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サキさん、58歳でアーリーリタイア、タイ北部の町チェンマイに移住しました。それから7年、 移り変わるチェンマイの日常を綴った生活記です。

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2007/12/31

サキさんのチェンマイ日記

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僕が料理をはじめてはや3年が過ぎました。

料理の指南はNHK の「今日の料理」という番組です。日本で放送されているため、
当然料理の材料は日本でしか手に入らないものがおおく、チェンマイではちょっ
と作ることが出来ないレシピも沢山あります。バンコクであれば、日本食の専門
スーパーがありなんとか食材はそろいますが、チェンマイではそういう訳にはい
きません。

家人は、そんなときは自分なりのアレンジをすればよいと言いますが、それでは
何にもならないと僕は考えています。

その理由は、自分流にアレンジしてしまうと、すべての料理が自分流の味になっ
てしまい、味の幅が狭まってしまうように感じるからです。いわゆる家庭の味と
いうものがあり、祖母から義母に、そして嫁にと受け継がれていく料理の味は、
それでまた一つの価値ある伝承だとは思いますが、そうなると嫁ぐ前の家の味が
消滅してしまうことになり、勿体ない話です。

それに、女性はちょっと僕には理解できないところがあり「家庭の味」にしてが、
自分を生まれ育ててくれた母親の味をすて、婚家の味を一生懸命にお覚え、やっ
とそのうちの一員になったなどと言って喜ぶ姿は僕には到底理解ができません。
どうしてそこまで自分を殺さなければならないかが不思議です。最も現在では核
家族化が進んでいるので、僕のこんな個人的な思いは今や形骸化してしまってい
ますが・・・・

レストランの味も同じです。シェフが親方から学び取り、工夫に工夫を加えて作
り出した味は、独特の個性を主張して客はその味を求めて出かけます。いわゆる
「おなじみさん」の誕生です。「おなじみさん」になっている店が沢山あること
は至福です。その店に行けばいつもおなじみの味にありつけるのですから。

家庭料理とは、考えてみればこの「おなじみさん」に似ていなくもありません。安
心して味わえる「おなじみさん」の料理はそれでいて価値あるものですが、発展
性がないような感じがします。発展性がないというよりは「おなじみさん」にな
っている店の数が1軒だけというのでは寂しい話です。創作料理という範疇はあ
るとは思いますが、つい自分の料理のレパートリーは限られてしまっていて、な
かなか種類を増やすのは大変です。

その点「今日の料理」は便利です。料理集も毎月チェンマイで手に入ります。最
も当月の半ばになってしまいますが、それは日本から遠隔地に住んでいるからし
方がないことです。

僕はあくまでレシピに忠実に料理を再現しようと努力します。そうすることで例
えばNHK「今日の料理」であれば火曜から金曜日まで登場する料理人の数だけ違
った味を堪能できる訳です。我が家の料理人(家人のこと)のように、創意工夫
に長けた人でも、作る料理に限界があり、それ以外は手を出しにくい物です。マ
ンネリになってしまっているというと失礼にあたるかもしれませんが、そういい
きれる部分もあります。

子供を育てている間は、時間的な制約や、経済的な面でそうこった料理ばかりを
作っている訳には行きません。そうしている間に時間が経過して、自分のレショ
ピが固定してそこから脱却できない主婦も沢山いると考えられます。

子供が独立して、夫婦2人の生活が始まったときこそが最高のチャンスです、新
しい料理に挑戦する。しかし、大半の主婦はその情熱を既になくしてしまってい
るという悲劇があります。毎日のメニューを考えるのも面倒とばかり、手近な材
料で、簡単に済ませてしまう傾向に陥りやすいのではと思います。これでは折角
の夫婦水入らずの生活が台無しです。

固定化された味に変革をもたらすのは、夫の手料理ではないかと常々考えていま
した。定年を迎えて時間がたっぷりある男に手料理事始めを強くお勧めします。
はじめはぎこちない手つきでも、2、3年も続けているうちに結構様になってき
て、それを食べる家人も新鮮なレシピと遭遇してフレッシュになる、男の手料理
は夫婦円満の秘訣ではないかと最近思うようになりました。

家人はNHKの「今日の料理」は基本的なものをリピートしているだけで面白くな
いとは言いますが、料理初心者にとっては要領よく料理のこつを教えてくれる福
音です。

それにインターネットを活用する手もあります。そこにはいろいろの人が数多く
のレシピを紹介しています。「オレンジページ」なども愛読しています。

チェンマイでは、タイ料理意外の本物を味わうことは不可能です。ステーキなど
はホテルでという方法はありますが、これも毎度と言うわけにはいかず、日本料
理となると全くのお手上げです。バンコク時代は、時々出てくる家人と本格的に
すしなど堪能しましたが、今ではバンコクは足が遠のいてしまっています。山国
で新鮮な魚を手に入れることはちょっと至難の業です。
だから男の手料理が生きてきます。野菜は再三紹介している平田農園の無農薬野
菜を使っています。季節が清涼になった今は、各種野菜が豊富にとれるようで、
朝のサラダは毎日の楽しみです。

趣味が高じて、裏庭に家庭菜園を始めることにしました。今までは敷石に苔を生
やして楽しんでいましたが、平田さんの指導のもと自分で野菜を育て見ることに
しました。実は日本に住んでいた30年くらい前にも家庭菜園の経験があります。
1坪くらいの大きさでしたが河原から土壌を運んで作ったこの菜園は優れ物で、
いろいろな野菜が豊富に取れました。ここで味わった春菊の天ぷらなど、家人の
両親も驚くほどのおいしさで、2人はこの家庭菜園を楽しみに東京都心から、埼
玉の僕の家に足しげく通ってきたものです。近くに野菜の苗を扱う農家があった
ことが幸いしました。

今回は平田さんの協力を得ました。彼は発酵土壌を作り普及に尽力しています。
裏庭の敷石をはがし、そこに発酵土壌を入れました。1坪ほどの菜園に現在植わ
っている野菜は、細ネギ、三つ葉、ホワイトバジル、大葉、トマト、なす、キュ
ウリ、それに家人が隣人からもらった菊花茶用の菊の花です。

チェンマイで日本の野菜を育てるのは結構難しいと言います。強烈な太陽の光を
どうコントロールするかに工夫が必要です。ネットを張ったり、害虫よけのビニ
ールを張り巡らしたりする大変な作業がこれから待ち受けているようです。しか
し、そこは退職後の身、時間だけはたっぷりとあります。

チェンマイで大葉を育てるには夜間の照明が必要だということで、先日電球を取
り付けました。昼間は強烈な太陽が野菜にダメージを与えかねないので、気候の
いい今の時期、夜間に野菜の生長を促す方法のようです。

自分の裏庭で取れた野菜を、ちょっとサラダに加え自分で料理して味わう。あさ
の食事の楽しみが何倍にも大きくなります。当地では野菜の生長は驚くほど早い
と言います。自分の植えた野菜の苗が日ごとに大きく成長し、収穫が始まるのを
一日千秋の気分で待つのもわくわくするものです。今年の暮れは、日々好日の毎
日です。


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■「サキさんのチェンマイ日記」

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