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2008/05/01

The Race Weekly -Shukan Keiba Joho- 3941

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■ 週刊競馬情報 ■
  The Race Weekly

==No.3941
==2008-05-01
==E:ST
総読者数 16,513

★もくじ
 ●連載コラム 「ネコで小判」 【高柳誠二】
 ●連載コラム 重賞ノスタルジア − 天皇賞(春) − 【井上咲枝】

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●連載コラム
───────────────────────────────────
■ 1 ■ ネコで小判
───────────────────────────────────
 一応、血統派でもあるので長距離戦は好きなのだが、最近の春天は血が騒が
ナイナー。初心に帰って、父系4代天皇賞制覇でも願うか・・・。

・4月26日(土)
2回東京1日(芝:良、ダート:良)
1R 3歳未   ダ1300 1:20.4 35.8 38.6 エスユーペニー     [22.472]
2R 3歳未   ダ1600 1:39.7 36.4 37.2 スマートキャスター [24.638]
3R 3歳未   ダ2100 2:15.4 38.4 36.9 ナイスラッキー     [28.742]
5R 3歳未   ダ1400 1:27.0 35.0 39.6 カンタベリービート [25.139]
6R 3歳未   芝2000 2:03.4 36.3 35.8 マイネエアウエイ   [28.587]
7R 3歳500  ダ1600 1:38.7 36.0 37.8 プロヴィナージュ   [29.290]
8R 古馬500  芝1800 1:47.5 34.5 34.7 エバンジェリスト   [44.389]
9R 新緑500  芝2300 2:20.5 36.1 35.6 ダイワワイルドボア [41.113]
10R 青梅1000 ダ1400 1:23.8 34.4 37.5 ダイワディライト   [46.466]
11R メトロ   芝2400 2:23.5 35.7 35.6 アルナスライン     [52.581]
12R 古馬1000 芝1400 1:21.1 33.9 35.7 コスモラナップ     [44.428]
 好ネコ指数は10Rのダイワディライト。母はファンタジーSに勝ち、桜花賞
でファレノプシスの2着したロンドンブリッジ、半姉にオークスなど重賞4勝
のダイワエルシエーロ、半兄にアーリントンC&京都金杯を逃げ切ったビッグ
プラネット、ダートに転じて新味が出たビッグカポネがいるお馴染みの良血。
テンからガンガンの中山千二だけでなく、道中で溜めが必要な府中千四をこな
して展望が広がった感。

3回京都1日(芝:良、ダート:稍重(1R)、良(2R〜))
1R 3歳未   ダ1200 1:12.9 35.7 37.2 アナモリ           [25.513]
2R 3歳未   ダ1800 1:52.7 35.7 38.5 タガノタイムピース [33.397]
3R 3歳未   ダ1400 1:26.3 35.2 37.9 ウインパトリオット [21.063]
5R 3歳未   芝1600 1:35.8 35.7 35.0 ハッピープレゼント [35.486]
6R 3歳未   芝1800 1:48.4 35.5 35.8 ヨドノヒーロー     [35.588]
7R 3歳500  ダ1800 1:53.0 36.9 36.7 アグネススターチ   [35.695]
8R 古馬500  ダ1200 1:12.7 36.3 36.4 ライフストリーム   [29.367]
9R ムー500  芝2400 2:28.5 35.5 35.1 メイショウクオリア [38.396]
10R メル1600 芝2000 1:59.0 35.7 34.8 マンハッタンスカイ [52.442]
11R 豪州T   芝1800 1:47.4 35.1 34.2 オーシャンエイプス [46.367]
12R シド1000 芝1600 1:34.8 36.0 34.3 ニホンピロリビエラ [44.121]
 好ネコ指数は2Rのタガノタイムピース。近親にジョーキジルクム(京都牝特
2着)&ジョージタイセイ(東京ダービー)母仔がいる、極軽な10号族の地味血。
アジュディケーティング×オジジアンの硬質配合でもあり、極軽ダート向きの
ムラ馬。
 10Rのマンハッタンスカイも優秀。父マンハッタンカフェは独血ステイヤー
ナガラ、遺伝力に旺盛ではナイナー。硬質極軽な米血3号族牝系の出身なら、
中距離&軽馬場を先行して惰性で押し切る形がイイデ。ただ、オープンに入る
と決め手不足だワナ。

