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中国内陸の省都の大学に招かれて単身赴任、題材を「中国」に変更。「お客さまーっ!」とビザの申請者に叫ぶ麻布の中国領事部に先ず仰天(2006/02/26号)。伸び盛りで目が離せない中国の実相を内側から伝えます。著者の備忘録でもあります。

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2007/04/18

中国で知るレジ係の重労働 (021)

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「追われる日本、追いつく中国」

━ 日本語教師のメガネを通して見る中国 ━

 中国で知るレジ係の重労働 (021)

 日本に比べると、中国の紙幣はヨレヨレが多い。

 人から人へと渡った証拠、お疲れさんといいたくなる。
ヨレヨレどころかフニャフニャといえるほど使い込まれ、よく原型を
止めていると思うほどのものもある。紙幣だから、特別に上質な材料
を使っていることは確かだが、紙の意外な強さを実感させられもする。
多くのピン札が流通する日本と比べ、この違いは大きい。

 中国の通貨の単位は、元、角、分と3分類される。
1元=10角=100分、高額は紙幣、小額だと硬貨も多く流通する。
しかし、分の紙幣や硬貨もあるにはあるらしいが、実物を見ていない。
学内の学生が管理するコピー機を使う場合、単価が1枚当たり80分、
ここで支払う際は、「分」の端数を切り上げて「角」に統一している。
つまり、分は単位が小さ過ぎて実用性を失っているのだ。

 ヨレヨレは、小額の紙幣になるほど目につく。
今の元と円の換算レートは、計算し易いこともあり、1元が15円と
わたし流に頭に入れている。郊外と結び、市内を網の目のように走る
どの公共バスも、終点まで同一料金の1元、日本円なら15円という
ことになる。そこで、小銭として欠かせないのは1元紙幣と1元硬貨。
その上の5元紙幣や10元紙幣も小さな買い物に欠かせないが、手に
するどの紙幣も日本のような新しさがない。ヨレヨレになる度合いは、
小額紙幣になるほど多い。硬貨が使われることが多いので、ほとんど
手にすることはないが、5角、2角、1角の紙幣は、汚れだけでなく
暗色系のせいもあってか、全体が黒ずんで見えるので不潔感さえある。
発行当局には、角の単位の小額紙幣を硬貨に代える意図があるようだ。
ヨレヨレが目立つのは、回収し切れない残りだろう。

 紙幣の最高額は100元、ニセ札も多いらしい。
というのも、客が代金を100元紙幣で払うと、どこの店のレジ係も、
受け取った札を指先でこすったり、照明にかざして見たり、客の目の
前で遠慮なしに調べる。100元札につづく50元札も例外ではない。
お客に対して失礼な態度と思うが、客を疑うのではなく、札を疑って
検査するのだから文句のいいようがない。ニセ札の話は日本にもある。
しかし、こんなに真剣且つ念入りに調べることはない。中国の銀行で
払い出された紙幣にさえ、ニセ札が混ざるというから深刻さが分かる。
毎度、チェックを強いられるレジ係も、ヨレヨレ手前だ。

 チェックポイントは、先ず透かしにあるという。
これは、日本の紙幣も同じで基本中の基本。学生に聞いたところでは、
もう1つあるという。中国の紙幣のほとんどが毛沢東の肖像画入りだ。
その襟元には細かい凹凸があり、爪先や指先でこするとザラザラする。
確かに、そんな感じが指先にする。レジの係も一瞬のことだが、この
辺りをこすっている。ニセ札だと、他の部分と同じようにスベスベし、
簡単には真似できない印刷技術なのだと聞いた。

 これまで、わたしの手元を去った100元札は多い。
しかし、一昔前の買い物だと、100元紙幣で払うことは少なかった
らしい。店で100元紙幣を出すと拒否され、他の紙幣で払うように
いわれたという。店側が取り組むせめてものニセ札対策だったようだ。
しかし、現在のスーパーなどで客の支払い振りを見ると、消費生活が
大きく変化したためか、100元紙幣が乱れ飛ぶように使われている。
しかし、ニセ札使用の現場を見たこともない。幸いなことに、わたし
自身がそんな嫌疑を受けたこともない。現在も、レジ係が慎重なのは、
取り締まり当局の対策への努力が功を奏している一方で、まだ店側が
その成果を信じていないのかも知れない。中国の庶民には、日本人の
ような一方向だけでない、逆向きの処世術もある。

 生活実感からすれば、500元札がほしいと思う。
日本円にすれば7500円といったところ。中国の生活水準からして
1000元紙幣はいらないが、500元紙幣が出れば、財布がもっと
スリムになることは確かだ。家具や家電など高級な家庭用品になると、
100元紙幣では分厚さが気になり、数える手間も増す。そんな強い
要望が実際にあるようだが、当局の腰は重いと聞く。ニセ札の出現を
恐怖しているに違いないと、余計な勘ぐりを入れる向きも多いようだ。
コピー天国の汚名が、さらに増すようでは困る。

 中国は、来年の北京オリンピックで燃えている。
大勢の客を外国から迎えるため、北京だけでなく、どの都市も道路や
公共施設の清掃を徹底している。この界隈でも、道路を頻繁に清掃し、
植栽などもよく手入れされ、クリーンに保たれていることに感心する。
併せて、何とかあのレジ係の重労働も早く軽減してやってほしいもの。
小額紙幣のように、ヨレヨレにならない前に。

さぶみごろう

つづく

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