2008/02/07
【真説日本古代史】特別編9の27
◇お知らせ◇ マガジン配信日:毎月5・10・15・20・25日といたします。 ☆真説日本古代史☆ ================== □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 【特別編】謎の聖域!伊勢神宮 其の二十七 -------------------------------------------------------------------- 『先代旧事本紀』という史書は、実は複数存在する。ここでも、よく例 に取り上げているものは、通常「十巻本」と呼ばれているもので、他にも 「三十一巻本」・「七十二巻本」がある。 『先代旧事本紀大成教』は、このうちの「七十二巻本」のことで、延宝 七年(1679)、江戸の版元「戸嶋惣兵衛」(とじまそうべえ)のより、 『神代皇代大成教』(かみよこうだいたいせいきょう)として刊行された ものであり、おそらくは僧侶「潮音」(ちょうおん)が、持ち込んだもの と考えられている。 『大成教』は発刊当初から、学者や僧侶などの知識人や、エリート階級 などに大評判となったが、その後、たちどころに焚書・発禁の憂き目にあ う。 天和元年(1681)、荒唐無稽な偽書であると幕府に断定され、版元 の「戸嶋惣兵衛」は追放、「潮音」(後に減刑)等は出版関係者とみなさ れ流罪となったのだが、その関係者として伊雑宮の神人が含まれていた。 偽書だとはされたが、はたして内容を吟味したのかどうかは、はなはだ 疑問である。というのも、幕府が裁定を下した理由は、激昂した内宮・外 宮神人たちの、熱心な詮議の申し立てがあったからである。 両宮が問題にしたのは、伊雑宮は両宮よりも社格が上であるとする記述 であり、言ってしまえば、伊雑宮こそが本来の内宮、ということである。 これは先の伊雑宮事件と同じ主張であることから、伊雑宮神人の関与が あったものと裁定され、伊雑の神人もまた処分されたのだが、「潮音」は なおも、『大成教』が本物であることの主張をつづけた。 結局『大成教』事件は、「処分不徹底」ということで、その版木が焼却 され、焚書目録の筆頭に名を記されることになった。 ところで「潮音」が減刑された理由は、将軍「徳川綱吉」の生母、「桂 昌院」(けいしょういん)の取りなしがあったからである。 実のところ「潮音」は、黄檗宗(おうばくしゅう)の傑僧「潮音道海禅 師」のことであり、仏教界では知らぬ者はいないほどの超有名人だった。 中国から来朝した「隠元禅師」(いんげんぜんじ)の法孫であり、「隠 元禅師」の名は知らずとも、インゲン豆は誰もが知っていよう。インゲン 豆は禅師が伝えたから、その名が残されたとい言われているくらいだ。 「潮音」がどれくらいすごいのかと言うと、「桂昌院」だけでなく、将 軍「綱吉」でさえ、帰依していたというのである。両宮神官の激しい申し 立てがあったからこそ、やむなく裁いたというのが実情であったのだ。 そんな「潮音」が、なぜ『大成教』に強くこだわったのであろうか。 『大成教』は「潮音」の著作品ではない。聖徳太子と「蘇我馬子」との 編纂という肩書きであるものの、どちらかといえば神道の書である。 『大成教』七十二巻の聖徳太子が偽書では困るのなら、抜粋して編集す ればよかったではないか。現に『大成教』以前に、『聖徳太子の五憲法』 と題した書物を出版している(これが七十二巻本にある同タイトルの記述 とまったく同じであるらしい)。 従って、そこに伊雑宮が関わりがあったのであれば、 「伊雑宮=真の内宮」 が根底にあったからと、考えたくなる。 伊雑宮は本来、五十宮と記すのが正しいという説がある。伊雑は後世改 められたものらしい。伊雑宮は“いぞうのみや”とも発音する。すなわち、 “いそうのみや”(五十宮)=磯宮である。 伊雑宮は、内宮・外宮、両宮の争いに一枚加わった格好になったのだが、 両宮が抗争中であるにもかかわらず、協力して伊雑宮を叩いたという事実 には、何ともやりきれない気持ちになる。 伊雑宮の祭神は「伊射波登美命」と下されたものの、それ以前は、「天 照大神御魂」(延暦二十三年(804)『皇太神宮儀式帳』)が祭神であ り、明治以降は再び「天照大神御魂」を祭神としている。 明治に到るまで争いが続いた両宮と伊雑宮であったが、共通していた思 想は、「荒木田神主」の伝承や、外宮が国常立尊を祭神とするなど、祭神 は男性神であるということである。 また、伊雑宮の「天照大神御魂」とは、アマテラスの荒御魂のことであ ろうか。 内宮の荒祭宮は、アマテラスの荒御魂を祀る別宮であるが、祭神は「天 照大神御魂」ではない。あくまでも荒御魂である。 了 次回配信は、20日頃で『猿田彦大神』の予定です。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○ご意見・情報はこちら。<bunkenshigaku_lab@yahoo.co.jp> ○バックバンバーは下記URLへ。 <http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000005201> ○インターネットの本屋さん『まぐまぐ』<http://www.mag2.com/> ○無料電子出版サービス『E-Magazine』<http://www.emaga.com/> ===================================================================



