[聖書を読んでみよう ヨシュア記16]
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| __ |__| |--| |-----. 聖書を読んでみよう
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|______/__|_____|__|_____| ヨシュア記 第16回
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第四部:ヨシュアの最後
■■■■■ 契約の更新(24章1〜28) ■■■■■
現在のパレスティナ地方のほぼ中央、エルサレムからまっすぐ北にいったと
ころに、シケムという町がありました。
アブラハムが故郷を離れてカナンに入ったとき、最初にヤハウェのための祭
壇を築いたところです。(*1)
エサウから逃げたヤコブが故郷に帰ってきたとき、やはりヤハウェに祭壇を
築きそれを「エル・エロヘ・イエスラエル(イスラエルの神である神)」と
名づけたところでもあります(*2)。
そのシケムに、ヨシュアは最後に全イスラエルを呼び集め、これまでヤハウェ
がイスラエルのために何をしてきたかを説き起こしました。
モーセもそうでしたが、ヤハウェとの契約関係について語られるときはまず
「ヤハウェが何をしたか」が語られます。「信仰せよ、そうすれば御利益が
ある」ではなく、「すでにヤハウェから与えられた御利益を思い出せ、そし
て信仰せよ」という順序なのです。
ヨシュアを通してのヤハウェの語りかけは、ヤハウェがアブラハム(当時の
名はアブラム)を選び出したことから始まりました。その頃はアブラハムも
メソポタミアで異教の神々を礼拝していたのを、ヤハウェが選び出して召し
上げたのです。さらにヨシュアは、その後のエジプトへの移住とそこからの
救出、ヨルダン川に至るまでの戦いや、エリコ以降の「約束の地獲得」のた
めの戦いと、イスラエル民族の重大事件を思い起こさせていきました。
その上でヨシュアは、イスラエルに今日この場での二者択一を迫りました。
ヤハウェに仕え、先祖がメソポタミアやエジプトで仕えていた神々を離れる
ことを選ぶか。
あるいはヤハウェに仕えたくないなら、メソポタミアやエジプトの神々、あ
るいはこのカナンにいる部族の神々でも、仕えたいと思うものを選ぶのか。
それを[今日、自分で選びなさい]というのです。
ヨシュアはイスラエルの民のどの一人に対しても、何も強制していません。
ただし、自分の立場を明らかにすることによって、民に対して信仰を証言し
ました。[ただし、わたしとわたしの家は主【ヤハウェ】に仕えます。」と。
もちろん民は、ヤハウェがしたことの一つ一つのゆえに[わたしたちも主
【ヤハウェ】に仕えます。この方こそ、わたしたちの神です。]と答えまし
た。
ところがこれに対し、ヨシュアは奇妙な応答をします。[あなたたちは主
【ヤハウェ】に仕えることができないであろう。]というのです。なぜなら
ヤハウェは「聖なる神」であり「熱情の神」だからだ、と。
「熱情の神」は、別の訳では「ねたむ神」と表現されています。どちらが原
語のニュアンスに近いか筆者にはわかりませんが、「ねたむ神」というのは
一神教の神の「二君に仕える」ことを許容しない性格を的確に表現するもの
だと思います。つまり「ヤハウェに仕えながら異教の神々とも付き合ってい
く」とか、「聖なる神に仕えながら堕落した生活をする」というのは、二人
の君主に同時に仕えようとするようなもので、そのような不忠にはヤハウェ
は怒りを向けるのだ、とヨシュアは言っているのです。「だから他の神を選
ぶなら今日選べ」というわけですね。
これに対し民は[いいえ、私たちは主【ヤハウェ】を礼拝します。]と答え
ます。そして、ヨシュアが「あなたたちがヤハウェを選び仕えるということ
の証人は、あなたたち自身だ」というと、そのとおりだと答えたのです。
さらにヨシュアが「それでは、あたたたちのもとにある外国の神々を取り除
け」と外面の行動を求め、「イスラエルの神、主【ヤハウェ】に心を傾けな
さい。」と内面も忠実であることを求めると、民は[わたしたちの神、主
【ヤハウェ】にわたしたちは仕え、その声に聞き従います。]と答えたので
す。
民のこの信仰宣言を聞いて、その日に[ヨシュアはシケムで民と契約を結び、
彼らのためにおきてと法とを定めた。]と記録されています。あれ?契約を
結ぶのは「ヤハウェとイスラエル」なのでは?
