2009/12/10
KIP091210「日本語入力=インプットメソッドを考える」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 2009年12月10日(木) 第2785号 日刊! 関西インターネットプレス ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■本日のコラム「日本語入力=インプットメソッドを考える」 木曜日担当:関西デジタルプレス「デジ・プレ」編集長 野々下 裕子 12月に入ってようやく、出かける時は本格的な冬支度をするようになった Nonoshita です。この時期内外にかかわらず、手元はPowerBook で暖を取 ることが多かったのですが、新しいMacBook Pro はほとんど暖房効果なし。 熱暴走の心配がないのはいいけれど、あまりにもクール過ぎるのもさみし いものですね。 さて今回のお題は寒い季節に反してネットで熱くなっている、Google日本 語入力のお話をば。日本語入力すなわちインプットメソッドは、漢字、カ タカナ、英文を駆使する日本語にとっては欠かせない存在。日々のネット ならことえり入力でもこと足りるけど、ライターにとっては、どれだけ自 分の感覚にあったインプットメソッドを選んでチューンしていくかが、死 活問題と言ってもいいほどだったりします。 そんなインプットメソッドですが市場はそれほど好調というわけではなく、 なのに進化する言葉に合わせた辞書チューンが必要だったり、新OSに合わ せたシステム構築など、負担は増す一方。その影響か、今年は老舗ATOKが 月額定額利用料金をスタートしたり、EGBRIDGEは一旦撤退して「かわせみ」 として再出発するなど、大きな動きもありました。 そんなところへGoogleが無料の看板をひっさげて市場参入してきたのです から話題騒然必死。ところが発表された12/3はGoogle Business Day とい う法人向けイベントがあったので、くわしい発表があると思ったのにほと んど取り上げられず。結局その日はTwitter のタイムラインをほとんど埋 め尽くす勢いで書き込まれた感想を、会場からネットでながめるという状 態だったのでした。 正式な記者発表会は翌週の7日に行なわれたのですが、モバイル向け音声 検索と同時だったこともあって、会場はいつもよりも広い場所だったにも かかわらず、記者の方々がぎっしり。最初に音声検索の発表会があったの ですが、そちらについてはまた後日とりあげさせていただきます。 さて、記者発表では開発経緯や簡単なデモが行われたのですが、キャッチ フレーズ「思い通りの日本語入力」の通り、変換効率をとことん考慮した チューンになっておりました。なんといっても「草食男子」や「歴女」の ような最新の用語が、ほぼ一発で変換できるのが一番のウリ。 新しい用語がげしげし出てくるよう、辞書はウェブから自動生成するにも かかわらず、辞書そのものは50MB前後で大きくならないようにしてるのだ とか。その分ネットにつなぎっぱにして補完してるんぢゃないの、と思う ところがさにあらず、オフラインでもしっかり使えるようになっておりま した。 会場では入力情報の扱い方に関する質問が多かったのですが、基本的にプ ライバシー情報の取り扱いは、オートアップデートや障害情報の報告など、 標準ログの扱いに準じたものオプトインで最小限にしているとの答え。そ ういえばインストールの時にオプトインに関するメッセージが表示されて ましたっけ。 つまりサーバー側で処理をしない分、変換エンジンの開発はかなり力を入 れているのだとか。ここがもう一つのウリで、統計的自然言語の研究をし てきた人間が参加し、単語の出現ランキングや使用頻度といった情報デー タベース化して最適化することで、辞書の精度を上げている。合わせて ユーザの入力履歴の学習や、入力の途中で候補を表示するサジェスト機能 を付加。それぞれオン/オフの設定ができるので、使うほどにチューン アップされて、なじんでいくようにしているということでした。 連文節変換も得意で、長い自然な文章も一発変換。とはいってもそこはデ モなので、実際に使ってみると変換の不具合が続出するのはあたりまえの 話。特に使っている辞書が精査されたものではなく、あくまでもネット上 の情報をベースにしているので、誤用が多いとそのまんま反映されてしま うようなのです。 そこのところは記者会見はもちろん、ネットのあちこちでツッコミがあっ たのですが、けっこう「不適切な言葉」が出てくるのだとか。その点につ いてGoogleは修正していくとしながらも、意図的な編集は加えないとも断 言。あくまでもネットの生きた言葉をベースにしていく方針のようです。 しかして、もともとの開発経緯が『もしかして』機能の開発者が「検索時 の誤入力をなんとかしたい」という思いから始まったというのに、結果的 に誤入力を促すかもしれないのはなんとも皮肉なところ。