農業文化マガジン『電子耕』  RSSを登録する

シンクタンク山崎農業研究所が農業を中心として健康・食べ物・人物をめぐる情報を提供し、読者との意見交換をはかる農業カルチャーマガジン

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2009/10/01

『電子耕』No.270-2009.10.01号

*********************************************************************
隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」  第270号
-環境・農業・食べ物など情報の交流誌-
2009.10.01(木)発行      山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.yamazaki-i.org
*************************************発行部数 1,227 部***************
□  目  次    □----------------------------------------------------
<今週の提言> 足許崩れる日本のマスコミ 松坂正次郎
<84歳からのメッセージ>
 <新刊紹介>鈴木正 著 『九条と一条』(その2) 原田 勉
<多摩川源流を尋ねて> その16 府中四谷橋から日野橋へ 安富六郎
<編集後記> 子どもの本業は「遊び」である
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<巻頭言> 足許崩れる日本のマスコミ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 日本を代表するマスコミである新聞・テレビが、「コマーシャル」の横暴に
手を焼いている。新聞では全面広告ページが異常に増加し止まるところをしら
ないし、片やテレビもスポンサーの“御威光”がまかりとおり、テレビ会社は
完全に平伏する時代に入っている。

 原因の一つは、世界的不況にちがいないが、それにしても、言論を支えてき
た二大メディアの“情けなさ”には落胆をとおりこして、あきれてものも言え
ない。

 新聞やテレビの経営が困難になっていることは想像に難くないが、それにし
てもひどすぎる。かつて「エロ・グロ・ナンセンス」という批判があったが、
いまはそれを「地」で行っている。「この不景気に、いまさら品位も倫理もあ
るものか」と言うのであれば、それでは「汚い尻の丸出し」である。

 制作者側からすれば、読者・視聴者に「ニュース」や「社会状況」を正確に
伝達しようとする努力は怠っていないと言いたいかもしれない。しかし、全紙
面の半分もスポンサーに提供する(売り渡す)姿からは、恥を知る感覚はよみ
とれない。

 これは日本の現状と将来にとってたいへんな“危機”である。真実の情報が
閉ざされたとき、満州事変から第二次大戦、そしてヒロシマ・ナガサキへと至
った道をくりかえさないと誰が言えようか。

松坂正次郎
山崎農業研究所顧問、コラムニスト
yamazaki@yamazaki-i.org

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<84歳からのメッセージ> <新刊紹介>鈴木正 著 『九条と一条』(その2)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『九条と一条 平和主義と普遍的妥協の精神』

 九条と一条 凝り固まった日本にしないために

(前号からの続き) 
http://archive.mag2.com/0000014872/20090918120258000.html

 天皇制といってもピンからキリまである。新幹線の車内で読んだ『WEDGE』
(二〇〇八年六月)のなかに「自然・人文・社会科学を融合した新たな知の体
系構築に向けて」という仰々しいタイトルの連載の一つに宮台真司の「グロー
バルと世直し思想-亜細亜主義の最終形態」がのっていた。戦前の日本で叫ば
れた「昭和推新」と法華教のかかわりをとりあげ、こんな書き出しをしている
のが目に入った。

  「泥沼化するイラク紛争の背後に、先制攻撃論を主張するネオコン(新保
  守主義者)の存在があったことは周知だろう。ネオコンと亜細亜主義者は
  似ている。国家を手段とした世界革命を構想する所が、だ。」

 満州事変にはじまる昭和ファシズムの潮流の有力な一つに、田中智学ら日蓮
主義者の動向があった。彼らは天皇を法華宗信者に改宗し、それを国民全体に
及ぼし、天皇の改宗を拠り所として「国立戒壇」を建て国教でもって道義国家
をめざす計画だ。このばあい智学によれば「日蓮は世界続一の元帥。日本人は
世界統一の天兵。天皇は天兵を導く賢王だ」という。このように解説した宮台
は結論として「国家による正義の体現と言えば、やはりネオコンを髣髴させる
が、そこに亜細亜主義との親和性の秘密が隠れている」と推測している。世界
統一=世界革命=八紘一宇とは国家による世界制覇の一つのモデルであろう。
こうした天皇制を利用した最悪形態が最近のネオコンに似て、その先駆だとは
驚きである。ヒットラーも顔負けの構想ではないか。


