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2008/07/07

週刊電藝468 [080707] 用心棒|喜多

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■□ 週 刊 ■□weekly DENGEI magazine         [ウエブ電藝]
■□ 電 藝 ■□VOL.468   発行数:288 http://indierom.com/dengei/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┌ H E A D L I N E ────────────── '08年07月07日 ───┐

    忘八ビデオ道              : 用心棒
    銀幕ナビゲーション           : 喜多匡希

└─────────────────────────────────┘


 ┌───┐ 初登場の用心棒さんは喜多匡希さんのマイミク。いよいよミッ
 |月 プ |  クシ系の書き手が増えてきた感。しかし面白い人がたくさんい
 |曜 レ | るものだと感心してしまう。
 |日 テ |  
 |  ク |  筆者は恥ずかしながら「忘八」という言葉を知らず、恥ずかし
 |  ス | かしい思いをしたのだが、これは、仁・義・礼・智・信・忠・
 |  ト |  孝・悌の八徳を失った者、また、それらを忘れさせるほどおも
 |  な |  しろい所とのことで、「人にして人にあらず、人たる姿を借り
 └───┘ た鬼畜外道、売春の世界を仕切るヤクザ」というので、小池一
       夫原作の『忘八武士道』というゲキガがあるらしい(丹波哲郎
 とひし美ゆり子で映画化もされている由。今調べてみると、昭和48年 東映
 京都 監督:石井輝男。お、面白そうだ……)。

 八徳を忘れるほど面白い所にならいつまでも居たいものだと思う。用心棒さ
 んのお店「django(ジャンゴ)」は、そういうところかもしれない。


        :*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:
                ∵∵
                 ∵


観るも八卦観ないも八卦!
 忘 八 ビ デ オ 道
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 用心棒

           
     チャック・ノリスの七光りが生んだ木曜洋画チックな佳編
             「オーバー・キル」
              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  6年連続で全米空手チャンプに輝いたにもかかわらず、一般的には

   『ドラゴンへの道』でブルース・リーと対決した人

 或いは、

   『地獄のヒーロー』でスタローンやシュワルツェネッガーに対抗したの
   に、失笑買った人

 程度の認知しかされていないチャック・ノリス。

  一言で言えば「華が無い」のだが、そのチャック・ノリスにも、弟の主演
 作を作らせてしまう位の七光りはあった(今は無い)。

  その弟の名はアーロン・ノリス。

  長年、兄のスタントマン、兄の主演作の監督として日陰を歩き続けた結果、
 今までの鬱屈が爆発したのかどうかは知らないが、突如としてアーロンの主
 演作が日本でリリースされた。

  タイトルは「オーバーキル」。

  はみ出し刑事がガサ入れ中、興奮のあまり同僚刑事に怪我を負わせてしま
 い、上司に「頭を冷やせ」と強引に休暇を取らされるが、休暇先で現地の犯
 罪組織の暗闘に巻き込まれて適当に暴れてハッピーエンド――という、実に
 木曜洋画チックというか、単に兄貴の主演作をダビングした様な話。

  アーロン本人は「俺様の(最初で最後の)主演作だぜ!」と演技が空回り
 だわ、共演者が「『ヒドゥン』がキャリアの頂点だったマイケル・ヌーリー」
 以外「どこで集めてきた?」と言いたくなる様な面子だったのも何とも……
 せめて兄貴のカメオ出演でもあれば、と思ったが、ここは好意的に、チャッ
 クは「俺が出たら折角の弟の晴れ舞台に水差す事になるし……」と自ら退い
 たと思う事にしたい。(出たからと云って映画の出来に全く関係ないが)

