2009/08/31
[ARG-390]
1998-07-11創刊 ISSN 1881-381X ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆◇◆ ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG) ◆◇◆ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― Science, Internet, Computer and ... 2009-08-31発行 ‡No.390‡ 4634部発行 "Ask not what the net can do for you -ask what you can do for the net." ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◇ 目次 ◇ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ○羅針盤「学術情報のバリアフリー化-同情するならカネをくれ」(三輪佳子) ○イベントカレンダー ○活動報告 ○編集日誌 -適塾を見学し、第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪を無事開催 -都内での会議4件を経て、第2回ウェブプロデューサー勉強会に参加 -なぜ、岩波書店は長尾真著『電子図書館』(岩波書店、1994年)を 復刊しないのだろうか など、5日分 ○奥付 ~~~<注目の新刊>~~~~~~~~~~~~~~~<注目の新刊>~~~ 後藤真、田中正流、師茂樹著『情報歴史学入門』 (金寿堂出版、2009年、1890円) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903762041/arg-22/ ~~~<注目の新刊>~~~~~~~~~~~~~~~<注目の新刊>~~~ =================================== ◆ 羅針盤 ◆ - Science, Internet, Computer and ... =================================== 「学術情報のバリアフリー化-同情するならカネをくれ」 三輪佳子 ___________________________ ◆ 同情だけですか? カネは出さないのですか? ◆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 本稿のサブタイトル「同情するならカネをくれ」は、ドラマ「家なき子」のヒ ロインのセリフとして有名である。彼女は、絵画の道に将来を託す孤児である。 孤児であるゆえに画材の費用にも事欠き、行きずりの人々に同情を求めては 「同情するならカネをくれ」と迫る。いくばくかの金銭をせしめては空腹をみ たし、画材を購入し、絵画で将来を開くために指導を受けようとする。 「かわいそうにねえ」「何とかしてあげたいねえ」という同情心(それが適切 なものであるかどうかはさておき)は、資金・時間・体力という形で具体的に 分配されなければ「言ってみるテスト」に終わるだけである。同情心を持つこ とは誰にでもできる。同情心を口に出してみることならオウムにもインコにも 出来る。人間によって分配が行われない限り、同情心が具体化されることはな い。同情はカネに結びつかなければ形にならない。しかし、「たまたま寄って みたコンビニで気が向いたので、一円玉のお釣りを三円分だけ募金箱に入れて みた」といった同情は、社会的弱者の立場をほとんど改善しない。「家なき子」 のヒロインは、「同情するならカネをくれ」というアピールをし続けることに よって同情を恒常的に換金し、本人の周辺に分配を行わせている。そうしなけ れば、彼女は職業生活の入り口に立てないのである。 「学術情報」「バリアフリー化」というキーワードが語られる場所には、「カ ネをくれ」という下品な表現はいささか馴染みにくい。しかし、学術情報は人 間の労働によって生み出される具体的な事物である。配布形態がどのようであ るとしても、情報の配布にはリソースが必要である。電子文字でアクセスしよ うとするならば、情報の消費者は情報機器や回線のコストを支払う必要がある。 さらに、必要なスキルを習得するためにコストを支払う必要がある。障害者が 学術情報に接するためには、学術情報は、その障害者が扱いうる形で供給され る必要がある。それが「学術情報のバリアフリー化」である。バリアフリー化 の内容は、重たい本を扱うことが困難な障害者のために、コピーを行い、薄い 冊子として製本することかもしれない(必要な著作権処理を行った上で)。あ るいは、電子文字化することかもしれない。あるいは、点訳かもしれない。あ るいは、音声化かもしれない。いずれにしても、バリアフリー化には機材や人 手が必要である。つまり、学術情報をバリアフリー化するということは、「障 害者に学術情報を入手させる」「障害者のために学術情報をバリアフリー化す る」の二重のコストの支払いを伴う。誰が支払うかはともかくとして。 「現実と遊離した高尚なアカデミアでカスミを食って生きている学者」という 表現は、その世界の生々しさを知らない人々のものである。カスミの最たるも のと考えられやすい学術情報は、生産にも配布にもアクセスにもリソースを必 要とする生々しい存在である。何らかの形でアクセスが困難な人々に対して、 せめてアクセスする自由を保証するためには、リソースの分配を行わなくては ならない。まさに「カネをくれ」である。 なぜ、「かわいそうにねえ」「何とかしてあげたいねえ」という同情であって はならないのか? なぜ、「よい社会を作りましょう」「人に優しくしましょ う」という教条であってはならないのか? 実のところ、バリアフリー化に最 も寄与するのは、同情でも教条ではなく「カネ」なのだ。 分配への要求は、弱者から強者へ向けての「くれ」として表現される。現在の ところ、相対的に少なく分配されている弱者は、惨めさを噛み締めながら「カ ネをくれ」と強者に要求しなければならない。自分たちへの分配が相対的に少 なすぎる状況が正義でないから「正義を実現せよ」と要求しなくてはならない。 だから「ください」「いただけませんか」でなく「くれ」なのである。「カネ をくれ」という言葉を口にしなくてはならない状況は屈辱的であるが、それで も口にしなくてはならない。分配の正義へ近づく方法は、それ以外にはないの である。 _______________________________ ◆ バリアフリー化は 誰の/何の 役に立っているのか? ◆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「バリアフリー設備」として最も思い浮かべられやすいのは、駅のエレベータ であろう。階段とエスカレータしかない駅で、ある日、工事が始まる。数ヶ月 の工事期間の後、エレベータが設置される。駅を利用する人々は、「便利にな ったねえ」と口にしながらエレベータを利用し、エレベータが存在しなかった 時期を忘れてしまう。