1回福島5日(芝:良、ダート:良)
1R 3歳未   ダ1150 1:09.7 34.3 38.5 チチブヨマツリ     [23.154]
2R 3歳未   芝1200 1:10.4 33.7 36.7 マチカネモンスーン [32.160]
3R 3歳未   ダ1700 1:47.2 36.9 38.2 セイカカリンバ     [26.944]
4R 3歳未   芝1800 1:48.9 35.5 36.8 フォンテーヌ       [38.872]
5R 3歳未   芝1200 1:10.3 34.1 36.2 ニューホープ       [32.287]
6R 3歳未   芝2000 2:03.5 36.6 35.0 ドリームエレメンツ [38.487]
7R 古馬500  ダ1150 1:07.8 34.5 36.3 マルヨカレッジ     [36.557]
8R 古馬500  ダ1700 1:46.1 35.9 38.7 ゲットマイウェイ   [32.795]
9R 古馬500  芝2600 2:41.6 36.6 36.0 マイネルテアトロン [42.985]
10R 滝桜500  ダ1700 1:45.8 36.7 38.2 トーホウオルビス   [34.629]
11R 福牝SG3 芝1800 1:47.1 35.6 35.7 マイネカンナ       [49.698]
12R 伏拝500  芝1200 1:09.3 33.7 35.6 ゴールドネオ       [40.562]
 福島牝馬Sのネコ指数はボチボチ。コース&位置取りによる有利不利がない
馬場&流れで、ほぼ力通りの決着に。
 勝ったマイネカンナはタキオン産駒&10号族の硬質極軽なハンディキャップ
ホース。前走より斤量増はマイナスでも、平坦コース向きで馬場が意外にカル
カッタのも何より。G1は参加に意義で、夏競馬が待ち遠しい。
 2着のハロースピードは右回りだと前向きさに欠ける走りナガラ、イーアシ
で追い込んで負けてなおツヨシ。府中は向くものの、光速の争いになるとジリ
気が出そう。
 3着のザレマは小回りでもスムーズに運べたが、速い脚に欠けて相手ナリに
チョイ甘。マイルよりは千八&二千の方がベターには違いナイナー。
 4着のヤマニンメルベイユは福島出張の馬体減はお約束で、前走から斤量増
の分のチョイ負け。滞在の札幌戦で反撃したいが、相手次第だワナ。
 5着のタイキマドレーヌは勝負所&直線でスムーズさをカイタノが残念無念
の惜敗。予想で書いたように、暖かくなるこれからが稼働期。

・4月27日(日)
2回東京2日(芝:良、ダート:良)
1R 3歳未   ダ1400 1:26.9 35.8 38.4 アイルビーバウンド [23.756]
2R 3歳未   ダ1600 1:39.2 35.3 37.8 サクラリーバポート [26.161]
3R 3歳未   芝1600 1:34.7 34.3 36.2 ジュメイラムーン   [38.048]
4R 3歳未   芝1800 1:49.6 36.8 35.6 コンベンション     [31.126]
5R 3歳500  芝1400 1:22.0 35.4 34.7 フェイムロバリー   [40.054]
6R 3歳500  ダ1300 1:18.4 35.0 37.5 レッツゴーヒチョリ [37.546]
7R 古馬500  ダ1400 1:24.9 35.0 37.9 アイアムレギュラー [38.335]
8R 古馬500  芝1400 1:21.7 35.3 34.8 スピードタッチ     [41.362]
9R 石和1000 芝1800 1:46.7 36.8 34.4 ヒカルベガ         [48.437]
10R 薫風1600 ダ1400 1:24.7 35.3 37.3 ベルモントプロテア [39.451]
11R フローG2 芝2000 2:00.5 36.1 35.1 レッドアゲート     [41.873]
12R 古馬1000 ダ2100 2:11.3 35.6 38.6 マルブツクロス     [41.078]
 フローラSのネコ指数はイマイチ。G2に値しないのは日程的に例年通り。
世代のレベルからすればボチボチか。
 勝ったレッドアゲートはいつもより早めの仕掛けナガラ、開幕馬場なら押し
切れるワナ。距離はともかくG1を勝ち切るだけの血統的な底力に欠ける印象
ナガラ、桜花賞組も大概だけに・・・。
 2着のカレイジャスミンは我が天敵で極軽な8号族。開幕馬場のおかげ様で
ハナ切って惰性で粘り込めた。弱メンやSペースといった極軽レースでこそ。
 3着のキュートエンブレムは初戦&2戦目の好ネコ指数から、能力の高さは
保証済みナガラ、前走内容が平凡で、極軽調教からデキに疑問アリダー。力は
示したが、骨折は残念無念。
 4着のメイショウベルーガは極端な追い込みに徹して、近親ダンブレばりの
鬼脚を発揮。ただ、硬質極軽馬でアテにならず者。
 5着のシングライクバードは伸びやかな走りでだだっ広い府中向きナガラ、
二千の外枠に入ってコーナーで動けず、直線入口で戸崎圭太騎手に前をカット
されて終了。二四歓迎のタイプだけに残念無念。
 6着のカイゼリンは本質的に二千は長く、外枠からなし崩しに脚を使っては
辛いワナ。これも骨折かい・・・。7着のユキチャンは好位外目を回しナガラ
最後まで渋太い走り。ただ、血統的に奥行き一息。8着のアグネスミヌエット
はネコ指数的に過剰人気で適正着順。

