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2008/06/06

[Cinemaの王国 vol.517]〜『山桜』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.517(2008. 6. 6)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観るライター(ぽち)が、
映画館で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。配給会社など映画関係者
からの便宜供与は一切受けていません。
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『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』のプレミア試写会は、
主演のハリソン・フォード、製作総指揮のジョージ・ルーカスなども参加して
盛り上がったようです。でも、ワイドショーの一番の話題が「くいだおれ太
郎」の来場ってのはどうなんでしょう(笑)。

本日は、田中麗奈、東山紀之共演の時代劇を取り上げました。

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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ―『山桜』―
◆2.メールちょうだい
◆3.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! 〜『山桜』〜
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●『山桜』
(2008年 日本)(上映時間1時間39分)
監督:篠原哲雄
出演:田中麗奈、篠田三郎、檀ふみ、北条隆博、南沢奈央、富司純子、高橋長
英、永島暎子、村井国夫、東山紀之
* テアトルタイムズスクエアほかにて全国公開中
ホームページ http://www.yamazakura-movie.com/
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<ストーリー>
江戸後期、最初の夫に先立たれた後、磯村家へ嫁いだ野江(田中麗奈)はつら
い結婚生活を送っていた。そんなある日、美しく咲き誇る山桜の下で、かつて
彼女を嫁にしたいと申し出た手塚弥一郎(東山紀之)と再会する。彼の優しい
言葉に励まされて、つらい結婚生活に再び向き合おうとする野江だったが……。

<レビュー>
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藤沢周平の世界を純化した心が洗われる時代劇
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藤沢周平の短編小説の映画化。藤沢作品の映画化といえば、『たそがれ清兵
衛』をはじめとする山田洋次監督の作品が有名ですが、こちらはだいぶ雰囲気
が違います。

山田監督の作品は、藤沢周平の小説を大胆にアレンジして、盛り上げるところ
はキッチリ盛り上げてメリハリをつけ、迫真の殺陣をはじめとするリアルさを
前面に出しています。

それに対してこの映画は、まったく対極の世界。余分なところを極限まで削ぎ
落として、藤沢作品の世界をより純化した作品となっています。ドラマ的な盛
り上がりには欠けますが、すがすがしく、心が洗われるような映画です。

物語は藤沢作品ではおなじみのパターン。江戸後期、北の小国の海坂藩で内紛
が起きます。新田開発を強行して農民を苦しめ、私服を肥やす重臣の諏訪。そ
れに反対する勢力は江戸の主君に書状を送ろうとするものの、実力で阻止され
ます。

そんな中、強欲な夫や冷たい姑に苦しめられ、つらい結婚生活を送る野江とい
う女性が、叔母の墓参りの帰りに、美しく咲き誇る山桜の下で手塚弥一郎とい
う武士と出会います。彼はかつて野江に縁談を申し込んだ相手だったのです。
その日を境に、不幸な結婚生活に再び向き合う野江。

ところが、剣の達人の弥一郎は、藩の実情を見るに見かねてある行動に出ます。
それが野江に大きな転機をもたらすのです……。

剣の達人の武士・弥一郎ではなく、薄幸の女性・野江を主人公としたのがこの
映画の大きな特徴。不幸せな結婚、もしかしたら結婚していたかもしれない男
性との再会、そして驚愕の事件……。弥一郎の存在を心の支えにしながら必死
に生きて、本当の愛を見つけていく野江の心の機微が、見事に描きこまれてい
ます。

セリフを最小限に抑え、繊細な映像によって野江の心のゆらめきを丹念に拾っ
ていきます。山桜をはじめとする美しい自然の風景も心に残ります。

弥一郎への思いと、これまでの自分の人生に対する思いが混ざり合って、野江
が涙するクライマックスシーンが圧巻。田中麗奈が情感あふれる演技を披露し
ています。檀ふみが演じる野江の母の凛としたたたずまいも印象的。

ただし、野江を中心に描いているため、弥一郎の影が薄くなってしまったのが
惜しいところ。わずか1か所だけの殺陣のシーンも、あっさりしすぎています。
2人が心を通わせる部分も、もう少しきちんと描いて欲しかった気が……。

ラストは明確な形ではなく含みを残した終わり方で、物足りなく思う人もいる
でしょうが、この映画のタッチにはピッタリだったと思います。一青窈の主題
歌もいいですね。

同じ作者の原作でも、つくり手によってまったく違う映画になるという見本の
ような映画。エンターティメントとしての盛り上がりはありませんが、観終わ
って温かな気持ちなれるでしょう。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(心が洗われるような映画。ただし、盛り上がりには欠けるので、普通の時代
劇ファンにはツライかも。)
                             (ぽち)

〔鑑賞データ〕
2008年6月1日(日)テアトルタイムズスクエアにて。午後1時10分の回

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◆2.メールちょうだいッ!!
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「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。

みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ
スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン
ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合
もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp

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◆3.ぽちのひとりごと
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*劇場で見逃した河瀬直美監督の『殯(もがり)の森』をDVDで観ました。
やっぱり去年のカンヌで賞を取っただけのことはありますね。いかにもカンヌ
にピッタリのタッチで、とても良い映画なのですが、監督の思うままに撮って
いて観客への配慮が感じられず、途中までは少し退屈でした。中盤以降はなか
なか面白くなりましたが……。

*明日から公開の映画では、こちらも去年のカンヌで賞を取った韓国映画
『シークレット・サンシャイン』に注目しています。そのほか、『ザ・マジッ
クアワー』『築地魚河岸三代目』『ぐるりのこと。』『春よこい』なども明日
から公開。
                           (ぽち)

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