2012/02/12
メールマガジン「カチ割り劇場」No670
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 元祖えぐり系 ☆☆ カチ割り劇場 ☆☆ No670 2012/02/12 ============================================================== ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ 官僚たちの冬 「部長、何ですかこんなところに呼び出して」 「予算返納したいって言い出したの君?」 「そう・・・ですけど」 「君、入省して何年目?」 「三年目です」 「なるほど・・・いいねぇ・・・若いねぇ」 「じゃ賛成してくれるんですか部長も!」 「誰がそんなこと言った?」 「・・・・じゃあやっぱり・・・でも、こんな財政難で『そ。余った予算は国 庫に返納するのが筋だ」 「じゃあどうして『できないんだよ。どうしても」 「それが役所なの。どこ行ってもそうなの」 「予算と権限は絶対手放しちゃダメなの。それが決まりなの」 「でも・・・いくらなんでも・・・・あんな訳のわからない独法にタレ流すく らいなら・・・」 「イヌネコ安楽死予防推進連絡協議会機構のこと?・・・君の先輩も天下りし てんだよ」 「先輩にひもじい思いさせたいの?」 「・・・・・」 「だから予算は使い切るのが原則。猫の餌でもいいから使い切るの。習わなか った?」 「・・・・」 「いるんだよね。特にここ数年、そんなキホンも知らない若いのが」 「でもたいていはそのうち黙っちゃうか、どっか行っちゃうかなんだけど・・・」 「・・・・」 「でも君は、なかなか骨があるみたいだねぇ。こうして部長の私まで引っ張り 出したんだから」 「・・・僕は・・・別に・・・・・ただ・・・・」 「ただ?」 「ただ・・・・本当に・・・・」 「本当に?」 「本当に・・・国のためになる仕事がしたいだけなんです!」 「偉いっ! まさに役人の鑑だねぇ」 「懐かしい・・・思い出すなぁ・・・かつては私もそんな心意気に燃えてたな ぁ・・・」 「・・・・二十数年でこんななっちゃったけどね・・・ハハハハ」 「でも、みんななっちゃうんだよ。君も必ず。長くいるとね。それが役所」 「・・・・・」 「で・・・どうする君? 黙っちゃう? それともどっか行っちゃう?」 「・・・・・黙りませんよ僕は・・・・国民の血税を・・・絶対に猫の餌にな ど・・・」 「そ。じゃどっか行くことになるけど、君どこが『その前に、局長に具申します」 「へぇ・・・部長の私飛び越しちゃうんだ・・・ならいっそ事務次官に、いや 大臣に直談判すれば?」 「いえ・・・ちゃんと一段ずつ、段階踏んでやるつもりです。辞表も既に書い てあります」 「へぇぇぇ・・・・そこまで覚悟できてんだ。独身だよねもちろん」 「いいねぇ・・・失うものが何も無いって」 「ならいいこと教えたげる・・・・最後に大臣にも相手にされなかったら、マ スコミか野党に垂れ流すといいよ」 「・・・・え?」 「今の与党、あれだけ行政刷新やら無駄撲滅やら叫んでおきながら、いざ足元 から上がってきた変革の芽をつぶしたとあっては・・・・ね」 「あるいは裁判に訴えるという手もある」 「・・・・・裁判?」 「公益通報者保護法っての、知ってる?」 「・・・でもあれは『いや、予算の目的外流用も刑事罰につながる立派な法律 違反だ。ソレを暴露したことで君が仕事上の不利益を受けたと主張すればい い」 「ただ勝てる望みはまず無いよ。目的外かどうかの立証が極めて難しくなるだ ろうからね。知ってるだろ? 役人ってのは屁理屈こねるエキスパートだから」 「それでも世間の耳目を集め、君の問題意識を広く世に問うことができる」 「ひいてはその外圧が旧態依然たる役所を変える原動力になるかも」 「・・・・でも・・・・どうしてそれを・・・・僕に?」 「さぁね・・・私も心の底じゃ・・・てほしいのかも・・・・」 「・・・・え?」 「でもこの年じゃ無理・・・内からも絶対無理・・・だから君みたいな・・・ に外から・・・」 「え?・・・よく聞こえなかったんですが」 「ハハハ・・・冗談冗談・・・さ、仕事仕事」 「・・・・あ、この件は局長に上げておくから」 「そのうち呼び出しがあると思うよ。がんばってね」 ------------------------------------------------------------- ===== カチ割り劇場 ===== 毎週日曜発行 発行責任者:ピストン源次郎 genjiro@higawari.qee.jp ホームページ「日替わり小説」 http://higawari.qee.jp/ シリーズ作品をまとめて読む時は http://higawari.qee.jp/series.html マガジンID:0000017532 ------------------------------------------------------------- ●解除は http://higawari.qee.jp/mailmag.html または《まぐまぐ》 http://www.kaijo.com/ で上記マガジンIDと あなたのメールアドレスを入力して解除ボタンを押してください。 -------------------------------KACHIWARI THEATRE-------------
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