  最後にこの映画、たまに中古ビデオ屋で見かける事があるので、「こうい
 う映画を観ても怒らない人」なら、一度お勧めしたい。


             ┏■作品データ
             ┃オーバーキル(1995)
             ┃OVERKILL 92分 アメリカ
             ┃監督:ディーン・フェランディーニ 脚本:ロ
             ┃ン・スワンソン ジェリー・ラザルス  撮影:
             ┃ジョン・M・スティーヴンス 音楽:ジム・エ
             ┃ルヴィン
             ┃出演:アーロン・ノリス マイケル・ヌーリー 
             ┃パメラ・ディッカーソン
             ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             ┌─────────────────────
         ◎writer|何があろうと決して映画史に残らない作品に血
          profile|道を上げ続けて20数年。親から「こんな映画ば
             |かり観てると馬鹿になるぞ」と有難い忠告を受
             |けるも今更NO WAY BACKな36歳。今では大阪道
             |頓堀で傑作から駄作まで網羅したアクション映
             |画&カルトな映画に囲まれた、カオスというか
             |闇鍋の様なシネマバーを経営中。決してために
             |はなりませんが、多分暇潰し位にはなります。
             |
             |CINEMAバー「django(ジャンゴ)」
             |大阪市中央区道頓堀2-4-3 道頓堀ホーセンビル6F
             |06-6213-0074
             |
             |地図
             |http://map.yahoo.co.jp/pl?p=%C6%BB%C6%DC%C
             |B%D92-4-3&lat=34.66554889&lon=135.50209278
             |&type=scroll&gov=27128.45.2.4.3
             |(1行につなげてアクセスしてください)
             |
             |[電藝 掲載作品]
             |忘八ビデオ道
             |

          :*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:
                  ∵


【新作映画おすすめレビュー】
 銀 幕 ナ ビ ゲ ー シ ョ ン
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 喜多匡希

 恋愛喜劇の楽しさと、異国の文化を目にする興味深さと
 ━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━
                     | 
        近距離恋愛   | 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  D|原題『MADE OF HONOR』
  TVシリーズ『グレイズ・ A|2008年 アメリカ/イギリス 101分 
 アナトミー』と、映画『魔  T|配給:ソニー・ピクチャーズ
 法にかけられて』の大ヒッ  A|監督:ポール・ウェイランド
 トによって、40代にしてブ   |出演:パトリック・デンプシー、ミシェル・
 レイクを果たしたパトリッ   |モナハン、ケヴィン・マクキッド、キャス
 ク・デンプシーと、『M:I:   |リーン・クインラン、シドニー・ポラック
 III』のヒロインに抜擢され、  |
 一躍その名が世界中に広ま   |【上映スケジュール】
 ったミシェル・モナハンと   |7/12(土)〜
 いう、まさしく <今が旬>    |東京:みゆき座、新宿武蔵野館 ほか
 の男・女優を主演に迎えた   |大阪:TOHOシネマズ梅田、敷島シネポップ 他
 ロマンティック・ラブスト   |京都:TOHOシネマズ二条 他
 ーリー。           |兵庫:三宮シネフェニックス
                |そのほか、全国一斉ロードショー
 【プレイボーイのトム(パ   |
 トリック・デンプシー)と   |【公式HP】
 ロマンチストのハンナ(ミ   |http://www.sonypictures.jp/movies/madeofhonor//
 シェル・モナハン)は、10   |

 年来の大親友。毎週日曜日
 には共に出かけ、食事や買い物を楽しみ、大いに語り合うという関係を絶や
 すことなく続けている。男女の仲になったことは一度もない。断じてない。
 考えられない。なぜなら、ハンナにとってトムは <夫にするには最低の男> 
 としか思えないし、トムにとってハンナは <友達としては最高の女> としか
 思えないからだ。しかし、ハンナが6週間のスコットランド出張に旅立って
 から、トムは初めて自身がハンナに恋をしていたことに気付く。
 「帰ってきたら告白しよう!」
  しかし、帰国したハンナの口から思いがけない一言が…… 
 「出張先で運命の出逢いをしたの。彼と結婚するわ! あなたは一番の親友
 だから、私の筆頭花嫁付添人をお願いしたいの」
  トムはハンナの結婚準備を手伝いながら、なんとかハンナを振り向かせよ
 うと奔走する!】

 というストーリー。
 
  原題にもなっている <MADE OF HONOR メイド・オブ・オナー> とは、筆頭
 花嫁付添人のこと。花嫁付添人(プライズメイド)は複数いるが、そのリー
 ダー格には花嫁と最も親しい未婚の女性が選ばれるとか。これを、未婚とは
 いえ、男性が担うというところが本作のミソ。このことは事前に知っておい
 た方が良いだろう。
 
