2009/06/22
KIP090618「INTEROPに見る業界の問題意識のありどころ」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 2009年06月18日(木) 第2732号 日刊! 関西インターネットプレス ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■本日のコラム「INTEROPに見る業界の問題意識のありどころ」 木曜日担当:関西デジタルプレス「デジ・プレ」編集長 野々下 裕子 ここのところ晴雨両用の折りたたみ傘が手放せないNonoshita です。しか して昨今は夕立ちより、ゲリラ豪雨のほうが要注意。気象庁および天気予 報系サイトからの情報も、精度を上げるだけでなく、ケータイなどに向け て即時発信できるような体制を整える方向にあるそうです。 さて、今回は先週、幕張メッセで開催された「INTEROP」 のお話をば。も とはインターネットの接続技術に関するイベントだったのですが、数年前 からデジタル放送技術関連のイベント「IMC 」が、さらに今年は「デジタ ルサイネージ」とセキュリティ関連の「RSA CONFERENCE JAPAN」が同時開 催になり、さらにGreen ITやらクラウドなんてなキーワードもちらばって いて、何だかわけがわからん内容になりつつあります。 なもんで客層も来場者数も読めなくて、今回は最終日にのんびり取材にで かけたのですが、展示会場はとんでもない大入満員状態。使われているの は3ホールだけなので、2時間もあればざっと見て回れるはずなのですが、 隣のブースに行くにも人混みをかきわけなければならないほどで、ちょっ とびっくりしました。 展示物もこれまでは、サーバーやらハブやらケーブルやら地味な内容が中 心だったのに、デジタルサイネージのおかげか、薄型&大型ディスプレイ を使いまくったインタラクティブ表示やデジタルマネキンなどなどかなり 華やかめな感じ。Panasonicや富士通、NEC、NTT系といった大手企 業もネット関連サービスを中心にそこそこ大きなブースを出展していて、 いつもより盛り上がってる感じはありました。 が、その一方で、昨年はINTEROP本体よりも勢いがあったIMCの展示スペー スは大幅縮小状態。常連のワンセグなども見当たらず、4Kデジタル機材 などがひっそり…という感じでした。そうしてあらためて全体を見渡して みると、特に目玉らしきものが見当たらなかったのですよね。 あえて何か話題はといえば、7月からサービスインする WiMAXサービスの 「UQ WiMAX」ぐらいでしょうか。とはいえ、最寄りの海浜幕張駅から広告 しまくりのわりに、ブースはそれほど広くも派手さもなく、対応モデムや 搭載PC、PSPやDSiなどのデバイスやモジュールなどを展示するだけの地味 なものでありました。 個人的にはCITRIXのXenServerが、IBMやマイクロソフト、hp、デルといっ たパートナーと共同ブースを出していてたあたりが気になったのですが、 新バージョンで完全無償化するというわりには、あまり注目を集めている 感じではなかったような気がします。この手のビジネスモデルは、基本は 無料にしてビジネス向け機能は有料というパターンが王道だと思うのです が、そうしたスタイルも今後は変わるかもしれませんね。 特別講演での紹介によると、会社のデスクトップ環境をiPhone上で開いて、 オフィス系ソフトをさくさく使えるなんてなこともできるみたいなので、 今後、スピードアップしたiPhone 3GSあたりとセットで企業が大量採用、 なんてな話が年内にでも出てくるやもしれません。 今回は講演もいくつか取材したのですが、i-moode の立役者にして元ドコ モの夏野剛氏とひろゆき氏のニコ動コンビによる基調講演は立ち見が出る ほどの人気ぶりでびっくり。お題は「インターネットの未来像:ポストイ ンターネット」というものでしたが、内容は予想通りのだらだらぶり。ど んなだったか詳しく知りたい方は、ITmedia さんが全文掲載されているの でそちらをご覧いただくとして、要約すると「日本のインターネットはお もしろくない」という夏野氏の一言に置き換えられそうです。 たとえば、日本のインターネット技術はとっても進んでいるけれど、肝心 のコンテンツがうまく流通してないし、作るよりも見るだけの人が圧倒的 に多い。CGMも最初の頃ほど期待できるものが登場してないし、動画中 継にしても、ストリーミング中継のような前からあるものがお手軽になっ ただけで、そこから何か新しいものが生まれる気配がない、と。 政治家の間ではTwitter を使ったり、ニコ動で生放送してるなんてな動き もあるけれど、ノリでやってるだけで、もしどんなものか理解してたら炎 上がコワくてとてもできないはず、とも。いずれにしても、目的ありきと いうよりも、技術&サービスありきでゆきすぎている、ってのが今の日本 のインターネットをつまらなくしている要因だと言えそうですね。 同じような話は、同じく夏野氏を司会にケータイ関係者のキーマンがずら りと参加した最終コンファレンス「日本製携帯電話がなくなる日?」でも ありました。