ベビーカーを押し、小さな子どもの手を引いた若い親 (多くの場合は母親)がエレベータを利用する。足取りのおぼつかなくなった 老人がエレベータを利用する。ケガをした社会人(多くの場合は男性)がエレ ベータを利用する。たまに、車椅子やストレッチャーがエレベータを利用する。 日本における人口比から自然に導き出される風景である。 その駅にエレベータが設置された(あるいは、新設される駅に最初からエレベ ータが設置されている)のは、なぜであろうか? エレベータを必要とする人 々の働きかけがあったからである。その人々は、たいていは障害者である。歩 行が困難な人々にとって、エレベータがない駅は存在しないのと同じである。 あえて利用しようとするならば、人力で階段を担ぎ上げ/担ぎ下ろし しても らう必要がある。駅員や通行人の労力を割いてもらうことに関する心理的負担 もさることながら、人力によって車椅子を担ぎ上げ・担ぎ下ろしすることは危 険である。スリルとサスペンスは、限定された期間と場所において味わうから 娯楽でありうる。あえて日常を脅威にさらすことを好む人は少ない。 障害は、「そこから出てゆけない」という点において育児と異なり、「誰もが 通りうる道ではない」という点において老いと異なる。負傷や疾病であれば 「治癒する」というルートが考えられるが、障害の特徴は「治癒が見込まれな い」という点にある。今日、障害者として車椅子を利用しているならば、おそ らくは翌年も翌々年も十年後もそのままである。その期間(あるいは生涯)、 社会に参加しない/できない 自分を許容できるのならば、最寄り駅にエレベ ータがない状態を容認できるであろう。障害者の多くは、健常者と同様に社会 に組み込まれることが不可能であればあるなりに、社会へより多く参加した自 分を求める。そのために、駅へのエレベータ設置を求めて運動を行う。長期間 の運動が実ってエレベータが設置されれば、エレベータは 育児・老い・負傷 や病気 によって移動手段を制限された人々の生活に利便を供給する。 「健常者の利便にかなうからエレベータ設置運動をしない」と主張する障害者 は、皆無ではないが非常に少ない。しかし、エレベータは誰にとっても利便を 供給する設備である。障害者に利便を多く供給するわけではない。もちろん、 障害者もエレベータの利便に浴するのであるが、その状態は「障害によるハン ディキャップが埋められた」と言えるものであろうか? 「そのエレベータの おかげで、自分の通勤・通学が可能になった」という形で、障害者のハンディ キャップが埋められることは間違いないであろう。しかし、障害者の置かれて いる社会的地位は向上しない。エレベータは誰の利便にもかなうので、もしか すると、障害者の社会的地位を相対的に後退させてしまうのかもしれない。 「水を飲むなら、井戸を掘った人を忘れるな」という格言があるけれども、井 戸を掘った人は簡単に忘れられてしまうものだ。「バリアフリー設備は皆さん の利便にかないます」と主張すれば、バリアフリー設備の必要性は社会に納得 されやすい。実際に社会の構成員の多くの利便にかなうのであれば、なおさら である。しかし、そのバリアフリー設備が自分の首を相対的に締めてしまうの であるとしても、必要性を説きつづけなくてはならないのであろうか? 障害 者は「自分も利便に与るのだから」と自分に言い聞かせつづけ、内心のわだか まりを黙らせる努力をしなくてはならないのであろうか? なぜ、障害者は 「健常者の利便にかなうバリアフリー設備なんてクソくらえ」と主張してはな らないのか? 社会にはフェアネスが必要だ。自分にだけ多くフェアネスが課 されつづける状況に首をかしげることは、現実の世界の中を生きる人間として 必要だ。格闘技で強い側にハンディキャップを課すならまだしも、弱者であり ハンディキャップを背負っているままの障害者がフェアネスを要求されつづけ る状況は、それ自体がアンフェアなのではないか? さらに、エレベータの前に障害者と健常者がいれば、たいていは「健常者が我 先に乗り込んでドアを閉じる」という成り行きになる。「エレベータがなくて は電車に乗れない」という切実さを抱えた人間は、その切実さゆえに、エレベ ータの利用からさらに遠ざけられてしまうのである。通勤・通学の途上で「目 の前のエレベータに早く乗りたい」と望むのは、誰にとっても自然なことであ る。明確に「弱者優先」というルールを設けない限り、「弱肉強食」という不 文律が適用される。エレベータは階段というバリアを解消するけれども、障害 者が差別される社会構造というバリアを解消しない。ここでたとえば「日本の 障害者はアフリカの障害者より恵まれている」という主張が行われるとすれば、 目くらまし以外の何でもない。「最寄り駅にエレベータが設置される」という 場面の背景にある政治的状況は、かくも複雑である。 バリアフリー化の多くは、「エレベータを設置する」とは異なり、ごく一部の 対象者にだけ利便を提供する。このことは、問題をさらに複雑にする。たとえ ば老眼は、健常者の多くが経験する加齢現象である。「OSを改良してフォント の拡大を容易にする」「OSのデスクトップ画面の配色を、高齢者が利用しやす いようにする」「ブラウザのクリック一つで音声読み上げを利用できるように する」は、「エレベータを設置する」と同様に、誰の利便にもかなうバリアフ リー化として理解されうる。しかし、すべてのPCに点字プリンタを標準装備す ることは? 視力・筋力などの問題によって書籍へのアクセスを阻まれている 人々に対して、無条件で音声読み上げ(電子化されていない資料に対しては人 力解決するしかない)を提供することは? 聴力の問題によって周囲の状況を 把握しにくい人々に対して、24時間・365日、無条件で手話などによる情報保 障を行うことは? 当事者にとっては切実に必要なことであるが、実現した暁 には「なぜ、私たちみんなの税金を、あの特別な人たちにだけ多く使わせるの だ?」という反感の起爆剤となるであろう。そのような反感は現在も、当事者 に日常的に巧妙にぶつけられ、当事者を消耗させている。 障害者は「ちょっと読んでもらう」「ちょっと取ってもらう」といった支援を 日常的に必要としている。その一つ一つが、悪意の付け込む隙となりうる。視 覚障害者が銀行のATMで預金を引き出そうとしている時、通りすがりの誰かが 暗証番号を読み取ってしまうかもしれない。「お手伝いしましょうか」と声を かけて(あるいは無言のうちに)金銭を奪うかもしれない。 カネがあれば支援を買えるかもしれない。自称支援者の悪意・通りすがりの悪 意に対しては、警備をカネで買えば対策できるかもしれない。そのカネを得る ためには、健常者の数倍のパフォーマンスを発揮しなくてはならない。「健常 者並み」ではなく。カネで教育を買えば、健常者の数倍のパフォーマンスを発 揮できる人間になれるのかもしれない。でも、どうやって? 日本の障害者福 祉において、就学・就労・営業は支援の対象ではない。「就学・就労・営業を 支援すると、社会ではなく障害者個人の資産形成に寄与してしまうから」とい う理由によってである。現在、就労・営業を行うことができている障害者は、 それ以前は就学していた。しかし、日本では障害児の就学のコストのほぼ100% を家族が負っている。