ひとつの考え方として、シナイ山での契約のときのモーセの役割をなぞるも
のではと思われます。あの時、モーセだけがヤハウェに近づける者だったの
で、ヤハウェはモーセに法を語り、その法をモーセが民のところに戻って読
み聞かせ、民はモーセに向かって「わたしたちは、主が語られた言葉をすべ
て行います」と答えるという順で契約が締結されました(*3)。それと同じよ
うに、この場面のヨシュアはイスラエルの民と神ヤハウェとの間を仲介する
役割だったのではないかと思われます。
こうしてあらためて契約が結ばれたあと、ヨシュアはこの契約の証拠として、
大きな石を据えました。世代が移ろい、この契約に関して「自分自身が証人」
と言った人々がいなくなっても、この石が証拠として残るのです(後の時代、
士師記9章6で「シケムの石柱」という言及がでてきます。)
■■■■■ おまけ ■■■■■
ヨシュアの問いに答えて、イスラエルは「ヤハウェを捨てて、ほかの神々に
仕えることなど、するはずがありません。」「わたしたちもヤハウェに仕え
ます。」「わたしたちはヤハウェを礼拝します」「わたしたちが(自分たち
の信仰表明の)証人です」「わたしたちの神、ヤハウェにわたしたちは仕え、
その声に聞き従います。」と繰り返して信仰を表明しました。
筆者はこのことが、ペトロの3度の信仰表明に重なるように思えます。
十字架の死ののちによみがえったイエスは、弟子のペトロに「わたしを愛す
るか」と問い、ペトロは「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、
あなたがご存じです」と答え、このやりとりが3度繰り返された記録のことで
す(*4)。
実はペトロは、イエスが十字架にかかる前に3度イエスを裏切っていたのです
が(*5)、イエスがペトロに信仰表明を3度させたことは、ペトロの3度の裏切
りという事実を消す機会を与えるものだったのではないかとも言われていま
す。
イスラエルもここまで何度も何度を裏切ってきました。そんなイスラエルが、
神ヤハウェに対して信仰を表明する機会を与えられた、しかもその場の空気
でというか「ついノリで」というのではなく、繰り返して何度も、という記
録なのではないかと思うのです。
あるいはもしかしたら、イエスは(旧約)聖書からの引用が常に適切でした
し、同じ名前を持つヨシュア(ギリシャ語の「イエス」はヘブライ語の「ヨ
シュア」と発音違いなだけ)のやり方がイエスのやり方の雛形となっている
のかもしれません。
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*1 創世記12章1〜7。http://www.nunochu.com/bible/01_genesis/gen18.html
*2 創世記33章18〜20。http://www.nunochu.com/bible/01_genesis/gen43.html
*3 出エジプト記24章2〜8。http://www.nunochu.com/bible/02_exodus/exo25.html
*4 ヨハネによる福音書21章14〜17。
*5 ルカによる福音書22章54〜62。
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[〜]は聖書の引用です。本誌では特にことわりのない場合、新共同訳聖書
から引用しています。
(c)共同訳聖書実行委員会
Executive Committee of The Common Bible Translation
(c)日本聖書協会
Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988
ただし以下に限り、筆者が手を加えていますので、あらかじめ御承知おきく
ださい。
新共同訳聖書の旧約で「主」と書かれている箇所は適宜、読み方を添え
て「主【ヤハウェ】」と表記しています。
誤読を招きやすいと思われる漢字は、次の例のように平仮名で表記する
場合があります。
僕→しもべ
詩歌や預言などで改行されている箇所を、次の例のように1行で記す場合
があります。
死の陰の谷を行くときも
わたしは災いを恐れない。
↓
死の陰の谷を行くときも/わたしは災いを恐れない。
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