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2008/02/28

言葉の森新聞 2008年3月1週号 通算第1021号

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言葉の森新聞 2008年3月1週号 通算第1021号
文責 中根克明(森川林)


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■■森リンが生まれた背景

 作文検定で使われている文章自動採点ソフト森リンは、日本独自の技術として作ら
れました。

 当時、アメリカでは既に小論文の自動採点ソフトe-raterが開発されていました。
日本における自動採点ソフトも、基本のアルゴリズムは、このe-raterに沿ったもの
でした。私は、そこに一抹の不安を感じたのです。

 かつて、日本では一太郎という優れたワープロソフトがありました。しかし、機能
的には劣っていたマイクロソフトのワードに駆逐されてしまいました。その間の事情
は、私自身がワープロ専用機からパソコンのワープロソフトに移行し始めた時期だっ
たのでよく覚えています。

 一太郎の方が日本語にずっとなじんでいて、ワードは英語のワープロソフトをその
まま日本語に翻訳したような不自然さがありました。しかし、ワードには、同じマイ
クロソフト社のエクセルやアクセス(データベースソフト)に連携できるという長所
がありました。私は、仕事の関係でどうしてもデータベースソフトを中心にする必要
があったため、当時少数派だったワードを使うことを選択しました。その後の展開は
、やはり他のアプリケーションと連動させられるマイクロソフトのワードが主流にな
る形で進みました。

 同じことは、ロータス123とエクセルの関係にも、ネットスケープとインターネ
ットエクスプローラの関係にもあてはまります。

 この、自社製品で世界のすべてをカバーしようとするのは、マイクロソフト社の風
土というよりも、アメリカの風土とも言えるものです。自社製品、つまり自分の価値
観を世界に当てはめたいという勢力と、自分の価値観を自分の世界にとどめておきた
いという勢力が対峙した場合、勝利するのは常に世界に広がろうとする側です。

 私は、文章自動採点ソフトという分野にも、同様のことが起こる可能性があると考
えたのです。日本語は、今世界化の波とディジタル化の波に翻弄されています。日本
語の文字コードだけでも、既にShift_JIS、EUC-JP、UTF-8などといくつもに分かれて
います。そして、そのほとんどが日本人の限られた参加の中で、主にアメリカの発案
で進められているのです。

 日本人が、知的に優れた民族でありながら、コンピュータに関する分野ではどんど
ん後れを取っているのは、文字コードが分立しているためというのが一つの大きな理
由です。日本人がコンピュータの学習を始める場合、日本語の文字コードによるトラ
ブルに必ず遭遇します。このため、コンピュータの学習の底辺が広がらないのです。

 日本語に関することは、やはり日本語を母語とする人の手によって、日本の伝統を
尊重しつつ改革されていかなければならないと思います。

 森リンが、日本独自の技術として作られた背景には、このような事情があったので
す。


■■「大きな耳、小さな口、優しい目」(よう/まえ先生)

 「違うよー、アンパンマンは青い帽子だよー」

……、突然アンパンマンの話で失礼します(笑)。我が家の娘(1歳3ヶ月になりま
した)は今、アンパンマンのマグネット絵本に夢中です。このマグネット絵本という
のは、絵本にマグネットがついた小道具(という表現でいいのかな?)が付いていて
、絵本の筋に合わせて小道具を選び、貼りつけてその場面を完成させて遊ぶ、言わば
「遊び絵本」です。いくつかシリーズがあるようですが、うちにあるのは「いろいろ
おてんき」。アンパンマンやバイキンマンが、晴れた日に帽子をかぶったり、雨の日
にかさをさしたり……、たとえば、「アンパンマンは青い帽子、メロンパンナちゃん
は赤、バイキンマンは黒の帽子だよ」と書いてあるので、いくつかあるマグネットの
中から、それぞれの帽子のマグネットを選んで、各キャラクターに貼りつけるような
遊びです。大人からしてみればなんとも他愛ない遊びなのですが、アンパンマンが大
好きな娘はもう夢中!!!

「パンパンパーン(アンパンマン、と言っているらしい)」

とつぶやきながら、飽きずにずっと絵本を広げて遊んでいます。

 そこで冒頭の言葉です。一緒に遊んでいると、ついつい口も手も出したくなる私。
大好きなアンパンマンにマグネットを貼ったり取ったりしたいだけなのでしょう、娘
はなんともとんちんかんな絵本を完成していきます。アンパンマンの頭の上に洗濯籠
をのっけてみたり(これは晴れた日にみんなでお洗濯をする場面で使うらしい)、バ
イキンマンの背中から虹を出してみたり(これも晴れた日の場面で使うらしい)……
。そこで、ついつい、

「ほらー、アンパンマンは青い帽子って書いてあるよ、はい、これだよ」

などと言いながら、正解のマグネットを手渡したりしてしまって……。一方、娘は「
我関せず」と言わんばかりに、手渡した帽子を無造作に雨の日のページに貼り付けた
りします。

「あーあ、ほら、雨の日にはぬれちゃううから、傘をさすんだよー」

また、ついつい傘のマグネットを手渡そうとしてしまって、

「ウルサイナー、ママハダマッテヨー」

と言いたそうな娘の顔に気付きました。……あ、もしかして、やっちゃった?

