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2008/05/22

言葉の森新聞 2008年5月4週号 通算第1032号

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言葉の森新聞 2008年5月4週号 通算第1032号
文責 中根克明(森川林)


■■自然学習力の源泉は意欲

 生物は、自分の体内に自然治癒力を持っています。そして、自然の成長力によって
成長していきます。 

 人間の勉強についても、本当は、人間がもともと持っている自然学習力又は知的好
奇心のようなものが源泉になって、人間に何かを学ばせているのだと思います。 

 その自然学習力については、まだ研究が十分ではないので、現代の教育技術は、テ
ストやスモールステップやイメージ化などのさまざまな方法によってその自然学習力
を引き出そうとしています。 

 しかし、いちばん大事なことは、何のために勉強するかという目的のところにある
ように思います。その目的は、初めは自分の個人的な利益のようなところにあるでし
ょう。しかし、いつまでもその個人的な利益が目的のままである人は、次第に新しい
ことを学ぶ意欲を失っていきます。目的の達成度に応じて、自分の目的もまた成長し
ていく人は、学習に対する意欲を持ち続けることができます。 

 では、その目的の成長を決めるものは何でしょうか。 

 現代の生物学は、この疑問対して重要なヒントを提供しています。松本元(まつも
とげん)氏は、「愛は脳を活性化する」(岩波科学ライブラリー)の中で、「脳から
のどんな情報出力も、自らの内部世界にあらかじめ存在するものによる」と述べてい
ます。 

 つまり、私たちが学ぶものは、全く新しいものではなく、既に自分の中にあるもの
が発展したものなのです。 

 人間は、子供時代には、自分と環境の区別をはっきり持っていません。例えば、お
父さんやお母さんが言ったり行ったりすることは、そのまま自分の発言や行動と同じ
ものとして受け取られます。この時期に、人生の最も骨格になる生きる方向のような
ものを子供たちは身につけていくのです。 

 そして、その後、読書や対話や経験によって、少しずつ自分の中身を育てていきま
す。しかし、成長するにつれて、自分の中身は次第に固定化し、やがて、自分を基準
にして外界や他人を客観的、批判的に受け取るようになります。そして、学ぶことは
努力を要するものとなり、やがて自分の成長がついていかなくなったときに学ぶこと
をやめていくのです。 

 このように考えると、子供時代に、人間や社会の価値を小さく学んだ子は、その小
さい自分を成長につれて大きく育てていくことは次第に難しくなると思います。子供
時代に、両親や読書を通して、人間や社会のより大きな価値を学んだ子は、最初は小
さい目標からスタートしたとしても、その目標の達成に応じて、自分の目的を更に大
きなものに育てていけるでしょう。つまり、子供は、自分の中に既にあるものとして
新しい成長の道を進んでいくことができるのです。 

 かくして、大人が子供に伝えることのできる最も大事なものは、大人が持っている
大きな感動なのではないかと思ったのです。


■■畑仕事1年生(たんたん/はらこ先生)

 太陽に向かって、背のびするように葉を広げる野菜のなえ。葉の色や、くきの長さ
は、毎日見るたびに変化します。(←☆書き出しの工夫)

 畑仕事にチャレンジしはじめてから、5カ月がたちました。生まれて初めて作った
野菜は、かぶです。童話「大きなかぶ」のように「よいしょ、よいしょ」といいなが
ら、3才の息子と引っぱりたいと思いましたが、できたのは親指の先ほどの小さなか
ぶ。息子が2本の指で軽々と引っこぬきました(T_T)。

 私が畑仕事を始めた理由は、幼児向け絵本「14ひきのねずみ」シリーズの生活にあ
こがれたからです。おじいさんとおばあさん、お父さんとお母さん、それに10ぴきの
子どもたちが、森の中で山いもをほったり、かぼちゃを育てたり、ピクニックをする
話です。生きるために食べる。食べるために家族全員が協力する、というすがたを見
て、食べ物が簡単に手に入る現代のありがたさが身にしみました。(←☆どうしてか
というと)

 とはいえ、日本の食料自給率はわずか40%。半分以上は外国からの輸入にたよって
います。それなのに、食料全体の30%は食べ残しとして捨てられているという話も耳
にします。とくに私が住んでいる東海地方は結こん式がハデで(たしかにそうかも)、
ひろうえんの料理もたくさん出るので、その食べ残しの量が全国で一番多いそうです
。(←☆データ実例)