挑戦的なテーマについてどんな内容になるのかか興味津々で したが、やはりこちらでも語られたのは、技術過剰でコンテンツパワーに 欠けるという日本のケータイ業界の問題点でありました。 特にコンテンツは、日本の制作物は優良で世界的な需要もあるのに、キャ リアどころか端末ごとに変わる規格に合わせるだけで疲弊してしまってい るのはわかっているが、どうしても発想が切り替わらない。これからの端 末はコンテンツを魅力的に使えるようにして、さらに機能全部入りではな く、必要なものだけを提供するぐらいの思い切りがないといけないという ような話も出てきましたが、このあたりは、iPhoneなどの登場で、機能で 圧倒的に勝っていても、コンテンツやアプリ市場など売った後のビジネス モデルがダメダメだと市場に未来はないことがようやくわかってきた、と いう背景がありそうでしたね。 そうはいっても、すぐに技術からコンテンツ中心の市場へシフトするのは 難しいところですが、コンファレンスに登場されるような方々が問題意識 を投げ掛けるようになれば、なんとか状況も変わるかもしれませんね。 他にもいろいろおもしろい話はあったのですが、とりあえずはターゲット を個人や若者からビジネスへシフトするところから、日本のケータイ業界 の改革がちょっとずつ始まるかもしれない、というような内容でありまし た。 それにしても、このコンファレンスはタイトルと講演者のメンツのすごさ で満席かと思いきや、会場内はほとんどがらがらだったのにがっかり。つ まり、最終日の大混雑は、ほとんどが出展関係者や仕事がらみによるもの で、こうしたテーマに関心を持たず、さっさと帰ってしまうような人がほ とんどだったということなのでしょうね。 そんなINTEROP の状況は、去年から約2万人減という来場者数からも伺え そう。サイトにはすでに来年の開催日程が発表されているものの、もう少 し内容や運営方法をなんとかしないと、このままでは本当に開催できるの か危うい気がします。 来年も取材するのか、できるのか微妙なところですが、大盛り上がりとは 言わずとも、せめて話題になる何かがインターネット業界におこる、ある いは問題意識がもっと明確になるような内容になることを期待したいとこ ろです。 ・INTEROP Tokyo 2009 http://www.interop.jp/ ・ひろゆき&夏野コンビが語る「日本のITよ、自信を持て」 (ITmedia記事) http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/12/news098.html 【プロフィール】 野々下 裕子/ののした・ゆうこ 今週は映画館で「スタートレック」映画を観てきた関西デジタル プレス=「デジ・プレ」編集長。監督は「クローバー・フィール ド」や「MI:3」のJ.J.エイブラムズでして、初期テレビ版のキャ スティングや世界観をベースにしつつ、ストーリが独自のものに 仕立て上げられていたのがよかったです。監督はいわゆるトレッ キアンではなく(特撮マニアではありそうですが)、コアなファ ンも初めて見る人も楽しめる内容にしたかったのだそう。TV版は ほとんど見てないんで、どんな違いがあったのかはSFマガジン の特集記事で知ったのですが、昔と今のキャストが激似で大爆笑。 とはいえ、そろそろSF以外の映画の話もしたいとは思っている KIPコラム&ブログへの感想などは「kip@digipre.com」宛に よろしくであります。 ●お知らせ 魚井教授のWWDC 2009報告 http://www.apple.com/jp/retail/shinsaibashi/ KIP読者にはおなじみ、関西Macコミュニティのキーパーソンの1人である 大阪電気通信大学の魚井宏高教授が、6月8〜12日にサンフランシスコで行 われたWWDC (Worldwide Developers Conference)2009のお土産話をぎりぎ りのところまでお話しします。Apple のテクノロジーの最先端に興味のあ る方はお気軽にご参加ください。 日 時:2009年6月27日(土) 16:00〜18:00 会 場:アップルストア心斎橋 参加費:無料 【イベントカレンダーはこちらのURLからもご覧いただけます。】 http://easyurl.jp/jxk ※「EasyURL」さんのサービスを利用してURLを短くしております。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 「日刊! 関西インターネットプレス」http://www.digipre.com/kip 発 行 関西デジタルプレス http://www.digipre.com 発行人 野々下裕子 kip@digipre.com 配信協力 まぐまぐ http://www.mag2.com/ bloguru.com http://www.bloguru.com/kip 講読の変更・解除 >http://www.mag2.com/m/0000000122.htm ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ (c) Kansai Digital Press. All rignt reserved.