  昭和天皇は、そこまでいかなかった。日本国憲法の現天皇はどうか。天皇
の象徴責任を論じて内藤朝雄はこういっている。

  「明仁天皇は、発言を求められたほとんどの場合、政治的な発言をしない
  という本則に従っている。……だが、本則に対する例外となる一つの場合
  において、彼は政治的な立場を明確にする。つまり、天皇という象徴を悪
  用して日本国憲法の秩序を破壊したり、暴力を正当化したり、人々を戦争
  やテロの危機に曝したりする勢力が通常の歯止めを突破して拡大しつつあ
  るとき、その場合にかぎり、かれは天皇象徴の悪用をなしがたくするため
  の効果を狙った政治的発言を行う。つまり、言語行為としては、「このよ
  うな天皇象徴の悪用はやめてください」と抑止のメッセージを発する。」
   (『図書新聞』二〇〇六年九月二日)

 ほかに昭和天皇に戦争責任があると発言した長崎市長・本島等が狙撃された
時にも、天皇問題も含めて言論の自由があると語っていること、これは私もそ
の日のテレビニュースでみていたが、園遊会で東京都教育委員・米長邦雄が
「日本中の学校に国旗を掲げ、国歌を斉唱させるのが私の仕事です」と発言し
たときも「やはり、強制になるということではないことが望ましい」とたしな
めていること、いずれも象徴の悪用を阻む姿勢で一貫している点は立派という
ほかない。

 さきにいったように天皇制を超えていく意識変革の不断の努力が重要だと思
う。しかしそれがすぐに実現できないとしたらどうすればいいか。廃止や超克
を主張したらできると思いあがるのは、敗戦による戦争からの解放を自分らの
力でやったと錯覚したのと似た傾向である。むしろ実果からみて、現天皇があ
のように発言できるのは、それに基いて頼りにするところの日本国憲法が存在
するからであろう。その精神をまもることが、いまこそ大切だと私は思ってい
る。    (季報『唯物論研究』第105号 2008年8月)


『九条と一条 平和主義と普遍的妥協の精神』
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540091995/
鈴木正 著   定価 1,890円(税込) 四六判 248ページ 
発行日 2009/07   出版 農山漁村文化協会(農文協)

山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田 勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<多摩川源流を尋ねて> その16 府中四谷橋から日野橋へ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 府中四谷は都区内にある四谷と同じ名前である。四谷といってもこの地域は
多摩川の氾濫原で平坦地にあり、地形とは関係は無い。公民館(文化セン
ター)にある碑によれば、昔この四谷村は「四つ屋」と称し、地名の起こりは
四つの家が村を起したことによる。

 渡しの廃止(1937)以後、多摩川を渡るには1.8kmもの下流にある関戸橋ま
で行かねばならない不便なところとなった。中央道と多摩ニユータウンを結ぶ
新道、府中四谷橋の開通(1998)によって対岸の一の宮とつながったのは最近
のことである。橋の付近は府中市とはいえ、まだ水田もあり、集落の神社付近
には用水も流れ、昔の面影を残している。遺された武蔵野の貴重な一角である。
しかし、新道沿線の変化は激しく、この風景もじきに消え去るであろう。

 この辺りの多摩川は河川敷も広いので府中四谷橋の橋上は河原の植生観察に
はよい場所と言われている。最近は河川管理もよく、大洪水も無いため、さま
ざまな植物が成長し、石の河原になるはずの中の島には大きな樹木も生えて緑
地となっている。ニセアカシアかも知れない。昔は洪水に耐えたもののみ生き
残るので、河原にも安定した固有種があった。

 いまは背丈の低い植物も根強く繁茂できるようになって、外来種(河原にな
かった種)によって本来の河原品種は絶滅の危機にさらされていると聞く。多
摩川の研究報告(とうきゅう環境浄化財団)によれば、この四谷橋の河原はそ
の典型を表しているそうだ。このような状況の継続によって植生に依存してい
る動植物も大きく変わると考えられている。鳥などの定着場所にも変化するで
あろう。