  恋愛喜劇としては、ストーリーそのものの洗練が足りず、ギャグがいささ
 か下品で露骨。そのため、少々泥臭く感じてしまったのだが、お国柄によっ
 て異なる結婚文化は興味深いものがあった。中世ヨーロッパに起源を持つ花
 嫁付添人だけでなく、スコットランドの結婚を巡る風習には驚くやら笑える
 やら。そういった文化の違い、日本人の筆者にはどちらも面白いものに映っ
 たのだ。
 
  この手の作品の常として、ファッションや小物が目を引く。サントラも良
 い。しかし、特に強く印象に残ったのは撮影の素晴らしさ。ニューヨークと
 スコットランドの魅力を、見事に切り取って目を見張るものがあった。「撮
 影監督、誰だ?」と思って調べてみると、これが納得の人選。トニー=ピア
 ース・ロバーツ。『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』『日の名残り』
 といったジェームズ・アイヴォリー監督作品の撮影を担当し、全世界に英国
 ブームをもたらしたカメラマンだ。実に良い仕事をしていて、さすがは大ベ
 テランと唸った。
 
  尚、主人公の父親役で、ハリウッドの名監督・名プロデューサー:シドニ
 ー・ポラックが出演。本作が遺作となった。
 

 中国、この巨大な国で今何が起ころうとしているのか?
 ━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━
                     | 
   いま、ここにある風景   | 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  D|原題『EDWARD BURTYNSKY: MANUFACTURED 
  世界中の産業発展を追い  A|LAN DSCAPES』
 かけ、採掘場や工場、廃棄  T|2006年 カナダ 87分 配給:カフェグル
 物処理場などの風景を撮り  A|ーヴ=ムヴィオラ
 続ける世界的写真家:エド   |監督:ジェニファー・バイチウォル
 ワード・バーティンスキー。  |出演:エドワード・バーティンスキー
 彼は、そのファインダーを   |
 中国に向け、余りにも巨大   |【上映スケジュール】
 なこの国の産業の発展・変   |7/12(土)〜 東京:東京都写真美術館ホ
 容を風景写真として記録す   |       ール、シアター・イメージ
 る旅に出た。その記録は写   |       フォーラム 
 真集『CHINA』として結実し、 |7/26(土)〜 大阪:テアトル梅田
 世界中で絶賛の渦を巻き起   |8/2 (土)〜 大阪:十三第七藝術劇場
 こし、写真家としての名声   |近日公開予定 京都:京都シネマ、
 を更に高めた。        |       兵庫:神戸アートビレッジ
                |       センター
  本作は、『CHINA』撮影の   |そのほか、全国順次公開予定
 旅に付き添った記録である   |
 のだが、それだけに留まら   |【公式HP】
 ない。本作は、偉大な1人   |http://imakoko.cinemacafe.net/
 の写真家に密着した創作過   |
 程を捉えると同時に、中国
 という途轍もなく広大な国で起きている産業革命の姿を収めることに成功し
 ている。そればかりか、本作は、写真集『CHINA』に、映画という形で新たな
 息吹を吹き込み、1つの解釈をも示しているのだ。
 
  ジャ・ジャンクー監督の『長江哀歌 <エレジー> 』(2006年 2006年度ヴ
 ェネチア国際映画祭金獅子賞&2007年度キネマ旬報外国語映画ベストワン)
 で広く知られた世界最大のダム=三峡ダムの工事現場や、驚くほどの速さで
 都市化が進む上海、汚染によって真っ赤に染まった川を捉えたバーティンス
 キーの写真は、あまりにも衝撃的で恐ろしく、しかしそれでいてアートとし
 ての美しさに満ちている。彼が切り取った風景には、瞬間芸術たる <写真> 
 の凄みが溢れているが、本作は、その凄みを些かも損なうことなく、音響の
 合成やロード・ドキュメンタリーとしての紀行性を加味することによって、
 時間芸術たる <映画> の特性を与え、また新たな作品としてそびえ立ってい
 るのだ。
 
