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2008/06/11

[Cinemaの王国 vol.518]〜『ぐるりのこと。』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.518(2008. 6.11)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観るライター(ぽち)が、
映画館で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。配給会社など映画関係者
からの便宜供与は一切受けていません。
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本日取り上げるのは、先週末から公開の日本映画。といっても、三谷幸喜の
『ザ・マジックアワー』でないのが、いかにも当メルマガらしいところでしょ
うか。橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』。とにかく素晴らしい映画です。

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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ―『ぐるりのこと。』―
◆2.メールちょうだい
◆3.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! 〜『ぐるりのこと。』〜
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●『ぐるりのこと。』
(2008年 日本)(上映時間2時間20分)
監督・脚本・原作:橋口亮輔
出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、安藤玉恵、八嶋
智人、柄本明、寺田農、木村祐一、斎藤洋介、温水洋一、加瀬亮、光石研、田
辺誠一、横山めぐみ、片岡礼子、新井浩文
*シネマライズ、シネスイッチ銀座ほかにて全国公開中
ホームページ http://www.gururinokoto.jp/
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<ストーリー>
1993年。小さな出版社に勤める翔子(木村多江)と夫・カナオ(リリー・フラ
ンキー)は、初めての子供の誕生を前にしていた。カナオは先輩の紹介で法廷
画家の仕事をもらい、落ち着いた日々を送る2人。だが、ある日、生まれたば
かりの子供が亡くなってしまう。悲しみのあまり、精神にトラブルを抱えるよ
うになる翔子。カナオは彼女を静かに見守るのだが……。

<レビュー>
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1組の夫婦の歩みを通してわかる、人と人とのつながりの大切さ
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1組の夫婦と、その周辺の人々の1993年から現在までの姿を描いたドラマ。前
作『ハッシュ!』から6年ぶりとなる橋口亮輔監督の作品。

主人公の翔子とカナオはけっして特別な夫婦ではありません。何事もキッチリ
しないと気が済まない几帳面な翔子と、女性関係も含めてルーズなカナオ。性
格は全く違うけれど、学生時代からの知り合いで友達のような夫婦です。

ところが、そんな夫婦を悲劇が襲います。子供が亡くなったのをきっかけに、
次第に精神のバランスを崩す翔子をカナオが支えていこうとします。はたして
2人の向かう先は……。

橋口監督は、つらいことや悲しいことに翻弄される夫婦の姿を、静かに、優し
く、そして温かく描いていきます。劇的な場面を極力排除して、ユーモアをあ
ちらこちらに散りばめています。

夫と妻それぞれの心理が繊細に描写されているだけでなく、両者の微妙な距離
感もきちんと表現されています。2人の会話が自然なのにも驚かされます。演
じる木村多江とリリー・フランキーが、まるでホントの夫婦のようで、たわい
のない会話が新鮮に聞こえてきます。

精神を病んだ妻を夫が支えるなどというと、教科書にでも載りそうな理想の夫
婦に思えるかもしれませんが、そうではありません。ふだんはお互いに身勝手
だったり、いい加減だったりして、心がすれ違うこともたびたびです。それで
も、いざという時には必ず、そばにいて、絶対に相手の手を離さない。それが
この夫婦なのです。

圧巻なのが、翔子が爆発するシーン。感情を抑えきれずに泣き叫ぶ翔子。その
背中にそっと手を添えて言葉をかけるカナオ。木村多江の渾身の演技、そして
リリー・フランキーの独特の存在感も加わって、思わず息を飲む名シーンです。

やがて2人に差し込む穏やかな光。お寺の天上画の下で寝ころがった2人の姿
が、ほほえましく、心にジンワリと染みてきます。どんなに傷ついた心でも、
誰かがそばにいてくれれば癒されるんだなぁ〜、とシミジミ思わされました。

夫婦やその周囲の人々を描きつつ並行して描かれるのが、同時代に起きた凄惨
な事件の裁判風景。これはカナオの法廷画家という仕事によるものですが、2
人の過ごした時代を観客に共有してもらう点で、大きな効果をあげています。

そして、たとえどんなにヒドイ世の中でも、いや、ヒドイ世の中だからこそ、
一緒に生きていける相手がいれば救われるということを、痛烈に印象づけてい
ます。

この映画を観ると、結婚していない方は早く結婚したくなるかもしれませんね
(笑)。そのぐらい自然体でステキな夫婦です。

まあ、別に夫婦に限らず、人と人の結びつきの大切さがよくわかります。この
映画を観て、サイモン&ガーファンクルの名曲「明日に架ける橋」を思い出し
てしまいました。トラブルウォーターに架かる橋のような人がいてくれるのっ
て、幸せですよねぇ〜。

《ぽちの満足度》
★★★★☆

《ぽちのオススメ度》
★★★★☆
(温かで優しい気持ちになれる映画。押し付けがましくないメッセージが心に
染みます。今年の日本映画の中でも上位にランクされるはず。)
                             (ぽち)

〔鑑賞データ〕
2008年6月8日(日)シネスイッチ銀座にて。午後1時10分の回

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◆2.メールちょうだいッ!!
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◆3.ぽちのひとりごと
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*某ロックバンドのCD発売記念パーティーに出席して、久々に有名人を目撃
する。いや、ただそれだけのことですけどね。
                           (ぽち)

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