2009/10/29
日刊デジクリ[#2733] 講演、パネルディスカッション、その準備
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【日刊デジタルクリエイターズ】 No.2733 2009/10/29.Thu.14:00.発行 http://www.dgcr.com/ 1998/04/13創刊 前号の発行部数 13665部 情報提供・投稿・広告の御相談はこちらまで mailto:info@dgcr.com 登録・解除・変更・FAQはこちら http://www.dgcr.com/regist/index.html ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 《関西では「質問がない=つまらなかった」ということです》 ■電網悠語:日々の想い[136] 講演、パネルディスカッション、その準備 三井英樹 ■ショート・ストーリーのKUNI[68] ふたつの耳 ヤマシタクニコ ■ローマでMANGA[22] 正面から向かう人、斜向きで向かう人 midori ■イベント案内 クリエイターに会いたい人・クライアントに会いたい人 総勢99人大集合 「大プレゼン大会」その2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■電網悠語:日々の想い[136] 講演、パネルディスカッション、その準備 三井英樹 < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20091029140400.html > ─────────────────────────────────── ただただ暑苦しいプレゼンをするしか能がないのだが、身に余る場に呼ばれて 話してくれと言われることがたまにある。ここ数年、話す内容に余り変化がな く、それなりに資料は溜まっているので、準備は楽といえば楽。けれど、使っ ている絵にしても、挿入する情報にしても、微調整はかけている。 でも、伝えたいことに余り変化はない。現場の話。ただそれだけ。高邁な話を する訳でも、高尚な理論を披露する訳でもない。当たり前の開発者同士が、ど んな風に疲弊して、どんなことを考えれば、何かを変えられるはず。そんな話 をしている。 登壇している実時間分の練習はまずできない。申し訳ないが、3時間のコマを 与えられても、練習に費やす時間は20分が限度か。目の前に人がいないと集中 力がそれ以上持続しない。資料作成には相変わらず時間をかけるようにしてい るが、時々は過去分の「編集」だけで済ませられるようにもなってきた。蓄積 も力なり。 資料作成の最初は、「外枠」作り。呼んでくれたカンファレンスやセミナーの 名前やロゴを使って、パッと見でどこでやったプレゼンかが分かるようにする。 この「形」作りがないと、没頭できない。まず形から入るのは、必ず右足から 風呂に入るのに似ている。なんだかそこが決まらないと落ち着かない。 だから、カンファレンス名がしっかりしてなかったり(恒例だったりして、ど こまでがメインでどこまでがサブか不明のものは結構多い)、セッションIDが 残念なもの(例「パ01」とか無味無臭すぎなもの)だと、途端にテンションが 堕ちる。で、1時間程うだうだして、気を取り直して作り出して、朝を迎える のが通例。そして、更に行きの電車の中で1ページ位は足してしまう。 足してしまうのは、時間の読みが甘いからだが、参加者の情報が全くないか、 沢山あるときに、色々と盛り込む傾向がある。情報があると色々とサービス精 神がモゾモゾし、足りないと仮想敵国(敵ではないが)への攻略法をここかし こへと備えてしまう。 だから、来てくれる層の情報をくれるところとはやりやすい。会場の様子を事 前に色々と教えてくれるのも嬉しい。広いところではどこまで歩き回れるのか、 狭いところでは白板が使えるのか、プロジェクタはどこまで大きいか、拡大し て見せるためにはどうすれば充分か。同じテーマで話すことが多いので、話し たいことにブレがない分、環境や客層に気が向く。そうした配慮というか準備 が不足しているイベント屋さんと組むと、結構不機嫌な顔をしているようだ。 ■ ツールは、IllustratorでPDFを作成し、それをInDesignで組み上げる。PDFは 単体で使い回せるし、Illustratorがない人にも配布できる。再構成する際に もリンクを変えるだけなので、比較的楽である。でも、PowerPointで同じよう なものを作るのに比べ三倍ほどの時間をかけていると思う。その理由は、プレ ゼン中に拡大できるから。その一点に尽きる。ベクトルで作っている限り目一 杯拡大してもぼけない。気持ちがいい。