気刊 monologue No.01215 09.04.04
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氷川台 01 桜
春は氷川台にとって一番いい季節だ。駅沿いに流れている
石神井川に沿って桜が満開になる。毎年同じように咲き、同
じように散っていくのに、毎年同じようなアングルで同じよ
うに写真を撮る。今年も咲き始めた。なので同じように写真
を撮った。
和光市方面行きの有楽町線に乗り、池袋から四つ目の駅が
氷川台駅だ。降りて階段を登り、改札を通ってまっすぐ歩き
階段かエスカレーターを上がっていくと正久保橋方面出口に
出る。出ると正面には『正久保』という飲み屋がある。出口
を出てすぐに右に歩くと、歩行者だけが通れる細い道があり、
右手にドラッグストアがあり、その先に信号が見える。その
信号まで行くと石神井川が見える。そこにかかっている橋が
正久保橋だ。
僕は氷川台に昭和39年、三才の頃に引っ越してきた。当時
はそのあたりは砂利道だった。もちろん地下鉄もない。西武
池袋線桜台駅から歩いて20分ほどかけてうちに着いた。当時
桜台から池袋までは30円だった。子供は半額で15円。桜台か
ら氷川台までタクシーに乗ると1メーターで100円だった。ま
わりは畑ばかりで、見回すと家と畑が半々という土地だった。
その頃は石神井川の両岸に桜が植えられていた。そのとき
の桜の美しさを僕はよく思い出せないのだが、護岸工事がお
こなわれ、片側にしか桜がなくなったとき、寂しい感じがし
た、その感情だけ覚えている。確か小学生の頃だから、昭和
45年前後だったろう。
僕が幼稚園児の頃、母と散歩している写真がある。桜と写
っているのできっとこの石神井川沿いだったのだろう。恐ら
く撮ってくれたのは兄だ。写真は記憶を補正してくれる。き
っと写真がなかったら母との散歩は記憶から失われていただ
ろう。
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