2000/05/10
「億の近道」2000/05/10 ex#22
■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□ 投資情報メールマガジン 特別版 No.22 イ意 の 近 道 □■□■□■□■□■□ 号 外 特 別 版 2000/05/10 □■□■□■□■□■□■□■ □■□■□■□■□■ 特別版は不定期発行! □■□■□■□■□■□ 【はじめに】 メールマガジン「億の近道」をご購読いただき、ありがとうございます。 本来は毎週水曜日休刊ですが、今回も号外特別版を発刊いたします。第22号 です。変わらぬご愛読をよろしくお願いいたします。 =================================== −特別版目次− ◎トピックス ◆個別銘柄情報・・・・・・・・・・・・両津勘吉 ◆株式投資技法・・・・・・・・・・・・大原部長 ◆株式投資専門用語解説・・・・・・・・大原部長 =================================== ◆個別銘柄情報◆ 両津勘吉 ●上村工業(大4966) 昨日同社を取上げたが、4月の売上状況が発表されましたのでフォローさせ て頂きます。 メッキ薬品 621百万円(前年比−14.9%) 内HD用メッキ 149百万円( 〃 −51.8%) トータル売上 1906百万円( 〃 +11.9%) 営業利益 175百万円(変らず) HD用薬品がこの3ヶ月140百万円台と低いレベルであるが安定してきて おり、底入れ感が出てきているようである。昨日記述したが、4月から同社の ユーザーである日軽金が、アルミディスクから撤退しており、状況的には良く ない現状ではあるものの、PC用HD枚数の底入れ、そしてデジタル家電離陸 に期待したい。 なおパッケージは堅調そのものである。 関連Web「投資情報宅配便」URL:http://home9.highway.ne.jp/straight/ (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し ては御自身の責任と判断で願います。) =================================== ◆大原の株式投資技法◆ 大原部長 大原です。 株式投資を勉強されている皆さんに、株式投資のポイントを、用語の解説をふ まえながら、楽しく紹介させていただきます。私は30の投資技法を忠実に守 っています。 そのいくつかを6回シリーズでお届けします。 ●投資技法その5 例え少数意見であっても、自分を信じる 〜個人投資家のアドバンテージを知る〜 私が個人投資家向けにこのような本(※)を書くのは、一部の機関投資家の 運用能力に疑問を持っているからです。機関投資家の運用成績がぱっとしない のは、きちんとした運用ができていないからです。少なくとも調査能力という 点で、機関投資家はプロであるべきですが、現状で自らをプロであると胸をは れるファンドマネージャーはまだ少数派です。 その一因は、この数年、日本の機関投資家が多数の未経験者を運用スタッフ として拡充したためです。1990年には2000人に満たなかった証券アナ リスト試験の合格者は、99年には累計で1万2000人を突破しました。未 経験であっても証券アナリスト試験に合格しているので運用部門に配属される というケースが日本の運用会社では多いようです。持ち合い株式の政策投資が 構造的に解体していく中で、純投資部門を強化するため、生損保、銀行がこぞ って調査人員を増員したのです。 この証券アナリスト試験というのは、経済、財務会計、証券分析の3科目で すが、業界動向や製品評価などの売上予測能力については問われない試験です。 担当の業界知識がゼロでもアナリスト試験には合格できるわけです。未経験ア ナリストの大量発生で、アナリストの平均能力はかなり落ちてしまいました。 私が決算説明会を避けるようになったのは、機関投資家所属(=バイサイド) ファンドマネージャー及びアナリストの低レベルの質問、業界知識の欠如、経 営者に対する尊大、横柄、失礼な態度に我慢が出来ないからです。 ある外資系証券会社のトップアナリストはこのような幼稚アナリストのこと を「おこちゃま」バイサイドといって特別の配慮をしています。証券会社のト ップアナリストにとって、「おこちゃま」バイサイドはなんでもいうことを聞 いてくれる素人であると同時に、大切に扱えばランキング投票で必ず投票して もらえる大切な顧客だからです。セルサイド(証券会社)にとっては、資金量 が多くてたくさん注文を出してくれる顧客の方が、必要以外は売買しない顧客 よりずっと重要です。セルサイドアナリスト(証券会社所属のアナリスト)に とっても、バイサイドが低レベルでいてくれた方が説得力を保持できるわけで す。そこで、絶えずレーティングを変更し、投資家の不安心理を煽ったりする のです。 ある外資系セル・サイドアナリストは、「おこちゃま」クラスと普通クラス の2回に分けて工場見学会などを企画するそうです。