  冒頭、巨大な工場における作業風景が8分間の長回しによって淡々と映し
 出される。果てがないのではないかと不安になってしまうほど延々と続く横
 移動撮影で、早くも圧倒されてしまった。本作で示されるのは、現代の中国
 で進んでいる変化のごくごく一部にしか過ぎない。となると、その全体像の
 巨大さはいかばかりであるのか? いくら考えてみても、想像の及ばない物
 凄さである。
 
  しかし、これは中国だけで起きている現象ではない。本作の製作国である
 カナダでも見られる。もちろん、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ、
 イタリアなど、先進国と呼ばれる国々が一様に辿ってきた変化の過程である。
 日本も例外ではない。中国という国が膨大な規模を誇っているからこそ、こ
 のような衝撃が特別に顕著なものとして錯覚してしまうに過ぎないのだ。
 
  本作を前にしては、ただただ息を呑むしかない。鑑賞後、しばらくは何も
 言えなくなってしまう。考えられなくなってしまう。そして、しばらく経ち、
 落ち着いてからようやく人類の存在に思いを巡らせることになる。その、思
 考が停止する感覚は、本作を実際に鑑賞しないことには味わうことができな
 い。幾らこうして書き連ねてみたところで、到底表現の追いつくところでは
 ないのだ。
 
  エコ問題に関心のある方も、そうでない方も、是非!!
 

 古代中国・京都・台北。伝説のお茶を巡る三都物語
 ━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━
                     | 
      闘茶 tea fight   | 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  D|2008年 日本/台湾 102分 配給:ムー
  タイトルになっている   A|ビーアイ
  <闘茶> とは、【中国は福  T|監督・原案:ワン・イェミン
 建省で生まれたお茶の競技  A|出演:出演:香川照之、戸田恵梨香、ヴィ
 で、風味や様式美・精神性   |ック・チョウ、細田よしひこ、ほんこん、
 を競うもの】であるそうだ。  |藤田陽子、エリック・ツァン
 日本でも、南北朝時代に伝   |
 来し、 <闘茶式> と呼ばれ   |【上映スケジュール】
 て独自の発展・変容を遂げ、  |7/12(土)〜 東京:渋谷シネマライズ
 庶民の間で賭博として大い   |8/2 (土)〜 大阪:シネ・リーブル梅田
 に広まったという記録があ   |8/2 (土)〜 京都:新京極シネラリーベ
 る。現在では、<茶かぶき>    |8/2 (土)〜 神戸:シネ・リーブル神戸
 <お茶講> という名で、一    |そのほか、全国順次公開予定
 部地域や流派などに受け継   |
 がれているほか、日本闘茶   |【公式HP】
 協会という組織もある。    |http://www.tea-fight.com/ 
                |
  本作は、そんな歴史ある
 闘茶を中心に末、古代中国から現代の京都を繋げ、更に台北に舞台を移しな
 がら繰り広げられるという、時代も国境も越えたお茶を巡る三都物語だ。
 
 【古代中国を起源に、京都の老舗茶屋・八木茶舗に伝わる <黒金茶(こっき
 んちゃ)の呪い>。主人の八木圭は、究極の茶作りに没頭する中、最愛の妻を
 亡くしてしまったが、それを代々伝わる呪いのせいだとして、以来店を閉め
 てしまう。一人娘の大学生・美希子は、茶を学ぶために台湾への留学を考え
 ているが、圭は頑なに反対する。そんな中、八木家の庭に幻の茶と言われる
  <雌黒金茶(めすこっきんちゃ)> の茶木を発見。闘茶によって <雄黒金茶
 (おすこっきんちゃ)> を持つ者に勝利すれば呪いが解けると知った美希子
 は、その茶木を持つというチャット・メイトに会うため、台湾に飛ぶ。それ
 を知った圭も娘を追って台湾に飛び……】というストーリー。
 
  台湾で舞台演出家・俳優として活躍し、本作が映画監督デビュー作となる
 ワン・イェミンの下に、日本・香港・台湾を中心とするワールド・ワイドな
 スタッフ・キャストが結集している。脚本を大ヒットTVドラマ『やっぱり
 猫が好き』『時効警察』の山田あかね、音楽をジョン・レノンとオノ・ヨー
 コの息子であるショーン・レノンが担当。キャスト陣の多彩さも合作映画な
 らではのアンサンブルで思わずニヤリとさせられる。
 