家族がその負荷に耐えられなければ、障害児は就学でき ない。さらに、障害者が高等教育を受けるためのコストは、完全に家族・本人 にのしかかっている。 このような状況が改善されないまま、「権利を享受するだけではなく義務を果 たせ」という名目によって、障害者福祉に関する予算はさらに削減されつつあ る。障害者が就労するのに必要な社会的条件は全く整備されていないにもかか わらず、公共によって「福祉から就労へ」というスローガンが語られている。 義務を果たすためにも権利が擁護されなくてはならないのだが、権利擁護は全 く行われないままに義務だけが要求されている。この状況に痛めつけられてい るのは障害者だけではない。問題は、子ども・老人・病人・育児中の所帯・介 護を行っている所帯など、ハンディキャップを負う人々に等しく降りかかって いる。障害者には「マイノリティであるゆえに共感されにくい」というハンデ ィキャップが追加されているだけである、と言えなくはない。しかし、なぜ 「障害者差別」という言葉が存在して、「育児差別」「介護差別」という言葉 は存在しないのであろうか? 学術情報へのアクセスにおいても、障害者はこのような問題に日々直面してい る。障害者が学術情報にアクセスするには、何らかのコストが必要である。そ のコストは、基本的には障害者本人が支払わなくてはならない。コストを支払 い続けることによって「自分は、社会にコストの支払いを要求するに値する人 間である」ということを示せる状態になったら、その障害者の学術情報アクセ スに対してコストを支出することを、社会が何らかの形で認めるかもしれない。 しかし、それまでの間、障害のために余分に必要なコストは、障害者自身が支 払わなければならないのである。 厚く重い書籍を取り扱うことが困難な障害者に対しては、スキャン・コピーな どの手段を用いて、本人が容易に扱える形態にする必要がある。そのための機 材・人手を自分で用意できる障害者は、例外的に恵まれた存在である。現在、 家庭用スキャナーは非常に安価に入手できる。また、コンビニ等にはコピー機 があって、1枚10円で利用できる。300ページほどの本を一冊コピーするとすれ ば、3000円の費用と2時間ほどの人手が必要である。その人手を「時給1000円 のアルバイト」で確保するとすれば、5000円ほどの費用が必要であるというこ とになる。求人にも時間や労力が必要であることを考慮すると、書籍一冊を読 むために、書籍の代金の他に概ね10000円が必要であるということである。ス キャナやコピー機は、誰の利便にもかないうる汎用的な機器である。アルバイ トを雇用してコピーを依頼すれば、雇用機会を作ることになる。情報機器を購 入すれば、カネは開発・製造・流通に回って社会を潤すことになる。しかし、 人件費や情報機器の対価を得るために障害者が労力を割かなくてはならない状 況が続けば、その障害者はいずれ疲弊し、生存・生活の危機に直面する。そう なると、学術情報へのアクセスが意味を持たなくなる。このような結果になら ないようにするためには、障害者の学術情報へのアクセスに要する費用を、障 害者自身ではなく社会が支払わなくてはならない。「同情するなら(障害者を 学術情報へアクセスさせようとするなら)、カネをくれ(予算をつけてくれ)」 なのだ。 学術情報のバリアフリー化に、一般的な情報機器・どこにでもいるアルバイト を利用するのであれば、まだ「製品が売れるし雇用機会もできるし、みんなの 役に立つ」という共感を得やすい。エレベータと同様に。しかし、点字プリン タや点字ディスプレイはどうであろうか? 一台が数十万円~数百万円 と高 価な上、設置に多くのスペースを要する。大量生産・大量販売を行うことがで きないので、小型化・軽量化という情報機器開発のトレンドの恩恵を受けにく い。ユーザ層は、点字を必要とする視力障害者に限定されている。その技術が 汎用機器に転用される可能性は低い。そのような機器を設置するためには、も しかすれば「振動を伝えにくい構造の音楽家向けマンションの広いリビング」 といったものが必要かもしれない。そこには、その視力障害者自身が住むこと になるかもしれない。その部屋のどこに何があるかを主に触覚によって知るタ イプの障害者は、どのような住まいにも住めるわけではないし、簡単に引っ越 せるわけでもないのだ。「ゼイタク」と思われがちな住居のコストのために障 害者自身が労力を割かなくてはならないようであれば、その障害者の活動はい ずれ破綻する。このため、社会によってコストが支払われなくてはならないの であるが、現在の日本の障害者福祉に存在するのは「死なない程度に生きさせ てやる」のみ、である。将来、社会によって障害者の学術活動のコストがすべ て支払われるようになったとしても、健常者の「どうして障害者だけが特別に 恵まれているんだ、ずるい!」という感情から自由になることは不可能であろ う。「障害者が学術情報にアクセスできるようにする」という意味での狭義の 学術情報のバリアフリー化は、障害者の負っているハンディキャップを埋め合 わせるために必要不可欠ではある。しかしそれは、狭い意味での学術情報のみ ならず、学術情報にアクセスしたいという希望を持つ障害者の生活環境全般・ 障害者を取り巻く社会的状況全体のバリアフリー化を伴わなくてはならない。 そうしなければ、「せっかく学術情報へのアクセスがバリアフリー化されたの に結果を出せないなんて、その障害者が個人的にダメだということだ」という 結果にしかならないからである。課題は数多く、達成の見込みはほとんどない。 そもそも、日本人が抱きがちな「みんなの税金を障害者だけのために使うなん て、ひどい!」という感情への有効な対処はありうるのだろうか? __________________________ ◆ 「学術情報のバリアフリー化」の目的地は? ◆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ バリアフリー化の目的が障害者のハンディキャップを埋めることにあるのなら、 ハンディキャップを負った者=障害者 がより多く分配される、すなわち「同 情するからカネをいっぱいやる」という結果にならなくてはならない。この事 実は、多くの常者にとって受けいれがたいであろう。日本の社会において主流 となっている「バリアフリー化は多くの人の利便にかないます、あなたの利便 にもかなうのです、だから障害者に分配をしましょう」という論理において、 基調となっているのは「最大多数の最大幸福」である。その場合、社会の構成 員全員が分配の利益を受けるゆえに平等は実現されない。一方、福祉の論理に おいては「障害者が平穏に問題なく過ごせる世の中は、誰にとっても生きやす い世の中である、社会に優しさと思いやりを」という言説が主流となっている。 そこには「弱者を救済してあげる健常者/救済してもらう障害者」という差別 構造がそのまま温存されているので、やはり平等は実現されないのである。 これらの問題を解決するために必要なのは、結局のところ「強者の得ている既 得権を制限し、同時に弱者に多く分配する」「強者がプレイしている競争を制 限し、同時に弱者をエンパワメントして競争のプレーヤにする」という、極め て困難な課題を実現することである。