3回京都2日(芝:良、ダート:良)
1R 3歳未   ダ1200 1:13.2 35.6 37.6 ミキノセレナーデ   [25.688]
2R 3歳未   ダ1800 1:54.5 37.8 37.6 キャッツインブーツ [27.624]
3R 3歳未   芝2200 2:17.1 35.8 34.5 ヒカルカザブエ     [35.370]
5R 3歳未   芝1400 1:22.0 35.1 35.3 ビビッドビビアン   [36.541]
6R 3歳500  芝1600 1:34.4 35.4 34.8 ルールプロスパー   [41.166]
7R 古馬500  ダ1800 1:53.1 36.4 38.6 ホーマンクラフト   [32.817]
8R 古馬500  芝1800 1:48.8 36.3 34.3 エイシンテンリュー [38.653]
9R 糺の1000 芝2000 2:00.4 36.5 34.5 セラフィックロンプ [46.616]
10R 橘S    芝1200 1:08.5 34.0 34.5 スプリングソング   [42.554]
11R アンタG3 ダ1800 1:50.5 36.8 36.4 ワンダースピード   [49.550]
12R 古馬1000 ダ1800 1:51.7 35.7 38.0 ウィッシングデュー [40.693]
 アンタレスSのネコ指数はボチボチ。例年より時計の掛かるコース状態で、
地力系ファミナン馬が上位を独占。
 勝ったワンダースピードは中間順調さを欠いたものの、外枠から横綱競馬。
キングロ産駒らしく加齢なる充実振りで、今後も楽しみ一杯一杯。
 2着のドラゴンファイヤーはエリモパサパサーダートは歓迎のクチ。栗毛の
小柄な馬で、暖かくなるこれからが稼働期か。
 3着のサンライズバッカスは取り消し明けでデキ一息の分、直線だけの競馬
ナガラ、地力は示した。ヴァーミリアンが軌道修正できるか微妙だけに、再び
頂点に立つ可能性も十分アリダー。
 4着のフィフティーワナーは不満なく運べたものの、一昨年とは馬場も自身
の能力も違った。
 5着のチャンストウライは我が天敵で極軽な8号族。見せ場はなくてもそれ
ナリに。
 7着のロングプライドは鹿毛のデカ馬で稼働期終了。9着のゲイルバニヤン
はネコ指数的にはもう一息でこれからの馬。12着のナナヨーヒマワリは上がり
が速過ぎたか。14着のメイショウトウコンは敗因不明。コース状態に逆らって
キツイ競馬をした土古戦の反動か。