  また、冒頭で、本作で示される呪いの根源である古代中国でのある闘茶の
 模様が描かれるのだが、これがなんとアニメーション。手掛けたのは『鉄コ
 ン筋クリート』や『MIND GAME マインド・ゲーム』が世界中で絶賛されたア
 ニメーション制作集団・STUDIO4℃だというあたり、アニメーション・ファ
 ンにも必見の作品と言える。
 
  後半、物語が台湾へ飛ぶあたりから、少々迷走してしまった感があり、ク
 ライマックスでは、『ミスター味っ子』を思わせる食対決物に無理矢理落と
 し込んでしまったように感じられるところが、なんとも惜しい気がするが、
 先述した冒頭の意表を突いたアニメーション演出や、京都の静かで趣のある
 下町情緒を魅力的に捉えた撮影は秀逸。

  しかし、それにも増して必見と言えるのは、ヒロインの父親・圭を演じる
 香川照之の素晴らしい演技だ。いつも鳥肌が立つほどの演技力を披露し続け
 る彼だが、本作でもその凄まじいまでの上手さは健在。彼の演技が、本作を
 一段の高みに持ち上げたことは間違いのないところ。その脇で、香港映画界
 の重鎮であるエリック・ツァンが、思わずニヤリとさせられてしまう役どこ
 ろを嬉々として演じているのも楽しい。

 
 京都&大阪芸術大学発の才能・岡太地監督、関西凱旋!
 ━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━
                     | 
      岡太地監督特集   D|<上映作品詳細:3作品共、監督は岡太地、
最新作『屋根の上の赤い女』他 A|配給はヨモスガラブフィルムス>
@神戸アートビレッジセンター T| 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  A|A:『屋根の上の赤い女』(2007年/日本/
 ※こちらは関西限定の上映情  |  35mm/カラー/30分)
 報となります         |  出演:山中崇、神農幸、高城ツヨシ、
                |  梶本潔、板倉善之、ほか
  昨年9月。東京の池袋シネ  |B:『放流人間』(2006年/日本/DV/カ
 マ・ロサで岡太地監督特集が  |  ラー/60分)
 レイトショー上映された。岡  |  出演:川口渉、三嶋幸恵、青野まいあ、
 現代日本映画界で大きな潮流  |  高城ツヨシ、ほか
 を生み出している大阪芸術大  |C:『トロイの欲情』(2004/日本/16mm/
 学映画学科卒業組の1人だ。  |  カラー/84分)※デジタル上映
 バリバリの関西人であるにも  |  出演:中村真利亜、松井宏樹、高城ツ
 関わらず、その企画は関西上  |  ヨシ、ほか
 陸を果たさぬまま年を越し、  |※第27回ぴあフィルムフェスティバルPFF
 今年も既に半年が過ぎてしま  |アワード2005 準グランプリ&技術賞&音
 った。関西出身監督の作品が  |楽賞&北九州賞(観客賞)受賞
 関西で見られない!? おかし  |
 くないか!? 首を長くして関  |【上映スケジュール】
 西上映を待ち望んではいたも  |7/12(土)〜14(月)17:10→A:『屋根
 のの、一向に上映される気配  |の上の赤い女』+B:『放流人間』
 がないため、「嗚呼、岡監督  |7/16(水)〜18(金)17:10→A:『屋根
 は故郷を捨ててしまったのか  |の上の赤い女』+C:『トロイの欲情』
 ぁ…… チェッ……」なんて  |※7/12(土)初日は岡太地監督が来場。
 思っていた(笑)。      |舞台挨拶あり!
                |
  ところが先日、「関西上映  |【上映会場】
 が決まりましたぁ!」という  |神戸アートビレッジセンター KAVCシア
 連絡が岡監督本人から寄せら  |ター 60席
 れたのである。しかも、東京  |神戸市兵庫区新開地5-3-14 
 と全く同じプログラムでの特  |電話078-512-5500
 集上映だというから嬉しい。  |HP→http://kavc.or.jp
 おまけに、初日は岡監督も舞  |
 台挨拶のため会場入りすると  |【料金】
 いう。「関西での上映? そ  |前売なし 当日一般1400円・学生1,200円、
 りゃ、やりたかったですよ。  |シニア1,000円
 今回、神戸。これを成功させ  |木曜サービスデイ一律1000円
 て、大阪・京都でも是非!」  |
 とのこと。岡監督は関西を忘  |【公式HP】
 れていなかった!! 一瞬でも  |『屋根の上の赤い女』
 疑ったお詫びと、心からのお  |→http://yomosuga-love.com/yane.html
 祝いとして、この新進気鋭か  |『トロイの欲情』
 つ目下大注目されている映画  |→http://www.yomosuga-love.com/troyTOP.html
 作家・岡太地の特集上映企画  |
 を御紹介する次第。