日本では、バイサイドが 「おこちゃま」でも許される状況が残念ながら続いているのです。 どの証券会社も「今週の投資戦略」のような戦略ものを1週間単位で書いて います。なぜ、投資戦略が1週間で変更になるのでしょうか。私の投資戦略は 何年も変わりません。投資戦略は投資哲学から生じます。投資哲学がないと、 戦略はコロコロ変わります。 私の哲学は成長株投資です。成長率と成長期間、限界利益率を最も重要視し ます。ですから、私が住宅株や建設株を買うことは、いままではありませんで した。銀行や自動車株も今は、あまり興味がありません。それでも、1999 年はTOPIXを90%以上アウトパフォームしました。それは、エレクトロ ニクス、インターネット関連、ソフトウエアなどの成長株の当たり年だったか らです。 年金運用者として長期的に信頼されるために、投資哲学は命の次に大切なも のです。投資哲学を守らなければ、私たちのブランド価値が、低下してしまう からです。低成長・低位株が反転するかもしれません。そのとき、誘惑に負け ては、私たちのブランドに傷がつくのです。その場その場を、上手く立ち回る ことは、哲学上、出来ないのです。 スタッフを拡充すれば、調査の質や運用成績が自然とよくなるということは ありません。運用に関わるものが多すぎると投資哲学や投資プロセスがかえっ て曖昧になります。業種ごとにアナリストを配置している運用会社も多いです が、勉強のために調査しているようなアナリストが多いようです。運用成績も ぱっとしないようです。 日本の機関投資家は、分散投資が得意です。よい銘柄だけ買えばよいのに、 あれもこれも買ってしまうのです。私たちは1000億円の運用なら30〜4 0銘柄で十分と考えます。10億円のファンドなら5〜10銘柄で十分です。 5億円のファンドなら3銘柄です。機関投資家の多くは、分散投資の大義名分 のもとに100銘柄以上買ってしまうので、運用の管理も大変ですし、成績も 月並みになります。ですから、私たちのように1年で資産を2倍、3倍にする ことができないのです。 月並みのファンドマネージャーは、おなじ習慣を持っています。証券会社の レポートをよく読みますし、バランスシートやPLなどもよく分析し、決算説 明会にもよく出席します。それで、なぜ「おこちゃま」なのかと言えば、肝心 の売上の予測が甘いからです。トップラインの売上が間違っていてボトムライ ンの純利益を予測するのは、時間の無駄です。トップラインに確信があるとき だけ、ボトムラインを予測すればよいのです。トップラインの売上の増加に、 確信が抱ける企業の数は、限られます。確信のあるものだけに、貴重な時間を 使うべきです。企業取材は確信を獲得する作業です。しかし、確信をもつため には、業界や技術のトレンドの理解が必須です。だから、証券アナリストは、 技術者以上の見識が求められます。 分散投資の弊害以上に、ファンドマネージャーを苦しめるものは、雑務の多 さでしょう。私は1ヵ月に10分程度、ポートフォリオのベスト5とワースト 5についてコメントを書きますが、原則としてそれで報告は終わりです。あと は、ニューヨークのマーケティングスタッフが顧客へ報告をしてくれます。と ころが、日本の場合は、顧客への報告書をファンドマネージャーに書かせると いう理不尽な負担を強いています。ファンドマネージャーが報告作業で忙しく 運用ができないといったことが起こっています。運用の質を維持するためには、 十分な時間を運用そのものにあてる配慮が運用会社に必要です。 ファンドマネージャーの顧客への報告作業の多さや質の低下を考えるとき、 機関投資家と個人投資家を隔てるものは何があるでしょうか。インターネット の普及で個人も情報が十分とれるようになってきました。個人投資家が取材能 力をつければ、もう機関投資家は個人に太刀打ちできません。運用業務に参入 障壁はありません。 この世界は、知恵と能力だけで独立してやっていけるのです。サラリーマン 運用者や、会社の看板の上にあぐらをかいているものが、淘汰されるのは時間 の問題です。確固たる運用哲学のない機関投資家は、数年以内に消えていくで しょう。 さて、みなさんの取材能力が、十分であると仮定しましょう。ある会社の株 価が十分魅力的なことがわかった、としましょう。個人であれば、その魅力的 な価格で購入できます。一方、機関投資家にお金を預けると、彼らは一度に何 千億円の資金を運用しなければなりません。1銘柄を購入し終わるのに、数週 間かかる場合もあり、買い終わったら株価が大きく上がってしまうことも多い のです。 このように、自ら取材して単独で発注した方が、機関投資家に預けるより、 安く買えるのです。個人投資家はよいタイミングで買ったり売ったりできます。 機関投資家より断然有利なのです。 また、取材にしても不利だと思われません。企業のIR担当者にすれば、大 手生保のファンドマネージャーから電話があれば、警戒して本音を言えません。 