Flashに惹かれたのもここからだった。 ビットマップ系の、拡大するほどピンボケ化する画像に感動を感じない。 PowerPoint2010がトランジションなどをApple Keynote風にできるようだけれ ど、実のところそんな表層系よりも、如何に内容を的確に伝えられるか、とい う役立つ機能をもっと充実させて欲しい。拡大縮小もそうだし、目次作成機能 もそうだし、現場で使えるスライドマスタをデフォルト(標準状態)にするの もそうだろう。 物事を分かり易く伝えるには、俯瞰図を見せてそこから絞り込むという方法が 気に入っている。通常倍率で一旦見せて、ドリルダウンして説明を加える。随 所にキーとなる話題を隠し持っておき、客層やテーマによって文脈を切り替え られる点も、詳細に描き込んだものを一枚用意して拡大縮小を繰り返す方法の 長所だろう。 拡大縮小を繰り返す以上、最大化してPDFを使うことができない。AdobeはPDF を紙の代わりと思っているようだけれど、そもそもの「紙」の概念が変わって きているように思う。そしてそうした用途の変遷を考えると、今のユーザーイ ンターフェース(UI)はかなりミスマッチであり、操作性に欠ける。そもそも アイコンにセンスが感じられない。 ■ まぁ口を開けばそんな文句ばかりなのだが、使い続けている。代替品がないの がその理由でもあるけれど、馬鹿な子ほど可愛いという面も否定できない。そ んなツールを時によっては使い分け、講演の場に呼ばれたら、基本的にお断り することなく日程調整する。そして毎回何かを学ばされる。 先日は、PowerPoint、PDF、Keynoteという三種のツール競演でのパネルディス カッション。実は、綿密な打ち合わせなしで演るのが一番難しいのが、パネル。 誰かの独演会になっても駄目だし、三者三様でもイマイチ、筋書きありきも興 を削ぐ。共通のテーマに登壇者全てが絡んでこそ、聴いている側にとっては面 白い。実は東京でやったものの京都での「再演」という形ではあったが、出演 者にとってはかなりのリターンマッチ感。東京場所が失敗とは言えないが、も う少し打つ手があった。そんな反省を各自が随所でしていて、しかも何が飛び 出すかの事前打合せはかなり軽めで臨む。 別に相手を打ち負かすような内容のものではないのに、キチンと聴衆に届けた いという静かな闘志がひしひしと伝わってくる緊張感のある舞台(長テーブル だけだったが)。理論、現時点、少し未来。三人がそれぞれの軸足を定かにし て、聴衆に語りかける。なんと三人が三人とも、お隣が話している間に、自作 プレゼンにその場で何かを足して、話を進めた。 有線LANが一本しか与えられなかったが、私がAirMacを持って行っていたので、 ネット上の情報も自由に差し込みながらのライブトーク。誰かが引用している ものを、誰かが検索して入手している。久々に楽しい時間でした。 最後の質問の時間でも、誰も手を挙げてくれないので刺激してみた。「スタッ フから『東京では質問がないのは当たり前だが、関西では質問がない=つまら なかった、ということです』と言われてます、何かお願いします」。会場から クスクスと笑いが漏れ、一人が手を挙げてくれた。 でも発せられた言葉は質問ではなく、コメント。他のセッションではなく、こ こを選んでよかったという賛辞。彼女が受け取った内容を要約し、今後の展望 まで含まれていた。報われた感が込みあげてくる。やってよかった。いつもは アンケートという紙の形で批評に触れる。知人がいても遠慮して真実なんて語 ってくれない。フェアな感想が紙ではなく、耳で聴けるなんてレアで幸せな体 験なんだろう。 こういったライブ感がプレゼンへの意欲を刺激するのだろう。「スーパーエン ジニアへの道」で、ワインバーグは「学びたければ教える立場に就け」と言っ ている。まさに語る側が多くを得た感が残る。精進精進。 ▼mitmix@Amazon-スーパーエンジニアへの道─技術リーダーシップの人間学 < http://astore.amazon.co.jp/milkage-22/detail/4320025636 > 【みつい・ひでき】感想などはmit_dgcr(a)yahoo.co.jpまで ・mitmix< http://www.mitmix.net/ > 文句ばかりつぶやいているけれど、PDFもPowerPointも普通の人よりも使い込 んでいるとは思う。色々な人に効果的な使い方を教えているのも多いだろう。 もっと大切にして欲しいもんだ……。