問題解決と意思決定スキルをアップしよう
VOL-50 (2008-8-27)
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問 題 解 決・意 思 決 定 力 を 磨く
- 思考を妨げるもの - 意思決定に関するバイアス -
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□ ご 挨 拶
突然ですが、ようやく安定的に復刊出来る目処が立ちましたので、復刊第1号
をお送りします。
配信がご不要の方は、最後に登録解除用のURLがありますので、そちらから手
続きをお取りください。
■はじめに
大きな変化というわけではないが、問題解決や意思決定トレーニングの変化も
確実に感じられる。最近、日本でようやくブームになったマインドマップのよ
うに、新しい手法として脚光をあびるのではなく、"静かな革命"として進行し
ているようだ。
このように書くと何事かと思われるかもしれないが、問題解決や意思決定にお
ける、心の問題、精神性の問題が注目されているという事だ。といって、スピ
リチュアルなものに飛ぶわけではない。あるいはまた、前号で触れた、トロッ
コ問題のような、人間性にかかわる問題でもない。
心理的なバイアスの事である。
大げさな書き方をしたので、がっかりされたかもしれないが、仕事の現場では、
バイアスの影響事例を結構目にする。私の行う意思決定の研修コースの中でも
組み入れているのだが、意思決定における心理的なバイアスの事だけをテーマ
にしたコースを依頼される事もあるくらいだ。
今回は、私のコースの中でも取り上げているさまざまなバイアスの中でも比較
的よく知られていて、注意した方がいいと思うものを紹介することにする。
■本文
□アンカリング
交渉術の研修を受けた方なら知っているだろう。
最初に示された情報が碇(アンカー)となって、判断をする私という船の動き
を制限し、判断に偏りを作り出してしまうのが、アンカリングだ。
たとえば、売り手が交渉の最初の価格を1万円として、それがアンカーになれ
ば、8千円に値切った客は、交渉は成功したと思うかもしれない。しかし、実
は売り手は8千円で売りたかったので、1万円という高めの価格から交渉を始め
たというわけだ。
こんな事で意思決定にバイアスがかかって失敗する事はないだろうと思う人は
注意が必要だ。上記の例は説明用であって、実際には、いつの間にか碇を降ろ
してしまっていることに気がつかない。
このバイアスを防ぐには、前提を疑い、現場で調査をすればいのだが、専門家
への過信など、もうひとつの意思決定を妨げる要素が加わると、見事に自分を
縛ってしまう状態が発生する事になる。
□ノルマリティーバイアス
自分には不幸なことが発生しないという勝手な思い込みがノルマリティーバイ
アスだ。嫌な例だが、確率の問題として、飛行機事故に遭う可能性は誰にでも
あるが、自分に起きる事はないと信じている人がいる。飛行機事故は確率がと
ても低いので、今まで一度もないという事で自信を深めたりする。
ノルマリティーバイアスが生じて困るのは、普通の状態の時よりも、危機が迫
ってきた時だ。このままでは事業が危ないのに最悪の事態が避けられると思い
込んでしまう。飛行機事故と同じで、一度も遭遇しなかったから大丈夫だと"
信じ込み"周囲の意見に耳を傾けないようになってしまう。
ノルマリティーバイアスは二世経営者に多いという報告がある。私の体験でも、
大会社から関連会社トップになり、上記のような状態になり、警告に耳を傾け
ずに不幸な結末に至った人を何人か知っている。
自分の過去の成功の連続が、将来の成功を保証するものではないことを謙虚に
認識する必要がある。
□サンクコストとギャンブラーの誤謬
サンクコストは、過去の投資で回収が不可能な費用で、経済学の初歩の問題だ。
大切なのは、意思決定にはサンクコストを無視しなくてはいけないという事だ
が、現実にはこれを忘れてしまう場合がある。
それは、ギャンブラーの誤謬というもうひとつのバイアスと結び付く時だ。
ギャンブラーの誤謬は、自分の都合のいい解釈だ。サイコロを振り、最初に1
が出て、次が2、そして3、4、5と続いた時、次は6だろう思いたくなるが、
サイコロの目は、前に何が出るかに依存するわけではない。
事例で説明しよう。あるソフトを購入したが、使いこなすには高度なスキルが
必要で使いこなせない事が判明した状況を考えてみてほしい。第三者の目で観
察すると、このソフト使用をあきらめた方がいいのだが、プロマネは、何とか
ならないかと考えてあれこれ手を打ったりして、かえって資源のムダ使いをし
てしまう事がある。何とかなる可能性がないわけではないが、それには偶然が
いくつか重ならないと発生しないのだが、期待を過剰に持って判断を誤ってし
まう。
ここで取り上げたバイアスは、ごく簡単なものばかりだが、現実に発生するも
のばかりだ。
バイアスがかかる事は、冷静な状態の時にはないだろう。冷静になりにくい時
の自分を想定し、自分がどのような反応をするかを確認しておかないと、ただ
笑って、自分には関係ないと思って通り過ぎてしまう。このメルマガは、トレ
ーニングの場ではないから、確認する術はないが、謙虚な自分になって受けと
めてもらいたい。
バイアスがかかった人は、「あのときの自分はどうかしていた」と振り返って
反省している。
*****PSDM-N0.50********
電子メールマガジン「問題解決・意思決定力を磨く」2008/8/2
発行元:Self Management Systems 奈良井 安 ( info@sms-pacific.com )
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