[聖書を読んでみよう 士師記04]
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______ __ __ __ 聖書を読んでみよう
| __ |__| |--| |-----. 旧約聖書第7巻「士師記」
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|______/__|_____|__|_____| 第4回 オテニエル、エフド、シャムガル(3章7〜31)
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■■■■■ カレブの甥オテニエル(3章7〜11) ■■■■■
今回から、士師ひとりひとりとその時代を見ていきます。
まずはじめに登場するのはユダ族のオテニエル。士師記1章にも登場した、ヨ
シュアの相棒カレブの甥で、戦功により一族の実力者カレブの娘を得た男で
す。(*1)
オテニエルという名は「神の獅子」の意味。神の獅子が士師になったという
のはダジャレのようですが。
イスラエルがヤハウェを離れ、バアル神やアシェラ神に仕えるようになると、
その不誠実のゆえにヤハウェはイスラエルを「アラム・ナハライムの王クシャ
ン・リシュアタイム」(*2)の手に売り渡されたと記録されています。
これによりイスラエルは、8年にわたってクシャン・リシュアタイムに支配さ
れました。
そこでイスラエルがヤハウェに助けを求めて叫ぶと、[主【ヤハウェ】はイ
スラエルの人々のために一人の救助者を立て、彼らを救われた。]と記録さ
れています。
その救助者こそオトニエルでした。この「救助者」という言葉は、イザヤ書
43章3では神自身を指して「救い主」と訳されているのと同じ言葉で、[主
【ヤハウェ】の霊が彼(オトニエル)の上に臨み]という記録とあわせて、
ヤハウェ自身がイスラエルを救うために彼を用いたのであって決して英雄が
自分の能力で活躍したのではないことを聖書は証言しているようです。
ヤハウェの霊がかたわらに立つと、オトニエルは士師としてイスラエルを裁
き、彼が戦いに出るとヤハウェがクシャン・リシュアタイムを彼の手に渡し
たと記録されています。
ただし、オトニエルがクシャン・リシュアタイムを[抑えることができた]
としか書かれていません。滅ぼしたわけでも「約束の地」から追い払うこと
ができたわけでもないようです。
ヤハウェが、異民族をもう一人も追い払わないと言ったことによるのでしょ
うか(*3)。しかしともかく、オトニエルが士師としてイスラエルを裁いた40
年、彼が死ぬまでの間は、イスラエルは平穏であったと記録されています。(*4)
■■■■■ 左利きのエフド(3章12〜30) ■■■■■
第二の士師は、ベニヤミン族のエフド。名前の意味は「私は賛美する」です。
イスラエルが、[またも主【ヤハウェ】の目に悪とされることを行った。]
と記録されています。(*5)
この契約違反にヤハウェは、今度はモアブの王エグロンによってイスラエル
を圧迫しました。エグロンはアンモン人とアマレク人を集め、イスラエルを
破って、「なつめやしの町」と呼ばれたエリコを占領しました。
モアブ人もアンモン人も、アブラハムの甥ロトの子孫です(*6)。かつてイス
ラエルがエジプトを脱出してカナンに入ろうとした時、ヤハウェは、モアブ
人の地はロトの子孫に与えたものだとして手出しを禁じました。そのロトの
子孫によってイスラエルを圧迫し、イスラエルが労せずに陥落させたエリコ
の占領を許したのは、イスラエルにとっては大いなる皮肉というべきか、そ
れくらいヤハウェは怒っているのだというべきか。
結局、イスラエルは18年にわたって、モアブの王エグロンの支配を受けまし
た。
その時イスラエルの叫びを聞いたヤハウェが立てた救助者が、「左利きのエ
フド」でした。
彼の二つ名は、もちろんカッコイイというだけで記録されているのではなく、
左利きであったためにイスラエルを救ったのです。
彼はみつぎ物をエグロンのもとに運んだ時に策略をもって王と二人きりにな
ると、右腰から刃渡り約45cmの剣(*7)を抜いてエグロンを倒したのです。
右利きの人であれば、剣は左腰に帯びます。おそらくエフドは、剣を右腰に
隠し持つことでボディチェックをくぐり抜け、いざ事に及ぶ時に利き手であ
る左手で剣を抜き放ったのでしょう。
王エグロンの死によりモアブ人、アンモン人、アマレク人の寄り合い所帯が
混乱する間に、エフドは角笛を吹き鳴らしてイスラエルを集めました。そし
てヨルダン川の渡し場を確保して敵の退路を絶つと、[皆たくましい兵士た
ち]であったモアブ軍約1万人をすべて打ち殺し一人も逃がしませんでした。
その後、イスラエルは80年にわたって平穏だったと記録されています。
■■■■■ 牛飼いシャムガル(3章31) ■■■■■
第三の士師シャムガルについては、聖書は一文しか記録していません。[エ
フドの後、アナトの子シャムガルが現れ、牛追いの棒でペリシテ人六百人を
打ち殺した。彼もイスラエルを救った。]とあるだけです。
シャムガルという名もヘブライ語ではなく、どの部族の出身かもわかりませ
ん。(*8)