 スーパーに行けばいつでも買える野菜や肉ですが、実はたくさんの原油やお金をつ
かって外国から運んでいるのです。外国が「日本に輸出するのは、もうやめた」と言
えば、たちまち日本人は食べる物がなくなってしまいます。最近ではバイオ燃料とい
って、トウモロコシやサトウキビなどを原料にしてガソリンの代わりにしようという
動きが出てきています。そうなれば人間の口に入る食料が減り、車はトウモロコシを
食べて走るけど、人間はおなかがペコペコという社会になるかもしれません(@_@);(
←☆聞いた話)

 土地や気候と、人間の体は一体であるという意味で、身土不二(しんどふじ)という
言葉があります。「一里四方(一里は約4キロ)のものを食べていれば安全」という昔
の言い伝えを祖母から聞いたことがありますが、まさに身土不二の意味と重なります
。みなさんも学校でお米作り体験などをしたことがあるでしょう。自分たちで作った
作物は、大事に残さず食べますね。近くの土地で作ったものを食べられる幸せを感じ
、自然のめぐみに感しゃすること。これが今の私たち日本人に必要なことではないで
しょうか。(←☆ことわざや名言の引用+☆一般化の主題)

 とれたての小さな小さなかぶを使って、みそ汁を作りました。あまい葉っぱには、
おひさまのにおいと土の香りがつまっているようでした。(←☆動作情景の結び)

 私が最近はまっている畑仕事について、作文の課題を意識しながら書いてみました
。学年が上がり、新しい課題もありますが、書く練習をすればすぐに慣れてきます。
いっしょにがんばりましょう!


■■平和の祭典、オリンピック(ひまわり/すぎ先生)

 今年は4年に一度のオリンピックの年。8月に中国の北京で開催されます。ギリシ
ャのオリンピアで点灯された聖火は、世界の21か国を経由し、北京まで運ばれるそ
うです。現在、リレーの真っ最中ですが、チベット独立問題が暴動に発展している不
安定な状況の中、聖火リレーを妨害する動きが出ています。ロンドンでは妨害を行っ
た数十人が拘束され、パリでは一時的に聖火が消される事態となり、サンフランシス
コでは急遽予定外のルートを通るなど、混乱が続いているようです。開会式欠席を宣
言する国が現れたり、オリンピック出場を見合わせる有力選手などが出てきて、ニュ
ースを見ていると、北京オリンピックの先行きは、暗雲が立ちこめているように感じ
られます。

<<え2006/82jみ>> オリンピックのボイコットというと、1980年のモスクワ
オリンピックが思い出されます。ソ連のアフガン侵攻に抗議し、多くの西側諸国がオ
リンピックに参加しませんでした。日本も不参加を決めた国の一つです。日本の場合
、最終決断を下すのが遅く、最も被害を受けたのは出場が決まっていた選手たちでし
た。その日のために、どれほど過酷な練習を積んできたことでしょう。このモスクワ
オリンピックでは、スポーツの祭典と政治の関わりが浮き彫りになりました。

 紀元前に始まった古代オリンピックは、ギリシャ全土をあげて行われ、ギリシャ各
地の都市国家群はたとえ戦争中であっても休戦して参加しなければならなかったそう
です。オリンピアでの競技中はあらゆる敵対行為が停止していました。近代オリンピ
ックの第1回は、1896年のアテネオリンピックです。「古代オリンピックの概念
を生かし、各国から選手が集まり競技を行う、平和のための祭典」という思想のもと
、回を重ねるごとに参加国も増えていきました。しかし「参加することに大きな意義
がある」「平和のための祭典」という考えが忘れられてしまうと、オリンピックは危
機に瀕することになります。実際、過去に戦争によってオリンピックが開催不可能に
なったこともありました。

<<え2006/115jみ>> 北京オリンピックには、さまざまな問題が立ちはだかって
いるようです。政治情勢だけでなく、開催地の環境汚染も大きな問題となっています
。しかし、中国政府も環境汚染にさまざまな対策を打ち出しており、北京オリンピッ
ク開催を機に、国際的に見た環境汚染レベルを強く意識し始めたとすれば、大きな前
進でしょう。

 オリンピックと政治を切り離すことは、現代ではなかなか難しいのかもしれません
。しかし、古代オリンピックの精神を思い出し、開催国も参加国も、自分の国のこと
だけでなく、人類全体、地球全体のことを考え、過去のオリンピック中止やボイコッ
トの歴史を繰り返さないようにしたいものです。



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