1回福島6日(芝:良、ダート:良)
1R 3歳未   ダ1150 1:09.4 34.7 37.8 グランドラッチ     [27.579]
2R 3歳未   ダ1700 1:47.9 36.4 38.1 ライラキャスケード [27.353]
3R 3歳未   芝2600 2:42.5 36.2 36.1 コスモタクミ       [37.530]
4R 3歳未   ダ1700 1:48.8 37.6 38.5 デジャヴ           [21.859]
5R 3歳未   芝1200 1:10.0 34.0 36.0 スウェプトスルー   [32.353]
6R 3歳未   芝1800 1:49.2 34.7 36.6 アイビスデージー   [35.239]
7R 古馬500  ダ1700 1:45.7 36.2 38.4 スズカトップ       [39.045]
8R 浄土500  芝1800 1:48.3 36.9 35.0 プリンシペデルソル [44.171]
9R 古馬500  ダ1150 1:09.5 34.0 38.6 デスピュートロマン [29.866]
10R 桑折500  芝2000 1:59.7 34.3 36.3 アクティブアクト   [46.729]
11R 福テ1000 芝1200 1:08.7 33.7 35.0 サンダルフォン     [43.187]
12R 古馬500  芝1200 1:09.6 33.9 35.7 ウインドストーム   [35.641]
 優秀なのは10Rのアクティブアクト。センリョウヤクシャ(阪急杯)やシーズ
グレイス(ローズS2着)&シャドウスケイプ(根岸S)母仔などが出る、極軽な
10号族牝系ナガラ、叔父にイブキインターハイ(京都4歳特別)がいる、中距離
向きのダイナバラード(阪神障害S2着)分枝の出身。既に6歳で上積みがある
とは思えないが、暖かくなってデキは良化する一方通行のよう。
                             【高柳誠二】

───────────────────────────────────
■ 2 ■ 重賞ノスタルジア − 天皇賞(春) −
───────────────────────────────────

第358回 「生まれた時代が悪かった」

今年も春の東京開催が始まった。開幕週は生憎の雨に見舞われたが、この時期
の青々としたターフを目にすると春の盛りを実感する。

2006年の春、私は2度ほど東京競馬場の馬主席でレース観戦をする機会に恵ま
れた。これは伝手を辿ってと言う事ではなく、「馬主席(貴賓席)での競馬観戦
御招待」と言うような懸賞に当選したからである。競馬ファンにとって嬉しい
こうした懸賞は、競馬新聞やスポーツ新聞などでごくたまに行われている事が
あり、他には一口馬主のクラブでも会員対象にこうしたイベントを行う処があ
るようだ。馬主席だけに男性はネクタイ着用のドレスコードがあるし、専用の
フロア内に発券機と窓口がある為に、投票締切間際でも混雑が無く、普段の競
馬観戦とは違いゆったりとした空間で楽しめるようになっている。

とまあ、それはさておき、上記の機会の内の1回が4月30日で、京都で行われ
る天皇賞・春の当日だった。東京競馬場の上階の馬主席フロアでは、私同様に
招待された総勢20名あまりが、滅多に無い機会をそれぞれ楽しみながら京都の
天皇賞の発走を待っていて、同時に2着選びに余念が無かった。

勝ち馬でなく何故2着選びなのかと言うと、この日の天皇賞・春にはディープ
インパクトが出走していたからである。競馬に絶対は無いと前年の有馬記念で
も思い知らされた筈ではあったが、少なくとも同じ部屋にいた皆、いや、多く
の人が、どの馬が2着に来るかと頭をひねっていたのである。

そして時が流れ、ターフビジョンと馬主席フロアのモニターに京都競馬場から
天皇賞・春の中継が始まった。流れるファンファーレに、東京競馬場でも大き
な歓声が起こる。そしてゲートが開いた。

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第133回 天皇賞・春(G1)
2006年4月30日(日) / 3回京都第4日11R / 3200m 芝・右 / 晴・良
サラ系4歳以上 / オープン / (国際) /牡・牝/ (指定) / 定量
1着賞金:13200万円

着枠馬番馬名              性齢 斤 騎手   着差  人気 単勝 体重   厩舎
1[4]7 ディープインパクト牡4 58 武 豊 3:13.4 1   1.1 438- 4 池江郎
2[6]11 リンカーン    牡6 58 横山典 3.1/2  2  14.4 480+ 6 音 無
3[1]1 ストラタジェム  牡5 58 ボ ス 5    8  58.3 446+ 2 平 田
4[7]14 アイポッパー   牡6 58 福 永 1/2   7  47.4 454- 6 清水出
5[3]6 トウカイカムカム 牡5 58  幸  1.1/2  9  85.4 422- 2 田所秀
6[7]13 ファストタテヤマ 牡7 58 武 幸 3/4   13 108.3 468- 2 安田伊
7[1]2 マッキーマックス 牡6 58 藤 田 クビ   3  23.5 488-10 藤原英
8[2]4 ローゼンクロイツ 牡4 58 安 藤 ハナ   6  40.8 456-14 橋 口
9[3]5 トウカイトリック  牡4 58 芹 沢 クビ   5  36.9 432+ 2 松元省
10[5]9 デルタブルース  牡5 58 岩 田 2.1/2  4  24.5 518- 8 角 居
11[8]15 シルクフェイマス 牡7 58 柴田善 1.1/4  11 100.5 484- 2 鮫 島
12[8]16 ナリタセンチュリー牡7 58 田 島 1/2   10  98.4 476+ 6 藤沢則
13[4]8 ビッグゴールド  牡8 58 和 田 1.1/2  14 180.0 464  0 中尾正
14[5]10 アドマイヤモナーク牡5 58 四 位 1.3/4  12 106.1 484+ 4 松田博
15[6]12 ハイフレンドトライ牡6 58 小林淳 2    17 246.5 480+ 8 根 本
16[2]3 チャクラ     牡6 58 小 牧 クビ   15 193.2 482+ 4 安 達
17[8]17 ブルートルネード 牡5 58 池 添 大差   16 197.5 528+16 池 添