 先日、こんな言葉に出会いました。

「大きな耳、小さな口、優しい目」

高畠導宏さんの言葉です。高畠さんは、ロッテオリオンズ、ヤクルト、ダイエーホー
クス、中日ドラゴンズ、オリックスブルーウェーブ、千葉ロッテマリーンズで打撃コ
ーチとして落合現中日監督、イチロー選手、田口選手などを育てた名打撃コーチ。彼
が選手を育てる時に心がけていた言葉だそうです。単純に「いい言葉だなあ」と思い
ました。人を育てるためには、まずその人の個性(言いたいこと)にじっくり耳を傾
け、自分の考えをただ押し付けるようなやり方はダメだということでしょう。「人を
育てる」……、子育てにも通じるいい言葉だと思ってメモまでしておいたのに……、
失敗です(^^;)。アンパンマンが洗濯籠を頭にのせていたって、バイキンマンから虹
が生えていたって、別にいいんですよね。娘の目に、それがすてきに映るのだから、
それで楽しいのだから、

「違うよー」

なんて口を出すのはナンセンスなのです。もちろん、子育てをしていく過程で、「よ
く晴れた日には日射病になっちゃうからお帽子をかぶろうねー」とか、「雨の日には
傘をさしたり長靴をはいたりするんだよ」と教えるために、この絵本を使う日もやが
てやって来るのかもしれません。でも、今はまだ時期尚早。楽しく、自由に、大らか
に。自分流で遊んでいればいいのですよね。やがて、「大きな耳」で「オシエテヨー
」のサインを聞き取れたら、その時に教えてあげればいいのでしょう。

 なんでもないようなことなのですが、まさに「言うは易し行うは難し」なのですね
。これから、みなさんとお話する時にも、「大きな耳、小さな口、優しい目」を忘れ
ずにいたいと改めて思いました。こらこら、誰だ、電話だから目は見えないなーなん
て言っている子は! 先生がニコニコしてお話しているところを想像してねー。


■■山野草のように(おみかん/おみ先生)

 秩父で「座禅草」という山野草が咲き始めたというニュースを見ました。

 花は水芭蕉に似ていて、白い花の部分が紫茶褐色をしています。その中に、黄色く
丸い花序がのぞいているのですが、その形が僧侶の座禅する姿に似ているところから
座禅草と名付けられたそうです。背丈が低くかわいらしい花です。

 また、山野草の仲間には「雪割り草」という花があります。聞いたことがあるかも
しれませんね。冬に降り積もった雪を割って、春の訪れをやさしく告げてくれる花で
す。他にも、「福寿草」や「節分草」など、野に咲く春を告げる花はたくさんありま
す。

 山野草が咲いたというニュースを見ると、もう春が来るとうきうきしてくると同時
に、冬の寒さによく耐えて根をはっていたなといつも感心するのです。庭に咲く花な
ら、寒さ対策をしてあげられるのに、山や野原ではそういうわけにはいきません。で
も、人が手などかけなくても、冷たい土の中で何か月もだまって春を待ち続け、雨や
雪や霜にも決して負けない力強さを持っているのですね。そして、いざ花を咲かせる
ときには、大げさではなくかれんな花を静かに咲かせるのです。そんな控えめな態度
にも心ひかれます。

 宮沢賢次の「雨ニモマケズ」の詩に、

 雨ニモマケズ

 風ニモマケズ

 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

 丈夫ナカラダヲモチ

 欲ハナク

 決シテイカラズ

 イツモシヅカニワラッテイル……

 とありますね。「座禅草」を見ていたらこの詩を思い出しました。

 何事が自分の身に起きようと、動じないでじっと我慢し逆境に耐えることって難し
いことだと思いませんか。でも、つらいこと苦しいことがあっても、ひとつひとつ乗
り越えていく練習をしていけばきっと強い精神力は身についていくと思います。そし
て、周りの人をあたたかくしてあげられるような優しさをいつも心にもっていられた
らいうことありませんよね。

 私も、日々精進して、野に咲く花のようになりたいです……。


■■ルーツ&シューツ(かいす/きあ先生)

 暦のうえでは春なのに、毎日寒いですね。この冬は「暖冬」という予想だったはず
なのに! ここ数年は天気や桜の開花時期を予想するのが難しくなっているそうです
。地球に何か起こっているのでしょうか・・・

 近所のラーメン屋さんにおもしろい貼り紙があります。

 「地球の笑い声が聞こえるよ。ここにあなたの愛を入れてね」

 えっ? 何のこと? と、貼り紙の下を見ると段ボール箱にたくさんの割りばしが
入っています。

使用済みの割りばしを集めて、製紙会社に持っていくと再生紙に生まれ変わります。
リサイクルです。

このお店では、他にもラーメンをゆでた後のお湯や、食器を洗った後の水を一度浄化
してから流す。スープを全部飲みほした人に50円のサービス券プレゼントなど、た
くさんの地球にやさしいアイディアがたくさん!

 地球のために自分は何ができるかという大きなテーマを、身の回りのできることか
ら考えていこうという「ルーツ&シューツ」という活動が広まっています。この活動
は、英国の動物行動学者ジェーン・グードル博士がすすめているもので、ROOTS(ル
ーツ)=希望の根っこが世界に広がり、SHOOTS(シューツ)=新芽となって困難の壁
をつきやぶるようにと名づけられた運動です。自分のできることを考え、仲間を集め
、活動し、目標を達成したらみんなで喜ぶ。だれからも表彰されたりしないけれど、
何か(だれか)の役に立っているという、うれしさがあります。

 さっそく私も始めました。「マイおはし」です。外食するときに割りばしを使わな
いように、自分専用のおはしを持ち歩くようにしました。最初はみんなの前で出すの
が恥ずかしかったのですが、近頃はジャーン! とバッグから取り出して見せたりし
ます。興味を示してくれる人もいて、私のまわりでは「マイおはし」の輪が少しずつ
広まっているんですよ。ラーメン屋さんの段ボールに愛を入れることはできなくなり
ましたが(笑)私のささやかな「ルーツ&シューツ」の第一歩です。

 みなさんも地球のために何ができるか、考えてみませんか? 地球の笑い声が聞こ
えるかもしれませんよ。


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