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ショート・ストーリーのKUNI[68] ふたつの耳 ヤマシタクニコ < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20091029140300.html > ─────────────────────────────────── 「ほら、プレゼントだよ」 私が妻に小さな箱を差し出すと妻は黙ってそれを開け、軽く眉をひそめた。 「イヤリングなのね」 「似合うと思って」 「でも、これって二枚の耳につけるタイプでしょ」 「そうだよ」 「あたし、一枚にしたのよ、ほら」 驚くべきことに、妻が髪をかきあげると、昨日までは右側に耳が二枚あったの に一枚になっていた。私は一瞬、言葉をなくした。 妻は箱から出そうともせずイヤリングをテーブルに置いた。箱の中には、海の 底の岩の上でしどけないポーズをとる人魚をかたどったイヤリングが入ってい た。人魚のまわりには魚やゆらゆら揺れる海草、そして無数のあぶくまでもが 精巧に表現され、全体は青みがかった銀色に輝いていた。それはきゃしゃな貝 殻を二枚重ねたような妻の耳を美しく飾るはずだった。一枚の耳では支えられ ない。 「似合っていたのに。二枚の耳」 妻は黙ってしばらくガムをかんでいた。それから言った。 「あなただって、私がストラップをプレゼントしようと思って買ってきたら、 ちょうどその日に携帯をなくしてきたじゃない」 「話がちがうさ」 「似たようなものだわ」 こんな小説があったなと思った。そうだ、賢者の贈り物。でも、似ているよう で違う。そもそも耳は携帯と同じなのか。 「4年もしてたら飽きるわ。やっぱり耳なんてひとつずつでいいのよ」 翌日、私は街を歩いている。いつごろからか街には体のパーツの数を増やした り減らしたり、あるいはかたちを変えている人間が珍しくなくなった。医療技 術の美容への応用の一種というわけだ。背景には、原因不明で生まれつき体の ある部分が欠けていたり、過剰であったりする人間が最近増えているという状 況がある。職場や学校に一人は6本指や4本指の人間がいるし、それ用の手袋は 普通に売られている。基準というものがあいまいになっているのだ。 昨夜の会話を思い出す。 「耳はどうしたんだ? 昨日まであった耳」 「耳屋に売ったわ。いまごろどこかのだれかが買ってるかもね」 「もう一度、耳を見せておくれ」 妻の髪をかきあげ、一枚になった右耳を見る。妻の耳はごくごく淡い桃色で、 上の方の薄くはかなくなったところは繊細な飾り菓子のようである。ひとつで も十分美しい。だけど、二枚のほうが私は好きだった。これとそっくりのやつ がもうひとつついていたのだ。私はあきらめきれない。 私はそれで、こうして歩いていると妻の耳に出会うのではないかと、何の確証 もなく歩いている。注意深く見ていると、耳─正確には耳殻というべきか─が 二枚ある女は髪をポニーテールにしている女を探すよりたやすく見つかった。 だが、どれも、妻のものだった耳とは似ても似つかなかった。 夕方にはすっかり疲れ果て、私は耳のことはどうでもいいのかもしれないと思 い始めた。女にとって、耳は装飾品に過ぎないようだ。私がこれほど執着する のはこっけいにみえるだろうか。 足取りもためらいがちになったころ、前を行く女が二枚の右耳を持つことに気 づいた。なんとなく似ているような気がする。妻の耳に。私はそれで女の後を ついて行く。女は長い髪を青く染め、砂色のコートに大きなバッグを肩から提 げている。せかせかした足取りで歩き、バスに乗り、4つ目の停留所で降り、 またせかせかと歩く。私は身を隠すこともせず女の後をついて行く。当然なが ら女はアパートの入り口で振り返り、くっきりした陰影の濃い目でいぶかしげ に私を見るが、拒絶するわけでもない。 「入る?」 アパートの中に入ると女はバッグを下ろすなり聞く。 「二枚の耳が珍しい? いまどき。こんな人間はたくさんいるわ」 「そうじゃない。私の妻の耳じゃないかと思って」 「私の耳が?」 「妻が耳屋に売ったというものでね。いまごろどこかのだれかがその耳をつけ ているかもしれない」 「私のは生まれつきよ。つけたものじゃないわ」 「そうなのか」 「時々いやらしい目をした男が聞くわ。二枚とも感じるのかって。イエスと答 えることにしてるわ」 女は聞かれてもいないことを早口で言うと急に黙った。 それからコートを脱いだ。 「私はよく知らないんだけど、耳屋では実際には引き取りはあまりないらしい のよ。古い耳は」 「古い耳?」 「何年も一人の人といっしょにいた耳。なぜかというと、耳には記憶が残って いるらしいの」 「記憶? 記憶は脳に残るのでは」 「私もそう思うけど、そういう耳をつけるとね。何か聞こえるんだって。何か。 聞きとれそうで聞き取れない言葉のようなものが、耳鳴りみたいに時々聞こえ るそうよ」 「もっともらしい話だ」 「ばかね。うそよ」 「うそなのか」 「それより、どう? きれいだと思わない?」 