たとえば、シュ ミレーションと入力するとサジェスト機能でシミュレーションと補足する はずが、ネットであまりにも誤用が多いと、普通に候補に出てくるように なってしまう可能性もあるのだとか。 現時点ではβ版なので今後は解決するとはいうものの、日本語に限らず、 言葉は誤用の多用がそのまま定着しかねないだけに、一抹の不安を感じず にはいられません。結果的に間違った言葉を促進することにならねばいい のですが。 Google側は既存の製品と競争するというよりも、新しい文字入力の考え方 を試している、とコメントしていましたが、それが日本語力にまで影響を 与えることになるのかは気になるところ。信頼性という意味ではかわせみ やATOKの存在感は薄れるものではないやもしれませんが、言葉を仕事とす る立場としては、今回のGoogle日本語入力の登場は複雑な思いのするもの だったりします。 ただいま愛用しているかわせみとGoogle日本語入力をお試しで併用してい るのですが、現時点ではEGBRIDGE時代から数年かけてチューンした前者に は勝てるはずもなく。ただし、元号変換や16進数などの特殊変換ができる らしいので、とりあえず常駐させて臨機応変に切り替えるのがいいのかと 思ってたりします。もしかすると、セミナーの議事録やテープ起こしのよ うな自然言語を入力するときはGoogleのほうが向いてるやもしれません。 現時点ではクラウドには対応せず、モバイル対応もしないということでし たが、Crome OSには対応していくということだったので、そこでどのよう に仕様が変化するかも気になるところ。どのような進化を見せるのか、は たまた永遠のβ版で終るのか。これからも注目を集めるサービスになるこ とだけはまちがいなさそうです。 ・Google日本語入力サービスの発表 http://googlejapan.blogspot.com/2009/12/google_03.html 【プロフィール】 野々下 裕子/ののした・ゆうこ 今月は打合せやらイベントやらがてんこもりで出かけっぱなしの 関西デジタルプレス=「デジ・プレ」編集長。もろもろのスケジ ュールがバッティングして予定していたイベントに行けないなん てなこともしばしばなのですが、一方で国内イベントもApple の 基調講演のようにUstream でダダ漏れされることが増えきて、ど こからでもネットがあればライブ観戦可能だったりします。特に 決断ポトフのそらのさんは今やダダ漏れの代名詞になりつつある ほど機動力があって、さらに動画もアーカイブされているのでほ んとに助かってます。あとはその録画を見る時間を作って、でき れば感想なども書きたいと思っているKIPコラム&ブログへの 感想などは「kip@digipre.com」宛によろしくであります。 ・ダダ漏れことそらのさんの「決断ポトフ」 http://ketudancom.blog47.fc2.com/ ・録画でおすすめの「第1回ウェブ学会シンポジウム」の記録はこちら http://ketudancom.blog47.fc2.com/blog-entry-269.html#extended ●●● お知らせ ●●● 関西テレビ主催「子BACA-JAナイト」のご案内 http://www.ktv-lab.jp/cobaca-ja/event/ 学生映像コンテスト「BACA-JA」のカジュアル版。学生の方に5分 以内の作品でWEBから応募していただいており、下記にて優秀作品の上 映会、最終審査会を行います。 日 時:2009年12月11日(金)19:00スタート 場 所:Gallery & Event Space アートカクテル 入場料:無料(ワンドリンク制) ※イベントには学生以外の方もご入場いただけます 当日登場の審査員 ・明和電機 代表取締役社長 土佐信道 氏 ・ネットアニメ「モフモフ」作者 ちぃ先生 ・京都精華大学芸術学部(映像コース) 伊奈新祐 教授 【イベントカレンダーはこちらのURLからもご覧いただけます。】 http://easyurl.jp/jxk Twitter ID:@kansaidigipre ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 「日刊! 関西インターネットプレス」http://www.digipre.com/kip 発 行 関西デジタルプレス http://www.digipre.com 発行人 野々下裕子 kip@digipre.com 配信協力 まぐまぐ http://www.mag2.com/ bloguru.com http://www.bloguru.com/kip 講読の変更・解除 >http://www.mag2.com/m/0000000122.htm ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ (c) Kansai Digital Press. All rignt reserved.