強者は抵抗する。弱者は抵抗への抵抗を 強いられて消耗する。弱者の求める平等は「悪平等」と評される。その間に、 強者は競争の場で既得権を強化する。 結局のところ、「障害者により多く分配しなくてはならない」という結論を健 常者に納得させるに十分な論理などないのであろう。結論そのものが健常者に とって一方的に受容しがたい上に、健常者の既得権を脅かす。財や分配に関す る権限は、現在のところ、圧倒的に健常者に握られてしまっている。障害者は、 分配を行うことが可能な立ち位置に自らを立たしめなければ分配に与ることが できない。しかし障害者が「分配を行うことが可能な立ち位置に立つ」という ことの前提条件は、数においても力においても圧倒的に劣る状況において競争 して勝つことである。勝ち目は最初からない。しかし勝たなくてはならない。 「競争しない」「勝ち/負け と言わない」ということは、日本全国で概ね 400万人しかいない障害者が、自分がマイノリティであることを認めないとい うことである。さらに、この400万人がさまざまな障害に分断されており「一 致団結」というわけにはゆかないことに目をつぶることである。「マイノリテ ィであるから政治力もどのような力も持っていない」という事実を認識しない 愚かさを自分に許すということである。そのような現実にとどまらないために は、障害者であるままで勝ち目のない競争の盤面に乗り、盤面に乗ることで消 耗し、競争の場にいることでさらに消耗し、「やはり勝てなかった」という結 論を強化するための材料になるしかない。その結論は最初から判明しているが、 とにもかくにも競争の場にいなければ話は始まらない。そのために分配が正さ れることを求めるのだ。「カネをくれ」と。 学術情報のバリアフリー化が目指すところは、救いも何もない現実である。救 いのない現実に立つために「同情するならカネをくれ」と下品な主張を繰り広 げ、下品さのゆえにヒンシュクを買って排除され、さらに主張を過激にしつづ けるしかない。出口のないループである。そして、出口がないループであると 知りながら、日々たどりつづけなくてはならない。この不条理が、障害者の置 かれている現実である。 Copyright (C) MIWA Yoshiko 2009- All Rights Reserved.  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ [筆者の横顔] 三輪佳子(みわ・よしこ)。1990年、東京理科大学理学研究科修士課程(物理 学専攻)修了。大学在学中から光半導体の研究・開発に携わる。修士課程修了 後は、企業研究者として半導体シミュレーションシステムの研究・開発に従事 する。「なぜ、半導体の面白さを世の中に語ってくれる人がいないのかな?」 という問題意識を抱いているうちに、いつのまにかフリーライター稼業を始め てしまっていた(ペンネーム「みわよしこ」)。 分野は特に限定せず、面白いと思ったら何でも書く。宇宙・気象・バイオ・繊 維・メンタルヘルスなど、食い散らしてきた分野の数は数え切れない。現在は、 広く浅く中途半端な半導体・ソフトウェア・システムの知識と経験を生かして、 組み込みシステムを主な守備範囲としている。Linuxに関して著書三冊あり (いずれも絶版)。 「自分の専門はこれ」と言えるものが何もない自分に嫌気がさしてきたある日、 気がつくと筑波大学・大学院数理物質科学研究科に入学していた(現在、博士 後期課程三年次に在学中)。 肢体不自由で電動車椅子を利用。日々、屋台や立ち飲みに乗り付けては、飲酒 活動のバリアフリー化を推進する。 メールアドレス:waruiko.miwa@gmail.com 日常雑感ブログ「No Laughing Matter!」 http://d.hatena.ne.jp/neko-yashiki/ =================================== ◆ イベントカレンダー ◆ - Science, Internet, Computer and ... =================================== ◆2009-09-02(Wed)~2009-09-04(Fri) 第8回情報科学技術フォーラム(FIT2009) (於・宮城県/東北工業大学 八木山キャンパス) http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/fit/fit2009/ ◆2009-09-04(Fri): コンテンツ学会 ネットワーキングパーティー (於・東京都/モンスーンカフェ南青山店) http://www.contents-gakkai.org/?p=125 ◆2009-09-04(Fri)~2009-09-05(Sat): 日本ソフトウェア科学会 ネットワークが創発する知能研究会 大学基礎講座 「データマイニング」 (於・神奈川県/慶應義塾大学 日吉キャンパス) http://www.ai.sanken.osaka-u.ac.jp/ndei/pukiwiki.php?cmd=read&page=jssst_dm_lecture2009 ◆2009-09-04(Fri): シンポジウム「メディアは地域を変えられるのか」 (2009年度第1回地域メディア研究会) (於・神奈川県/東海大学 湘南キャンパス) http://www.moba-ken.jp/topics/090805.html ______________ ■ 掲載希望の送り方 ■  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 連絡先:zd2m-okmt@asahi-net.or.jp きまり:自薦他薦不問。添付ファイル禁止。募集者によるサイト必須。 その他:掲載可否は編集部判断。上記書式に整形した上での連絡歓迎。 :掲載するイベントは、本カレンダーから傾向をご理解ください。 =================================== ◆ 活動の予定と報告 ◆ - Science, Internet, Computer and ... =================================== [講演・講義](予定) ◆2009-09-04(Fri)~2009-09-06(Sun): 2009年度STS Network Japan 夏の学校「科学技術コミュニケーション再考」 (於・石川県/石川県青少年総合研修センター)に参加します。 パネルディズカッション「科学技術コミュニケーションのこれまでとこれから (手法編)」に登壇し、長神風二さんと「Science or Scientific ?-科学 コミュニケーションの現在形」を共催します。 http://blog.stsnj.org/2009/05/2009stsnj.html ◆2009-09-13(Sun): 2009年日本社会情報学会(JSIS & JASI)合同研究大会(於・新潟県/新潟大学) の第1ワークショップ「若手研究者支援・実践型ワークショップ第三弾」 蓄積・再編・駆使する/される情報 - アーカイブ、集合知、クラウ ド・コン ピューティングでコメンテーターを務めます。 