女が薄いセーターの首の横をずらすと、肩から二の腕にかけての部分がむき出 しになった。そこには人工のうろこがびっしりと張り付けられていた。女が腕 の角度を変えて見せると、それは紫から青、青から緑へと色を変えながらさら さらと光を放った。 私は翌日からも毎日、街を歩きながら妻の耳を探す。探しながら、いつのまに か私には二つの耳を持つ女より、顔や手に人工のうろこを張り付けた女ばかり が目につくようになっていることに気づく。 それで私の足はいつしかまたあの女のアパートに向かってしまう。女はまだ帰 っておらず、ドアの前で私が待っていると、すっかり夜も更けたころ、女が帰 ってくる。 「君はうそをついている。やっぱり君の耳はぼくの妻の耳なんだ」 「しつこいのね」 「よく見せておくれ」 私が髪をかきあげ、耳をまじまじ見つめると女は体の芯をどこかに置き忘れて きたようになってしまう。 「ごめんなさい。うそよ。私は耳を、耳屋で買ったの」 「やっぱりそうだったのか」 「あなたの探している耳かもしれないけど、でも、だったらどうするの」 確かに私はどうしようと思っているのだろう。 私は指先に人工うろこの感触を残したまま家に帰る。妻は寝室ですやすやと寝 息をたてている。 妻を起こさないよう気をつけながらシャワーを使い、冷蔵庫からコーラの缶を 取り出す。ぷしゅっと音をさせながらも頭の中ではあのイヤリングを思い浮か べている。愛らしい人魚とあぶく。ゆらゆら揺れる海草。あれはどこにしまっ たのだっけ、洗面所の戸棚だったかテレビ台の下の開き戸、それとも。あのイ ヤリングは久しぶりの高価な買い物だった。いや、値段がどうというよりも、 造形的にとてもすぐれたものだ。名作といっていい。あれは、二つの耳を持つ 女、そして、それは二つの耳ならどんな耳でもいいというわけでなく、あの耳 に似合うものなのだ。 私はコーラをごくりと飲んではうなずき、また飲んではうなずき、まったくそ うだ、と、もうちょっとで声に出して言いそうになる。缶を手にしたままそこ らを探し回る。そうしているうち、いつもはあまり見ることのないキッチンの 引き出しも開けてみた。すると、私は見つけたのだ。 引き出しの中にチャックつきのビニル袋に入った耳。私はぽかんと口を開けた まま見入った。 「耳屋に売ったわ」 あれもうそだったのか。私はわからなくなった。でも、耳はちっともすてきじ ゃなかった。引き出しの中では。 【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net みっどないと MIDNIGHT短編小説倶楽部 < http://midtan.net/ > 私も2作品を収録してもらっている「超短編の世界 vol.2」が出ました。 ネットで購入できます。 < http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4434134841/ > < http://www.bk1.jp/isbn/9784434134845/ > ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ローマでMANGA[22] 正面から向かう人、斜向きで向かう人 midori < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20091029140200.html > ─────────────────────────────────── 相変わらず、デ・アゴスティーニの日々を送っています。ローマの漫画学校で 受け持っている「Stage Manga」の講義はまだ始まっていないし。 ●レッスンの作り方がようやくわかってきた 8ページのレッスンの記事を書きます。デ・アゴスティーニの方針で1ページに つき60%は画像にするので、文は簡潔に書き、そして掲載する画像を考えます。 担当する絵描きさんへの依頼文は、テーマによってどのくらい詳しく書くか変 わってきます。詳しく書く場合は、当然自分の中でかなり具体的に練り上げま す。インターネットの画像検索をありがたく使ってます。 たいてい、まずテーマの切り口を考え、8ページの構成を考えます。この段階 では、絶対にアナログで考えます。息子が中学生だった頃、おばあちゃんが大 量に買ってきたノートのうち、表紙がどう見ても女の子向けのものがあり、そ れは使わなかったので私が貰い受けました。 そのノートの見開きに、見開きを現す長方形二つくっつけた図を四つ左ページ に描き、それを眺めながら余白に思いつくまま、テーマの意味、「どう描く」 に持って行くための疑問文を書いて行きます。疑問文にすると、答えが見つか るまでの時間が短くなることに気がついた今日この頃です。 