見ることはできます。


しかし、私のいちばん好きなパブの利用法は、なんといっても休日にあります。

太陽が雲間から顔を出した初夏の昼下がり。
テムズ沿いを家族でのんびり歩き回ること一時間。

ああ、のどが渇いたな。
ちょっと一休みして一杯やりたいな。
そんなときにパブの看板を見つけた嬉しさといったら。

パイントグラスを持ち出して、みんなと一緒にテムズ沿いに腰掛けよう。

太陽の下でちびちびパイントを飲んでると、うーん、と伸びをしたくなる。
ま、ともあれ、と一息つきたくなる。
そして思うことができる。

忙しい平日に何があったとしても、まあとりあえず、人生は上々だ、と。


のん
nondetahou@yahoo.co.jp
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◇◆次回は7月11日(金)ギリシャ・スパルタから配信予定です◇◆
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