しかし、これが個人投資家には、機関投資家に言えない情報でもついポロリと 教えてくれることだってあるのです。個人投資家を大切にする会社が悪い会社 であるわけはないし、どんなに業績がよくても、個人投資家を相手にしない会 社はよい会社ではありません。機関投資家は身銭を切って取材しているわけで はありません。個人投資家は自分のお金でリスクをとるのですから、堂々と取 材すればよいのです。 私は最大のライバルは同業の機関投資家ではなく、退職して十分取材の時間 がある個人投資家であると思っています。みなさんに笑われないように、いつ も投資の基本を忠実に守っています。今のところ、多額の資金を運用している ため、海外工場の視察とか、エレクトロニクス業界の有料セミナーで研鑚する とか、学会に出席するとか、経営者と多く会えるとか、取材費用、書籍費用だ けで、月々何十万円と使える点で、私は、個人投資家より有利です。 しかし、情報の低価格化、デジタル化が進めば、将来は、間違いなく、資金 力ではなく、十分な取材能力と豊かなアイデアだけで、勝負できるはずです。 そうなれば、個人投資家の時代です。みなさんは自分自身の意見を信じて下さ い。精神的にも情報的にも自立した投資家になって下さい。どんなにつたない 意見であっても、それが自分の意見であるなら、一流の投資家になれるはずで す。自分で考える1つの意見は他人の100の意見に勝るのです。個人投資家 であることの優位性を再確認しましょう。 (※)大原部長は個人投資家のための投資戦略として、夏頃に出版物を出す予 定になっており、タイトルはもちろん皆様お馴染みの「億の近道」です。 =================================== ◆大原の株式投資専門用語解説◆ 大原部長 ●損益計算書(P/L ピー・エル、プロフィット・アンド・ロス・ステートメント) 1営業期間(四半期、半期、通期)における、営業活動の結果。どれだけの 売上でどれだけの儲け(損失)が出たか、どういう費用がそれぞれどれだけか かったか、が記載されています。 売上から原価と販売費及び一般管理費を引いたものが営業利益です。原価と 販売管理費一般管理費は、人件費、減価償却費などの固定費と材料費・物流費 などの変動費で構成されています。営業利益は本業の儲けですので、もっとも 重要な要素です。 つぎに、営業利益から、債権者への利息(銀行への利息返済、社債利子の支 払い)、為替予約のコストなどの営業外費用を引いて、余資運用からの受け取 り利息、子会社からの配当益などを営業外収益として足したものが、経常利益 です。 経常利益から特別利益(子会社の上場益など)や特別損失(急なリストラ策 に伴う大量の退職金の支払いや工場の撤退費用)を加味して、税引き前利益が 算出されます。 税前利益から税金を引いたものが、純利益です。純利益は、本業の儲けから、 債権者、政府などへの支払いを済ませた後、事業のリスクをとった株主に最終 的に残った利益です。時価総額を純利益と比べたものが、PERです。 P/Lとバランスシート(B/S)はリンクしています。純利益が積み重な ったものが株主資本となります。また、大きな純利益は、株主資本の増加を通 じて、手元の現預金が増えるか、新しい設備が購入されるなど、資産が増加し ます。資産を増加させないで、借金を返済すれば、その分、負債が減ることに なります。こうして、P/Lの結果を踏まえて、経営者の経営戦略がB/Sに 反映されていくのです。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 【編集後記】 ■昨晩深夜のNHKスペシャル再放送で、遺伝子解明技術がもたらした予知 医療のテーマをやっておりました。最終的には命の選別なる重いテーマとな っていましたが、私が印象に残っているのが、アメリカの遺伝子研究機関の 壁面にかかっていたおびただしい数の特許証書です。その会社は乳ガンの遺 伝子を発見し、特許を取った後、急成長したという事でした。しかし将来は、 特定の私企業に特許料を支払って遺伝子診断をする仕組みは無くなると個人 的には思いました。公共の福祉という観点はアリだと私は見ています。(ぢ) ================================== 関連Webの「投資情報宅配便」でも投資情報を提供しております。 URL:http://home9.highway.ne.jp/straight/ ================================== 当メルマガの購読解除は http://www.kaijo.com/ から可能です。 億の近道 マガジンID:0000020640 編集者:億の近道発行プロジェクト email:chikamichi_oku@hotmail.com このメールマガジンの転載・引用を禁じます。 ==================================