今、構成中のテーマは「SFの世界」。「SF」漫画の描き方を8ページで解説す るわけです。 < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/2009/10/29/01.jpg > あるジャンルの描き方を解説するには、「そのジャンルの特徴は何か(他のジ ャンルとはどこが違うのか)」「そのジャンルで何を表現できるのか」をまず 考える、という方法に、「少女」「ユーモア」をやってみてたどりつきました (言い方がヨーロッパ語の言い方に近くなってますね)。 SFが他のジャンルと違うのは「完璧にフィクション、日常から離れた世界、科 学的要素を盛り込む、未来世界」、その「効用」として「現実を忘れて楽しい、 同時に現実の社会的・人道的問題を別の方向から見ることができる」。 「どう描くか」は、「ロケットの描き方」なんてやってもあまり意味がないと 思うので、さらに種類別にしてみました。見開きが四つあって、一つ目の見開 きは導入なので「授業」は見開き三つで展開します。だから種類は三つに分け る。うまい具合に「ファンタジー(例・スターウォーズ)」「テクノロジー (例・A.I.)」「バイオロジー(例・EDEN/遠藤浩輝氏の漫画です)」という 分け方を見つけ、今これをどうやって「描き方」に持って行くか悩んでいると ころです。 ●プロフェッショナルな人、そうでない人 このシリーズに関わっている絵描きさん(漫画家、イラストレーター)は9人 います。満遍なく全員と仕事をするので、それぞれの仕事との関わり方が見え ます。 昨年、「日本の新人賞に殴り込み!」コースをやった時に感じた「描ける人、 描けない人」の分け方に通じるものがあります。つまり、正面から向かって行 くか(こういう人は文句や言い訳をしない)、斜向きに向かうか(文句、言い 訳多し)です。 この9人は30代後半の一人を除いてみな20代で、自分の漫画の本を出したこと がある人が二人、自費出版一人、あとはちょこちょこあちこちで絵の仕事+そ れ以外の仕事をしています。 今月の初めに書き終えた8ページのテーマは「多人数の配置」でした。この絵 を担当したマルコ君は、私により「斜め向きの人」のレベルを貼られました (これもヨーロッパ語文法風だね)。締め切りが近かったので、心配しながら 8ページ全部書き終わる前に、できたものから依頼を出しました。反応がよく、 すぐにラフを送ってくるので、気持ちよく仕事を開始しました。 コマの中の「多人数配置」ということで、パースをとった背景は必須です。さ らに説明なので、読者にわかりやすくするために、消失点、アイレベル、基準 になる人物の頭のてっぺんと足下に印を付け、点の名前も付けるように頼みま した。それもフォトショップでレイヤーを別にしてくれるようにと。絵はすべ てデジタルということでそれも安心でした。 送ってきたかなりおおざっぱなラフから起こしたものの、人物のプロポーショ ンがおかしかったのと、もう一人の人物の位置をちょっとずらすよう依頼した あたりから、「斜めの人」の疑いが出てきました。 送って来た直しは、先の絵を画像ソフトで修正し、切り取って移動したもので した(描き直さないのか?)。もう一つの疑問は、あるコマの例として機能し ていなくて、ほんとに解説図、人物は無表情でただそこに突っ立っているだけ。 次の絵は高さが出てくるもので「階段」です。上から見た階段と、下から見た 階段。確かに階段の絵は面倒くさい。でも、手前の階段が傾斜している、一段 の高さが足から膝までに匹敵している(君はこれがおかしいと思わないのか? 君の絵にもこのように描くのか?) < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/2009/10/29/02.jpg > それを指摘し、人物にもうちょっと表情をつけるように、そのコマの状況をも っと描きこんでとお願いする。『例えば歩くとか』歩く絵。『敵が来るかどう か見張ってるのだから、もうちょっと顔をあげるとか』もうちょっと顔を上げ た絵。 もう一枚、幅のおかしな階段の絵を送ってきたのを見た時、私の中に野蛮な衝 動が潜んでいるのを実感した。どこに住んでいるのかわからないのだから、殴 り込みにはいかなかった。腕力なんか絶対に負けるに決まってるし。しばらく 右手の人差し指と中指でマウスの背中をたたいて、気持ちを納め、中年と講師 としての忍耐強さと愛情を持って諭すというおせっかいを実行することにした のだった。 めんどくさい絵ばかりになってしまったことは認めるけれど、仕事で描く以上、 相手がいる、読者がいる。どんな仕事であっても、自分の最高のものを出そう とするのが真のプロフェッショナルではないか。読者はそれをちゃんと受け取 る。