http://www.human.niigata-u.ac.jp/~2009jsis-jasi/program_html.html#ws1 ◆2009-09-13(Sun): サイエンスカフェにいがた第28回カフェ(於・新潟県/ジュンク堂書店 新潟 店)で「自分メディアの時代、再び。-一人の市民でもできること with ソー シャル系サービス」と題して講演します。 http://www.ecosci.jp/n-cafe/yokoku28.html ⇒執筆・講演のご依頼をお考えの方、お早めにお知らせください。 私の場合、1)早い者勝ち、2)地方優先だけがルールです。 [参考]執筆・講演一覧 http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/help.html ※執筆・講演等、お気軽にご相談ください。 なお、上記以外でまだ詳細が確定していない予定として、 ・ 9月:金沢市(4日~6日)、渋川市(7日~8日)、新潟市(12日~14日) 精華町(17日)、津市(18日)、千葉市(25日) ・10月:京都市(上旬)、大阪市(7日)、神戸市(上旬)、岡山市(9日~10日) :11月:京都市(26日)、大阪市(27日) があります。移動を考えると、抱き合わせ開催が楽なので、ご参考に。 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に到着。参加者の中から申し出てくださったサポーターの方々に助けられて設 営を行い、定刻の15時過ぎには無事開始。ちなみに参加者は約50名。 >> 2009-08-22(Sat): 第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪 (於・大阪府/ドーンセンター) http://d.hatena.ne.jp/arg/20090724/1248402413 << 今回のライトニングトークは以下の方々(1名欠席)。 1. 久慈達也(神戸芸術工科大学) 「新図書館ラボ-神戸芸術工科大学図書館の教育支援」 2. 松村真宏(大阪大学) 「異分野コラボレーションを成功させるたった一つの方法」 3. 千本沢子(エル・ライブラリー) 「名もなき人の」 4. 林豊(京都大学附属図書館) 「クリックしないリンクリゾルバの作り方」 5. 三浦麻子(関西学院大学) 「学会公式サイトのあるべき姿とは!?-日本社会心理学会の(暗中)模索」 6. 松下光範(関西大学)「5分でわかる情報編纂」 7. 小澤かおる(首都大学東京博士課程) 「図書館できっとできるセクシュアル・マイノリティのサポート」 8. 高久雅生(物質・材料研究機構、CRESプロジェクト) 「21世紀の新しい共同研究について」 9. 光森奈美子(Lifo) 「Lifoってこんなとこ!-関西チームの場合」 10. 前嶋淳子(ミシガン大学) 「Google Books-和解の先に見えてきたもの」 11. 黒岩雅彦(クボタ) 「大企業内“町工場”での情報伝承の試み」 ちなみに、ARGフォーラムでの反省を受けて、ライトニングトーク中、パソコ ンを使わない登壇者のときは極力、Twitterの画面を表示してみた。 ライトニングトークの登壇者が1名欠席というハプニングはあったものの、会 場設営、開場、開会、閉会、撤収とほぼ滞りなく進み、その後は例によって第 2部のARGフェストへ。 今回の会場はネットで調べただけで、実際には行ったことがないお店だったが、 料理の量も多く、飲み物の種類も豊富でよいお店だった。 ・SHEEP DOG http://r.gnavi.co.jp/c501400/ さらに今回は嬉しいことに、アイリッシュミュージックの生演奏がついている という特典まであった。ちなみに演奏家はhataoこと、畑山智明さん。そして、 サポートメンバーの上原奈未さん(ピアノ)とみどりさん(フィドル)。 ・アイリッシュフルートインフォメディア http://www.irishflute.info/ ・hatao(畑山智明)著、光田康典監 『はじめてふれる世界の楽器「地球の音色」ティン・ホイッスル編(CD付)』 (プロキオン・スタジオ、2008年、2940円) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4990430948/arg-22/ 素晴らしい演奏に、最後は参加者の方々が踊りだす展開となった。これは嬉し い。ここまで盛り上がれば主催者としては本望。 しかし、音楽の力はすごい。ARGカフェ定番のライトニングトークも、これま で詩の朗読をされた方がいらしたが、いずれは演奏や歌唱をする人が出てくる と面白いかもしれない。 さて、以下が参加者の皆さんの感想など。 ・「第5回ARGカフェ」(asasemi-blog、2009-08-22) http://www.team1mile.com/asarin/archives/000177.html ・「ARGカフェ&フェスト」(くうざん本を見る、2009-08-22) http://d.hatena.ne.jp/kuzan/20090822/1251042797 ・「第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪」(ぺえぺえ魂、2009-08-22) http://d.hatena.ne.jp/taniwataru/20090822/1250953474 ・「第5回ARGカフェ&フェスト@大阪」 (図書館の中では走らないでください!、2009-08-23) http://d.hatena.ne.jp/klarer-himmel13/20090823/1251035893 ・「ARGカフェ大阪、のリンク集」(egamiday3、2009-08-23) http://egamiday3.seesaa.net/article/126276690.html ・「第5回ARGカフェ(&フェスト)」(Cosi e la Vita、2009-08-23) http://www.team1mile.com/asarin/tdiary/?date=20090823 ・「第5回ARGカフェ&フェスト@大阪」(まさおのChangeLogメモ、2009-08-23) http://masao.jpn.org/d/2009-08-23.html#2009-08-23-2 ・「ライトニングトーク補足「21世紀の新しい共同研究について」」 (まさおのChangeLogメモ、2009-08-23) http://masao.jpn.org/d/2009-08-23.html#2009-08-23-3 ・「第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪」 (エル・ライブラリー 大阪産業労働資料館、2009-08-24) http://d.hatena.ne.jp/l-library/20090824/1251075569 ・「カフェ&フェスト@大阪/ふたつの専門図書館」(猫森覚書、2009-08-24) http://d.hatena.ne.jp/Miya/20090824 ・「第5回ARGカフェ&ARGフェスタ@大阪」(Wahaha-blog、2009-08-24) http://mtmr.jp/blog/blosxom.cgi/2009/08/24#20090824a ・「目指せ!