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2005/07/31

Cosmy/子供ステーション No.32

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 Cosmy☆コズミィ/子供ステーション  No.32    2005.07.31
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子供の進化と退化


生物は時代と共に進化を遂げました。それは何万年、何億年という
単位で進んできたものですが、環境の変化に適応するために、体が
「生き方」を学んで、知恵としてDNAに固定してきたということ
です。DNAはひとつの個体が死んでも次の世代に受け継がれ、
結果として何十、何百世代もの時を経た「進化」を作り出します。
もちろん不要な能力は切り捨てられ、人が水中で暮らせないように
「退化」する部分も多くあります。

ひとつの世代の中では何の進化も無いかというと、そんなことは
ないでしょう。DNAの知恵とは、とどのつまりは一個体が身に
つけていくわけだからです。


歳を重ね、たくさんの経験を通して子供達は成長します。
もちろん、早い、遅いの差はありますが、たいがいの子は遊びでも
勉強でも、年齢と発達との関係が右肩上がりの関係だということ
ですね。これも小さな「進化」と呼べないでしょうか。

まあ、こんな言い方が正しいかどうかは別として…
最近子供達の「進化」を感じたことと、「退化」を感じたこととを
立て続けに体験しました。それは子供達の「作品」の中に見え隠れ
していたことです。

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ある日、絵画コンテストの審査を頼まれました。子供達が宇宙を想像
して、それを画用紙に描いた作品です。ひとつ大きなの市で行われた
ものですから、多数の応募がありました。学校ごと、学年ごとにブロック
分けし、優秀な作品をいくつか選んでゆくのです。これは学校授業の一環
ではなく、各自で参加するタイプのコンテストなので、「自分の時間を
使って描いたもの」ということが以下のお話しのポイントとなります。

どれが優秀か、というのは審査側の個人差が大きいものです。画風を見る
人、技術を見る人、アイディアを買う人、学年平均からの差を計る人…
審査を複数で行ったので、それぞれの意見が異なって、それはもう楽しい
事態となりますが…それはひとまず横に置いて、とても驚いたことがあり
ました。参加した審査員やコンテスト関係者の全員が口を揃えて、こう
つぶやいたのです。

「高学年ほど手抜きになってる…」

確かに絵画の技術も、絵のインパクトも、アイディアも、学年が上がると
共に劣ってくるように見えました。つまり、「楽をして描こう」「できる
だけ簡便に仕上げよう」といった行動が絵の向こうに見えるのです。
子供達がどんな状況で描いているかは分かりませんが、少ない時間で
ササッと描いたように思えました。

低い学年では、それほどドローイングの要領が良いわけではないでしょう
から、ひとつの絵を仕上げるにも時間がかかるはずです。それでも多くの
低学年参加者の絵は細部に渡ってビックリするほど手が加えられていたの
です。


高学年ほど、自分の時間が持ててないのでしょうか?それとも自分の時間
はたっぷりあるけど、絵に時間を割こうと思わなかったのでしょうか?
本人が絵を描くに至るどこかの段階で「仕方なく絵を描かねばならない」
という状況が生まれてしまったのでしょうか?あるいは自分の技量を過信
しすぎて、結果的に「これでいいや」と妥協点を下げてしまったことも
考えられますね。

きっと、本当はその高学年の子達も力がないわけではないでしょう。
そういう意味では決して「退化」ではありません。環境がうまく子供達を
取り囲めば、みな描くことを楽しみ、秘めた能力が時間を費やしただけ
画用紙に浮かび上がるに違いありません。時間をかけず手を抜こうとする
真の原因が、子供自身にあるのか、親にあるのか、学校なのかは分かりま
せんが、「良い傾向ではないな…」と感じたコンテストでした。

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そのコンテストの審査を遡ること数日前、たくさんの子供達と工作会を
楽しむ機会がありました。講師として呼ばれたのですが、何かを教えると
いう時間帯を最小限にして、子供達が自発的に手を動かす時間をたっぷり
取りました。