しかも次に登場する第四の士師の記録は「エフドのあと」と始まりますから、
存在感のウスいこと。ただしその第四の士師であるデボラがシャムガルのこ
とも歌に歌っていますので、人数あわせのためにあとから創作されたという
ことではないと思いますが(創作されたなら、もっとはっきりした出自を考
えるのではないかと)
何者かよくわかりませんが、しかしペリシテ人を600人も打ち殺したというの
は、そうとうのものです。
前号でも少し触れましたが、ペリシテは強力な民族です。出エジプトの時も
[神は彼らをペリシテ街道には導かれなかった。それは近道であったが、民
が戦わねばならぬことを知って後悔し、エジプトに帰ろうとするかもしれな
い、と思われたからである。]とヤハウェが配慮する必要があったほど。(*9)
紀元前12世紀にエジプトに侵入した「海の民」がペリシテ人だとすると、そ
の時は撃退されたとはいえ相当の軍事的実力を持つ民でしょう。それを600人
も倒したシャムガルは、後に登場する剛力無双の士師サムソンと並ぶ豪傑と
言ってよいでしょう。
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*1 オトニエルは、カレブの弟ケナズの子。ユダ族が戦う際にカレブが「キ
ルヤト・セフェルを撃ち破って占領した者には、娘アクサを妻として与える」
(1章12)と宣言しましたが、このオトニエルが功によりアクサを獲得しまし
た。⇒ http://www.nunochu.com/bible/07_judges/jdg02.html
*2 リシュアタイムは「二重の悪」との意と考えられるので本名ではないでしょ
う。アラム・ナハライムもどこを指すのかよくわかっていません(普通はメソ
ポタミア北部を指し、口語訳でも「メソポタミヤの王」としていましたが、そ
れでは遠すぎるように思われます)
*3 士師記2章20以下。⇒ http://www.nunochu.com/bible/07_judges/jdg03.html
*4 士師記の第1回で基礎知識にも書きましたが、士師記に出てくる年数の記
述を単純に足すことには無理があります。士師記は「年代記」というよりも、
歴史にあらわれたヤハウェについて記す「預言書」なのです。
オトニエルが治めた40年というのも、実際に40年だった可能性もありますが、
概数として「おおむね一世代」ということを表している可能性もあります。
*5 新共同訳では省略していますが、新改訳では底本の語順により近く「そ
うすると、」でこの段落を始めています。しかし、たとえば出エジプト記の
冒頭が「そしてこれらは」だったり、民数記の冒頭が「そして彼らは」だっ
たりするのと同様、これはヘブライの文書の文化なので、接続詞として訳す
必要が本当にあるかは疑問に感じます。
というわけで士師記3章12も、これがオトニエルの死の直後におこったことな
のかはわからないのですが、本誌では便宜上、記録されている事柄の順序は
実際にあったとおりであると仮定して読み進めることにします。
*6 創世記19章36〜38。⇒ http://www.nunochu.com/bible/01_genesis/gen27.html
*7 新共同訳では「1ゴメド」。この単位は調べられませんでしたが、新改訳
や口語訳では「1キュビト」でこれは約44.5cmです。
*8 ■シャムガルという名は、フルリ語に由来するとすれば「シミグ(神)
が賜った」の意味となるそうです(だとすると、なぜにフルリ語?外国人だっ
たわけではないと思うのだけど)。
士師記に記録されている士師は12人。これが12部族からそれぞれ出ていると
すると、シャムガルはアシェル族と推定することもできます。(ユダ族から
2人、シメオン族から0人ですが、シメオン族はユダ族に吸収されていったと
考えられています)。「12人」が常に12部族を指すわけではありませんので
(キリストの12弟子も12部族から一人ずつというわけではなかったし)、「ア
シェル族、かも?」くらいの話しです。
*9 出エジプト記13章17 ⇒ http://www.nunochu.com/bible/02_exodus/exo12.html
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[〜]は聖書の引用です。本誌では特にことわりのない場合、新共同訳聖書
から引用しています。
(c)共同訳聖書実行委員会
Executive Committee of The Common Bible Translation
(c)日本聖書協会
Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988
ただし以下に限り、筆者が手を加えていますので、あらかじめ御承知おきく
ださい。
新共同訳聖書の旧約で「主」と書かれている箇所は適宜、読み方を添え
て「主【ヤハウェ】」と表記しています。
誤読を招きやすいと思われる漢字は、次の例のように平仮名で表記する
場合があります。
僕→しもべ
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