2009/06/01
Wing-Mag No.1563 報徳と積小為大 ~ 金次郎の原体験(伊勢雅臣)
■■■■■■■■■ JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■
報徳と積小為大 〜 金次郎の原体験
伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1563 ■ H21.06.01 ■ 9,185 部 ■■■■■■■
国際派日本人養成講座600号「二宮金次郎と『積小為大』」
では紙面の制約で、さわりしか紹介できなかった金次郎の思想
について、ここで補足しておこう。
金次郎の教えの三大徳目は、
勤労(よく働く)
分度(身分相応に暮らす)
推譲(世の中のために尽くす)
であると言われている。[1,p525]
これだけ聞くと、抽象的なお説教だが、その根底にある金次
郎の原体験まで掘り下げると、これらの徳目が実感を持って伝
わってくる。
金次郎の思想の原点は、17歳の時の次のような体験にある。
17歳の時田植えが終わった頃、村のあちこちに捨苗が
ころがっていた。田植えの後は余った苗が出る。捨てられ
た苗はもう誰の所有でもない。金次郎は捨て苗を拾い集め、
かつて用水堀として使われていた不用の古堀のあとを開墾
して水田を作り、捨苗を植え、除草をし、たんねんに育て
上げた。その結果、一俵(4斗1升、約60キロ)の米を
収穫できた。
わずかだがはじめて自分の努力で一俵の米を得たことに、
金次郎は深い喜びとともに大きな悟りに似たものを感得し
たのである。年少にして両親と田畑財産を失い一家離散の
憂き目を見た自分、世間的には最も不幸な境遇にあると思
われるわが身にも、こうして天と地と人の恩恵がある。村
人が捨てた苗があり、太陽を始め天の恵みと空地や水とい
う地の恵みにより一俵の米が得られてのであった。金次郎
はこの天と地と人の恵みを天と地と人の徳とよんでいる。
すべて人間は天と地と人の徳によって生かされているとい
う深い感動を伴った得難い体験であった。[2,p20]
「徳」とは、受け手から見れば「恵み」であり、与える側から
見れば「他者のための働き」というように解釈してよいだろう。
「報徳」とは金次郎の最大の理解者であった小田原藩主・大久
保忠真の「なんじの道は以徳報徳(徳を以て徳に報いる)に近
し」という言葉から来ている。
天・地・人・の徳(恵み)によって自分が生かされている事
に感謝し、それに報いるために徳をもってする、すなわち自分
の働きで世のため人のために尽くす、これが報徳の考え方であ
る。「推譲」とはまさに自らの働き(徳)をもって、天地人の
恵みに報いることである。
また消費は自分の稼ぎ(すなわち世の中への貢献)の範囲内
にする。消費よりも貢献が大きくてこそ、世の中のためになっ
ている。これが「分度」である。
また、上述の捨苗から一俵もの米がとれたことは、金次郎に
自然の道は「積小為大」であることを教えた。わずかな土地を
耕し、わずかな苗を植えることで、わずかな米がとれる。10
万石といえども、このささやかな農作業の積み重ねがなければ、
成り立たないのである。
小さな努力の積み重ねが大いなる結果を為す、この積小為大
の考え方が「勤労」の根底にある。それは「大を為す」ための
道である。
日本企業が人作りを重要視するのは、一人ひとりの働き(す
なわち「徳」)を引き出すためであるし、また細かな改善や現
場の創意工夫を重んじるのも「積小為大」の考え方からである。
我が国が世界有数の豊かな経済力を持つに至ったのも、金次
郎の示した「報徳」と「積小為大」の道が今も脈々と受け継が
れているからであろう。その先人の「徳」に、子孫たる我々が
どう報いるのか、が問われている。
■リンク■
a. JOG(600) 二宮金次郎と「積小為大」
二宮金次郎の農村復興事業が、日本人の勤勉な国民性を形成
した。
http://archive.mag2.com/0000000699/20090531000000000.html
■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
→アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。
1. 三戸岡道夫『二宮金次郎の一生』★★★、栄光出版社、H14
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/475410045X/japanontheg01-22%22
2. 岡田幹彦『二宮尊徳』★★★、日本政策研究センター、H20
http://www.seisaku-center.net/modules/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=85
-----------------------------------------------------------
購読申込・購読解除・既刊閲覧・:
まぐまぐ: http://www.mag2.com/m/0000013290.htm
Melma!: http://www.melma.com/mag/56/m00000256/
Mail: nihon@mvh.biglobe.ne.jp または本メールへの返信で
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogindex.htm
相互広告: 弊誌読者の参考になるメルマガとの相互広告歓迎。
------------------------------------------------------------



