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2009/03/04

■Weekly Mail Journal■2009/3/4 No.473

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  2009/3/4  No.473   週刊メールジャーナル  読者数110921(前回)
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■□会社不祥事はなくせるか?□■
(関西経済同友会『経営者の心得9箇条』を提言で終わらせないために)

さる1月、関西経済同友会は、企業の不祥事が絶えないのは経営トップの責任
であると指摘し、「経営者の心得9箇条」を提言として発表した。

1、人間力(素養、資格、資質や品位など)は高く保たれているか、自らの行
  いに恥じるところはないか。
2、現場を自分の五感で理解しているか、それを経営に生かしているか。
3、正しい判断基準を保っているか、ビジョンを示しているか。
4、人財(社員・後継者)を育成しているか、社員は生き生きしているか。
5、社内のコミュニケーションは風通し良く保たれているか。
6、企業経営は社会と調和しているか、会社基準は社会基準と合一しているか。
7、チェック体制は機能しているか、強化しているか。
8、危機管理を行なっているか、いざというときは大丈夫か。
9、情報を正しく発信しているか。

以上の9箇条である。
同会では、日ごろから自分の行動を振り返るようにと、会員向けにこの9箇条
を記した名刺サイズの携帯用カードを作成し徹底を図っていくとのことだ。

さて、
社内広報担当の皆さんに聞いてみたい。
この経営者の心得9箇条を「わが社のトップ」に当てはめると、どのような結
果になるのであろうか。

例えば、1箇条5点満点として普通なら3点、プラス・マイナス1、2点を加
減して評価し、満点なら45点ということで、採点してみてはどうだろうか。

そして、9箇条すべてが4点以上、または、総得点で36点以上ならば、まず
は合格とみなして合否を判定してみて欲しい。

この9箇条は、正式には「経営者の心得9箇条〜企業不祥事を発生させない
“ESR”経営を〜」と副題が付されており、同会の企業経営委員会がプロジ
ェクトチームを組織して取りまとめたものである。

「ESR」とは、「CSR」と同様、「会社経営者の社会的責任」の意味を持
たせている。「E」は「Executive」の頭文字である。

おそらく、「CSRを言う前に、まずはESRを実践しよう」、「CSRを言
うならば、ESRは当然」という考え方ではないだろうか。

そうであれば、近ごろ、CSRを経営理念に掲げる会社が増えているにもかか
わらず、不祥事や事故がいっこうに減らないことから、CSRの本質を考え直
してみようではないかと、筆者がかねてから提言していることと通底しており、
歓迎したい。

だが、一部の経営者からは、「いまどき、タイミングが悪すぎる」という声も
聞こえてきそうだ。

世界同時不況で、しかも日本経済の落ち込みは先進国最悪、「きれいごとを言
ってる場合じゃない」ということであろう。

はたして、いまどき、この9箇条の採点結果はいかがであろうか。たしかに、
合格点がとれる経営者は、思いのほか少ないのかもしれない。

しかしながら、「経営者の心得」というのは、景気、不景気で変わるものでは
ないはずだ。「不況だからCSRは実行できない」ということなら、そんなC
SRは、初めから経営理念なんかに掲げない方がいい。

たしかに、経営環境の激変によって業績が低迷するなか、会社の生き残りを必
死に模索する経営者にとっては、高らかに掲げた経営理念の実現は容易ではな
いだろう。

それは推察に難くない。しかしながら、いかなる経営の現実に直面しようとも、
「会社は社会的な存在」である以上、CSRから逃れることはできないはずで
ある。

だからこそ、「ESR経営」を実践しようという、関西経済同友会の提言は、
きわめて“まっとう”であり賛同できるのだ。

ただしその場合、いかなる経営環境のもとでも、ESRの9箇条を実践するこ
とによって、果たしうるCSRとは何か、ということを真剣に考える必要があ
るだろう。

筆者がかねてから提言しているCSRの本質は、「創業時に掲げた社会的な存
在意義を再確認し、その延長にある今日的な経営目的を追求すること」である。

そのような認識さえあれば、たとえ目的が生き残りのためであろうと、まっと
うな経営努力は、すべてCSRに直結することは自明であり、したがって、こ
の9箇条の実践は“必然”であることが理解できよう。

