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2009/05/15

[Cinemaの王国 vol.620]~『ミルク』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.620(2009. 5.15)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観るライター(ぽち)が、
映画館で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。配給会社など映画関係者
からのPR料は受け取っていません。
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こんにちは。一週間ぶりの発行です。
最近なかなか映画館に行けない発行人ですが、少し前に観たショーン・ペン主
演の映画をお届けします。

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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ―『ミルク』―
◆2.メールちょうだい
◆3.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! 〜『ミルク』〜
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●『ミルク』(MILK)
(2008年 アメリカ)(上映時間2時間8分)
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、ジョシュ・ブローリン、ジェー
ムズ・フランコ、ディエゴ・ルナ、アリソン・ピル、ビクター・ガーバー、デ
ニス・オヘア、ジョセフ・クロス、スティーブン・スピネラ
*シネマライズほかにて公開中
ホームページ http://milk-movie.jp/
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<ストーリー>
1972年、ニューヨーク。金融マンのハーヴィー・ミルク(ショーン・ペン)は、
年下の青年スコット・スミスと出会い、恋に落ちる。2人はサンフランシスコ
に移住し、カメラ店を開き新生活をスタートさせる。いつしか店には同性愛者
たちがたくさん集まってくるようになるが、それにつれてミルクは社会的弱者
が抱える問題を改善するために、政治の世界を志し始める。市政執行委員選挙
に立候補したミルクだったが……。

<レビュー>
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差別に対して果敢に闘いを挑んだ男を人間らしく描く
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第81回アカデミー賞でショーン・ペンが主演男優賞を受賞、オリジナル脚本賞
も受賞した作品。1970年代に、ゲイであることを公表して、アメリカで初めて
公職に就いた政治家ハーヴィー・ミルクの半生を描いた作品です。

ミルクは48歳で、サンフランシスコ市長とともに暗殺されてしまうのですが、
その少し前に「もしも自分が暗殺されたら公表してくれ」ということで、密か
に自分の半生を録音していたという設定で物語が進みます。

最初は普通のビジネスマンだったミルクですが、ある青年と知り合い引っ越し
て店を開いたことから、ゲイに対する差別をなくすために立ち上がろうと決意
し、何度も選挙にチャレンジします。

この映画の一番良いところは、ミルクを単なるヒーローとして描いていないこ
と。彼には様々な表情があります。ゲイをはじめマイノリティーのために民衆
を組織し、過激に突っ走る優秀なリーダーとしての顔。その半面、狡猾なほど
駆け引きに長けていて、反対派とも取引しようとする政治家としての顔。民衆
を煽るだけ煽って、そこに自分が登場して仲介役になるなんて、「そこまでや
る?」てな感じです。しかし、そうした能力のおかげで、多くの人々が彼のも
とに集ってきたのです。

その一方で、私生活では政治活動にのめりこむ中で、恋人と別れ、新たな恋人
に振り回され、そして悲劇的な事態に到ります。

ミルクのこうした様々な表情が描かれているおかげで、ありがちな偉人伝のよ
うなお説教臭さや押し付けがましさのないドラマに仕上がっています。

ドラマの時代背景は、ヒッピーなどの自由の風が吹いた一方、過激なほど保守
的な人々がゲイの進出を阻止すべく、全米規模の運動を展開していた時代。あ
のレーガンでさえ反対した超過激な反ゲイ法案が成立しそうになるなんて、ま
るで冗談みたいな話です。こうした土壌は、今のアメリカにも受け継がれてい
る気がしますね。

そんな時代だからこそ出てきたリーダーがミルクだったわけですが、やはり彼
には天賦の才能があったように思えます。彼がもう少し長生きしていたら、ア
メリカの社会ももっと良い方向に向かっていたかもしれません。エンドロール
の前には、その遺志が今も受け継がれていることが告げられます。

もともと演技力はバツグンながら、やや大げさなところも目立つショーン・ペ
ン。しかし、今回は主人公を等身大で演じた見事な演技でした。反対派の委員
役のジョシュ・ブローリンが、今までのコワモテとは違う表情を見せているの
も興味深いところ(ヒゲがないし……)。

最近はインディーズ映画ばかりだった監督のガス・ヴァン・サント(『グッ
ド・ウィル・ハンティング/旅立ち』など)。久々のハリウッド映画ですが、
ところどころで際立った個性を見せています。何よりも主人公との距離感が絶
妙。接近しすぎず、離れすぎず、その手腕に引っ張られてラストまで見入って
しまいました。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(主人公の多様な表情を見せたところが見事。ただの偉人伝と違って、素直に
心に入ってくる映画です。)
                              (ぽち)

〔鑑賞データ〕
2009年5月3日(日)シネマライズにて。午後3時30分の回

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◆2.メールちょうだいッ!!
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◆3.ぽちのひとりごと
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*昨日は、島根県へ日帰り取材。当然ながら時間に余裕がなく、出雲大社の近
くまで行きながら現地へ足を運べず……。

*明日からは、『天使と悪魔』をはじめ『60歳のラブレター』『鈍獣』『夏時
間の庭』『おとなり』『ブッシュ "W."』『セブンティーン・アゲイン』など
話題作が公開!
                         (ぽち)

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