それは自分のためでもあるんじゃないか? 返事は、「この仕事は報酬のためにやっている。締め切りに間に合わないので はと、急いだ。」で、やっぱり斜めかな。でも、「また一緒に仕事ができると いいな」と結んでいて、うーむ、社交辞令かもしれないけれど、受けることに した。何か機会があった時に、喜んで声はかけないだろうけれど。 【みどり】midorigo@mac.com 先月、血液検査で中性脂肪値が高くてたまげた話をしました。その後、パンや パスタの炭水化物を減らし、チーズ、ハム、サラミ類は遠くから眺め、甘いも のは見えないふりを一ヶ月続けた結果、111と普通水準になりました。490は、 たぶん、夏の間、7本あるイチジクの木が供給してくれた実(花)をこれでも かっ! と食べたせいでしょう。 そのかわり、総合コレステロール値が240から300へアップ。医者に行って薬を 指定してもらい、毎晩半錠づつ飲んでます。血圧や心臓の薬を常用する舅達の 仲間に近づいた! コレステロール値が高いのは、たぶん遺伝性とかいうやつです。遺伝子異常で 必要なくても肝臓がせっせと脂肪を作り出してしまう。揚げたもの、ハムサラ ミ類、貝類、赤肉、火を通した油、甘いものを控える食事療法は一生続けるこ と! と言われてしまった。甘いもの以外は、楽しみを奪われてしまった気が する。他家に呼ばれてフライが出たら食べないというわけにもいかないから、 たまには食べることになるだろな。 貝類、イカタコ類もコレステロールを含有しているけど、摂取してコレステロ ール値を上げるとは限らないみたいな文を読んだ事がある。というのは、食べ る言い訳を探してるんだろか。 イタリア語の単語を覚えられます!というメルマガ出してます。 < http://midoroma.hp.infoseek.co.jp/mm/menu.htm > ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■イベント案内 クリエイターに会いたい人・クライアントに会いたい人 総勢99人大集合 「大プレゼン大会」その2 < http://www.mebic.com/meeting/1370.html > < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20091029140100.html > ─────────────────────────────────── 〈主催者情報〉 クリエイターに会いたい企業・団体のみなさんと、クライアントに会いたいク リエイターのみなさんが一堂に集い、互いのニーズや課題を共有することで、 コラボレーションが生まれることを願い、大プレゼンテーション大会を開催し ます。3会場同時にひとり8分間のショートプレゼンを行い、終了後、参加者全 員でパーティを行います。興味のある話題満載ですので、ご関心ある方は、是 非この機会にお越し頂き、互いにコミュニケーションを深めていただければと 思います。前回は参加者150名でした。 日時:11月2日(月)18:30〜21:30(20:30〜交流会) 会場:メビック扇町2F(大阪市北区南扇町6-28 水道局扇町庁舎2F) 費用:無料 交流会費:1,500円 プログラム・申込・問い合わせ:サイト参照。メール、電話、FAXでも可。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■編集後記(10/29) ・昨日のデジクリで、海津ヨシノリさんのテキストの一部分(L・M・Sを正し く注文する方法)が、4か月前に吉井宏さんがデジクリの連載で書かれた内容 とほぼ同じであることが判明しました。もちろん、これは偶然の一致なのです が、海津さんは恐縮しきっています。恥ずかしながら、編集部は吉井さんから ご指摘を受けるまで気がつきませんでした。この事態はまさしく編集部に一切 の責任があります。海津さんにご迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでし た。このごろ、時間に追われてデジクリの校正が甘くなっている、そういう自 覚はたしかにあります。発行後に筆者から指摘を受けたり、Webサイトに掲載 するためにテキストを整理しているときに間違いを見つけたりすることも少な からずあって、Webサイトの方はコッソリ修正していることを白状します。み なさんごめんなさい。これで説明責任を果たした、と思いますがどうでしょう (って、開き直っているのではなく、次へのつなぎですから)。資金管理団体 の虚偽記載問題で、説明責任を果たしていないと野党から追及されても、しら っと「捜査に協力している。全容が解明されることを祈念している」と繰り返 す鳩サンのタフな神経に感動すら覚える。