2009/10/14
[Cinemaの王国 vol.670]~『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』
★☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆★☆ ★☆ ☆ 「Cinemaの王国」 vol.670(2009.10.14) ★☆ ☆★☆ http://homepage1.nifty.com/pochie/ ★☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ======================================================================= このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観るライター(ぽち)が、 映画館で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。配給会社など映画関係者 からのPR料は受け取っていません。 ======================================================================= /////////////////////////////////////////////////////////////////////// こんにちは。今年は太宰治生誕100年とかで、たくさん映画化されているようで すが、本日はその中でも特に話題の映画を取り上げます。 /////////////////////////////////////////////////////////////////////// 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 【INDEX】 ◆1.今週のこの1本! ―『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』― ◆2.メールちょうだい ◆3.ぽちのひとりごと 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆1.今週のこの1本! ~『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』 (2009年 日本)(上映時間1時間54分) 監督:根岸吉太郎 出演:松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡、堤真一、 光石研、山本未來、鈴木卓爾、小林麻子、信太昌之、新井浩文 *TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開中 ホームページ http://www.villon.jp/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ <ストーリー> 戦後間もない東京。人気作家の大谷(浅野忠信)は、私生活では酒と女に溺れ、 借金を重ねていた。ある日、大谷が行きつけの小料理屋から大金を奪ったこと をきっかけに、妻の佐知(松たか子)はその小料理屋で働くことになる。そん な佐知の前に、彼女を慕う青年・岡田(妻夫木聡)や昔彼女が想いを寄せてい た弁護士・辻(堤真一)が現われる。一方、佐知に嫉妬する大谷は、バーの 女・秋子(広末涼子)と姿を消すのだが……。 <レビュー> ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 破滅型の作家の妻のキラキラした前向きな生き方 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 太宰治の小説『ヴィヨンの妻』をベースに、その他の太宰の短編なども織り込 んで、独自の世界を構築した映画です。監督の根岸吉太郎は、この映画で第33 回モントリオール世界映画祭の監督賞を受賞しました。 人気小説家の大谷は、私生活は破滅型の人生。死にたくてたまらず、酒、借金、 女でデタラメな生活を送っています。そして、ついには心中未遂まで……。 しかし、この映画は、その大谷に焦点を当てているわけではありません。冒頭 で、子供時代の大谷の地獄にまつわるエピソードを描いて、破滅型の人生の原 点らしきものは示していますが、それ以上深いところまでは突っ込みません。 この映画の主人公は、あくまでも彼の妻の佐知。彼女の生き様の物語なのです。 身勝手な夫に泣かされるか弱い妻を思い浮かべてはいけません。佐知は最初か らたくましい女性です。夫が金を盗んだ小料理屋に押しかけて、無理やり働か せてもらい、そこで大人気となってしまいます。 その後も、身勝手な夫に悩まされるものの、けっしてとイジケたりはしません。 あくまでも前向きにキッパリと生きていきます。 そんな佐知の前に、彼女を好きになった青年や、かつて佐知が好きだった弁護 士が登場します。しかし、佐知が彼らに翻弄されることはありません。心に波 風は立つものの、それでボロボロになるようなことはけっしてないのです。あ くまでも前向きに、明るく強く生きていきます。彼女はどんどんたくましくな っていくのです。 むしろイジケているのは夫の大谷。「死にたい、死にたい」といっては放蕩を 繰り返し、おまけに妻の男関係を疑って、嫉妬でイジイジしています。 そして、ついに大谷は心中という行動に出ます。さすがに、そこでは佐知の心 も揺れ動きます。はたして、彼女の心もついに砕けてしまうのか……。 しかし、ラストでも彼女は主体的に決断をします。「生きているだけでいい」 なんて彼女に言われたら、そりゃあ何も言えませんよ。いやぁ、本当にスゴイ 女性です。 『雪に願うこと』『サイドカーに犬』と最近は、女性を主人公にした映画が多 い根岸監督。今回も佐知の気持ちを繊細に描き出しています。微妙な心の揺れ 動きの描写が絶品。 戦後の雰囲気をリアルに伝えたセットや小道具も見事です。 役者では松たか子のキリリとした姿が印象的。小料理屋夫婦の室井滋、伊武雅 刀の味のある演技も見ものです。 太宰治原作ではあるけれど、太宰ワールドというよりは根岸ワールドといった 感じかもしれません。前向きにキッパリと生きる佐知の姿を通して、誰もが元 気や勇気をもらえる映画です。 《ぽちの満足度》 ★★★☆☆(+1/2★) 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆(+1/2★) (破滅型作家の物語ではなく、キラキラと輝くその妻の映画。人間の生き方に ついても考えさせられます。) (ぽち) 〔鑑賞データ〕 2009年10月10日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時15分の回 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆2.メールちょうだいッ!! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。 みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合 もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。) ・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆3.ぽちのひとりごと ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *明日は『私の中のあなた』を取り上げる予定です。 (ぽち) ~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~ ☆このメールマガジンは ■『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ ID:0000021508 の配信システムを利用して発行しています。 ==================================================================== ■週刊「Cinemaの王国」 vol.670 (2009.10.14) ●編集発行人:ぽち ●登録・解除はこちらからお願いします。 http://homepage1.nifty.com/pochie/mailmaga/moushikomi.html (発行者自身による解除、アドレスの変更等は一切行っておりません。ご面 倒でもホームページまたは上記メルマガサイトからお願いします。) ☆本誌に掲載されている評価、感想等はあくまでも個人のものであり、特定の 団体、個人等を中傷する意図はありません。掲載された内容に起因するトラブ ルには一切関知いたしません。また、記事の無断転載はお断りします。 ●Copyright(c)1999-2009 ぽち fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp ====================================================================