払戻金 単勝 7 110円
    複勝 7 110円 / 11 170円 / 1 470円
    枠連 4−6 390円 / 馬連 7−11 380円
    ワイド 7−11 210円 / 1−7 750円 / 1−11 1990円
    馬単 7−11 430円 / 3連複 1−7−11 2840円
    3連単 7−11−1 4320円
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競馬に絶対は無いと分かってはいても、今回はその「絶対」が結果になった。
小柄な体が2倍にも3倍にも見える迫力で、ディープインパクトが先頭でゴー
ルを駆け抜けた。その瞬間、私のいた馬主席の一角は急にシンと静まり返った。

多分、時間にして5秒も無い、ごく短い時間だったのだと思う。しかし一切の
音が消えてしまったほど、ディープインパクトの走りに皆が飲み込まれてしま
ったようだった。口をポカンと開けてモニターに釘付けになっていた人もいた
し、赤ペンを持ったまま固まっている人もいた。

そして外からの大歓声に揺り動かされるように、一気に物音が返って来た。誰
もが興奮してディープインパクトに脱帽し、感嘆の声を挙げていた。


「しかし強いなあ」
「やっぱりこれが1番手だったな」
「最初からこの馬にしとけば良かったよ」


ディープインパクトを賞賛する声の中、私の居た一角では上記のような声が盛
んに飛び交った。実はこの声、圧倒的な強さを見せ付けたディープインパクト
に向けられたものではない。2着になったリンカーンに向けられた声なのであ
る。

リンカーンはこの日、2番人気の指示を集めていたが、天皇賞・春は3200mの
長丁場とあって、私のいたフロアの一角では4番人気に支持されたデルタブル
ースや、5番人気のトウカイトリックへの注目が高かったようだ。しかしディ
ープインパクトは確かに強いが、必死に食らいついたリンカーンもまた強い。
リンカーン自身の走破タイム(3:14.0)は、この日、ディープインパクトが叩き
出したレコード(3:13.4)には及ばないが、この日までレコードだったマヤノト
ップガンの記録(3:14.4)を上回るのだ。加えて3着馬に対して5馬身もの差を
付けてのゴールである。気の毒なのは自らがディープインパクトにつけられた
タイム差・着差(3.1/2馬身)によって、リンカーンの強さの印象が薄れた事だっ
た。

天皇賞・春でのリンカーンの激走ぶりは、横山典弘騎手の述懐によると、ディ
ープインパクトを相手に回してさえ一瞬「よっしゃ!」と思える程の走りだっ
たと言う。それが実らなかったのは、これも後に横山典弘騎手が述懐したよう
に、「生まれた時代が悪かった」と言うひと事に尽きよう。
                             【井上咲枝】

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リンカーン 牡馬 鹿毛 2000年3月18日生 早来産
父 サンデーサイレンス / 母 グレースアドマイヤ / 母の父 トニービン
 /F.No.1-1

馬 主:近藤英子氏
調教師:音無秀孝(栗東)
生産者:ノーザンファーム
通算成績:中央競馬で2〜6歳時23戦6勝、2着5回、3着3回

(主な勝ち鞍)
2004年 阪神大賞典(G2)
2005年 京都大賞典(G2)
2006年 日経賞(G2)

2006年9月 右前脚浅屈腱炎により現役引退、種牡馬入り
      北海道勇払郡安平町・社台スタリオンステーションにて繋養
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