  今回の特集上映でメイン作品となるのは、岡太地の最新作にして、初の35
 mm作品『屋根の上の赤い女』だ。 <赤い女> とは、これまた映画的な装置で
 ある。しかし、これは「ふと、青い屋根と赤い服を着た女性というイメージ
 が浮かんだ。それだけなんです、実は(笑)」とのこと。本作は、その言葉
 に漂う軽やかさと微笑ましさを、そのまま映画化したような愛すべき30分の
 短編映画だ。このこじんまりとしたかわいらしさがたまらなく愛おしい。文
 房具卸会社のアルバイト青年と事務員の女性が織り成すラブ・ストーリーの
 快作である。主演に、『松ヶ根乱射事件』『チーム・バチスタの栄光』、そ
 して大傑作『ぐるりのこと。』などの助演でキラリ光っていた山中崇と、『パ
 ーク・アンド・ラブホテル』で話題をさらった神農幸という注目の若手俳優
 を起用。その配役センスも素晴らしい。
 
  また、セット上映となる旧作2本も見逃せない。先述の『屋根の上の赤い女』
 も含め、岡太地の作品は全て <ボーイ・ミーツ・ガール> の形式を有してい
 る。そのため、『汚れた血』『ポンヌフの恋人』などで知られるフランスの
 映画作家レオス・カラックスを連想したりもするのだが、それでいて、彼の
 作品には、ならではのオリジナリティが迸っているから見逃せない。また、
 常に恋愛を描いているといっても、岡太地が描く恋愛は決してスイートなも
 のではない。精子バンクを軸に男女の姿を描いた『放流人間』は特にそれが
 顕著と言える。時に凶器のような感情の発露を見せ、その純粋さゆえの感情
 の走りっぷりが驚くほどスリリングであったりするのだ。その結果、岡太地
 の刻印と言える各作品のキス・シーンで、その作家性が爆発するのである。
 
 
  2005年のPFFで4冠を達成した『トロイの欲情』は、大阪芸術大学の卒業制
 作作品だが、本作を初めて目にした時の驚きは筆舌に尽くし難い。「アップ
 が好きなんです」と語る岡太地だが、幾ら好きだからといって、ほぼ接写と
 俯瞰だけで決して短くない尺数の劇映画が成立するとは思えなかった。しか
 し、これを実現してしまったのである。それも大傑作として!! PFFでの絶賛
 も当然である。この処女作で、岡太地は疾走を始め、現在に至っている。そ
 の疾走は、岡流のペースと方向性を維持しているのだが、それ自体が千変万
 化のため、毎回舌を巻いてしまうのだ。
 
  この稀有な才能を、是非、多くの方々に体感していただきたい。
 


             ┌─────────────────────
         ◎writer|大阪府在住。生まれも育ちも生粋の浪花っ子。
          profile|趣味は読書・プロレス&格闘技観戦・料理、そ
             |してなんと言っても映画鑑賞。映画を観る歓び
             |&語る喜びに加え、最近、広める歓びにも目覚
             |めた。将来の夢は <映画案内人> になること。 
             | 
             |ホームページ
             |[movie masa site 映画に夢を託す]
             |http://homepage2.nifty.com/m-friend/masa.htm
             |メール masa_ginnavi@yahoo.co.jp
             | 
             |[電藝 掲載作品]
             |銀幕ナビゲーション(連載中)
             |           http://kat.cc/30192b
             | 

          :*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*: 
                  ∵


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