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2008/06/10

「日本史なんて怖くない」安保改定問題

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 「日本史なんて怖くない」 2008年06月10日発行 第 862号

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■ 今回の内容 ■
┃安保改定問題
┃本日のノート
○岸信介内閣の政策←石橋湛山内閣が総辞職
 ・教員の勤務協定実施(1958)→日教組の反対闘争
 ・警職法改正案提出(1958)→改正断念

 ・安保改定問題
  ・日米新安保条約調印(1960)
     アメリカの日本防衛義務の明確化、在日米軍の行動の事前協議制
  ・60年安保闘争
     保守派(賛成)と革新勢力(反対)の対立→革新勢力が反対運動
     全学連などが国会を取り囲む
     条約批准を自民党のみで強行採決(1660.5.19)
     全学連国会乱入事件(1960.6.15)
     自然承認(1960.6.19)…参議院で審議しないまま
                 岸内閣退陣
  ・社会党内の対立→民主社会党結成(1960、西尾末広委員長)


┃文章
 日ソ国交回復、国連加盟を実現させた鳩山一郎は内閣を総辞職し、政界から
も身を引いた。その後を継いだ石橋湛山{たんざん}は、自身の病気で内閣総
辞職した。そして、1957年2月、前内閣外務大臣の岸信介{のぶすけ}が、全
閣僚を留任させて内閣を組織した。

 岸内閣は、日本教職員組合(日教組)を押さえ込むため、1958年から教員の
勤務評定を全面的に実施したことで、日教組の反対闘争が激化した。また、同
年、警察官職務執行法(警職法)の改正案を国会に提出した。内閣は安保改定
に伴う混乱を予測して、警察官の権限を強化するために提出したが、改正が国
民の集会・デモ・言論の自由を大きく制限するものだったため、週刊誌や新聞
が「デートも邪魔する警職法」「オイコラ警察の復活」などと書き立て、国民
や革新勢力に間に改正反対の気運が盛り上がり改正を断念した。

 日本は独立後、ほぼ一貫して自由主義陣営の一員として、アメリカの外交に
同調し続けてきた。岸内閣の当面の外交課題は、日米安全保障条約の改定だっ
た。その背景は、期限が不明確で、アメリカ軍の日本防衛義務がないなど、現
行条約の不備を正すことと、経済力や軍事力が向上し、1957年10月に安全保障
理事会の非常任理事国に初当選するなど、日本の地位が向上したことが挙げら
れる。日本国内では、基地反対闘争をきっかけに、国民の反安保・反行政協定
感情に対する危機感もあった。

 最初はアメリカは改定に消極的だったが、国際情勢<注1>を判断して方針
を転換した。1958年10月、アメリカのリードで交渉が始まった。アメリカは世
界戦略の修正を迫られていたが、海外にある米軍基地を維持した上で、各国の
自主防衛体制に移行させようとした。そして、1960年1月、ワシントンで日米
相互協力及び安全保障条約(日米新安保条約)が調印された。

  <注1>ソ連の大陸間弾道ミサイル開発と人工衛星スプートニクの打ち上
      げ、蒋介石の大陸反抗の挫折、フランスの独自路線によるNAT
      Oの動揺

 ●新安保条約(日本外交主要文書・年表)
   締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又
  は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつで
  も、いずれか一方の締約国の要請により協議する。(第4条)

   各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対
  する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認
  め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行
  動することを宣言する。…(第5条)

   日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持
  に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国に
  おいて施設及び区域を使用することを許される。(第6条)

 条約の内容は、アメリカの日本防衛義務を明確化し、在日米軍の行動の事前
協議制を導入した。相互の防衛力強化と経済協力の促進も盛り込まれ、有効期
間は10年とした。しかし、日本の領土内で米軍への攻撃も含めた共同防衛義務
を負い、範囲不明の極東条項で米軍が起こした紛争に巻き込まれる可能性があ
った。また、発議の主導権をアメリカが持ち、拒否の可能性に乏しい事前協議
制も問題点である。

 この改定で、日米協力の強化促進を主張する保守派と、アメリカの世界戦略
への危険性を主張する革新勢力が激しく対立した。革新勢力は改定に反対し、
社会・共産両党を中心に134団体が安保改定阻止国民会議を結成して反対運動
を展開した。安保改定に反対する動きは、1960年1月までは低調だった。4月
26日の国会請願デモ以降、国会は連日、全学連(全日本学生自治会総連合)な
どのデモ隊に取り囲まれることになった。そして、5月19日、岸内閣は警官隊
500人を投入して、自民党のみで条約批准を強行採決した。この後、反対運動
は大規模となった。60年安保闘争である。

 6月10日、アメリカ大統領アイゼンハワーの訪日準備のために来日した秘書
のハガチーがデモ隊に包囲され、ヘリで脱出する事件が起こった。ハガチーは
翌日離日し、アイゼンハワーの訪日は中止された。15日、デモ隊が国会に乱入
し、東京大学生の樺美智子{かんばみちこ}が死亡した。全学連国会乱入事件
である。19日、参議院で審議をしないまま、日米新安保条約は自然承認<注2
>された。政府調べで安保闘争関連の集会・デモは6300か所で行なわれ、延べ
459万人が参加した。岸総理大臣は、自然承認の2日後、新安保条約が発効し
た日に退陣を表明した。

  <注2>衆議院の優越で、参議院が一定期間に結論を出さない場合は衆議
      院の議決が優先されることが、憲法61条に記されている。条約締
      結の場合の一定期間は、国会休会中を除いて30日以内である。

 安保闘争の最中、新安保条約をめぐって社会党内部で対立が生じた。1959年
10月、社会党右派の西尾末広{すえひろ}グループが安保条約改定問題に反発
して離脱し、1960年1月に民主社会党<注3>を結成した。初代委員長は西尾
末広<注4>が就任した。自民党の単独政権が続く中、野党の多党化の第一歩
となった。

  <注3>1969年に民社党と改称。結党時が最大勢力、その後は勢力を盛り
      返すことが出来なかった。1994年に解党して大部分は新進党に、
      新進党解党後は小政党を作ったが、1997年に民主党に加わった。
  <注4>片山哲内閣の国務大臣兼内閣官房長官。芦田均内閣の国務大臣兼
      副総理。昭電疑獄事件で逮捕されたが無罪となる。


■ コーヒー・ブレイク ■
┃お便りいただきました。
<引用部分>
<注3>適用例は余りない。1961年の三無{さんむ}事件が初適用。

とありますが、「三無」と書いて(無は有の意味だから)「さんゆう(じけ
ん)」としてある記事が散見されます。ネット上の話で申し訳ないのですが、
また入試などで読み方が出題されることもないでしょうが(そもそも試験に出
るようなことだろうか?)、気になったもので。よろしくご教示ください。

<引用部分>

 第860号の「吉田長期政権」の回です。読みは出ないと思います。検索する
と、「『さんゆう』=三無事件、『さんむ』=三無主義」と出てくるケースが
多いです。

 ウィキペティアには、「『三無』は無税・無失業・無戦争の3つの“無し”
から取られたもので、老子の『無は有に転ず』から“さんむ”ではなく“さん
ゆう”と呼ばれていたという。」と説明があります。どちらがいいのかはよく
分かりませんが、『さんゆう』の方が良さそうです。


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 内容は、「保守長期政権の誕生」です。
 「その時歴史が動いた」は、「北方探検 異境の大地を踏破せよ
                   〜間宮林蔵・執念の旅路〜」です。

最後にひとこと:やっと衣替えが終わりました。

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