2007/03/26
内陸中国で日本語を教える (020)
「追われる日本、追いつく中国」 ━ 日本語教師のメガネを通して見る中国 ━ 内陸中国で日本語を教える (020) (本稿は、古巣の某ボランティア団体の依頼で書いたものです) 私は昨年2月から中国で日本語を教えています。 ここは上海から西南へ空路1時間の内陸、江西省の省都・南昌の大学。 外国語学部には、英語と並んで日本語学科があり、そこに勤めています。 ご存知の通り、地元の国際交流協会のもとで「日本語ボランティア」を していました。そこでの同僚の一人が、中国の大学の日語教師に鞍替え、 2年を経て帰国する間際、後任として私を執拗に誘い、最後に承諾する ことに。後で聞いたところ、若い本命の女性がドタキャンし、あわてて 代役を探した由。収入減や内陸の田舎生活、現役が敬遠するのも止むを 得ません。そのせいか、ここには、日本語学科を持つ4年制や3年制の 大学、旅遊学校などが数校あり、日本人の教師が20人近くもいますが、 大半をリタイアしたシニア層が占めています。彼らの地元とここの省や 市の間に結ばれた姉妹関係や人的関係から誘われ、中国に来たそうです。 教師初体験という猛者もいて、求人難をうかがわせます。 大学とは、中国文と英文の契約を交わしています。 契約内容は、授業は最低で週16コマ(16時間)、住居は2LDK (外国人用)、光熱水道費は500元(約7千5百円)まで大学が負担、 休暇で帰国する往復の航空運賃も年1回は大学負担というもの。学内に 病院があり、薬代や医療費の80%を負担してくれ、途中退職や解雇に 関わる条項も、相互主義によるフェアな内容です。宗教活動ははっきり 禁止されています。自慢にはなりませんが、私は中国語ができないので、 大学組織の1つである「外事処」のサポート(英語)が重宝しています。 中国人の同僚や学生も喜んで力になってくれます。授業は、会話、文法、 精読、聴解、さらに経済日本語、商業日本語、歴史、地理など、何れも 支給される教科書を使用し、日本語による授業(直接法)です。収入は、 教師の経歴やコマ数に応じ、月収で5千元(約7万5千円)弱、学食の 食事なら1食5元(約75円)で足り、自費で日本へ一時帰国する場合、 最近のエコノミー代金ならば往復で6千元(9万円)弱。稼ぎの残りは、 学生との親睦に放出、帰国の度に日本の書籍を買い漁って寄贈するなど、 学生の勉学の助けになるようすべてお返ししています。 1クラス25人、他校よりは恵まれた少ない編成です。 学生たちは中国全土から集まり全寮制、点数不足のため第一志望から 回された者もいますが、日本語の習得が、就職に有利に働くこともあり、 たいへん素直で真面目な勉学態度、教え甲斐があります。 ここは異国、しかも単身、ストレスは要注意です。 日本と違う一部の悪しき公共マナーや巧みな商法は論外として、幸い、 物騒な体験などなく、学生からはもちろん、学内外で日本人と露見して 不快な扱いを受けたこともありません。「ドラえもん」などのアニメや 良質な日本製品を通して培った親近感や敬意が、心底にあることは確か。 56族からなるという中国、大昔からつづく異民族との草の根の交流が あり、日本社会と比べて開放的で差別意識が薄いこともよく分かります。 「亭主元気で留守がいい」とはよくいったもの。カミさん孝行にもなる ので、前任者にならって2年はつづけるつもりです。 さぶみごろう つづく


