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中国内陸の省都の大学に招かれて単身赴任、題材を「中国」に変更。「お客さまーっ!」とビザの申請者に叫ぶ麻布の中国領事部に先ず仰天(2006/02/26号)。伸び盛りで目が離せない中国の実相を内側から伝えます。著者の備忘録でもあります。

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2008/03/18

中国学生が楽しむ改革開放 (036)

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「追われる日本、追いつく中国」

━ 日本語教師のメガネを通して見る中国 ━


お詫び:

前号のコラムに間違いがありました。
同コラムでは、たまたま機内で読んだ「チャイナ・デイリー」の
記事に関連づけて「ギョウザ事件」に言及しましたが、同記事は、
類似する事件ではありましたが、当の「ギョウザ事件」とは何ら
関係がない別件についてのものだったことが、後日、ウエブ上で
同記事を改めて検索し、再読した際に分かりました。遺憾ながら、
読み違えのため、コラムの論理が根底から覆ったことになります。
同事件に絡む鬱積した気分が、不注意を許したようでもあります。
謹んでお詫びし、誠に勝手ですが、前号をボツにさせて頂きます。
何卒よろしくご了承ください。
さぶみごろう


中国学生が楽しむ改革開放 (036)

 中国の大学生の男女交際は、いかにも開放的だ。

 先日、男女ペアで居宅を訪ねてきた学生がいた。
3年女子学生から、「英語学科(学部)の学生と訪ねたい」との電話、
詳しいことは聞かずにOKして到着を待った。日本なら、男女二人が
揃って居宅へ来るとなると、教師といえども、何か妙に構えてしまう。
半世紀前、わたしの学生時代の風潮はそうだった。

 彼女は成績もよく、真面目で優秀な学生の1人だ。
昨年12月に行われた日本語能力試験1級で、学内で一番の高得点を
取った。国際協力基金が全世界で年一回実施、日本語学習者なら必ず
受けるといわれる例の試験だ。作文には、親から「勉強しなさい」と
一度もいわれたことがないと書き、女医の祖母が反対していなければ、
生まれるはずもなかったそうで、「祖母は命の恩人」とも書いていた。
一人っ子政策のもと、辛うじて生を受けたという。

 ルームメートと4人で来たことも何度かある。
大学が部屋の割り当てで細工したわけでもなかろうに、2人ずつ同じ
姓を持ち、しかも、片方の同姓の2人は、名前のほうも1字が重なる。
つまり、1人は名前が1字、もう1人は2字ではあるが、その1字が
同じ文字なのだ。3人は東北出身、1人は南出身のために生活習慣の
違いがいたずらして、3対1で奇妙なやり取りもないではないという。
しかし、小柄で背格好もよく似て飛び切り仲がよい。

 この4人娘のわたしへの心遣いも並外れて優しい。
毎年、9月10日の「ティーチャーズ・デー」やクリスマスになると、
小さいプレゼントを提げてやって来る。一昨年の冬の前には、4人で
分担して編んだという2つ指の手袋をくれた。寮母から習いながらの
作業だったので、5つ指ではなくて2つ指がやっとだったと白状した。
実は、片方を紛失し、残りはデジカメを収納する袋と化してしまった。
教師冥利に尽きる暖かいプレゼント、慙愧に耐えない。

 4人娘のうち、同姓の2人はボーイフレンドがいない。
彼女たちは、二卵性双生児のように、どこでもいっしょにいるという。
中国の女子学生に目立つのだが、2人で歩くとき、片方が自分の腕を
相手の腕にからませて寄り添うようにして仲よく歩く。3人連れでも
よく見かける。そうしないと、安定感を失うとでも思っているようだ。
この2人も、そうやって歩いているのだろう。

 残りの2人には、ボーイフレンドがいる。
今回、ペアでやって来たほうでない学生は、現在は卒業してしまった
日本語学科の4年生とつき合っていた。それを何故知ったかというと、
彼女の彼が「奨学金」を支給されたとかで、クラスメートとわたしを
招いて昼食をご馳走してくれた。彼は、その席に彼女を呼んだからだ。
彼女は当時2年生、4年生に囲まれて居心地が悪そうな表情だったが、
4年生たちは彼女を喜んで迎え入れ、不思議なほど違和感がなかった。
わたしは、彼らの自然な振る舞いに感心したものだ。

 2人の関係が終焉したことも、後日知ることになる。
卒業式を終え、彼が仲間と高速列車で上海に発つ朝、見送りに行った。
そこに、つぎの彼女が見送りに来ていたのだ。在校生で英語学科との
話だった。彼のクラスメートによると、彼はつぎつぎと相手を替える
ので有名、クラスの女子から「エイズに注意しなさい」と警告された
こともあったらしい。ところで、彼と別れた学生、つまり、4人娘の
ボーイフレンドがいる2人のうちの1人だが、イマカレがいるという。
隠す気がないから、わたしの耳にも自然に入る。

 さて、話を男女ペアで訪ねて来た学生に戻そう。
彼女にボーイフレンドがいることは、彼女の口から聞いて知っていた。
英語学科の学生で、第二外国語に日本語を選択、お互いに交換授業を
しているとも聞いた。4人で訪ねて来たときに、うながされるまでも
なく、話してくれた。そのボーイフレンドを連れてやって来るのかと
半ば予測していたところ、その通りになった。会って分かったのだが、
彼は旧知の学生、学生が自主的に運営するコピールームの一員だった。
そこにはパソコンもあるので、メモリースティックを何度も渡しては
枚数などを英語で告げて印刷してもらっていたからだ。いつも込んで
いたので、そこで落ち着いて話すことなどなかったが、何れの日にか、
直接わたしと話したいと思っていたという。意を決した彼が、彼女に
頼み込んでやっと実現できたというわけだ。2人とも、やや緊張した
面持ちでやって来たが、臆する風もなく、自然な態度で日本のことや
わたしの経歴などを聞いてきた。英語を交えながら、楽しく会話した。
英語学科だけあって、なかなか上手に英語を操った。

 男女の自由な交際は、改革開放以来のことという。
前にも書いたが、中国人の30代の同僚が、前から寄り添って歩いて
来る男女が、教え子だったりすると、目のやり場に困るといっていた。
キャンパスで見かけるペアは、その通り開放的で、堂々としたものだ。
日本とて、半世紀も前のわたしの学生時代とは大きく違って一変した
はずだが、間違いなく中国が先を行っている。中国学生の人目を恐れ
ない男女の交際振りや姿、温かい目で見守る周囲の学生たちを見ると、
これぞ自然の摂理に適ったものではなかったか、と今さらながら思う。
改革開放を最も楽しんでいるのは、中国の学生だ。

さぶみごろう

つづく

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