KIP080409「ケータイで ケータイ新事情 4」
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2008年04月09日(水) 第2544号
日刊! 関西インターネットプレス
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■本日のコラム「ケータイで ケータイ新事情 4」
水曜日担当:テクニカルライター 佐橋 慶信
春の交通安全週間が始まると、新学期もようやく始動という印象ですね。
あちこちでみかける、ちょっと大きめの新しい制服の新入生の姿が眩しい
季節です。
我が家の子供達は、新学期からアルバイトに燃えだしています。稼いだア
ルバイト料は半分を貯金にまわす約束になりました。将来の免許取得費用
や車やバイクの頭金になる「道路特定財源」というわけです。
ところで、子供たちが学校からもらってくる資料などから類推すると、学
校の「ケータイ教育事情」はとても寒いことになっているようです。長期
休暇前のプリントなどで出会い系サイトなどの利用に触れたり、する程度
で、学校ではケータイについて本格的にメリットとデメリットを教える時
間はありません。
忙しい教育現場にとってみれば、これは当然のことで、それ以外にやらね
ばならないコトが山積しており、「生活指導」の一環と見られるケータイ
の教育ばかりに時間をとられるわけにはいかないのです。
学校からもらってくる資料の中には、携帯電話キャリアが主催するケータ
イトラブル防止方などの講演のお誘いもありました。これらの講演や説明
会のようなものは、昨年から増えだしてきています。
筆者も近所でやっている講演会を拝聴してきました。内容はケータイで乱
れる生活習慣や、不適切なサイトの紹介、ケータイマナーなどの基本を押
さえたものです。筆者にとっては見飽きた内容ですが、初めて参加される
保護者にとってはとても有意義な内容ではなかろうかと思います。
ただし、講演会といっても、学校の体育館などを解放したものではなく、
勤労婦人センターで数十人を相手にレクチャーするだけで、規模としては
とても小さなものでした。複数の校区にまたがって募集ががられているは
ずなのですが、会場は満席とはいえ数十人程度です。全体の分母からすれ
ば、出席している方はわずかなものなのでした。
この手の講演やセミナーはやらないよりやった方が良いのは当たり前です
けれど、開催したことによって「教育」が完了していると考えてしまうの
は大きな間違いです。出席者の中には参加することによってより能動的に
考える人も出てくるでしょうが、出席することそのものに意義を見いだし
ている人もいるかもしれません。
携帯電話キャリアはテレビコマーシャルなどには大規模に投資しているよ
うですけれど、このようなセミナーや講演会などの社会還元についてはあ
まり積極的ではないようです。前年度の数倍の予算でより頻繁にセミナー
を開催してもらった方が、大量のテレビコマーシャルよりも、結果的によ
りよい顧客をしっかりつかむことができると思うのですが、いろいろと事
情があるようです。
最終的に学校やキャリアだけにケータイ教育を一任するには不安が残ります。
では、国や地方自治体などの機関はどうでしょうか。
こちらは基本的に立法や行政の機関です。つまり、制限や指導はあっても
教育は実際の現場にまかせるという形をとることになります。最近は一部
の議員の中から、「ネット規制は必要」という声があがり、有害情報の規
制のための法案が提案されています。
自民党の内閣部会でとりあげられた「有害情報規制」法案は、有害情報を
定義し、規制することで、インターネット内で青少年を守ろうという法案
です。主に規制されるのは次の6つの「有害情報」です。
(1)性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼす情報
(2)著しく残虐性を助長する情報
(3)犯罪、自殺、売春を誘発する情報
(4)心身の健康を害する行為を誘発する情報
(5)心理的外傷を与えるおそれがあるいじめ情報
(6)非行又は児童買春等による青少年の被害を誘発する家出情報
一見すると納得できる内容ですけれど、正直、どうかと思います。なぜな
ら、これらの情報には精密な「定義」が存在せず、ブラックゾーンとホワ
イトゾーンの間の「グレーゾーン」か大変に多い分野だからです。運用の
方法によっては、国外のサーバーならやりたい放題のザル法にもなります
し、国内のサーバーにとっては、強烈な言論規制にもなりかねません。
また、これらの法案が可決されてしまえば、罰金だけでなく懲役刑もあり
えますので、インターネット社会全体が縮小してしまう可能性も否定でき
ません。実際に何が起こるのか、施行されてみなければわからない部分が
多すぎます。
フィルタリングサービスのバックボーンとして、必要な法案なのでしょう
けれど、後先を考えていないイメージを受ける法案です。マジメなサービ
ス提供者のサイトは萎縮し、不法なサイトはどんどん海外のサーバーに移
転することでしょう。
結局、フィルタリングサービスや有害情報規制法案といえども、万能では
ありません。では、子供たちを有害情報からどうやって守れば良いので
しょうか? 結論は実にシンプルです。子供らを守れるのは子供らだけ…
なのです。
有害情報を取り除いて純粋培養する教育も確かに効果があると思えますけ
れど、それだけでは免疫力の無い人間を育ててしまうことにもなりかねま
せん。
有害情報とは何か? まず、その内容を子供たちに理解してもらうことか
らはじめなければならないのでしょう。そのために頼りになるのは、学校
でもキャリアでも、行政や立法などでもなく、最終的に親と子の関係にあ
るのではないかと筆者は考えます。
【プロフィール】
佐橋慶信/さはし よしのぶ テクニカルライター フリーランス
スポーツはウェイト・トレーニングと剣道。
どちらも数十年のキャリアを持つ。
自宅では、使えないパソコンが増殖中。
感想メールなどはこちら <kip@y384.com> まで。
●●● お知らせ ●●●
第57回市民講座
「生命の誕生と死のサイエンス−受精とがんの研究の現場から−」、
「環境問題の本質−環境に配慮した社会を構築するために−」
http://www.kyoto-su.ac.jp/area/shimin_ko.html
京都産業大学では、市民講座として、「生命の誕生と死のサイエンス」・
「環境問題の本質」の2テーマで講演いただきます。ご興味をお持ちの方
はぜひともご参加下さい。
■開催日時:2008年5月14日(水) 14:00〜16:30
■場所:キャンパスプラザ京都 5階 第1講義室
(http://www.consortium.or.jp/campusplaza/access.html)
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発行人 野々下裕子 kip@digipre.com
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