 府中四谷橋を過ぎて多摩川左岸堤防の「かぜの道を」歩くと五本松という道
のほとりに木陰をつくっている小さな松林に至る。松は、江戸から明治、大正
にかけて、水防林として多摩川堤防沿いに植林されてきたという。江戸からの
旅人はこの辺で甲州街道から多摩川べりに下り、木陰で一服し、川の土手に沿
って「渡」まで歩いたと伝えられている。

 松の由来は江戸時代の中頃、甲州の商人が旅の途中、病に逢い、四谷の村民
に助けられた。その後、甲州で財を成したこの商人は村民への恩がえしに、水
害にたびたび悩まされていた四谷村の堤防に、防災用の多くの松を植えたと伝
えられている。近代になって河川の改修で松はなくなった。のちに、この松を
たまたま所有していた近くの地主からの寄贈を受け、昔を偲ばせる記念樹とし
て保存されたものであり、五本松と呼ばれているという。その松も枯れて2本
しかない。よく見ると細い松も加わって5本にしてある。

 旧甲州街道はこの五本松あたりから日野橋の間には幾つかの「渡」があった
。旧甲州街道をつなぐ石田の渡、甲州街道以前からあった古い万願寺の渡(保
谷の渡)、日野の渡などである。いまの甲州街道は日野橋で渡っている。上流
にある日野橋はまだ遠いはずだが、周辺の広々とした平地の広がりのためか、
対岸方向にモノレールなどもすぐ近くに見える。

 石田橋を過ぎるとまもなく府中用水の取水ゲートに至る。用水はいまも水を
満たし、ゆっくり流れている。府中用水の由来を示した立札によると、はじめ
上水路として計画されたが、掘削の途中で「地形的な高低」にぶつかり放棄さ
れたと言う。のちに、それを上水から灌漑用水路に切り替えて造られた水路で
ある。この地形的な難所は、なにか重要なことを述べているように思えるので、
この辺りの地形を観察しながら日野橋方向に歩いた。水路や道は入り組んでい
て、多摩川に接近できないところも多い。


安富六郎
山崎農研会員 電子耕編集同人
yamazaki@yamazaki-i.org

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<編集後記> 子どもの本業は「遊び」である
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前回につづいて、教育学者の大田尭先生からうかがった話について書いてみた
い。

いま大人たちの失業が大きな社会問題になっているが、失業問題は子どもたち
にもあるんですよ、と言われてギョッとした。

子どもにとって本業は「遊び」です。あらゆる高等生物は「遊び」をもってい
て、その「遊び」のなかに、大人になるための要件が含まれています。人間で
あれば、大人になるためには、内発性(自発性・自主性)と社会性を獲得しな
くてはなりません。それも五感をもって。それなのに、遊ぶということが本来
の意味から離れてしまっているし、遊ぶための舞台、とりわけ自然という遊び
の舞台が奪われつつある。そういった意味で、子どもたちの多くが失業してい
るといえます――と大田先生は言うのだ。

大田先生の話から、哲学者の内山節さんがいう「稼ぎ」と「仕事」の違いを思
い出した。内山さんは、1年の半分を暮らす群馬県上野村での経験から、村人
たちが、現金収入をえるための「稼ぎ」と、村の暮らしをよくするための「仕
事」、このふたつの言葉を使い分けていることに気づいたという。子どもの側
に立ってみれば、たんなるお勉強(受験勉強)が「稼ぎ」であり、自発性を獲
得しまわりの人たちとコミュニケーションがとれるようになることが「仕事」
といえるのかもしれない。

ところでうちの子どもたちはどうか。親父に似てか「稼ぎ」のほうはあまり得
意ではないのは知っている。それでは「仕事」のほうは安心かというと、遊び
方にしても遊ぶための舞台にしてもいささかこころもとない。彼らは彼らなり
になんとかやっていると言えなくもないのだが… まずはこの週末、いっしょ
に体を動かすことにしようか。