歌って踊れる図書館員!?」 (事務局員オオヌキの日誌、2009-08-24) http://futurelibrarian.g.hatena.ne.jp/tonuki77/20090824 今回はライトニングトークの資料について、別途まとめて公開する予定なので お楽しみに。また、登壇者の写真もご本人の了解がとれた方について掲載して いきたい。なお、次回は、 ・「第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪の11人目のライトニングトーク登壇 者に黒岩雅彦さんが確定、そして第6回ARGカフェ&ARGフェスト@横浜の日程」 (編集日誌、2009-08-14) http://d.hatena.ne.jp/arg/20090815/1250312841 でお知らせしたように、11月22日(木)に第6回ARGカフェ&ARGフェスト@横 浜として開催する予定。 ・「あらためて、第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪への招待(8/22(土) 開催)」(編集日誌、2009-07-23) http://d.hatena.ne.jp/arg/20090724/1248402413 ・「第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪のライトニングトーク登壇者続々確 定-久慈達也さん、松村真宏さん、千本沢子さん、林豊さん、三浦麻子さん」 (編集日誌、2009-08-04) http://d.hatena.ne.jp/arg/20090805/1249456103 ・「第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪のライトニングトーク登壇者確定の 続報-松下光範さん、小澤かおるさん」(編集日誌、2009-08-07) http://d.hatena.ne.jp/arg/20090808/1249723707 ・「第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪のライトニングトーク登壇者確定の 続々報-高久雅生さん、光森奈美子さん、前嶋淳子さん」 (編集日誌、2009-08-11) http://d.hatena.ne.jp/arg/20090813/1250153258 ・「第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪の11人目のライトニングトーク登壇 者に黒岩雅彦さんが確定、そして第6回ARGカフェ&ARGフェスト@横浜の日程」 (編集日誌、2009-08-14) http://d.hatena.ne.jp/arg/20090815/1250312841 ・「明日開催、第5回ARGカフェ&ARGフェスト@大阪-ライトニングトーク登 壇者確定+【速報】ARGフォーラム記事掲載-CNET Japan」 (編集日誌、2009-08-21) http://d.hatena.ne.jp/arg/20090821/1250851911 ◆2009-08-25(Tue): 第1回ARGフォーラムの報道状況-CNET Japanと 東京IT新聞に記事掲載 ⇒ 元記事:http://d.hatena.ne.jp/arg/20090826/1251216747 当日は多数の記者にお越しいただいたが、早速、2誌で記事なっている。 ・「国会図書館、書籍をネット配信へ-利用料は1冊数百円程度に」 (CNET Japan、2009-08-21) http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20398695,00.htm ・「本の未来のビジョンとスキーム-ARGフォーラム開催」 (東京IT新聞、2009-08-25) http://itnp.net/category_betsu/20/2811/ 記事にしてくださった方々に感謝。 CNET Japanの記事は、掲載されたのが金曜日の夕方ということもあり、すでに 多数ブックマークされている。 ・はてなブックマーク - 国会図書館、書籍をネット配信へ--利用料は1冊数百 円程度に:ニュース - CNET Japan http://b.hatena.ne.jp/entry/japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20398695,00.htm ◆2009-08-26(Wed): 都内での会議4件を経て、 第2回ウェブプロデューサー勉強会に参加 ⇒ 元記事:http://d.hatena.ne.jp/arg/20090827/1251362460 朝から東京へ。まず先日の第1回ARGフォーラムの書籍化について、ある出版社 の方々と打ち合わせ。その後、九段下で打ち合わせを2つ行い、田町で図書館 総合展関係の打ち合わせ。普段は横浜にいて、時折東京に行くときに用件をま とめるようにしているのだが、打ち合わせは4件が限界だろうか。 さて、夕方からはこの6月から始めているウェブプロデューサー勉強会の第2回 に参加。今回の会場には、 ・港区男女平等参画センター(リーブラ) http://www.city.minato.tokyo.jp/sisetu/danzyo/danzyo/ を利用した。一応、この勉強会は私が始めたものだが、基本的にはやりたい、 やってくれる方の持ち回り開催としている。今回はポータルサイトgooを運営 するNTTレゾナントの若手社員の方々が実務を担ってくださった。心から感謝。 手を動かしてくれる方がいるからこそ、学ぶ場が維持されるのだ。しかし、実 務を担当してくれた大部分が今年の新入社員だというのだから、NTTレゾナン ト恐るべしである。 ・goo http://www.goo.ne.jp/ ・NTTレゾナント http://www.nttr.co.jp/ さて、今回の話題提供者と演題は、藤代裕之さん(NTTレゾナント・gooラボ企 画担当)による「ブログ通信簿という『発想』、研究技術をどう生かすのか」。 ・ブログ通信簿 http://blogreport.labs.goo.ne.jp/ 基本的にこの勉強会は、いたずらに規模を追わず、まずは私が知っている方、 次いで私が知っている方々が知っている方々と、口コミで広がっている。つま り、顔が見える関係、また直接会って話す時間を重視しているので、ここでは 藤代さんのお話の詳しい内容にはふれない。 ただ、Yahoo! JAPAN在職中に、 ・Yahoo!ラボ http://labs.yahoo.co.jp/ の公開に関わった者としては、私の知る限り、ブログ通信簿は、ウェブ企業の ラボサイトで公開されたデモとしては、過去最高のアクセスを記録したのだが、 それも当然と思えるほど、徹底したモノづくりが行われていることを実感した。 