折紙で基本パーツの作り方を教え、「あとは好きにやってごらん」という
流れにしました。パーツ作りそのものはほとんどの子に初めての体験の
ようでしたが、一度覚えれば非常に簡単なプロセスです。だから、もしか
すると飽きられてしまうかな、という不安が最初からつきまといました。

ところがです。始めてみると全ての子供が夢中になりました。パーツ作り
に始終没頭する子、大きさや色を変え、どんどん応用を試みる子、教わった
パーツとどれだけ違うものが作れるかチャレンジする子…与えられた1時間
が濃密に過ぎていきました。

しかも、概ね高学年ほど凝ったものを創り上げました。これは当たり前と
言えば当たり前。年齢が上がればそれだけ短時間に要領よく作れるわけ
ですから、「その気になれば」驚くほど立派なものを作れるわけです。

その工作会の主催者から「これまでのどの会よりも、特に高学年が夢中に
なっていた」との感想を聞きました。たいてい、高学年ほどすぐ飽きて
投げ出してしまうと言うのです。

自分としては難しい工作を教える通りに仕上げる工作会よりも、簡単に
部品が作れ、しかもわざわざ教えなくても自発的な応用が可能な工作を
企画したつもりでした。しかしこのやり方は単純過ぎ、いかにも飽きられ
そうな作業であったことも確かです。ですから、この結果は喜ばしくも
不思議でした。

そしてここには、「進化」を感じたのです。おそらく「教えられたこと
以外をやってはダメ」という学校的な束縛がなかったことが、大きな要素
だったとも思えます。逆に言うなら、普段どれほど成長を抑える束縛を
受けていたんだろうか、ということですね。

   ★   ★   ★   ★   ★   ★   ★

この二つの会以外にも、様々な機会で同様の「進化」「退化」を感じる
ことがあります。そのほとんどは子供達を取り巻く時間的余裕、心理的
余裕が差し迫った状況にあることをほのめかしています。
確かに、たっぷりと時間を費やし、身の回りの出来事を観察したり、
何かを作ったり、育てたりする機会はどんどん減っているようです。

余裕のないところで日々の生活を送れば、当然ながら短時間で済ますため
に手を抜く方法ばかりを身につけるでしょう。それは見た目には「能率が
上がった」ようにも見えますが、内容が良くなることはまずありません。
結果が出たことと、中身の濃い結果が得られたこととは全く違います。
最初から濃い中身を短時間で創り上げられる子は100人に1人もいない
のですから。それに、短時間で学んだことは、短時間に忘れます。


これはそのまま大人社会にも当てはまるでしょうか。たいていの大人は
高い能率を強要されています。自分でそれを望むのなら、短時間に優秀な
結果を出せることでしょう。でもたいていは「自分では望まないけれど
仕方なくて…」手抜きせざるを得ないのだと思います。

これが、何ヶ月も、何年も続けば、せっかく持っていた能力も退化して
しまうでしょう。嫌々続けた受験勉強の内容を、十年も過ぎないうちに
すっかり忘れてしまった経験は、どなたにもあるのではないでしょうか。


年齢が小さいころから「時間をかけることは悪」という教え方をすれば、
それは悪しき手抜きに直結します。なにより、そう教えている大人自身が
子育ての手抜きをしていることになりますね。

どんな小さなことでもいい、子供達が「何かにのめり込める良き時間」を
守る環境を作るのが、わたしたち大人の義務なのかな、という思いに
なっています。もちろん大人にも「のめり込む良き時間」が必要なことは
言うまでもありません。だって、それが子供達の見本となるのですから。

                        (みゃお)

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   発行:Cosmy☆コズミィ 
    宇宙・地球・人間を考えるメールマガジン
     ◎星空セラピー<21410> ◎子供ステーション<21419>
     ◎恋愛を見つめて<21418> ◎生命の泉<23813>
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