2009年10月01日
山崎農業研究所会員・田口 均
yamazaki@yamazaki-i.org

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
山崎農業研究所編・発行/農山漁村文化協会発売
『自給再考――グローバリゼーションの次は何か』
(発売:2008/11 定価:1,575円 )
http://shop.ruralnet.or.jp/search_result.php?mode=detail&id=011701&b_no=01_4540082955
 たくさんの書評・紹介記事をいただいています。感謝・感謝です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎森川辰夫さん[new!]
 NPO法人 農と人とくらし研究センター/資料情報
 http://www.rircl.jp/shiryo.htm
◎日本農業新聞/書評
 (2009/01/19 評者:日本農業新聞編集委員 山田優)
 http://yamazaki-i.org/
 (画面トップの「書評はこちらから」よりアクセス下さい)
◎毎日新聞/今週の本棚・新刊(2008/12/21)
 http://mainichi.jp/enta/book/news/20081221ddm015070022000c.html
◎小谷敏さん(大妻女子大学)
 日本海新聞コラム「潮流」/「自給」の方へ(2009/01/31)
 http://blog.goo.ne.jp/binbin1956/e/c895f6619b30ba7725e264b4daa75219
◎白崎一裕さん((株)共に生きるために)
 月刊とちぎVネットボランティア情報vol.158/しみん文庫
 http://yamazaki-i.org/
 (画面トップの「書評はこちらから」よりアクセス下さい)
◎大内正伸さん(イラストレーター・ライター)
 ブログ:神流アトリエ日記(3)「書評『自給再考』」
 http://sun.ap.teacup.com/applet/tamarin/20081204/archive
◎塩見直紀さん(半農半X研究所、執筆者)
 ブログ:半農半Xという生き方~スローレボリューションでいこう!
 立国集。
 http://plaza.rakuten.co.jp/simpleandmission/diary/200812270000/
◎戎谷徹也さん(大地を守る会)
 ブログ:大地を守る会のエビちゃん日記 “あんしんはしんどい”
 「自給率」の前に、「自給」の意味を
 http://www.daichi.or.jp/blog/ebichan/2008/12/16/
◎吉田太郎さん(長野県農業大学校教授、執筆者)
 キューバ有機農業ブログ 自給再考の本が出ました
 http://pub.ne.jp/cubaorganic/?entry_id=1822182
◎関良基さん(拓殖大学政経学部)
 ブログ:代替案 書評:『自給再考 -グローバリゼーションの次は何か』
 http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/cb22650fa39384bdd22b61440fa81fa0
◎ブログ:本に溺れたい グローバリゼーションの次は何か
 http://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2009/01/post-841e.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎お願い「<読者の声>の投稿規定・メールの書き方」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1、件名(見出し)を必ず書いて下さい。「はじめまして」は省略して、言い
たいことを具体的に。
2、氏名・ハンドルネームは、文末ではなく始めのほうに。
3、1回1テーマ、10行位に。
4、ホームページを持っている人は、文末にURLを。
5、JIS X0208 規格外の文字(機種依存文字)のチェックを。
http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/networks/check/jisx0208.html
インターネットで使えない丸数字や半角カタカナ、括弧入り略号などは文字化
けの原因です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎投稿アドレス変更のお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
電子耕への投稿アドレスは、117号から発行人の変更に伴い、
yamazaki@yamazaki-i.org
となっております。投稿される方はこちらのアドレスにお願いします。
----------------------------------------------------------------------
次回  271号の締め切りは10月13日、発行は10月15日の予定です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★『メールマガジンの楽しみ方』発売中
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
書名:岩波アクティブ新書45『メールマガジンの楽しみ方』
著者:原田  勉  定価:735円  発行日:2002年10月4日
発行所:岩波書店  ISBN4-00-700045-X
まえがき・目次・著者紹介・注文方法はこちら
http://nazuna.com/tom/book.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<本誌記事の無断転載を禁じます>
**********************************************************************
隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」  第270号
最新号・バックナンバーの閲覧
http://archive.mag2.com/0000014872/index.html
http://nazuna.com/tom/denshico.html
購読申し込み/解除案内
http://www.yamazaki-i.org
2009.10.01(木)発行      山崎農業研究所&編集同人
mailto:yamazaki@yamazaki-i.org
****************************************ここまで『電子耕』************
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る