さすが、というべきだろう。また、藤代さんが実際に使った「神は細部に宿る」 という言葉を実感する点も多々あり、大いに教えられた。そして、あらためて 感じたのは、藤代さんとは同世代なのだが、つくづくプロデューサーとしての 考え方が似ているということ。最初にお目にかかったのはいつのことだったか、 はっきり覚えていないが、このツナガリの縁に感謝するばかりだ。 ところで、 ・gooラボ http://labs.goo.ne.jp/ を一度じっくりと見渡し、その上で、 ・gooラボとは http://labs.goo.ne.jp/about/ ・gooラボの歴史 http://labs.goo.ne.jp/history/ をみてほしい。ページの左側の下の方に「他社ラボサイトリンク」というコー ナーがある。これはすばらしい。この種のラボサイトで他社のラボサイトへの まとまったリンクを持っているのは、gooラボだけではないだろうか。実にイ ンターネット的! 他社でラボサイトの運営に携わっているウェブプロデュー サーにはぜひ見習ってほしい。 * なお、ウェブプロデューサー勉強会は上述の通り、口コミのネットワークで徐 々に広がっていけばいいという姿勢でやっています。参加をご希望の方で実際 に私に会ったことがある方は、ご連絡いただければ参加できるようにします。 または、過去2回のウェブプロデューサー勉強会に参加したことがあるお知り 合いを探してみてください。ただし、基本的には現時点でウェブのサービスに 職業として関わっている方、あるいはウェブに関わる研究者に参加を限定して いますので、この点はあらかじめご了承ください。 ◆2009-08-27(Thu): なぜ、岩波書店は長尾真著『電子図書館』 (岩波書店、1994年)を復刊しないのだろうか ⇒ 元記事:http://d.hatena.ne.jp/arg/20090829/1251531818 素朴な疑問でもあり、こういう現状をみると、出版社や編集者が現実に能力を 失いつつあることを実感もするのだが、なぜ、岩波書店は長尾真著『電子図書 館』(岩波書店、1994年)を復刊しないのだろうか。 長尾真さんは、言わずと知れた国立国会図書館長であり、先のARGフォーラム に限らず、いまそのビジョンとスキームで大いに注目されている人物。 長尾さんが書籍のデジタル化を語るのは、別にいまに始まったことではない。 すでに15年前に『電子図書館』という本を岩波書店から刊行しているのだが、 残念ながら「品切重版未定」という状態が続いている。 ・長尾真著『電子図書館』(岩波書店、1994年) http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/7/0065150.html http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000065157/arg-22/ ここで疑問なのが、なぜ、岩波書店はこの本を復刊しないのか、ということ。 ・書物復権2009 8社共同復刊XIII http://www.kinokuniya.co.jp/01f/fukken/ といった事業を続けているにも関わらず、『電子図書館』は対象となっていな い。いまなら、いやいまこそ、復刊すれば大いに売れるだろうに……。看板雑 誌である『思想』1022(2009年6月号)では、 ・福井健策「「グーグル裁判」の波紋と本の未来」 ・宮下志朗「作者の権利、読者の権利、そして複製の権利」 ・長谷川一〈書物〉の不自由さについて -〈カード〉の時代における人文知と物質性」 ・高宮利行「書物のデジタル化 -グーテンベルクからグーグルへ ダーントン論文への重ね書き」 ・ロバート・ダーントン「グーグルと書物の未来」 を掲載しており、書籍のデジタル化やウェブ公開に関心がないわけでは、ない のだろう。 ・『思想』1022(2009年6月号) http://www.iwanami.co.jp/shiso/1022/shiso.html きっと、いま復刊に向けて準備中であり、近いうちに、 ・岩波書店 - 今月の復刊 http://www.iwanami.co.jp/fukkan/ に、長尾真著『電子図書館』が登場するものと信じたい。 ◆2009-08-28(Fri): 長尾真さん(国立国会図書館)のお話を聴きたい方への 耳寄り情報 ⇒ 元記事:http://d.hatena.ne.jp/arg/20090829/1251531817 先日の >> 2009-08-17(Mon): 第1回ARGフォーラム 「この先にある本のかたち-我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」 (於・東京都/学術総合センター 一橋記念講堂) http://sites.google.com/site/argforumsite/ << でご講演いただいた長尾真さん(国立国会図書館)だが、非常に積極的に方々 で講演している。長尾さんの話をもっと聞いてみたいという方も多いと思うの で、私が把握している限りの登壇情報を紹介しておこう。 まずは、 >> 2009-09-15(Wed): ジャンヌネー前フランス国立図書館長による講演と対談 「インターネットと文化:チャンスか危機か」 (於・東京都/国立国会図書館 東京本館) http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/jnjlecture.html << がある。ジャン・ノエル・ジャンヌネーさんは前フランス国立図書館長で、 2年前に話題になった ・『Googleとの闘い-文化の多様性を守るために』 (ジャン・ノエル・ジャンヌネー著、佐々木勉訳、岩波書店、2007年、1680円) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000226177/arg-22/ の著者。 ・「ジャン・ノエル・ジャンヌネー著『Googleとの闘い』」 (編集日誌、2008-01-13) http://d.hatena.ne.jp/arg/20080115/1200368837 つい先日、 ・「グーグル、フランス国立図書館と「Google Book Search」契約を間もなく 締結か-仏報道」(CNET Japan、2009-08-19) http://japan.cnet.com/clip/global/story/0,3800097347,20398485,00.htm という報道があったばかりなので、ジャンヌネーさんが何を語るのか、非常に 気になるところだ。さて、ジャンヌネーさんの講演は、東京と京都で行われる のだが、東京での開催に際しては、長尾さんとの対談も盛り込まれている。 残念ながら東京会場での参加は難しいという方には、東京での開催の翌々日に 行われる >> 2009-09-17(Thu): ジャンヌネー前フランス国立図書館長による講演 「インターネットと文化:チャンスか危機か」 (於・京都府/国立国会図書館 関西館) http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/jnjlecture.html << がおススメ。