鳩サンは今まで自民党の「政治とカ ネ」を鋭く追及し「金庫番の不祥事は議員本人も共同正犯だ。即刻議員辞職す べきだ」とか「疑惑を指摘された閣僚が、説明責任を果たすのは最低限の務め だ。それができない閣僚は、みずから職を辞すか、罷免すべきだ」などと正々 堂々と発言していたのに、自分がその疑惑の中心人物になると他人事みたいな 態度を貫く。政治生命のかかる絶体絶命のピンチだと思うが、果して切り抜け られるか。なにか手を隠しているのか。「カイジ」みたいに起死回生の大逆転 があるのか。興味津々で見守っている。もちろん逃げ切りは許さん。(柴田) ・共感したので記憶に強く残ってはいました。同じ話を二度書かれているのだ と勘違いしていました。ネタ被り、違う方同士でも結構あるので気にしてなか ったのであります。すみません。/質問がない時は、高度過ぎてわからない、 あるいは満足しているってこともあるんですが、煽りですもんね。どよめきや 笑い(反応)があるかどうかですね。目に見えてノリがよくなってきます。/ カツラやつけまつげがあるんだから、つけ耳のある未来があってもおかしくな いなぁと話の流れから離れて考えてしまった。/園田健一さんが主宰されてい た同人サークル誌で、参加者に誌上アドバイスされていたのを読んだことがあ る。背景にレンガの壁があるんだが、レンガのサイズは決まっているので、大 きすぎますよ、というもの。ああいうのは適当に描いているもんだと思ってた ので驚いた。その後、そのサークルから園田さんとCLAMPのメンバーがデビュ ー。記憶違いならすみませぬ。/無印のタオルが良いという情報あり。「自分 もホテルタオル的なものを求めてたまたま辿り着いたのが、無印良品のタオル だったのです。」おお! ユニクロがへたったら使ってみようっと。Kさん、 情報ありがとうございます。/書店の端末で漫画の試し読みができるようにな るらしい。表紙買いして、絵は綺麗だけど…と後悔したことがあったので、こ ういうのは嬉しい。/あさりちゃんって現役だったんだ! (hammer.mule) < http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102801000747.html > 書店の端末で漫画を試し読み 福島、広島など11店で実験 < http://netkun.com/asari/ > あさりちゃん公式 < http://ja.wikipedia.org/w/index.php?oldid=28569841 > あさりちゃんの歴史 < http://blog.dgcr.com/mt/dgcr/archives/20091016140200.html > いよいよ明日! お金も手間もかからずにカラマネ環境 < http://www.dtp-booster.com/vol09/ > 制作者のための出力できるPDF ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 発行 デジタルクリエイターズ < http://www.dgcr.com/ > 編集長 柴田忠男 < mailto:shibata@dgcr.com > デスク 濱村和恵 < mailto:zacke@days-i.com > アソシエーツ 神田敏晶 < mailto:kanda@knn.com > 情報提供・投稿・プレスリリース・記事・コラムはこちらまで < mailto:info@dgcr.com > 登録・解除・変更・FAQはこちら < http://www.dgcr.com/regist/index.html > 広告の御相談はこちらまで < mailto:info@dgcr.com > ★等幅フォントでご覧ください。 ★【日刊デジタルクリエイターズ】は無料です。 お友達にも是非お奨め下さい (^_^)/ ★日刊デジクリは、まぐまぐ< http://mag2.com/ >、 E-Magazine< http://emaga.com/ >、カプライト< http://kapu.biglobe.ne.jp/ >、 melma!< http://melma.com/ >、めろんぱん< http://www.melonpan.net/ >、 のシステムを利用して配信しています。 配信システムの都合上、お届け時刻が遅くなることがあります。ご了承下さい。 ★姉妹誌「写真を楽しむ生活」もよろしく! < http://photo.dgcr.com/ > Copyright(C), 1998-2009 デジタルクリエイターズ 許可なく転載することを禁じます。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


