言葉の森新聞 2008年3月4週号 通算第1024号
言葉の森新聞 2008年3月4週号 通算第1024号
文責 中根克明(森川林)
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■■自発的な学習意欲を育てるために
大人でも子供でも、自発的に何かに取り組むためには、大きな目標だけがはっきり
していて、そのときどきの小さな目標は本人が自ら克服していけるという仕組みにな
っていることが大事です。
子供が小学校低学年のころは、親は、細かいことでも子供に指示をすることができ
ます。今の学校教育のスタイルが、先生が生徒に何かを教えるという形になっている
ために、親も子供に接するときに、つい先生が生徒に接するときのように教えすぎて
しまうことがあります。
例えば、子供に、作文を書かせるとき、音読をさせるとき、読書をさせるときなど
に、親はつい、手取り足取りの指示をしてしまいがちです。もちろん、こういう指示
の仕方も、親子がコミュニケーションを楽しみながらやっているのであれば問題あり
ませんが、細かい指示を始めると、つい親は苛立ち、子は不満を持ち始めるようにな
ります。親が子供に教えることが難しいというのは、こういう事情があるからです。
では、どうしたらいいのでしょうか。
作文だったら、字数と表現項目だけを指示して、子供が行き詰まって親に聞いてき
たときにだけ答えるようにすればいいのです。例えば、「字数は200字以上、たと
えと会話を思い出して書いてみよう」という感じです。
音読だったら、「毎日2ページ、つっかえずにすらすら読めるようになることを目
標にして読んでみよう」というようなやり方です。もちろん、最初はつっかえながら
読んでもいいのです。何度も読んでいるうちに必ずすらすら読めるようになります。
また、読んでいるうちに飽きてきて、ふざけて読んだり速く読んだりしても、それは
全然気にしません。むしろ、そういう読み方ができるぐらい余裕ができたことをほほ
えましく見ていればいいのです。これを、知らない言葉の意味を調べさせたり、本当
に読めているかどうか親がテストをしたり、読んだところを要約させたりすれば、途
端に音読が苦痛になってきます。
読書も同じです。「マンガや絵本でない本を、何でもいいから50ページ読んだら
今日の勉強はおしまい。あとは何をして遊んでもいいよ」という指示の仕方をすれば
、子供は喜んで本を読みます。(学年や実力に応じて、「小3だから30ページ以上
」などと柔軟に決めてください)
親は、大きな方向だけを指示して、細かい選択は子供の自主性に任せていく、とい
うのが自発的な学習意欲を育てるコツです。
(「内輪の父母の広場」から)
■■日本の文化力を高めるために
日本文化には優れた面があります。
その一つは、知的だということです。文盲率の低さももちろんですが、流通してい
る書物の数量でも世界のトップクラスだと言われています。
もう一つは、温和で優しいということです。犯罪特に凶悪犯罪が少ないのは、日本
に住む人(必ずしも日本人とはかぎらない)の性格から来ています。
もう一つは、誇りが高いということです。日本のリーダーは、聖徳太子の時代から
、他国に媚びない自立した精神を持っていました。
しかし、これらの優れた文化は、自然に生まれたものではありません。文化という
ものは、やはり歴史的に形成されてきたものなのです。
その歴史の中核を担っていたのが、読書や言葉を尊ぶ文化です。日本文化は、優れ
た書物を読むことによって継承されてきたのです。
ところが、それがここに来て急速に崩れようとしています。
一つは、読書をしない若者が増えていることです。昔も今も、よく読む人の層は変
わりません。変わったのは、読まない層です。本というものをほとんど読まない層が
増えているのが現代の特徴です。本を読まない人の特徴は、会話に密度がないことで
す。本をよく読んでいる人が一言で言うことを、本を読まない人はその何倍もの言葉
で話します。そういう人が最近増えているように思います。
もう一つの問題は、読む本が多すぎて良書が埋もれがちだということです。若い人
が本を読む時間は限られています。その限られた時間に、一流の本を読むのではなく
、入門書のような本ばかり読んで過ごしてしまう人が多いのです。若いときに難しい
本を読まなければ、年をとってからそういう本を読むようになることはありません。
若いときにこそ、限られた良書を優先して読む必要があります。
これらの問題を克服する道は、教育にあります。教育に高い関心を持つのは、日本
文化のもう一つの特徴です。現在の教育は、受験教育が中心になっていますが、受験
のための教育であっても、それをうまく読書や作文の力を伸ばす方向に生かしていけ
ばいいのです。
日本語作文小論文研究会の目的は、教育の力によって日本に読書文化と作文文化を
作り出すことです。その鍵となるものが、オープンソースの力です。多くの人の意見
を吸収しながら、新しい日本文化を作っていきたいと思います。
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