ちなみに、その前日には、 >> 2009-09-16(Wed): 国立国会図書館データベースフォーラム「確かな情報へのナビゲーター」 (於・東京都/国立国会図書館 関西館) http://www.ndl.go.jp/jp/event/dbf2009.html << が予定されている。9月の後半には、 >> 2009-09-30(Wed): 社会イノベーションを誘発する情報システムに関する国際ワークショップ (於・東京都/学術総合センター 一橋記念講堂) http://www.nii.ac.jp/issi/ << で「相互理解が最良の安全保障」と題して講演されるようだ。 その翌日には、恒例となった >> 2009-10-01(Thu): d-log.セミナー 長尾真氏・円城塔氏『言語とはなにか-書く、伝える、遺す』 (於・東京都/d-labo/dream laboratory by SURUGA bank) http://www.d-labo-midtown.com/d-log-detail.php?id=172 << が開催される。 ・Self-Reference ENGINE http://self-reference.engine.sub.jp/ ・「言語とはなにか-書く、伝える、遺す」 http://self-reference.engine.sub.jp/?eid=930170 円城さんは、Twitterユーザーのようだ。 ・EnJoe140 (EnJoe140) on Twitter http://twitter.com/enjoe140 ・円城塔著『オブ・ザ・ベースボール』(文藝春秋、2008年、1200円) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163267301/arg-22/ ・円城塔著『Boy’s Surface』(早川書房、2008年、1470円) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152088907/arg-22/ ・円城塔著『Self‐Reference ENGINE』(早川書房、2007年、1680円) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152088214/arg-22/ 国立国家図書館による書籍のデジタル化を考える際、いわゆる文学の扱いは、 なかなか議論のわかれるところだけに、このセミナーで長尾さんが何を語るの か、非常に興味深い。 そして、その翌日。アレクサンドリア図書館長のイスマイル・セラゲルディン さんを招く国立国会図書館の催しがある。 >> 2009-10-02(Fri): パピルスからPDFへ-よみがえるアレクサンドリア図書館 (イスマイル・セラゲルディン) (於・東京都/国立国会図書館 東京本館) http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/bibalex.html << ここでは、セラゲルディンさんの講演に引き続き、長尾さんとの対談が組まれ ている。 ・アレクサンドリア図書館 http://www.bibalex.jp/Japanese/ 10月は、中旬にまず、 >> 2009-10-15(Thu): 2009 言語資源シンポジウム「言語・音声データの学術利用に向けて」 (於・東京都/学術総合センター) http://research.nii.ac.jp/src/symp/ << があり、ここで長尾さんが「言語資源の意義と重要性」と題して講演の予定。 あくまで「言語・音声データの学術利用に向けて」をテーマに掲げた学術的な 催しだが、言語資料、特に音声データの扱いについて、国立国会図書館の方針 を語るのか、気になるところだ。 この月は月末に、 >> 2009-10-30(Fri): 全国図書館大会 平成21年度(第95回)東京大会 (於・東京都/明治大学アカデミー・ホール) http://www.jla.or.jp/taikai2009/ << があり、ここで恒例の館長挨拶をされるだろう。 そして、今秋図書館関係では最大の催しである >> 2009-11-10(Tue)~2009-11-12(Thu): 第11回図書館総合展/学術情報オープンサミット2009 (於・神奈川県/パシフィコ横浜) http://www.j-c-c.co.jp/library/ << でも、国立国会図書館の主催フォーラムにご登壇されるらしい。こちらについ ては、まだ詳細不明。 以上が、私の知る限りの長尾さんのご登壇予定である。これ以外の情報をお持 ちの方はぜひご教示を。ちなみに上記の催しにつき、私はすべて参加する予定。 あと、これは蛇足だが、様々な場で長尾さんが講演されるわけだが、聴講に行 く方には、幸いにも質問できるチャンスがあった時、その場のテーマを尊重す るようにしてほしい。もし、自分の関心事と上記の講演の論題にずれがあるの なら、無関係な質問は控えるのが節度というものだ。 岡本真:ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)編集長 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG) [ARG-390] 2009年08月31日(週刊) 【発行者】岡本 真:ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)編集部 【編集者】岡本 真:ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)編集部 【発行地】日本/神奈川県/横浜市 【 ISSN 】1881-381X 【E-Mail】zd2m-okmt@asahi-net.or.jp 【サイト】http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/ 【ブログ】http://d.hatena.ne.jp/arg/ 【今号のウェブ版】http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/390.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本誌掲載記事の取り扱いは、著作権法に則って行ってください。本誌の許可を 得ていない記事の転載は違法です。引用は著作権法の範囲内で。記事を情報源 として二次的に利用する際には、情報源としての本誌の存在を明記してくださ るようお願いします。悪質な例に対しては、法的手段を含め相応の対応をしま す。なおメーリングリストなど、複数による閲覧が可能なアドレスでの登録は ご遠慮下さい。 Copyright (C) "ACADEMIC RESOURCE GUIDE"編集部1998- All Rights Reserved.  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


