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2009/10/28

[Cinemaの王国 vol.676]~『沈まぬ太陽』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.676(2009.10.28)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観るライター(ぽち)が、
映画館で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。配給会社など映画関係者
からのPR料は受け取っていません。
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こんにちは。10月も残り少なくなってきましたね。本日は、日本映画の話題の
大作を取り上げます。

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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ―『沈まぬ太陽』―
◆2.メールちょうだい
◆3.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『沈まぬ太陽』~
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●『沈まぬ太陽』
(2009年 日本)(上映時間3時間22分)
監督:若松節朗
出演:渡辺謙、三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、香川照之、木村多
江、清水美沙、鶴田真由、柏原崇、戸田恵梨香、大杉漣、西村雅彦、柴俊夫、
風間トオル、菅田俊、神山繁、草笛光子、宇津井健、小林稔侍、加藤剛
*TOHOシネマズスカラ座ほかにて全国公開中
ホームページ http://shizumanu-taiyo.jp/
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<ストーリー>
国民航空の労働組合委員長を務める恩地(渡辺謙)は、職場環境の改善のため
会社と戦うが、そのせいで危険人物とみなされて、海外赴任を命じられる。各
地を転々として、ようやく10年後に日本に戻ると、自社のジャンボ機が御巣鷹
山に墜落する。遺族係となって必死に遺族に尽くす恩地。そんな中、国民航空
の建て直しのために政府の要請で会長に就任した国見(石坂浩二)は、恩地を
抜擢し改革に乗り出すのだが……。

<レビュー>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
愚直な男の人間ドラマを通して航空会社の腐敗を暴く
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
御巣鷹山のジャンボ機墜落の背景には、日航の腐敗した体質があったことを明
らかにした山崎豊子のベストセラー小説の映画化です。

3時間半近い大作(間に10分の休憩アリ)。いえいえ、大作なのは上映時間だけ
ではありません。日本を中心に、アジア、中東、アフリカを舞台にした物語の
スケールの大きさ。そして、キャストも超豪華版。え!あの有名俳優がこんな
ところに?

主人公の恩地が勤務するのは国民航空。とはいうものの、明らかに日航です。
一応「フィクション」と断っているものの、劇中で起きることの多くは事実、
もしくは事実と推測されること。

冒頭は、いきなり御巣鷹山のジャンボ機墜落。感度の鈍い経営陣を尻目に、必
死で遺族の世話をする主人公の恩地が登場。この恩地の過去にいったい何があ
ったのかが、徐々に明らかになります。

労働条件改善のために労働組合委員長として活躍した恩地。しかし、それが原
因で会社から危険人物と見なされてカラチ(パキスタン)へ左遷。2年で帰れ
るという約束にも関わらず、その後もテヘラン(イラン)、ナイロビ(ケニ
ア)と10年間海外の僻地を転々とさせられます。そして、ようやく帰国したと
たんに起きた墜落事故……。

必死で遺族に対して尽くす恩地。しかし、かつての組合仲間で今は経営陣とな
った行天らは、冷淡な視線を送るばかり。ところが、会社の建て直しのために
政府から送り込まれた会長が、恩地を改革のために抜擢したことから……。

ドラマの背景にあるのは、日航、じゃなくて国民航空という会社のデタラメぶ
り。会社を私物化する経営者たち、自分たちの利益のために平気で差別人事を
行い、不正を働き、政治家と結託し、結果的に航空会社にとって最も大切な安
全がおろそかに。それが引き金となって墜落事故が起きたのです。

ただし、中盤以降は、そうした企業の腐敗を告発する社会派映画の側面よりも、
恩地という男の生き様のドラマに焦点が当てられます。たとえ自分の不利にな
ろうとも、信念を曲げずに不撓不屈の精神で戦う恩地。愚直なまでに己の道を
貫き、それが家族を苦しめることに悩みながらも前進を続けます。

奇をてらった演出もなく、正攻法から恩地をはじめ多彩な人物たちのぶつかり
合いを迫力タップリに描きます。特に中心に描かれるのが、恩地と三浦友和演
じる行天とのバトル。人物描写はステレオタイプなれど、見応えは十分です。

しかし、その分、社会派の要素が薄まるのは事実。そこがやや残念なところ。
何しろ、経営の悪化した今の日航につながる問題だけに、そのへんをもっと深
く描いて欲しかったのですが……。

とはいえ、これだけ硬派なネタを、これだけ重量感のある映画に仕上げたのだ
から、日本映画としては画期的な作品でしょう。モデルが特定できる登場人物
が多いし、映画化を実現するまでには大変な苦労があったに違いありません。
その点には素直に脱帽です。

俳優では、渡辺謙、三浦友和、石坂浩二をはじめとする主要キャストが抜群の
存在感ですが、目立たないところでは遺族役の木村多江の演技が絶品。

それにしても、日航、いや国民航空の腐敗体質のひどさよ。これじゃ会社が傾
くのも当然。いやいや国民航空だけではなく、JR西日本をはじめ多くの会社で、
これと同じようなことが起きているのではないでしょうか。そんなことを思わ
せる力作です。

《ぽちの満足度》
★★★★☆

《ぽちのオススメ度》
★★★★☆
(社会的テーマの掘り下げ方は甘いけれど人間ドラマとしては魅力十分。こう
いう映画を作ったことは高く評価できます。)
                              (ぽち)

〔鑑賞データ〕
2009年10月24日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時の回

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◆2.メールちょうだいッ!!
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「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。

▽『沈まぬ太陽』の感想を(ロッタ)さんからいただきました。
<山崎豊子さんの原作らしい、重厚、壮大なスケールの作品で、上映時間の長
さも気になりません。航空業界の光と影を描き、見ごたえのある映画でした>

ありがとうございました。
みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ
スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン
ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合
もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
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◆3.ぽちのひとりごと
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*次号は『パイレーツ・ロック』を取り上げます。
                         (ぽち)

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