であれば、心ならずもこのような「心得」を実践できない会社の現状は、実践
できる会社に変えていく必要がある。

厳しい経営環境の中では、おそらく、経営者がひとり頑張ってもどうにもなる
ものではない。そこで、会社を変えていくマネジメントが必要になる。

これまで、長らく、多くの会社の実態を見てきた筆者の経験からいえる、会社
を変えるキーワードは、「ICM」(社内コミュニケーションマネジメント)
である。

この9箇条は、経営トップ自らの心得であると同時に、従業員全員が、経営ト
ップの実践に共感し、そのあり様をしっかりと見守ることのできる社内環境を
つくり上げていくことが大切なのである。

そうした社内の環境づくりこそが、社内広報担当者の役割だ。

現に、この9か条のうち第1条(人間力)だけは、経営トップ自らの実践課題
なのだが、第2条以下の8箇条は、従業員の協力なしには、その実践は不可能
な条項ばかりである。

従業員の協力は、「活性化された社内コミュニケーション」によってのみ醸成
されうる。

にもかかわらず、こうした社内環境づくりを、社内広報担当者に特命している
経営トップは、残念ながらいまだ少ない現実がある。

ならば、今のようなきわめて厳しい経営環境の中でこそ、自覚した社内広報担
当者は、そうした社内環境づくりに向けた社内広報のプログラムを、経営トッ
プに向けてプレゼンテーションするべきであろう。

関西経済同友会では、このような「社内広報の重要性」を認識したうえで、こ
の9箇条を提言したのでは、おそらくあるまい。

しかし、ごく最近、筆者が講演等に呼ばれた経済団体では、いく人かの経営者
が、こうした社内広報の役割がきわめて大きいことを表明し、その意見に触発
された経営者も多数おられた。

しかしながら一方では、ナナ総合コミュニケーション研究所が定期的に開催し
ている「社内広報サロン」での話し合いからは、このような社内広報の役割を
自覚して仕事に取り組んでいる担当者は、まだまだ少ない。

これがいまの会社経営の全国的な実態であろう。

したがって当面は、関西経済同友会の提言が、次第に全国の経営者の自覚に普
遍化し、その自覚のもとに任命された社内広報担当者が、ESRの実践が可能
な社内環境づくりにチャレンジできるよう、共通認識をひろげていって欲しい
ものである。

ともすれば、激変した経営環境の中で、社内広報担当者は、その任務を「社内
誌・社内報の編集発行」に矮小化することを余儀なくされ、ときに、それすら
も予算・要員の削減によって、四苦八苦している現状が増えている。

そうしたなか経済団体は、政府に対して、経済対策の緊急な実行を求める提言
を重ねているのだが、まずは自らの会社において、経営理念の実現に向けて、
必要な社内広報体制を従業員とともにいかにつくりあげていくかを、真剣に検
討してほしいものだ。

このことこそが、グローバリゼーションの中で、“日本的経営”の本質的な特
長を具現化するインセンティブになるのではないだろうか。

実は、関西経済同友会・企業経営委員会・プロジェクトメンバーには、株式会
社ナナ・コーポレート・コミュニケーションが毎年主催する「全国社内誌企画
コンペティション」において、入賞の常連会社が多数参加している。

これらの会社の社内広報担当者が、まずは「わが社のトップ」が、「経営者の
心得9箇条」を実践できる社内体制をつくり、さらに、その普遍化に向けて真
剣に努力するならば、全国の社内広報担当者が、自らの役割を自覚するための、
力強いモティベーションになるであろう。

要は、この9箇条を実践するためには、まず、それを可能にする社内広報体制
を確立することが必要だ。それがICMである。

同時にそのことが、いかなる時代の、いかなる経営環境の変化にも対応できる
「CSRのビジネスモデル」になるということを、多くの経営者に認識して欲
しいのである。

蛇足を承知であえて書き足せば、業績が低迷したら継続することが困難になる
ような、収益還元型の社会貢献事業のたぐいは、CSRとは無縁である。

新自由主義経済の中で、可能な限りの利益追求をし、その収益を社会福祉事業
などに振り向けるような、例えば、ジョージ・ソロス氏やビル・ゲイツ氏の慈
善事業なども、まったくCSRと縁がない。

会社が社会的な存在であり続けるための要件、それ自体がCSRであることを、
この国の社会全体で認識したいものだ。

◆このエッセイは、ナナ総合コミュニケーション研究所のポータルサイトであ
る「コミサポネット」に、すでにアップされています。わが国唯一の社内コミ
ュニケーション専門研究機関である、「コミサポネット」にアクセスし、当サ
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 株式会社 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
 取締役 社内広報事業
 ナナ総合コミュニケーション研究所  所長
 豊田 健一
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 週刊メールジャーナル 2009年3月4日 第473号(水曜日発行)
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    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
        〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル201
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